境界記録帯(ゴーストライナー)×ストーンワールド 作:ターミナル カフェ
・本作品は『Fate/Grand Order』×『Dr.STONE』のクロスオーバー二次創作です。
・原作には存在しないオリジナルキャラクター、オリジナル設定が登場します。
・原作キャラクターの設定や関係性に独自解釈・改変があります。
・原作とは異なる歴史、展開、世界観が存在します。
・今後の展開によっては、複数のFateシリーズ作品および関連作品の設定を扱う予定です。
以上の点をご了承いただいた上で、お楽しみください。
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境界記録帯(ゴーストライナー)×ストーンワールド
第一話「最後の日常」
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境界記録帯――ゴーストライナー。
それは魔術師が作り上げる使い魔ではない。人類史そのものに刻まれた現象を、もう一度呼び起こす存在だ。
人類史を存続させるために働く見えざる力を、抑止力――カウンターガーディアンと呼ぶ。世界の破滅に繋がる要因を、それは静かに排除し続けてきた。
そのすべてを内包し、人理を守るために召喚される者たちを、【サーヴァント】と呼ぶ。
――だが、これは人理を二度救った英雄の物語ではない。
これは、その英雄の子供たちが、一人の友人と、英霊たちと共に歩む物語である。
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【藤丸兄side】
子供のころから、俺の頭にはときどき、知らないはずの景色が浮かぶ。
剣を手に立ち向かう者が、愛した人の前ではたじたじになる光景。海賊でありながらオタ活に励む奇妙な姿。花の咲かない冥界で、花束を抱えて微笑む女神。
どれも、あり得ないはずの光景だ。それなのに俺は、そこにいる"誰か"を知っている気がする。まるで最初から、記憶のどこかに刻まれていたみたいに。
サワァ、と誰かが頭をなでる。母さんの手だ。
泣きそうなとき、怖くて仕方がないとき、いつもそばにいてくれた手。
なぜいなくなったのかは分からない。恨みもない。けれどあの日、父さんと一緒に、まるで別れを告げるみたいに強く抱きしめてくれた。
きっと、何か大変なことがあったのだろう。
……理由なんて、いらない。
母さん、約束するよ。妹は――涼音は、俺が守る。
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ピピピピ!
スマホのアラームで目を覚ました俺は、眠気の残る体を起こし朝食の準備を始めた。
今日の献立はコーンポタージュと、いつものパンとソーセージ。目玉焼きは、涼音が起きてから焼くことにする。
支度をしていると、二階からドタバタと足音がして、黒髪に紫がかったピンクのメッシュを入れた妹が駆け下りてくる。
「お兄ちゃん! アラーム鳴ってたなら、一緒に起こしてよ!」
「すまんな。でもお前、なかなか起きないだろ。朝食はいつものだが、卵はどうする」
「私は半熟で。この前の両面焼きの件、まだ根に持ってるからね」
はいはい、と返事をしながら妹の身支度も手伝い、朝食を仕上げる。
俺と涼音は、両親と暮らしたこの家で、二人きりで生活している。もう長いこと、この暮らしが当たり前になった。寂しくないと言えば嘘になるが、涼音がいるから、不思議と毎日はちゃんと回っている。
(それにしても、無駄にデカい家だよな。庭も大型犬が走り回れるくらい広いし、明らかに体格のいい人向けのサイズだ)
三階建てのこの屋敷は、一階がリビング、二階が俺たち兄妹のパーソナルスペース、三階は一部倉庫になっていて、元は両親の仕事場だった場所らしい。何の仕事だったのかは、正直よく知らない。
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朝食を終え、学校の準備を整えた俺たちは、玄関に向かう前に、両親の写真に「行ってきます」と告げた。
それから、いつもの通学路を歩き出す。
途中、ひときわ体格のいい学生とすれ違った――俺たちの高校の先輩、大木大樹先輩だ。
「おおぉ! 藤丸兄妹! おはよう!」
相変わらず、朝から声がデカい。
「おはようございます、大木先輩」
「おっは! 大樹先輩、今日も元気してます? ……してますよね、絶対」
「おう! 俺はいつも元気だぞ、涼音ちゃん!」
声量もテンションも規格外だが、人格はとてもいい人で、俺も昔から何かと世話になっている先輩だ。
涼音は大木先輩と波長が合うのか、それともギャルじみたコミュニケーション能力のせいか、高校では"アイドル"なんて呼ばれているらしい。本人はまったく気にしていないが。
「大樹先輩、今日は杠先輩と一緒じゃないんですか」
「杠はな、もう少ししたら合流する予定だ。……聞いてくれ、達人」
大木先輩は、珍しく神妙な顔で切り出した。柄にもなく緊張しているのが、遠目にも分かる。
「告白するなら、高校生のほうが傷は浅くて、治りも早いですよ」
「振られた前提で言うな! というか、俺が告白するって分かってたのか?」
「まあ、なんとなく」
「あと、人のことは言えないぞ、達人」
そう言って、大木先輩は意味ありげに笑った。
――人のことは言えないよな。ラブレター事件を思い出しかけたが、あれはあれでトラウマだ。
とにかく、杠先輩と合流するらしいので、俺たちはそのまま一緒に通学路を歩き出した。
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校門をくぐると、涼音は杠先輩と一緒に自分のクラスへ、俺と大木先輩は別の校舎へと分かれていく。
「達人、今日の部活はどうする?」
「今日はパスで。涼音のやつ、科学部で何か面白いこと調べてるらしくて、帰りに顔出す約束してるんだ」
「ほう、あの科学部にな。相変わらず仲良い兄妹だ」
「別に、そんなんじゃ」
からかうような視線に、思わず視線を逸らす。妹離れできていない、と言われれば否定はできないが。
昇降口で靴を履き替えながら、ふと考える。
両親がいなくなってから、もう何年経つだろう。最初のうちは、近所に住む知り合いが交代で様子を見に来てくれていた。今はもう、俺たちだけで十分やっていける。少なくとも、表面上は。
時々、頭の奥でノイズのようなものが走る。誰かの声、誰かの記憶。それが何なのか、俺にはまだ分からない。
……考えても仕方ない。今日も、いつも通りの一日が始まるだけだ。
教室のドアを開けながら、俺はそう思っていた。
これが、最後の通学路になるなど――
この時の俺は、まだ想像すらしていなかった。
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第一話 了
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