境界記録帯(ゴーストライナー)×ストーンワールド 作:ターミナル カフェ
・本作品は『Fate/Grand Order』×『Dr.STONE』のクロスオーバー二次創作です。
・原作には存在しないオリジナルキャラクター、オリジナル設定が登場します。
・原作キャラクターの設定や関係性に独自解釈・改変があります。
・原作とは異なる歴史、展開、世界観が存在します。
・今後の展開によっては、複数のFateシリーズ作品および関連作品の設定を扱う予定です。
以上の点をご了承いただいた上で、お楽しみください。
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境界記録帯(ゴーストライナー)×ストーンワールド
第四話「目覚め、そして出会い」
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体が解けていくような感触があった。まるで何かに身を委ねているような感覚。妹はどうなった? 兄は無事なのか? あの光は何だったのか――そう考えようとした瞬間、意識がぷつりと途切れた。
……だめだ。思い出せない。ただ一つ確かなのは、体が少しずつ動くようになってきたということ。
瞼の裏に、光の気配がする。鳥の声。葉擦れの音。土と、青草の匂い。
ここは、どこだ。
そっと目を開ける。最初に映ったのは、ぼやけた緑と、木漏れ日だった。焦点が合うまで、数秒かかる。
そこに広がっていたのは――人工物の影もない、大自然の森だった。
「「……は?」」
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【達人視点】
……いや、待て。テレビのドキュメンタリーかよ。それが最初に抱いた、正直すぎる感想だった。
頭が状況に追いつかない。ついさっきまで、俺は学校にいたはずだ。科学部の部室で、涼音が何かを説明していて、それから――あの光。
記憶の続きを探ろうとして、うまくいかない。ただ、体は妙にはっきりと現実を伝えてくる。湿った土の感触。木々のざわめき。遠くで響く、聞き慣れない鳥の鳴き声。
横を見ると、同じく状況を飲み込めずに固まっている妹・涼音の姿があった。そして、その視線の先――少し離れた茂みの向こうに、いくつもの影が動いている。
目を凝らして、ようやく理解した。ライオンの群れ。
ここはサファリパークだ。そうであってほしい。
そう思った、次の瞬間だった。
その中の一頭と、目が合った。一瞬だった。だが、確実だった。金色の瞳が、まっすぐにこちらを捉えている。
――しまった。
考えるより先に、鬣を揺らしたその一頭が、低く唸りながら地面を蹴った。続けて、群れ全体がこちらに向き直る。
「夢だよな……? そうだって言ってくれ」
だが現実は残酷だった。冷たい風、冷や汗、いつの間にか変わっている服装。
「逃げるぞ、涼音! ライオンに食い殺されるなんて、まっぴらごめんだ!」
俺は妹の手を掴み、全力で地面を蹴った。
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【涼音視点】
「ゼハァ……お兄ちゃん、もう無理……走れない……」
「それは、あのライオンたちに言え!」
お兄ちゃんが腕を引っ張ってくれなかったら、今ごろ私はお昼ごはんになっていたはずだ。制服も、手の甲に浮かぶ謎の刺繍も、疑問は尽きない。でも考える余裕はすぐに消えた。
背後は急な崖、周囲に使えそうなものは何もない。
「涼音、俺の後ろにいろ! 大丈夫だ、俺が守る!」
ライオンが跳ぶ。お兄ちゃんが、私を庇うように前に出た。
「お兄ちゃん!」
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《ガンド》
絶体絶命、その瞬間だった。眩い光弾が放たれ、飛びかかろうとしたライオンを正面から撃ち抜いた。
呆然とする私たちの前に、それは現れた。
「やれやれだ。運が悪い」
長く伸びた白銀の髪。白を基調に深紅の意匠が織り込まれた豪奢な装束。戦士でも魔術師でもない、世界の理そのものを知っている側の人間だと直感した。
腰から垂れる赤い布や、規則的に編み込まれた飾り紐が、わずかな動きに合わせて静かに揺れる。恐怖より先に、そう直感してしまった。現実離れした姿なのに、不思議と「危険だ」とは思わなかった。代わりに胸に浮かんだのは、圧倒的な格の違いと――「この人は、私たちが知らない"何か"を確実に知っている」という、言葉にできない確信だった。
「あなたは……? どうして、助けてくれたの?」
言葉にした瞬間、胸の奥がざわついた。
「だって、あなたは――」
知らないはずの名前が口をつく。(……え? 私、今……)
男はわずかに目を細めた。
「ふん。やはりか。貴様たちの記憶は、まだ戻りきってはいないらしい」
そう言って視線を私から外す。
「それより――兄の心配をしたほうがいいのではないか」
振り返ると、頭を抱え苦しそうに膝をつくお兄ちゃんの姿があった。
「お兄ちゃん! 大丈夫!?」
「問題はない。我を見たことで、記憶の封印の一部が外れかけているのだろう。処理が追いついていないだけだ。ほどなく落ち着く」
淡々と、だが確信をもって言い切るその表情に、一瞬だけ翳りが差した。(……ここまで拒絶反応が出るとは。やはり、完全な状態で記憶を今戻すのは下策か)
その呟きは、私たちには聞こえないほど小さなものだった。けれど――その表情だけは、はっきりと"知っている者"のそれだった。
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しばらくして、兄の容体は落ち着いたが意識は戻らないままだった。ここまで運ばれてくる間、レフさんは何も言わずにお兄ちゃんを背負ってくれていた。大人一人分の重さのはずなのに、足取りは危なげなく、涼音の歩幅に合わせて速度を落としてくれてすらいた。私たちを助けてくれたこの人は、自分を「レフ」か、もう一つの名で呼べと言った。後者を聞こうとした瞬間、頭の奥でノイズが走った。
「……じゃあ、レフさんで」
レフさんは短く頷いただけだった。
それから、周囲のライオンや猛獣たちを追い散らし、指をパチンと鳴らす。それだけで、簡易テントがそこに"用意されていた"。
「……え、なにこれ」
「黙って使え」
低くて怖い声に、私は即座にお口チャックした。それを見たレフさんは、少し面白いと思ったような顔をした。
そのあと、私が不安な顔をしていることを気遣ってか、レフさんが頭に手を伸ばしてきた。ぽん、と。
一瞬びっくりしたけど、不思議と嫌じゃなかった。(……前にも、こうやって撫でてもらったこと、あった気がする)
わからないことだらけなのに、この人のそばにいると、少しだけ安心してしまうのだった。
よくも知らないはずの人物なのに、なぜかこの人を見ているとパパのことを思い出す。理由はわからない。声も顔も、全然違うのに。
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【レフ side】
――眠ったか。
こうして見ると、やはり似ている。性格面で言えば、兄のほうは忌々しいことに、あの愚か者によく似ているな。
涼音は――やはり、"あの子"と共にいたからか。とてもしっかりした子に育ったものだ。
人理を突破した、あの二人。その間に生まれた、かけがえのない宝物。
――いや、よそう。感情に浸っている時間はない。
残された猶予は、数日。フェイトシステムと礼装のインストールは、どうにか間に合った。問題は次だ。
「この子たちに、希望を渡すには……まだ必要な人物が揃っていない」
彼らは、まだ先の未来でしか出会えぬ存在。渡すべき時は、南米に到達し、"希望となる二人"が揃った、その瞬間。
そこまで辿り着ければ――あとは、あの場所の座標にて。真に"希望"と呼べるものを、彼ら自身の手で回収してくれるだろう。
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第四話 了
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