境界記録帯(ゴーストライナー)×ストーンワールド   作:ターミナル カフェ

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注意事項

・本作品は『Fate/Grand Order』×『Dr.STONE』のクロスオーバー二次創作です。

・原作には存在しないオリジナルキャラクター、オリジナル設定が登場します。

・原作キャラクターの設定や関係性に独自解釈・改変があります。

・原作とは異なる歴史、展開、世界観が存在します。

・今後の展開によっては、複数のFateシリーズ作品および関連作品の設定を扱う予定です。

以上の点をご了承いただいた上で、お楽しみください。


第六話 「決別(ディパーチャー)」

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   境界記録帯(ゴーストライナー)×ストーンワールド

 

      第六話「南米へ」

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【涼音side】

 

「あれは、人類が石化した成れの果てだ」

 

 その言葉が、森の空気を凍らせた。……私は、どんな顔をしていたんだろう。驚いた? 怒った? 泣きたくなった? 正直、自分でもわからない。

 

 でも、きっと心のどこかで思っていた。――やっぱり、そうなんだね。否定できなかった。あの数の石像を見てしまったから。

 

 そんな私の感情を察しているのかいないのか、レフさんは淡々と続けた。

 

「あの日、あの光線状の現象によって、人類は例外なく石化した。それから文明の発展は完全に停止。やがて建造物は崩れ、都市は森に呑まれ、朽ちた」

 

 三千七百年。その数字が、重くのしかかる。

 

「原因は不明。だが、一つだけ断言できることがある。これは、自然発生的な現象ではない」

 

「……なんでわかるの?」

 

 レフさんは一瞬、目を伏せた。珍しく、暗い表情。なにか、言いづらいこと? 数秒の沈黙。森の音だけが、やけに大きく聞こえる。そして、決意したように口を開いた。

 

「……お前たちの両親が、調べ上げたからだ」

 

 思考が止まる。「……え?」聞き間違いだと思った。

 

「誰が、調べ上げたって?」

 

 喉がひどく乾く。レフさんは、逃げなかった。

 

「お前たちの両親――立香とマシュがだ。石化現象が起こることを予測し、調査し、そして特定した。いや……正確には、"敵"の存在に辿り着いた、と言うべきか」

 

 胸の奥が、強く脈打つ。パパと、ママが。あの優しかった二人が――この世界の終わりを、知っていた?

 

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【達人side】

 

「……ふざけるな」

 

 気づけば、声が出ていた。頭の奥が、また鈍く痛む。

 

「なんで……なんで親父たちの名前が出てくるんだよ。石化? 敵? 予測してた?」

 

 拳が震えていた。

 

「そんなわけあるか……! あの人たちは、ただの研究者だ。世界を守るとか、敵を探すとか、そんな――」

 

 言葉が続かない。俺の中の父は、コーヒーを淹れてくれて、世界の話をしてくれて、希望を語ってくれた、あの人だ。

 

「知ってたなら、止められただろ……!」

 

 理屈じゃない。わかってる。でも、口から出るのは怒りだけだった。

 

 レフは静かにこちらを見る。怒りも、嘲笑もない。ただ、少しだけ疲れた目で。

 

「落ち着け、達人」

 

「落ち着けるか!」

 

「……すべてを話していたわけではない、ということだ。お前たちの両親は、単なる研究者ではなかった。世界規模の異常事象を観測し、解析し、対処を試みる立場にあった」

 

「じゃあ……やっぱり知ってたってことかよ」

 

「"可能性"をな。石化現象の兆候を観測し、発生源の特定を進めていた。だが、確定に至る前に――あの日が来た」

 

 視線が遠くを見る。

 

「お前たちの両親は、最後まで抗おうとした。だからこそ、お前たちは今ここにいる。石化が発動する直前、未来座標への退避プログラムが起動された。お前たちは"偶然"助かったのではない。選ばれたのだ。お前たちの両親によってな」

 

 森が静まり返る。

 

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【レフ side】

 

 ――そろそろ、頃合いか。

 

 我はそう判断した。この森に留まれる時間は、もう長くはない。伝えるべきことは、まだ山ほどある。だが、優先順位を間違えるわけにはいかない。

 

 石化の真相を告げた今、二人の心は乱れている。それでも、次に向かうべき場所だけは、はっきりと刻んでおかねばならない。

 

「……南米へ向かえ、そこにお前たちが欲しい答えがある」

 

 我がそう告げた、その瞬間だった。身体がびくりと震える。指先が動かない。視界の端が白く霞む。

 

――《"月の杯"に何者かが干渉。あなたの霊気グラフを強制シャットダウンしました》

――《維持可能時間、残り数分》

 

「……干渉、だと……?」

 

 誰が。なぜ、今。だが、考えている時間はない。目の前の二人に、伝えなければならないことがまだ残っている。

 

「南米へ向かえ……! 大丈夫だ! お前たちを助けてくれる強い味方がいる、彼らの力を借りるのだ!」

 

「え……?」

 

「我は、お前たちがその力を使えるようにした……!」

 

 達人が一歩踏み出した瞬間、我の足元が粒子のように崩れ始める。この身が、限界か。

 

「時間が……ない……!」

 

「レフ!?」「何が起きてるの!?」

 

 構うな。今、伝えねばならないことだけを、伝える。

 

「お前たちが最初に向かうべき座標は送った……! その村にいる"科学使い"を探せ!!」

 

 空間に座標データを走らせる。まだ言い足りない。だが、これが限界だ。

 

「このキャンプセットは……お前たちの"魔力"を使って顕現できるようにしておいた……サポーターが、道案内をしてくれる……はずだ……」

 

 身体の輪郭が崩れ、光の粒へと変わっていく。

 

(さらばだ……もう一度会うときは……今度こそ、コーヒーでも飲みながら、ゆっくり話をしよう……我の、愛すべき家族よ)

 

「レフ――!!」

 

 涼音の声が聞こえる。だが、我にはもう応える術がない。次の瞬間、そこにはもう、誰もいなかった。

 

────────────────────────────────────────

 

 静寂だけが残る。座標データだけが、冷たく空間に浮かんでいる。

 

 達人は唇を噛みしめる。

 

「……南米、だな」

 

 涼音は拳を握る。わからないことだらけだ。でも、一つだけは確かだった。――止まっている時間はない。

 

 物語は、南米へ向かって動き出す。

 

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         第六話 了

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