百合ヶ丘の光輝の研究室に来たヘルヴォルとグラン・エプレ。光輝が振り向くと、
光輝「で、どうした? ミリアムさ……千香瑠?」
千香瑠「光輝くん……っ!!」
千香瑠は軽く走って光輝にしがみつくと笑顔を向けた。
再会に目を丸くする光輝。だが、状況を理解するしがみついてる千香瑠の頭を撫でる。
叶星「千香瑠さんのあんな姿、初めてみたわ……」
高嶺「驚いたわね……」
光輝「ん? その制服……」
叶星「あ、ごめんなさい。この度、合同合宿に参加する神庭女子藝術高校、グラン・エプレです。私はリーダーの今叶星と言います」
高嶺「宮川高嶺です」
姫歌「定盛姫歌です。気軽にひめひめって呼んでください」
灯莉「丹羽灯莉で〜す」
紅巴「と、土岐紅巴です……」
光輝「よろしく」
挨拶するグラン・エプレと光輝。
一葉「光輝さんの素性や仮面ライダーの件は、グラン・エプレの皆さんは知ってるので警戒しなくても大丈夫ですよ」
光輝「あ、そうなんだ。分かった」
一葉に答える光輝。すると、
恋花「で、千香瑠はいつまで抱きついてるのかな〜?」ニヤニヤ
千香瑠「あ、ごめんなさい。光輝くん……」
離れる千香瑠。
光輝「いや、いいよ。俺も嬉しいし」
千香瑠「…………////」
紅くなる千香瑠と光輝。すると、
神琳「はいはい。惚気は結構ですから」
神琳さん、結構辛辣だな………。
ミリアム「一葉たちは、お主に聞きたいことがあるそうじゃぞ?」
光輝「聞きたいこと?」
恋花「あ、そうだ。この間は聞けなかったからね。光輝、貴方がその戦う力を手に入れた理由は聞いたけど……"どうやって手に入れた"の?」
光輝「うぐっ!」
困った。この状況で一番触れてほしくないところだ。
冷や汗を流す光輝に、安藤鶴紗の冷徹な一言によって、一瞬で凍りついたような静寂に包まれた。
鶴紗「……光輝。あんたさ、百合ヶ丘の大人たちやわたしたちに身元説明した時、なんて言ったか覚えてる?」
冷や汗を流す光輝に、鶴紗の切れ切れの視線が突き刺さる。
その背後では、一葉をはじめとするヘルヴォルの面々が、ただならぬ気配を察して言葉を呑んでいた。
光輝「ちょ、ちょっと待て鶴紗さん、今その話は――」
鶴紗「『千香瑠を守るためなら、千香瑠が背負わされた暗闇から奪い返すためなら、自分の身体に何を入れようがどうでも良かった』……確か、そう言ったよね」
鶴紗の口から告げられたその言葉。それは、光輝がマギを持たないただの一般人でありながら、リリィと同じ戦場に立つ力を得た『手段』――すなわち、自分の意思による、自分の身体への人体実験を意味していた。
一葉「な……っ」
最初に声を詰まらせたのは一葉。彼女たちは、光輝が千香瑠のために命を懸けて戦う『理由』は知っていた。
だが、そのために選択した手段が、自分たちが嫌い、エレンスゲの底で嫌というほど見せつけられてきた『人体実験』の四文字だったなど、夢にも思っていなかった。
一葉の拳が、白くなるほど強く握りしめられる。
一葉「桐生さん……それは、本当なのですか? あなたは、ご自分の身体を実験台にしたというのですか……!?」
光輝「いや、一葉、これは違うんだ。俺の計算は完璧で、ネビュラガスの適合率もコントロールされていて――」
恋花「そういう問題じゃないわよ、バカっ!!」
普段は飄々としている恋花が、見たこともないような怒りを含んだ声で叫んだ。
その瞳には、激しい憤りと、それ以上の悲痛な色が浮かぶ。
恋花「何が計算通りよ! 何がどうでも良かったよ! あんたがエレンスゲのゲヘナの連中をどれだけ嫌ってるか知らないけど、やってることはアイツらと一緒じゃない! 自分の身体を道具みたいに扱って、そんなの……そんなの、千香瑠が喜ぶと本気で思ってたわけ!?」
光輝「恋花さん……」
恋花の、人を思いやる涙の前に、天才物理学者としての口が完全に塞がれる。
ヘルヴォルの5人は、ゲヘナの人体実験によって傷つき、過酷な運命を背負わされてきたリリィたちだ。
だからこそ、光輝が「千香瑠のため」というあまりにも真っ直ぐで歪な愛のせいで、自ら進んでその
叶星「光輝さん……」
見ていた叶星が、かける言葉を失ったように光輝を見つめる。
瑤「バカっ……」
藍「……………?」
沈黙の中、光輝のすぐ隣にいた千香瑠が、ゆっくりと顔を上げた。
その瞳からは、大粒の涙が止めどなく溢れ落ちていた。
千香瑠「光輝くん……どうして……どうしてそんな無茶をしたんですか……」
震える声。ゲヘナの実験は悪だ。けれど、光輝がその身に施した実験は、自分を一人にしないための、自分を暗闇から救い出すための、狂おしいほどの純愛の証明。
その愛の重さに、千香瑠は恐怖し、それ以上に、胸が壊れるほどの愛おしさに支配されていく。
こんなにも自分思ってくれる存在を、真琴に続き最後の2人目を失ったなんて言ったら、千香瑠の精神はどんな安定剤でも治らないだろう。
光輝「ごめん、千香瑠。俺が女だったら、リリィになる道も取れたけど、でも、男の俺にはこれしか方法がなかったんだ。リリィという過酷な運命を背負った千香瑠の隣に並び立つには、科学の力で人間の限界を超えるしかなかった。千香瑠が背負う暗闇を、俺の手で全部ぶっ壊したかったんだ」
光輝は真っ直ぐに千香瑠を見つめて言い切った。
自分の身体を顧みない、その不器用で、命懸けのヒーローとしての覚悟を突きつけられ、ヘルヴォルの面々は深く息を吐き出す。
怒りは消えない。消えるわけがない。
だが、そこまでして自分たちの「家族」であり「仲間」の千香瑠を愛し、守ろうとしてくれたこの少年への、切ないほどの敬意が、ヘルヴォルの胸に満ちていく。
千香瑠「……後で、じっくり
涙を拭い、聖母のような、けれど絶対に逃がさないという本気の笑みを浮かべる千香瑠。
光輝「あ、ああ……お手柔らかに頼むよ……」
天才物理学者の計算が、千香瑠の想いの前で、再び完敗した瞬間だった。
そして、ヘルヴォルからの怒涛のお説教を受けた光輝。もうフラフラになってしまっていた。
光輝「や、やられた……ん?」
すると、ランク戦ブースから何か音が聞こえてくる。
光輝「なんだ?」
光輝がブースを見ると、グラン・エプレ隊長の叶星と、一柳隊の夢結が模擬戦をしていた。
このブースでの怪我やCHARMの破損は、現実には全く影響しない。
故に何度でもデスマッチの訓練ができる。
すると、光輝に気付いた姫歌が、
姫歌「あ、桐生さん!」
光輝「えっと、たしか……姫歌さん? だっけ? ひめひめって呼んでくださいって言ってた気はするけど」
姫歌「覚えてくれたんですね! 灯莉に言っても全然言ってくれないんですよ。いつも呼ばれたくない名字呼びで」
光輝「たしか定盛だっけ? 確かに女の子は嫌かもしれないな……で、この状況は?」
姫歌「あ! このブース作ったの桐生さんって聞きまして。とんでもないですね……。リリィの戦力アップにとんでもない貢献してますよ。あっちでは紅巴が雨嘉さんとやってますし」
光輝「遠距離射撃が得意な人と近距離型かぁ……紅巴さんは近づかないと一方的に蜂の巣だね」
すると、
高嶺「光輝さん、この施設、神庭にも作ってくれないかしら? お金はこちらで持つから!」
光輝「学校の許可と使える建物確保してから連絡しておいで。造るのはいいよ」
高嶺「ありがとうございます」
すると、叶星と夢結が出てきた。
叶星「夢結さん、すごく強くなってません……?」
夢結「この施設で散々やり合ってるからね」
叶星「羨ましくなってくるわね……あ、光輝さん」
光輝「どうも」
高嶺「許可さえ取れれば神庭にも作ってくれるそうよ?」
叶星「ホント!?」
話していると、
一葉「? この部屋は………」
瑤「やってるの、対人戦?」
高嶺「あ、ヘルヴォルのみなさん。じつはね……」
〜 説明中 〜
恋花「何そのとんでもなく実用的な訓練! エレンスゲにも欲しいんだけど!」
一葉「いや、ウチは止めたほうがいいかと。光輝さんの身の安全が……」
恋花「あ〜、そっか……でも、ここにいる間は私たちも使える?」
鶴紗「ああ。いつでも使っていいって代行が。藍、わたしとやるか?」
藍「やる〜♪」
そして藍と鶴紗はブースに入っていった。
瑤「私はここで見せてもらおうかな」
光輝「うん。どうぞ…「ギュッ」千香瑠?」
千香瑠「……………」
光輝「一緒に座って見ようぜ?」
千香瑠「………うん」
― つづく ―
合宿中に籠もる他校生出てきそう。