ランク戦ブースでは、光輝含む一柳隊、ヘルヴォル、グラン・エプレのリリィたちが、2vs2のチーム戦の様子を観戦していた。
ペアはヘルヴォルの飯島恋花&一柳隊の郭 神琳のペア――。
そして同じく一柳隊の二川二水&グラン・エプレの宮川高嶺のペアだ。
光輝「二水ちゃんは自分のレアスキルで最短で高嶺さんと合流したぞ。そして恋花さん達のチームは転送位置が悪すぎる」
夢結「そして二水さんの"鷹の目"で、恋花たちのチームの2人の位置を完全に捕捉しているというわけね」
光輝「そうだな。恋花さんがどうやって神琳さんに気づかせるか………」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
恋花(たぶんもう二水ちゃんと高嶺は合流してるよね……。鷹の目があるし、こっちの居場所も捕捉されてると考えるべきか……)
恋花「ならいっそ!!」
恋花は、CHARMにとある特殊弾を装填した。
恋花「いけぇっ!」
ドシュッ! バァアァアンッ!!
空に向けて打ち出された玉は、上空で赤や青の色に明滅し、消えた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
梨璃「信号弾!?」
千香瑠「恋花ちゃん、自分から居場所をバラした……?」
光輝「いや、違う! 巧いぞ恋花さん!」
瑤「え?」
みんなが光輝を見る。
光輝「考えてもみろ。ここにいる皆はお互いのレアスキル把握してるだろ?」
鶴紗「まあね…」
光輝「てことは、恋花さんも相手に鷹の目がいる事は分かってる。ならば試合開始から経過した時間を逆算すれば、とっくに合流されてて位置も捕捉されてると考えるだろう。だから――」
一葉「っ、敢えてフィールドの全員に居場所が割れる信号弾を撃って、神琳さんに居場所を伝えた!!」
光輝「ああ。高嶺さんたちには鷹の目があるからな。あんな派手なことをするのはデメリットしかない。ならば必然的に―――」
叶星「恋花さんの合図に絞られる……!」
光輝「ああ、さすがエレンスゲのトップレギオン。いい機転だよ!」
その頃―――フィールドでは、
神琳「っ! そこに居るんですね!」ダッ!
神琳(やっぱり転送位置が悪かったんですね!)
二水「なっ! 信号弾!?」
高嶺「恋花さん、厄介なことしてくれたわね!! 二水ちゃん、鷹の目は後どのくらい保つ!?」
二水「あと10秒もすれば切れてしまいます!!」
高嶺「急いで恋花さんを狙いに行くわよ!」
二水「はい!」
残り少ない制限時間の中、2人で掛かって恋花を狙いに行く高嶺と二水。
恋花の居場所はすでに割れている。
恋花(とまあ、居場所バラしたはいいけどあの二人に纏めてこられたら捌き切るの難しいだろうしな〜。嫌だけど逃げに徹するしかないか。たぶん試合開始直後から使ったとしたら、もう何10秒も無いはずだし)ダッ!
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
梅「あの恋花が逃げるノカ?」
光輝「たぶん二水ちゃんの鷹の目の発動効果時間を逆算したんだろうな。もう何秒もせずに切れるって。本当に巧いよ……」
千香瑠「うん。恋花ちゃんはここぞという時に本当に頭が回るの」
瑤「私たちも恋花にはすごく助けられてる」
藍「恋花がんばれー!」
そして―――、
ブゥウウウンッ!!
二水「っ!」
二水の鷹の目の発動効果時間が切れた。
光輝「さて、いよいよ二水さんたちは有利が無くなったぞ。鷹の目が……切れた」
梨璃「二水ちゃん……」
すると、
恋花(もう一発!)ドシュッ!
恋花は再び上空に向けて信号弾を放つ。これが最後の弾だ。
神琳(っ! そこですね!)ドシュッ!
すると神琳も上空に向けて信号弾を放つ。これでお互いの位置が分かった。かなり近い場所にいた。
高嶺「っ! 急ぐわよ二水さん!」
二水「はい!! 高嶺様!!」
急いで合流地点になるであろう場所に向かう二人。
4人が1つの地点に向かって走っていると、高嶺の前方の交差点の横から恋花が飛び出してきた。
高嶺「見つけた!」
恋花「やばっ!!」
高嶺は瞬時に自身のCHARM。リサナウトを近接特化のブレードモードにし、二水は自分のCHARM、グングニルを射撃モードにする。
高嶺「"ゼノンパラドキサ"!!」ギュン!!
恋花「ッッ!!」
ガキンっ!!
何とか反応し、自身のCHARM、ブルンツヴィークで高嶺の速い一撃を弾く恋花。体勢を崩す。
二水「そこです!」ダダダダダ!!
恋花「っちょ!」
恋花が体勢を崩した瞬感を狙い、二水が精密射撃。恋花は転がって回避し、建物の陰に入って二水の射線を切る。
高嶺「まだよ!」バッ!
しかし、間髪入れずに高嶺の追撃。"縮地"の移動速度と、"この世の理"の絶対回避を併せ持つ高嶺のスキル。
今のままでは分が悪い。
恋花(くっそ! いっそのことフェイズトランセンデンスで相打ち狙う……? いや、高嶺なら躱してしまう! 攻めてテスタメントがあれば……)
二水「っ! 高嶺様! 奇襲警戒!!」
高嶺「ッッ!!」バッ!!
即座に飛び退く高嶺。そこへ射撃が突き刺さる。
神琳「恋花様、遅くなりました!」
恋花「ギリセーフだよ……」
高嶺「向こうも合流した……」
二水「……っ」
神琳(……恋花様、ちょっと)
恋花(ん?)
すると、恋花と神琳はビルの陰へと隠れてしまう。この状況での深追いはマズイと考え、高嶺もビルの反対側の陰に隠れる。
だが、両者でてきて、火蓋はまたしても切って落とされる。
恋花と高嶺がやり合い、神琳と二水がお互いを牽制し合う。
だが、スピード系のスキルとして最高峰レベルの高嶺の"ゼノンパラドキサ"相手にはキツそうだ。
恋花(っ!)
高嶺「分かってるわよ恋花! レアスキル使いたくても使えないんでしょ!! 私には当たらないから!!」
恋花「言ってくれるわね!」
防戦一方の恋花。すると、
高嶺「一気に勝負を着けさせて貰うわ! ――"ゼノン…!」
恋花(釣かった!!)
恋花「"フェイズトランセンデンス"!!」
それこそが、恋花の待っていた瞬間。高嶺が一気に決めようとする、スキル発動から発生までのタイムラグを待っていたのだ。
高嶺「無駄よ!」ギュン!
しかし、タイムラグがあるのは"フェイズトランセンデンス"とて同じ。当然躱される。
高嶺(勝負あった……)
高嶺「え?」
しかし、避けた先にもフェイズトランセンデンスのマギの本流が。高嶺に直撃する。
ドゴオオオオッ!!
高嶺「きゃあああっ!!」
恋花から次々と放たれるマギの本流は、確実に本来のポテンシャルを超えている。
みんなが呆気にとられていると、
光輝「なるほど。さっき建物の陰に隠れたとき、テスタメントを仕込んでおいたんだな」
楓「なるほど……」
光輝「こりゃあ、辺り一帯全部吹き飛ばすぞ」
次々と放たれるマギの本流。それは二水にも直撃し、仮想空間のビルの倒壊にリリィを巻き込む。
高嶺&二水「「きゃああああっ!!」」
神琳「っ!」
神琳(やりすぎましたかね?)
そして、土煙が晴れると、マギを使い切って肩で息をする恋花と、ボロボロになって倒れる高嶺と二水。
その瞬間、
『決着! WINNER:飯島恋花&郭 神琳ペア!』
の文字が表示され、仮想空間からログアウトし、現実に戻る4人だった。
― つづく ―
勝ったのは恋花と神琳ペアでした。
恋花様ならあのくらいの機転は確実に効くのでは?と思いました。