その仕込みです。
合宿2日目の早朝、朝早くに起きた千香瑠は―――、
千香瑠「光輝くん、起きてるかな……」
千香瑠はいつものエレンスゲの制服に着替えると、光輝の研究室へと向かった。
?(? 千香瑠……?)
― 光輝の研究室 ―
コン コン!
千香瑠「光輝くん? いる?」
扉を開けて中を見る千香瑠。光輝は留守のようだ。
千香瑠「よかった。ちゃんと休んでくれてて……」
梅「心配だったのカ?」
千香瑠「きゃああっ??!!」
突然背後から声をかけられビックリする千香瑠。そこには梅がいた。
梅「悪い悪い。驚かせたナ」
千香瑠「い、いえ……。勝手にうろついてたこっちも悪いと言えば悪いですし……スミマセン」
梅「気にすんナ。エレンスゲでも、千香瑠たちヘルヴォルはそんな奴らじゃないって梅たちは知ってるからナ。光輝なら、この時間はたぶん……」
千香瑠(?)
梅に連れられて千香瑠がやってきたのは百合ヶ丘の仮想訓練室。しかも、光輝が作った新しい方ではなく、百合ヶ丘に昔からある古い方だった。
千香瑠「こっち、古いほうですか?」
梅「ああ。こっちだと、受けた痛みや傷はそのまま残るっていうデメリットがある。けど、だからこそそれが逆に光輝にはメリットになるんだってサ?」
千香瑠「?」
梅は部屋に入室する際、外野のメンバーを視界から切る観戦機能をオンにして入室した。
そこでは、光輝がビルドに変身して仮想のヒュージと戦闘していた。
千香瑠「っ! 光輝くん!?」
梅「光輝、毎朝訓練してるんだ。前に梅が見つけてナ。知ってるのは百合ヶ丘でも梅1人ダ。なんていうか、前見たけど、今、光輝が訓練してる力は、その……ヤバいんだ」
戦闘領域で戦っている光輝だが、まだフルフルラビットタンクボトルを使えるハザードレベルに達していない。なので、使ったフルボトルのフォームによるハザードレベル経験値がちゃんと積み重ねることができるこの訓練室が必要なのだ。
光輝「…………」
光輝はビルドドライバーにハザードトリガーをセットする
《ハザードオン!》
そして、ラビットフルボトルとタンクフルボトルをそれぞれ振って成分を活性化。ビルドドライバーに突き刺す。
《ラビット/タンク!スーパーベストマッチ!》
そして光輝がドライバーのボルテックレバーを回す。すると、ハザードライドビルダーが展開され、明らかに危険な感じの圧縮機が光輝を包み込む。
《ドンテンカーン! ドーンテンカン! ドンテンカーン! ドーンテンカン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン! ガタガタゴットン! ズッタンズタン!》
《Are you ready!?》
光輝「変身!!」
《アンコントロールスイッチ! ブラックハザード! ヤベーイ!》
千香瑠「黒い、ビルド………?」
いや、何か違う。千香瑠には何か胸騒ぎがした。
表示される実体を持った仮想ヒュージ、スモール級、ミドル級、全てをパンチで一撃で粉砕する圧倒的パワー。
そのウェーブを終えたのか、今度はラージ級が現れる。しかし、ラージ級ですら巨躯の足を掴み剛腕でフルスイングで地面に叩きつけ、普段の光輝からは考えられないほどの暴力的な打撃の嵐。
千香瑠「っ!! 違う…あんなの光輝くんじゃない! いったい何が…!」
梅「"また"だな……」
千香瑠「また?」
梅「あのベルトに挿した赤いやつ、"ハザードトリガー"っていうらしいんだけどナ? 絶大な力を得られるかわりに、暴走するんだヨ。それこそ、"ルナティックトランサー"なんか比較にならないほどの暴走ヲ……。光輝はその暴走を何とかするためにこうして毎朝1人で訓練してるんダ……」
千香瑠「そんな………」
すると光輝はハザードトリガーのスイッチを押す。
《マックスハザード!》
すると、ボロボロのヒュージの胴体を掴み、レバーを回してヒュージからエネルギーを逆流させて吸い取り自らのエネルギーへと変換してチャージ。
《Ready Go!》
引きずると、前方に投げ捨て、
《オーバーフロー! ハザードフィニッシュ! ヤベーイ!!》
冷酷に処刑するようにシンプルな前蹴りを放ち、爆散させる。
完全に瀕死の敵に対するオーバーキルな追い打ちだ。
すると、訓練室が危険域と判断したのか光輝に向かって無数のレーザー光線を打ち出して直撃させる。
バチバチと火花が上がり、ビルドを怯ませる。そこにギガント級仮想ヒュージが現れ、一撃がビルドに直撃して変身解除する。
光輝「くっ、はぁはぁ……ダメだ………。やっぱり、何度やっても意識がのまれる……」
なんとか立ち上がる光輝。
光輝「でも、俺のハザードレベルは経験値が溜まって確実に階段を登っているハズだ」
光輝は、システムを終了する。
―――すると、
光輝「? っ! 千香瑠!?」
千香瑠は目に涙を浮かべて光輝に歩み寄ると、
パアンっ!!
乾いた音が、訓練室に響く。
光輝「っ!」
千香瑠が、光輝を引っ叩いた。
千香瑠「何で自分を大切にしてくれないの!? 光輝くんだって、大切なものを守りたいことなんか分かったよ! けど……っ、あんなの光輝くんじゃないよ!!」
光輝「千香瑠……」
千香瑠「梅さんから聞いた。暴走するんでしょ? それ……」
千香瑠は、ハザードトリガーを指す。
光輝「ああ、けど、暴走せずに制御できる方法もあるんだ。けど、それを使うにはまだ俺の身体の経験値が……」
千香瑠「だからそれを続けるの………? 光輝くんは、変身しなければ生身なんだよ? リリィみたいな、マギで強化された超人の肉体って訳じゃないの!!」
光輝「千香瑠………」
千香瑠「……約束して。今度からやるときは、必ず誰か監視をつけてやって。1人でやって、もしものことがあったらと思うと……」
千香瑠が、両手で顔を覆い、ボロボロと涙を流す。
光輝(本当に、心配かけてたんだな)
光輝「ごめん。分かった」
すると、
梅「終わったカ〜?」
光輝「梅さん……」
梅「何度見てもあの黒いビルド怖いんだよナ……。梨璃や二水が見たら恐怖で泡吹くゾ?」
光輝「スミマセン……」
梅「仕方ないから今度から梅が見ててやル。やる時間とか曜日教えてくれればナ」
光輝「………お願いします」
千香瑠「私も合宿中は見てるから」
光輝「はい」
千香瑠「それと……!」
千香瑠はニコリと黒い笑顔をし、
千香瑠「みんなにも報告させていただきます」
光輝「は、はい………」
― つづく ―
案の定千香瑠に激怒されましたww