あのあと、「エレンスゲ組と仲良くなろう会」が開かれ、散々質問攻めにされた優珂たちクエレブレと、七保たちバシャンドレ。
それも落ち着いた頃、賑やかな料理の並ぶテーブルから少し離れ、窓際で静かにジュースの缶を傾ける鶴紗。
そこへ、同じくリリィの輪から抜け出したクエレブレの結爾や美岳、そして一葉たちがふらりとやってきた。
あのアルトラ級ヒュージ、《ジャガーノート・グランデ》とのガーデン、レギオンの垣根を越えた死闘の末、お互いに戦士としての敬意を抱いた彼女たちの静かな会話。
結爾「……安藤鶴紗。さっきは、悪かったわね。……あの時の戦い、貴女がゲヘナに囚われてるのを彼女たちが助けに来たって聞いて、あの時納得したわ。……私たちは、あの施設を潰しに来てたの」
鶴紗「……いや、気にしてない。……それより、G.E.H.E.N.A.の拠点が、世界中で一晩にして全部燃え尽きたってマジなのか?」
美岳「ああ、本当だ。私たちの明日の任務も、来週の襲撃予定も、全部灰になった。あの男が、キーボードを叩いてただけの間に……な。……本当に、あっけないくらい綺麗に、一つ残さず消えた」
一葉「ガーデンの『上』は、G.E.H.E.N.A.との癒着で大混乱しています。……ですが、私たちはただ、胸がすくような思いでした。あそこはマディックもリリィも人間扱いしない、闇そのものでしたから」
鶴紗「……そうか」
鶴紗は缶ジュースを見つめ、それから小さく、本当に小さく、声音を震わせながら微笑む。
鶴紗「……光輝様がG.E.H.E.N.A.を全部燃やした時、アタシ……ちょっと嬉しくて、泣きそうになった……」
一同『!』
鶴紗「アタシたちの過去も、あそこで死んでいった奴らの無念も……光輝様が、力尽くで全部終わらせてくれたんだって思ったらさ……。なんか、やっと本当に救われた気がしたんだ」
その言葉に、結爾は目を見開き、それから静かに視線を落として、自分の両手を握りしめる。
結爾「……ええ。私も、同じね。気に入らないけど、終わらないと思ってた泥沼を、あの男が全部終わらせてくれた。……正直救われたわ」
優珂「……当然よ。あいつは私の大切な
赤くなって口を噤む優珂。
七保「ふふ、そうね。規律や方針に縛られてきたけれど、個人としてはあんな非人道的な組織、大嫌いだったもん。学校が燃えたのは大変だけど、私たちの心は、今エレンスゲにいた頃よりずっと晴れやかよ」
G.E.H.E.N.A.の人体実験により身体を蝕まれた者同士、G.E.H.E.N.A.に下った鉄槌に、心からの「ざまぁ」を感じる彼女たち。
美岳「でも、G.E.H.E.N.A.が壊滅したということは、世間ではヒュージへの対抗策が失われたという意識が産まれるはずだ」
美岳の懸念は最もだ。G.E.H.E.N.A.のやってきたことは最低最悪だが、それにより人類の存続に貢献していたことも、また事実。
優珂「心配いらないわよ。あんな奴らいなくても、私たちには今度はアイツが作った装備があるんだから。他のリリィたちも感じるはずよ。G.E.H.E.N.A.とアイツ、どちらの装備がより安全で、強力か、って…」
一葉「ですね」
今回ばかりは、一葉ともまともに会話した優珂。すると、
優珂「さてと、アイツが説教から解放されてることだし、少し話してくるわ。仲間を助けてもらった礼くらい言わないとね」
美岳「そうだな」
そして、優珂は行ってしまった。
鶴紗「………なあ、一葉」
一葉「なんですか?」
鶴紗「なんか、松村優珂の、聞いてた噂と性格が違うような気がして……」
一葉「ああ……、よほど恩を感じてるみたいですからね」
一葉たちが優珂を見ると、あの優珂が頭を下げて、光輝に対してツンとしながらも、「助かったわ。ありがとう」と、礼を言っていた。
鶴紗「光輝様も光輝様で、恩着せがましくないからなぁ……」
一葉「ですよねぇ……」
見ると、千香瑠が光輝の腕を抱き、黒い笑顔で優珂を威嚇していた。
一葉「全く、あんな男性見たことありませんよ……」
結爾「同感ね」
美岳「さて、私はもう少しお腹を満たしてくるとしよう。緋紅が食い過ぎてるようだし、注意もしてこよう」
そして、美岳も行ってしまう。
すると、
藍「かずは〜! たづさ〜!」
鶴紗「藍、どうした?」
藍「たい焼きあった! 一緒に食べよう!」
鶴紗「……ああ。食べようか」
一葉「そうですね」
結爾「ら、藍! 私は……」
藍「ん? ……食べる?」
首をぶんぶんと縦に振る結爾。
藍「じゃあ、一緒に食べよ〜」
みんなで共に食事をし、交流会は続いた。
― つづく ―
結爾の口調が定まらない……