しばらくして、千香瑠から光輝が目覚めたと連絡を受けた一葉たちが、光輝のいる廃墟へと飛んできた。
バンッ!!
恋花「千香瑠! あの男の子目を覚ましたって」
藍「ちかる〜」
千香瑠「うん。もう大丈夫みたい……」
安堵から笑う千香瑠。すると―――
一葉「……目が覚めましたか、桐生さん」
静かに、しかし深く頭を下げる一葉。
一葉「まずは、ヘルヴォルの隊長として……そして一人のリリィとして、心からの感謝を。あなたが来てくれなければ、藍は死に、私たちもあの場で全滅していました。それにあなたが守ったのは私たちの命だけでなく、この街も守ってくれました……」
深く頭を下げた一葉。その後、顔を上げて真っ直ぐに光輝の目を見る。その表情には少しだけ悔しさと真剣さが混ざっていた。
仲間を守ってもらった立場として、まずはしっかりと一礼し、ヘルヴォル全体を代表して感謝を伝えた一葉。そして、
一葉「ですが……同時に、隊長として言わせてください。二度と、あのような命を投げ出すような真似はしないでください。……本来、人々を守るべきは私たちリリィです。それなのに、あなたにそこまでの大怪我を負わせてしまった……。自分たちの不甲斐なさが、悔しくてたまりません」
リリィである自分たちが一般人(?)である光輝に命を救われ、大怪我をさせてしまったことに対する葛藤や悔しさを真面目な彼女らしく口にしする。
だが、ふっと表情を和らげ、少しだけ素の表情を見せ……
一葉「……でも、生きていてくれて本当によかった。……ありがとうございます、桐生さん」
藍「ありがとう」
光輝「無事でよかったよ……」
こちらに駆け寄って心配してくる藍の頭を撫でる光輝。藍はくすぐったそうに、だが気持ちよさそうに身をよじる。
すると―――、
一葉「ですが、いつまでもここが安全とは決して言えません。早い内に、東京からでたほうが良いです」
いつまでも隠し通せないことを伝る一葉。
一葉「桐生さんが眠っている間にヘルヴォルという"レギオンとして"親交のある百合ヶ丘に連絡を入れました。あそこなら、反G.E.H.E.N.A.としてかなり大きなガーデンです。もう少ししたら迎えが来るはずなので、彼女たちと共に百合ヶ丘へと向かってください」
光輝「百合ヶ丘……でも」
光輝が千香瑠を見ると、
千香瑠「私ならもう大丈夫。私だって、光輝くんを置いて死なないって、約束するから」
光輝「……分かった。必ずまた会おう。約束な」
千香瑠「うん。約束だよ!」
二人してグータッチする千香瑠と光輝。
すると、
コン コン!
?「百合ヶ丘の者です」
一葉「こちらです」
一葉が、扉を空ける。すると、金髪の娘と薄紫色の髪の子が立っていた。
?「百合ヶ丘、アールヴヘイム2年。天野天葉です」
?「同じく、番匠谷依奈です。彼が?」
一葉「はい。例の仮面ライダー……えっと」
光輝「ビルド。仮面ライダービルド。桐生光輝」
天葉「光輝くんね。急いだほうが良いから早速行こうか?」
光輝「はい……痛つ」
千香瑠「光輝くん!」
千香瑠が急いで光輝を支える。
依奈「千香瑠の幼馴染って聞いてたけど、千香瑠にとってだいじな子っていうのがこの短い間でも伝わるわね」
千香瑠「はい………」
そして建物から出て、外の車に乗り込む光輝。
千香瑠「必ず、また会おうね!」
光輝「ああ……!」
天葉「出してください」
そして、走り出した車は百合ヶ丘に向かって行った去っていった。
一葉「ふ〜〜っ!!」
一葉は全身の力が抜けたように深く息を吐き出す。
ゲヘナに感づかれるリスクを乗り切り、光輝を安全な場所へ送り届けられたことで、レギオン全員が胸をなで下ろす。
千香瑠「………」
光輝が百合ヶ丘で保護されることになり、そばから離れた寂しさを覚えつつも、「これで彼にに無茶をさせずに済む」「自分たちも強くなって、いつか胸を張れるようにならなければ」と、より一層リリィとしての訓練に身を入れる原動力になるヘルヴォル。
一葉「さて、いつまでもここに居ても怪しまれるので、パトロール再開しますか」
恋花「さんせ〜」
瑤「そうね」
千香瑠「うん」
藍「こーき、優しかった」
一葉「そうですね。藍」
表向きはいつも通りのエレンスゲの厳しい訓練やパトロールに戻るヘルヴォル。
しかし、メンバーの心の中には「いつかまた笑い合える日」という共通の秘密と小さな希望がしっかりと芽生えていた。
一葉の機転と、千香瑠たちの光輝を想う強い絆によって、最大の危機を切り抜けたヘルヴォル。
少し切なくも、温かい連帯感がチームの雰囲気を満たしていた。
― つづく ―
百合ヶ丘へと向かった光輝。
百合ヶ丘の判断は……