あ、ライトセーバーね~。ふ~ん…   作:遺物

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EP・10

パリッ…

 

口の中で一度噛んだらボロボロと崩れる食感

 

舌に広がる塩気

 

『向こうじゃあんまり好きじゃなかったけど、久々に食うとうまいもんだな』

 

『そんなこと言うんだったら全部私がもらうわ』

 

『それは違うじゃん』

 

俺達はひたすら、ルーデウスが作ってくれたポテトチップスを貪り食っていた

 

結論から言って、フィッツいちゃいちゃ大作戦は成功した

 

俺は関与していないが、あのあとしっかりやることやって、正式に結婚することになったらしい

 

そうして俺たちは、彼の家のパーティーに呼ばれ、こうして飯を食っているわけだ

 

「楽しんでますか?七星、スモーク」

 

ルーデウスがとてもニヤニヤしている

 

確実に浮かれているな

 

俺からしてみれば、フィッツを幸せにしてくれるなら何でもいいのだ

 

「あぁ…招待…ありがとう…」

 

「えぇ、これもくれたしね~」

 

七星はポテトチップスを離さない

 

「それで…その、スモーク」

 

「ん…なんだ…?」

 

「僕が知らないフィッツのことを教えてくれませんか?」

 

確かに、付き合いの長さだけで言えば、たぶん俺の方が長いだろうしな

 

「ま…気張ってないアイツは…とてもカワイイ…」

 

「ほ~う…具体的に言うと?」

 

「寝る直前のアイツは…なんか…ぽわぽわ…していて…その…なんだ…」

 

「守ってあげたくなると?」

 

「あぁ…そう…そうだ…そんな感じだ…」

 

「分かりますよその気持ち!」

 

俺とルーデウスは固い握手を交わす

 

「男ってなんでこうなの…?」

 

 

 

結婚式から何日か経った

 

俺は普段通り学校で生活していた

 

だが、ルーデウスと七星に呼び出された

 

これもいつものことだ

 

『お願いしますスモーク!あなたの力を貸してください!』

 

『分かった、オッケー。もちろん良いよ』

 

そう言うと、二人はとても驚いた顔をした

 

どうしたんだろうか

 

『なんでそんなに驚いた顔してんの?』

 

『いや、まだ内容も話していないのに、受けて下さるんですか?』

 

『あぁ…お前にフィッツを残して、逝かれちゃあかなわんからね。何かあったら俺が困る』

 

「あ、ありがとうございま…」

 

『でも良いのか?最近分かったんだろう?妊娠の件』

 

そのことを言うと、ルーデウスはバツが悪い顔をした

 

『すいません…フィッツのため、確かにそうですね…でも、どうしても行かなきゃいけないんです。内容は追って説明します』

 

『ハァ…分かったよ。皆に報告したら、すぐに合流するから。ちゃんとした理由じゃなきゃ俺はフィッツの所に戻って、赤ん坊が最初に見る顔が、俺になっちまうぜ?』

 

 

 

合流場所には、ルーデウスとエリナリーゼが居た

 

目的地に行く道中、彼から今回の作戦の話を聞いた

 

ルーデウスの母親、ゼニス・グレイラットが迷宮に取り残されてしまった

 

今回は彼女の救出に向かうとのことだ

 

エリナリーゼはゼニスとは昔、パーティーメンバーだったらしい

 

…じゃあ彼女は今何歳なんだ?

 

いや、女性に年齢を聞くのは野暮だと、アリエル様が言っていた

 

「着きました。この遺跡です」

 

ここか

 

俺達が来た遺跡には、禁忌とされた転移魔法陣が隠されている

 

ここを経由することで、ベガリット大陸へ超短時間で行けるということなのだ

 

ちなみに、ここを教えてくれたのは七星だ

 

ありがたいことだ

 

「では、私が先に行ってきますわ」

 

エリナリーゼが安全性を確かめるために魔法陣で先行した

 

そうして、俺とルーデウスの二人きりになってしまった

 

『なぁ…お前にはゼニスと、日本にも母親がいるんだろ?』

 

『え、えぇ…スモークは…』

 

それを聞いて、俺はなぜか寂しくなる

 

『何度も言ってるだろ?二人きりの時は煙田でいいよ』

 

『いや、そうは言っても…だって、七星もスモークと呼んでいるので…』

 

『あぁ~…アイツからはあだ名とか、からかいの意味も含めてスモークって呼ばれてんの』

 

俺は水を飲み、息を整える

 

同じ日本人だからか、彼とは話が途切れない

 

七星と話している時と同じような、不思議な気楽さがある

 

俺がこの世界に来てから、こうして気兼ねなく話せる相手は多くない

 

この雰囲気は悪くない

 

『一回本名で呼んでみてくれって頼んだら、「なんかキモイ」って言われちゃってさ』

 

『ハハッ…アイツが言いそうなことだ』

 

そう言って二人で笑いあう

 

そんなことをしていると、エリナリーゼが帰ってきた

 

「あら?男同士でお話ですの?」

 

笑いを抑え、俺は平静を装う

 

「ん゛んん!…いや…何も…」

 

「フフッ…えぇ!男同士の秘密ですよ!」

 

エリナリーゼが、あらあらと言わんばかりに首を振る

 

「それで、エリナリーゼさん。魔法陣は…?」

 

「しっかりとベガリット大陸に繋がっていましたわ」

 

「分かりました…」

 

ルーデウスはカバンを担ぎ、杖を持つ

 

俺も立ち上がる

 

マントのホコリを払い、ライトセーバーの動作をチェックする

 

「エリナリーゼさん、スモーク!行きましょう!」

 

「えぇ!」

 

首を鳴らし、深呼吸をする

 

「フゥー…おう!」

 

 

 

その場所はこの世界のどこかに確実にある

 

でも

 

ルーデウスも

 

七星も

 

スモークも

 

誰も

 

そこを知らない

 

そんな場所に、一人の男が座っていた

 

その男は壁を見つめていた

 

いつから見つめているのか

 

いつまで見つめているのか

 

それも彼にしか分からない

 

その壁にはたくさんの文字が書かれた紙がかけられていた

 

男は、その紙を一枚ずつ眺めていた

 

そのうちの一枚には、こう書かれていた

 

【甲龍歴423年・ベガリット大陸・ゼニスの救出】

 

男は、それをしばらく見つめていた

 

全身を覆い隠せる黒いマント

 

傷が目立つライトセーバー

 

彼はひたすら、赤い仮面を被ったまま、壁を見つめ続けていた

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