「ウワアァ!」
まず最初に俺が思ったこと、それは
どこだここは…
誰かいないのか…
見ると、先ほどの女が俺の方を見ながら部屋の隅で縮こまっている
「ー、ーーーーーーーーーーー…(め、目を醒ましたようですね…)」
「あぁ…俺は大丈夫…大丈夫なはず…だ」
こいつの言語は理解できない
「ハロー?キャンユースピークイングリッシュ?」
反応なし
やっぱり駄目か
絵とか描いて伝えられないかな
だから、ジェスチャーで書くものはないか、と伝えようと試みた
すると、何か理解したかのような顔をした少女は、部屋を出ていった
しばらくすると、紙とペンらしきものを持ってきてくれた
そこに、ダメもとで日本語、英語、ハングルを書いてみる
が、キョトンとした顔をしている
「やっぱそうだよな…英語駄目なんだから」
俺はベッドから立ち上がり、本棚に近づく
一冊の本を手に取る
勝手に触って怒られていないか、彼女の顔を確認する
相変わらず笑顔だ
大丈夫そうなので、本を開いて読んでみる
「ハ~…まぁ、予想通りっちゃ予想通りだけどさ」
読めないし、分からない
こんな文字は存在しない
すると、少女は俺にみょうちくりんな箱を差し出した
箱が開けられなくても中の物が分かる
感じるんだ
箱の中にあるのは、見覚えのある機械
いや…これは剣だ
そこで俺は、自分の服が机にたたまれていることに気付いた
なら”これ”も俺が元々持っていたものだろう
「…そりゃあるよな」
俺はその剣に触れることなく、かざすだけで手元に引き寄せた
しっしっと手を振り、少女を離れさせる
本を棚に戻し、構えを取る
そういえば、どうして俺は落下の瞬間に、あの言葉を喋ったのだろう
あの時、どうして
でも、分かる気がする
俺がするべきこと
してきたこと
しなくてはいけないこと
「フォースと共にあらんことを」
剣の突起を押し込む
切っ先から緑色の光が棒状に、天に向かって伸びていく
ジェダイの象徴
ライトセーバー
「あぁ緑か…」
俺はホッと溜め息を吐いた
自分がひとまず、見た目だけでも暗黒面ではないことにかなり安心した
「良かった~…そうか、まぁそうか。少なくとも確定暗黒面では絶対にないもんな。うん」
その後、俺は少女に連れられ、なんかデカい部屋に来た
そこには、男と空に居た女がいた
彼らは相変わらずぺらぺらと分からない言葉を話す
もちろん、俺は何を言っているのか分からない
(あなたたちはどこから来たんですか?)
(僕はフィットア領から来たんです…彼はどうなのか分かりませんけど…)
(そう…ですか)
「うんうん」
(あなた、名前は?)
(シルフィエットです)
(…あの?)
(…おい貴様、アリエル様が名を聞いているだろう)
話が途切れた時に適当に頷いて分かったふりをする
「あ~はは、な~に言ってんだろ」
ちょっとはこっちに合わせる気があってもいいんじゃないかと思う
(おい貴様!無礼だぞ!)
ぼ~っとしていると、男の方が怒鳴ってきた
だから分かんねぇんだって
空の女がオロオロしている
俺はだんだんイラついてきた
もういい
言葉でダメなら行動だ
俺は思い切り地面を殴りつけ、片膝をつく
たぶん、服従とか敬意とか、そういう意味になるだろう
これでなんとか伝わってくれよ…
この部屋や態度、男の様子を見ていれば分かる
どうせこの少女はお偉いさんなんだろう
なら
こうしときゃいいだろうが
――そうしたら、少女が笑った
俺も笑った
ちゃんと空気を読んだのだ
「…ーーーーー(…私の名前は)」
「アリエル・アネモイ・アスラ」
「ルーク・ノトス・グレイラット」
一瞬聞き取れたが、名前かな
自分たちのことを指さしながら言ってるし、そうなのかな
「アリエル…ルーク…」
そう言うと、彼らの顔が少し緩んだ
気付いたら空の女も、横で俺の真似をしている
「シルフィ!シルフィ!」
彼女も名前を呼んで欲しいのか
彼女を指さし、俺は名前を呼ぶ
「…シルフィ」
呼ぶと、彼女も笑顔になった
すると、3人が俺の方を見る
そうか、俺も名乗った方がいいのか
煙田・廉
でもな~
あんまり個人情報を渡すのもな~
そこら辺は気を付けておきたいんだよな~
何か丁度いい名前ねぇかな…
オビ=ワン・ケノービ
ルーク・スカイウォーカー
ダース・ベイダー
ヨーダ
彼らの名前を使うのは流石に気が引ける
カイロ=レン
スノーク
やっぱカッコいいのは暗黒面だよな~
俺は自身を指さし、口を開く
「スモーク…スモーク・レン」
決まった
そこは厨二病のオタクと言ったところだ
スモークは煙田から
決して最高指導者のスノークではない
レンは廉
ふん
我ながら完璧だ
その後、空の女…シルフィと二人で、なんか分からないけど大げさな服を着せられた
アリエルとシルフィが話している
俺に関係あることなのかな
すると、突然シルフィがお辞儀した
俺もそうした
俺は空気が読めるのだ
この時、俺は知らなかった
この時点で、既に俺は彼女…アリエル王女の護衛になっていた
そして、俺がこの世界で何をさせられるのか
何に巻き込まれていくのかも――