あ、ライトセーバーね~。ふ~ん…   作:遺物

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EP・C2

「ん?ペルギウス様、なにかが…」

 

「なんだ?」

 

喋ったのは、轟雷のクリアナイト

 

彼の耳には、なにか妙な音が入っていた

 

あるべきではない音

 

しかし、あっても不思議ではない音

 

「…なに?奴がここに…?まぁいい。アルマンフィを向かわせろ。奴をここに呼んでくるのだ。なぜここにいるのか、話をしなくては…」

 

ペルギウスの命を受け、アルマンフィは一秒もかからず彼を見つけ出した

 

城内の空き部屋

 

そこから、彼の気配がする

 

「お前がなぜここにいる。お前はルーデウスとともにいるはずだろう。まぁ、それは後で聞こう…とにかく、ペルギウス様がお呼びだ。こちらに来…」

 

そこまで言い、アルマンフィは溢れ出る殺意を感じた

 

彼は黒いマントに身を包み、フードから赤い仮面が覗いている

 

ダガーを抜き、体中に魔力を走らせる

 

「…光輝のアルマンフィ…参る」

 

アルマンフィは、少々速度を落とし、彼に向かって突撃する

 

部屋の向かいの壁に叩きつける

 

殺しはしない

 

動けなくした後、ペルギウス様の所へ連れて行く

 

部屋の中へと入り、倒れて動かない彼に近づく

 

「…ハハハ…ゴホッ…お前…加減とか知らない…ガハ!…のか…?」

 

目にも止まらぬ速さで、彼の腹を蹴りつける

 

彼は血を吐きながら、また地に伏せる

 

「ガアァ…アハハ…クソ!」

 

「私に勝てると思うのか?光の速さで動けるこの私に?」

 

「ヘハハ…アハハハハ…!」

 

「何がオカシイ?」

 

「…これだよ…」

 

彼は光る指輪を掲げる

 

魔力付与品(マジックアイテム)か

 

突如、部屋の天井が紫の光を発した

 

天井には魔法陣が描かれていた

 

「一撃で屠るべきだった…な!」

 

焦らなくていい

 

指輪を外してしまえばこちらのものだ

 

腕に魔力をこめ…

 

「…なんだと…?」

 

「使えないだろう?魔力…」

 

「ペルギウス様…!」

 

アルマンフィが部屋の出口へと走り出すが、見えない壁に阻まれ、出ることが出来ない。

 

「…な…!」

 

「悪いね。ここは内外問わず、魔力を遮断する精霊であるお前は、ここから出ることも出来ないだろ?」

 

彼は回復薬を飲みながら、部屋の外へ出る

 

「俺には魔力が無いからな。全然出れるんだ。お前らって、殺しても復活するんだろう?この部屋は、お前を対策するだけの為のものだ。欲を言えばお前、スケアコート、ガロの三…いや、パルテムトも入れて四体以上はここに捕らえたかったんだけど…最優先事項はお前だったからな、まぁ~及第点だろ」

 

「待て!貴様…彼ではないな。何者だ」

 

彼はフードを外し、赤い仮面をあらわにする

 

「赤鬼のセンチュリーって言うんだけど…あんまり言いふらさないでね。ちょっと後悔してんだよね。皆に名乗ってるの。自分ではカッコいいと思ってたんだけどさ。普通にめっちゃバレるんだよ…やっぱり、エリスは殺しとくべきだったな。アイツがギルドに俺のことを報告したのか知らないが、赤鬼なんて呼ばれ方を…ブツブツ…」

 

(…申し訳ありません…ペルギウス様…)

 

 

 

「アルマンフィからの信号が途絶えた…すみません。行かなくては」

 

「ユルズさん…?何かあったんですか?」

 

「敵襲です。ご安心をナナホシ殿。すぐに戻ります」

 

部屋を出て、長い廊下を歩いて行く

 

回廊には、狂気のフュリアスファイル、暗黒のパルテムト、轟雷のクリアナイト、そして、先ほど合流した贖罪のユルズが歩いていた

 

前方にいるのはセンチュリー

 

アルマンフィからの魔力反応が途絶えたことで、ペルギウスからの命令を受け、派遣されたのだ。

 

「やぁ、調子どう?」

 

「奴がそうか」

 

「あぁ、足音が一致している」

 

「では…奴の駆除を開始する」

 

クリアナイトが息を大きく吸い込み、他の使い魔が耳を手でふさぐ

 

彼らの姿が見えると、センチュリーは手を振り、話しかけようとする

 

「…お?確か君は…?」

 

「キイイィィィイイ―――――!」

 

クリアナイトの口から音波が発され、センチュリーは耳から血を流してうずくまる

 

「ア゛ァ゛クソ!そう言えばお前の力ってそうだったな!」

 

「今だ!」

 

フュリアスファイルとパルテムトが剣を向ける

 

だが、寸前で止められる

 

切っ先は震えているが、彼に届くことは無かった

 

「ハァ…ハァ…疲れるようなことさせないでくれよ…」

 

「貴様の力…魔力を感じない。やはりお前は…」

 

「あ、なんか知ってくれてる感じ?ありがと………ね!」

 

彼が手を振った瞬間、二人は天井、床、天井、床と、何度もすさまじい力で叩きつけられる

 

廊下にひびが入り、ボロボロになった二人が投げ飛ばされる

 

「クッ…まずいな…」

 

「あぁ…それもかなりな…」

 

「確かお前らって、ペルギウスの魔力を使って動いてんだろ?だからいくらでも復活できる」

 

ペラペラと喋っている間に、ユルズが二人に体力を分け与える

 

「だから殺さない。面倒くさいことにはなりたくないからね。お前たちを殺すってよりは…再起不能って言い方が正しいかな?」

 

右手に光るのは赤いライトセーバー

 

使い魔たちは、廊下の壁面や床を走り出し、センチュリーを囲む

 

彼は四人の剣をジャンプで華麗に避け、ライトセーバーを振る

 

着地した瞬間、ユルズとフュリアスファイルが、血を流しながら地面に倒れる

 

パルテムトとクリアナイトが同時に剣を突き出す

 

センチュリーはライトセーバーを回転させ、剣の先を切り落とす

 

二人は後ろ向きにジャンプし、距離を取ろうとするが、動きを止められてしまう

 

クリアナイトの身体に投げられたライトセーバーが突き刺さる

 

「やべ!まじで死ぬなよお前」

 

「ご心配どうも」

 

折られた剣を振るが、センチュリーはギリギリで避ける

 

「お、やるね~。でも…そっちの君はダメそうだね」

 

ユルズが倒れこむ

 

彼の身体には先ほどまでなかった傷が増えている

 

代わりに、パルテムトの身体からは、傷が消えている

 

「立ってるのはお前だけだが…どうすんだよ」

 

「恩に着るユルズ……暗黒のパルテムト…参る」

 

「お、カッコいいね~。そういうの憧れるよ…ん゛ん゛、あーあー…赤鬼のセンチュリー…参る」

 

お互いに剣を構え、向かい合う

 

そして、常人では視認出来ない速度で、お互いの立っている位置が入れ替わっていた

 

背中合わせで立ち尽くし、しばらく動かない

 

先に動いたのはパルテムトだった

 

彼の胴には、赤く深い切り傷が残っていた

 

地面に片膝をつき、息が荒くなっている

 

「…動けそう?」

 

「…グ…黙れ…」

 

「オッケー。動けない感じね。じゃあもういいわ。ばいばい」

 

「…待…て……」

 

手を伸ばすが、センチュリーの背には届かない

 

彼はそんなパルテムトを無視し、城塞の奥まで進んでいく

 

 

 

「ここだっけな…もう何年も前だから覚えてねぇや」

 

ドアの開いた隙間に、炎が吹き込まれる

 

「お、合ってたっぽい」

 

「無傷…か…」

 

炎を払いのけ、センチュリーは玉座の正面まで進んでいく

 

精霊は動くことが出来ない

 

手をかざされるまでもなく、彼が目線をやるだけで、彼らはその場から一歩も動くことが出来ない

 

ペルギウスだけが、上段から彼を悠々と見下ろす

 

「久しぶり。ペルギウス。といっても、今は初めましてか」

 

「我もお前には聞きたいことがある。なぜ…お前が?」

 

彼は笑うばかりで、ペルギウスの問いに答えようとしない

 

手を振り回し、小踊りをしながら話し出す

 

「まぁいいじゃん、そんなこと。今から始まることにとっては…」

 

手を扉の方へ向けたまま彼は動きを止める

 

ペルギウスも、右手の人差し指をピクリと動かす

 

「さ!」

 

扉を破壊しながら、巨岩がペルギウスへと向かう

 

「土槍(アースランサー)」

 

地面から出てきた巨大な槍が、岩を粉々に砕く

 

「少し、埃っぽくなったな」

 

「お似合いだ…ぜ!」

 

広間を支える柱がへし折れ、ペルギウスの頭上を舞う

 

「さて、これはどうする?」

 

「土盾(アースシールド)!」

 

柱と土盾がぶつかり合い、壊れる

 

視界が晴れた時、センチュリーは先刻までの場所にいなかった

 

「……上か!」

 

「エサクタ!」

 

センチュリーは天井を蹴りつけ、ペルギウスの首元を狙う

 

「甘いぞ。爆音衝撃波(ソニックブーム)!」

 

センチュリーの身体が弾き飛ばされ、地面を転がる

 

彼はライトセーバーを収め、手を直接ペルギウスにかざす

 

ペルギウスは喉元を抑え、苦悶の表情を浮かべる

 

「…カッ…ハッ……」

 

「苦しそうだな?喋れないか?詠唱こそ、魔術師の本分だろう?」

 

センチュリーが天井に向かって手をかざすと、亀裂が走る

 

それはどんどん広がっていき、やがて…

 

「ハアッ!」

 

天井が崩落した

 

ペルギウスと精霊が、がれきに埋もれる

 

しばらくして、崩落が収まり、天井が吹き抜けになる

 

「ふぅ…フォースばっかで…結構体力削られ……」

 

しゃがみ込んで休もうとすると、岩の中から斬撃が飛んできた

 

「ウオォ!あっぶね!お前、無詠唱出来んの?」

 

地面を覆うがれきが吹きとび、ペルギウスが中からはい出てくる

 

「ふん…無詠唱が奴の専売特許だと…思うなよ!」

 

空間に様々な色の炎が浮かび、センチュリーへと飛んでいく

 

だが、ライトセーバーが、全ての炎を切り裂く

 

「はは、そんだけ?」

 

センチュリーが煽った瞬間、地面に大きな穴が開き、城塞の地下へと落ちていく

 

「ウオォォォ!?」

 

「あぁ、これだけだ」

 

ペルギウスは穴の真上に雲を作り、中に向かって雷撃を放つ

 

雷撃は止まることなく、一分間降り続けた

 

だが、何か違和感を感じた

 

雷撃を止め、穴の中に集中する

 

「…風を斬る音?…ハッ、まずい!」

 

身を翻し、穴から離れる

 

穴の中から、大量の武器が放たれた

 

剣や、斧や、盾

 

どれも見たことのある物ばかりだ

 

保管庫から盗み出したのか

 

穴の中で、センチュリーは一人武器を投げ続けていた

 

だが、もっと決定打が欲しかった

 

彼は両手に力を込め、下半身に重心を置く

 

「ダースベイダーは、離陸する宇宙船をフォースで引き戻した。さて…俺はどこまでできるかな?」

 

ケイオスブレイカーに亀裂が走る

 

だが、前回の比ではない

 

城塞の上階全体が崩れ、ペルギウスも足を取られた

 

崩壊の衝撃で、ペルギウスはセンチュリーが落ちた穴に落下した

 

ペルギウスが着地したのち、顔をあげると、彼が居た

 

「ハハハハ…ゲホッ…ゴホ…やっぱお前は、そういう泥臭いのがお似合いだ」

 

血を吐きながらも、センチュリーは笑い続け、喋るのをやめない

 

「…抜かせ…死ぬのは…貴様だ!」

 

センチュリーのライトセーバーが、一層強い輝きを放つ

 

天に向かって剣をかざし、舞のような動きをし、構えを取る

 

「じゃあなペルギウス…これで終わりだ…」

 

空中に二つの門が開く

 

ペルギウスの詠唱が続いている

 

「それはこちらのセリフだ…開け『後龍門』、招け『前龍門』!」

 

二人の技がぶつかろうとした、その時だった

 

「お待ちくださいペルギウス殿!」

 

「…魔力通信…カロワンテか?なんだ。今から奴を…」

 

カロワンテの声は異常に慌てていた

 

「崩落の際、奴を見たのです!奴の内に隠していることを!そして、奴の正体が分かりました!」

 

「なに?なんだ…」

 

「彼奴の正体は――――」

 

ペルギウスの耳に入った言葉は、とても信じがたいものだった

 

「なん…だと?」

 

ペルギウスは龍門を閉じ、岩を削って作り出した椅子に座り込んだ

 

その行動に、センチュリーは動揺を隠せなかった

 

新手の攻撃か、自身の知らぬ魔術か、龍族の特性か

 

だが、彼の次の行動は、そのどれでもなかった

 

「…とても不本意だが、話をしよう。お前に損はさせない」

 

「は?それはどういう……チッ、クソが」

 

センチュリーも黙ってライトセーバーを収め、地面に座り込んだ

 

彼らが無言でにらみ合っている内に、精霊たちが集まってきた

 

「なにお前ら、リンチでも始める気か?」

 

使い魔たちが何人か集まった時、ようやくペルギウスは重い口を開いた

 

「お前の正体は分かっている。だからこそ…なぜこんなことをするのかだけ教えろ」

 

「皮肉を無視されるとスゴイ負けた気がするなぁ……俺は、自分の幸せのためにここに居る。今のままでは、俺は幸せになれない。後悔や、憎悪、そんな感情が、俺の心を支配している。することになる。そうならないために、俺はここに居る。」

 

「そうか……お前のことは分かった。ならば、契約だ。我はお前の望む情報を渡す。貴様の正体も他の者に渡さん。代わりに、貴様は二度とこの空中城塞に立ち入るな」

 

「あぁ、ならいい…でも、いいのか?ちょっと俺に有利すぎると思うんだけど」

 

「お前とは二度と会いたくないからな」

 

そうして、彼らは自分たちの望む答えを互いに求め、答えてやった

 

「あの、帰る前に聞きたいんだけどさ。入城禁止って…あの俺も?」

 

「それ仕方がないことだ。お前の自業自得だからな」

 

「チッ…はいは~い」

 

センチュリーはマントを翻し、立ち上がる

 

ペルギウスには見向きもせずに、城塞の魔法陣へと向かっていく

 

「いいの?俺のこと殺さなくて。本気でやれば殺れるだろ?」

 

「造作もないが、こちらにとって得られるものが少なすぎる。ならば、契約で制限するのが最善だと判断しただけだ」

 

「へ~…あ、そうそう。お前のことはアイツに言っとくよ。意外と話せる奴だってな~」

 

「ふん。お前も奴に伝えろ…」

 

「あ?なにを?」

 

ペルギウスの顔は、怒りや決意に満ちていた

 

その相手は、自身の生涯をかけ、殺すと誓った者だった

 

「ヒトガミよ。貴様の命、必ずやこの、ペルギウス・ドーラが撃ち滅ぼす…とな」

 

「……」

 

センチュリーはそれには応えず、魔法陣に乗り、光となって消えていった

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