「センチュリー…奴が我が城を破壊した目的は、ヒトガミの命令で我の命を奪わんとしてのことだ」
「…はぁ…」
「我は奴と契約を交わした。互いに自身の欲する情報を交換し、それを他者には決して公言しないという契約だ。それは我が使い魔、破壊のドットバースが壊した故、貴様に話すことが出来る」
「…へぇ…」
「奴の力や体質はスモーク、貴様と全く同じなのだ。魔力が一切無い、魔術ではない物体を操る力、それに…貴様の持つ光の剣。色は異なるがな」
「…あぁ…」
「だが、違う点もある。それは、奴が未来から来たという点だ。悔しいことに、方法は分からんがな。このことについては、奴は我に詳細を話さなかったが、洞察のカロワンテが見抜いた」
「…カロ…え…だれ…あ、この人…どうも…」
「奴について少し調べたが、中々に分からぬことが多いのだ。奴が初めて確認されたのは、少なくとも転移事件の後だ。それ以前の目撃情報は無かった」
「…ほえぇ…」
「奴の行動も、意味の分からない者ばかりだ。主にやっていることは、各国の村や、冒険者の殺害。特に有名な事件は、水神レイダ・リィア、水聖イゾルテ・クルーエル、剣王ギレーヌ・デドルディアを殺害した、剣の聖地事件」
「…えぇ…殺し…うえぇ…?」
「我が分かっているのは、このくらいだ。さて、なにか質問はあるか?」
「え…いや…えぇ……は?ん?え?」
なんだこれ?
一体何が起こった?
俺が…センチュリー?
どういう意味だ?
センチュリーが未来の俺
アイツがオレ
分からない
ただ…
とにかく…
「吐きそう…」
俺が口元を抑えると、二人の精霊が身体を支え、治療室まで連れて行ってくれた
「無理もない。ゆっくり休め。それから、また話をするぞ」
「…ありがとう…ございます…」
「調子は戻ったか?」
「まだ…夢の中では…ないんですか…?」
「試してみますか?」
俺はシルヴァリルさんに頭を小突かれ、無理やり意識を起こされる
「あだっ……はぁ…現実か…いでで…もういいです…痛…やめて…面白がってませんか…?」
「もうよいシルヴァリル。ちょっかいをかけてやるな」
「あら、申し訳ございません。元気が出るかと」
シルヴァリルさんはぶつぶつ言いながら部屋を出て行った
「まぁ、あれでもお前のことを気遣っているのだ。あまり嫌わないでやれ」
「まぁ…嫌う気は…毛頭ないですよ…」
精霊たちが出ていき、ペルギウスと俺だけが部屋に残される
落ち着くために一度水を飲んで、考え込む
「我が持つ情報はすべて話した。それで…これからどうするつもりだ」
「俺は…」
俺はこれから何をするべきなのか
殺人鬼の奴を止めなければいけないのは当然として
まずどこにいるのかを調べねば
それに、聞かなくてはならないことが山ほどある
未来から来た方法
なぜ人に危害を加えるのか
未来で俺に何があったのか
頭がパンクしそうだ
「皆に…会いたいです…」
「…そうか…」
「会って…話がしたいです…」
そう言うと、ペルギウスが俺の装備を差し出した
「そうした方が良い。皆は広間に呼びつけている」
彼らに話すべきか
でも、これは俺の問題だ
言葉通りな
皆を巻き込むわけにはいかない
ただ、少しだけ話そう
ほんの少しだけ
悩みごとを打ち明ける程度でいい
装備を取り付け、ベッドから立ち去る
部屋を出るときに、ペルギウスに礼をする
彼は答えてはくれなかった
ただ、黙ってうなずいた
廊下を歩く
これまでは長い廊下だと思っていたのに、今ではとても短く感じる
考えごとをしているからだろうか
扉の前で立ち尽くす
開けろよ
さっさと開けて、話せよ
俺が皆を危険に晒すかもしれない
いや、現在進行形で晒してるって
言えよ
ドンッ!
俺は床に倒れこみ、拳を叩きつける
『言えるわけ…ないだろ…!』
未来の俺が人を殺してて、皆にも危険が及ぶかも知れないから助けて~
馬鹿か!
そんなこと言えるかよ!
…落ち着け
伝えることは、危険が迫ってる、これだけだ
それを言ったら、俺はここを去ろう
「スモーク?!どうしたの、大丈夫?」
「スモーク…?どうしました?!」
「おいスモーク!ザノバ来てくれ!」
「余が担ぎましょうぞ!」
「あぁ…大丈夫…大丈夫だ…俺は…大丈夫…」
皆の笑顔を守る為ならば
「俺は…大丈夫だから…」
俺がやるべき事
奴を探し出して、殺す