あ、ライトセーバーね~。ふ~ん…   作:遺物

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EP・3

日光が部屋に差し込む

 

窓を開け、空気を入れ替える

 

俺は服を着替え、部屋を出て廊下を歩いて行く

 

通路の窓の外には綺麗な景色が広がっている

 

草木や噴水などを見て、やはり彼女は王族だと再確認する

 

少し進んだ先の扉を開けると、そこには彼女たちが居た

 

「おはよう…ございます…アリエル様…フィッツ…ルーク」

 

「おはようスモーク。調子はどう?」

 

ルークの横に立ち、剣に手を置いておく

 

「いつも通り…問題なし…」

 

「報告はもっと真面目にやれスモーク」

 

「まぁいいだろ…ルーク…アリエル様は…寛大だ」

 

あれから何年かの月日が流れた

 

俺はこの世界の言語を死ぬほど頑張って勉強した

 

まだまだ拙く、話す方は簡単な単語を並べることしか出来ない

 

聞く方は、フォースで相手の感情や心を読むことで、ようやく意味を理解できる

 

そうすることで、会話はなんとか出来るようになった

 

前の護衛としての生活は楽しかった

 

たまに暗殺者が来た

 

本当にたまにだった

 

一番多いので月に4回だ

 

が、それらはルークやフィッツ、俺の敵じゃなかった

 

…と、少なくとも俺は思っている

 

 

 

これからは学生として過ごしていくそうだ

 

アリエル様が暗殺者を回避するためだそうだ

 

そうして、今から俺は、ラノア魔法大学の特別生だ

 

これには理由がある

 

 

 

「私たちは、一般生徒としてラノア魔法大学に入学します」

 

「分かりました」

 

「…」

 

「…はい」

 

「ですが、目立たないために特別生の立場は辞退します」

 

俺は、少し間を空けて言った

 

「なら俺が…特別生に…なります」

 

「なんだと?」

 

ルークに睨みつけられる

 

普通に怖いからやめて欲しい

 

「やめなさいルーク…スモーク。一応理由を聞いておきましょうか?」

 

「学内の人間への警戒…ならば、特別生の調査をする人員も…必要では…ないでしょうか?」

 

「大丈夫なのですかスモーク?あなたの身も、私たちは大切に思っているのですよ?」

 

「問題は…ありません…俺は…フィッツより…強い」

 

本当のところ、この理由は5割ほどだ

 

残りの5割は、シンプルに特別生の肩書が欲しかっただけだ

 

だって、なんかかっこいいじゃん

 

俺達は校長か教頭から、ある程度自由に行動できる権利を貰っているらしい

 

貰えるものは貰っとけ精神だ

 

 

 

この日は、初めて皆で学校を訪れた

 

「中々広い学校ですね」

 

「…」

 

フィッツは命令通り無言を貫いている

 

というか、この男装って効果あるのか?

 

丸わかりだと思うのだが

 

「そうですねルーク。とても良い校風です」

 

「無駄に…広い…な」

 

「そういうことはあまり言っちゃいけませんよ」

 

そうして、俺達は人目に付かない所でもう一度話し合う

 

「私たちは一般の、スモーク、貴方は特別生を調べなさい」

 

「はい…人数はそちらより少ないので…幾分か楽だと…思います」

 

「じゃあなスモーク。頑張れよ」

 

フィッツは辺りを見回して、俺の耳元でささやく

 

「頑張ってね、スモーク」

 

「…あぁ…フィッツ、シルフィも…な」

 

ここから先、皆とはしばらくお別れだ

 

「じゃあな…皆…」

 

まぁ、やろうと思えばいつでも会える

 

「あ~疲れるよこの世界の、というか他言語で喋るのはさ…それじゃ、やるか」

 

 

 

「ここが特別生の教室です。普段はここで授業を受けてもらいます」

 

そこには、眼鏡で細身の男

 

二人組の獣人

 

仮面の女

 

目つきの悪い男

 

コイツ等の素性を調べ上げるだけの簡単なお仕事だ

 

「皆さん…よろしく…お願いします」

 

「あぁん!なんニャこいつ。生意気ニャ」

 

「ヌーニなの。生意気なのはムカつくの」

 

いきなり獣人が喧嘩を仕掛けてきた

 

アリエル様の為に、あまり大事にはしたくない

 

『おぉっと会話の出来ない阿保が二匹登場~』

 

そう言うと、仮面の女の身体が少し動いたのに気付いた

 

「なんニャてめぇ!分かんない言葉使ってんじゃないのニャ!」

 

「リニアは馬鹿だから分からないの。当然なの」

 

「そうニャ!馬鹿なアタシに理解できるように…プルセナ!?」

 

こういう時に日本語って便利だな

 

ニヤリとほくそ笑む

 

「あー…すいません…故郷の言葉で…素晴らしい御方…という意味です…クク」

 

そう言うと、二人の態度が明らかに変わる

 

「そうかそうか!てめぇ話が分かる奴だニャ!」

 

「リニアが分かるレベルの簡単な話なの。コイツはリニアより賢いの」

 

彼女らは俺の背中をバンバンと叩きながら笑う

 

ふん

 

アリエル様やフィッツの魅力には足元にも及ばない

 

とにかく、こいつらは要監視対象だ

 

何をしでかすか分かったもんじゃない

 

「どうも…初めまして」

 

今度は細身に声をかける

 

「ほう!お初にお目にかかる。余は、シーローン王国第三王子、ザノバ・シーローンである」

 

なるほど

 

王子様ね

 

コイツの手に持っているものは

 

人形か?

 

ずいぶんと出来がいい

 

この世界で初めてフィギュアレベルの精巧な人形を見た

 

「それは…なん」

 

「ん分かりますかこの人形の素晴らしさが!」

 

びっくりした

 

急に興奮するんじゃないよ

 

「この人形は我が師匠が手掛けたものでしてな!スペルド族のルイジェルドという戦士を模しているのだ!何より素晴らしいのはこの顔の彫りが…」

 

「あーすごい…すごい…」

 

訳が分からない

 

特別生というのは、皆こんななのか?

 

 

 

黒髪の男に声をかける

 

「ハァ…あの…ハァ…君は?」

 

無駄に疲れた

 

アイツ…ザノバの話が終わるまで滅茶苦茶時間がかかったが、ひとまず同胞と認められたらしい

 

それは良かった

 

だが、彼の情報を集めないと

 

「は?」

 

「君の…名前だよ」

 

「ハ~。クリフ・グリモル」

 

クリフ・グリモル…

 

事前情報は入っている

 

確か、ミリス教団とかいう大規模な宗教の教皇のお孫さん

 

出来るなら、仲良くしたい

 

あからさまに不快な顔をされるが、気にしない

 

彼の持っている本のタイトルを見る

 

魔術の本らしい

 

それもかなり上等な

 

「魔術が…好き…なのかい?」

 

「あ、あぁ。僕は天才だからな。もういいか、行けよ」

 

「あぁそう…分かった」

 

会話からは、大して有益な情報が集まらなかったな

 

まぁ、後でしっかりと調べ上げよう

 

次は仮面の女だ

 

「なぁ…君の…名前は?」

 

「…」

 

彼女は無言で紙に文字を書きつける

 

何だこいつは

 

少しくらい返事したっていいだろう…が…?

 

その紙の文字は、久方ぶりに見たものだった

 

見た瞬間、固まった

 

それほどまでに驚いた

 

俺の世界の

 

コイツの世界の

 

その文字だ

 

『この文字に…見覚えはあるかしら?』

 

『篠原秋人 黒木誠司』

 

『わ~お…まじ?』

 

そう言うと、仮面の女は顔をあげた

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