あ、ライトセーバーね~。ふ~ん…   作:遺物

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EP・6

俺はあの後、リニアとプルセナの元へ行った

 

アリエル様にちゃんと様子を見てこいとのことだ

 

なんで俺が…

 

一応喧嘩を売られたのは俺の方なのだ

 

そう思いながら、療養室に行く

 

「あの…リニアと…プルセナという…生徒はいますか…?」

 

「はい~彼女たちは~もう完治して~教室にいると思いますよ~」

 

「あぁ…なるほど…ありがとう…ございました」

 

なんだ治ってやがるのか

 

ここまで来て損した

 

教室に行くと、包帯が巻かれた彼女たちが居た

 

「なぁ…」

 

「ニャ!?」

 

「…あぁ…あぁ」

 

突然、彼女たちが震えだす

 

声をかけただけなのだが

 

「いや…あの…」

 

「ニャ~!許してくれニャ!もうあの姫さまのことを悪く言わないニャ!」

 

「ヌーニなの…もう許してほしいの…」

 

埒が明かない

 

俺は仕方なく頭を下げた

 

二人は困惑しているのか黙ったままだ

 

「先日は悪かったな…許してくれ」

 

顔を上げると、彼女たちはポカンとしていた

 

「いや、いいんだニャ」

 

「ヌーニなの。あなたが謝る必要はないの」

 

「何故…だ?」

 

「私たちはあなたに負けたの。獣族は力が全てなの」

 

「だから、今後お前の言うことは聞いてやるニャ!泣いて喜べニャ!」

 

なるほど

 

ということは俺の接し方で、おおよそ正しかったわけだ

 

…待てよ

 

調査の過程で気づいたんだった

 

確かこいつらは…

 

「お前ら…族長かなんか…だっただろ?」

 

「あ~ぁ。あたしたちはそれぞれ、ドルディア族の長の血筋ニャ」

 

「それがどうかしたの?」

 

このまま順当に行けばこいつらは族長となる

 

獣族をまとめ上げる存在となる

 

それならば…

 

「お前らに…一つ…重大な命令がある…」

 

「ニャ~?なんニャ?」

 

俺がこいつらに求める一番の物

 

それは…

 

「アリエル様がピンチな時…全力で彼女の役に立て…それが命令だ…」

 

「そんなことでいいの?」

 

「あぁ…それだけだ…」

 

「な~んか拍子抜けだニャ」

 

「ボスはもっとエグイことすると思ったの」

 

「俺は…お前らをそういう目で…見てない…ん…ボス?」

 

ボスという言葉に違和感を持つ

 

「ボスはボスだニャ!」

 

「ボスは私たちを倒したの。だからボスなの」

 

「あ~…そうか…まぁ…どうでもいいが…」

 

 

 

その日の昼、俺は七星と共に昼食を食べていた

 

『この世界の食べ物って、私の口に合わないのよね~』

 

食べ物が乗ったスプーンをゆらゆらさせながら七星がぼやく

 

『へ~?まぁ確かに日本食とはかけ離れてるよな…ま、俺は充分うまいと思うけどな。洋食と思えば』

 

そういうと、七星が急に立ち上がる

 

『そうよ!自分で作っちゃえばいいのよ!』

 

『おぉどうした急に』

 

七星が興奮しながら話し出す

 

にしても転移魔法陣の研究をしてる時より楽しそうだな

 

『目指すは白米、味噌汁、焼き魚、葉菜の朝食フルセットよ!』

 

『いいじゃん。で、それ俺も手伝う感じ?』

 

ガツガツと目の前の皿を空にし、七星は歩いて行く

 

『当たり前でしょ!ほら、あんた今日丸一日暇って言ってたでしょ!早く行くわよ!』

 

 

 

俺達は大学近くの川沿いに来た

 

『よっこらしょ!ほい!はい!へい!もいっちょ!』

 

俺はフォースで魚たちを数匹ずつ陸に放り投げていく

 

七星が図鑑を見ながらバタついている魚を調べている

 

『これよ!これが一番味がサケに近いわ!』

 

『それホントなのか?』

 

『知らないわよ。特徴が同じなだけだもの』

 

『…なんでそんな当たり前でしょ、みたいな顔出来るの理由を知りたいね』

 

 

 

俺達は市場に来た

 

手分けして食材を探す

 

『米を買って来たわ。そっちは?』

 

『お湯に溶かして味をつける調味料…味見の結果、これが一番近かった』

 

『上出来よスモーク…で、それなんて色してんの?』

 

俺は手に持った袋から少量を取り出す

 

『まぁ…うん、俺も思ったよ。でも、実際これが一番味噌に近いんだ。残念なことに』

 

その調味料は、禍々しい紫色をしていた

 

『一口食ってみるか?』

 

七星が露骨に嫌そうな顔をしたので、それ以上はやめておいた

 

 

 

七星の部屋に帰ったころには、すっかり夜になってしまった

 

『お前が研究材料を調達したいとか言ったから、こんな時間になったんだぞ』

 

『あんただって、「アリエル様にプレゼントする服を選びたい」とか言って、私を着せ替え人形にしたでしょ。絶対忘れないからね』

 

お互いそんなことをグチグチ言いながら調理を進めていく

 

『エセ汁出来た?』

 

『えぇ出来たわよ…エセ汁ってなに?』

 

『味噌汁ではないだろ?だからエセ汁』

 

『どんなネーミングセンスしてんのよ…まぁいいわ。良し、これで出来たわ!』

 

出来た料理を並べる

 

白米

 

紫のエセ汁

 

焼きサケもどき

 

薬草で無理やり作った漬物

 

見た目だけなら、だいぶ様になっている

 

俺は合掌し、七星がそれに続く

 

『いただきます』

 

『…いただきます』

 

米を口に運ぶと、全く記憶にない味が口の中に広がる

 

サケもどきを食べると、少し苦いサケのあじがする

 

エセ汁はだいぶ味噌汁に近い味だ

 

漬物はまんま薬草の味だ

 

期待通りの味とは言えない

 

がっかりさせてしまっただろうかと思い、彼女の方を見れない

 

すると、七星の方から声がする

 

『ヒグ…ッ…ウゥ…』

 

俺は驚いたが、すぐに理由を察した

 

彼女はきっと、ずっと元の世界に帰りたいと思っているのだ

 

形だけでも嬉しかったのだろう

 

俺は箸を置く

 

そして、黙って七星の背中をさすった

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