【9】
彼はコスモドロームで目覚めた。
「初めましてガーディアン!私はゴーストです!」
目の前には幾何学的なシェルを纏った球体が浮いていた。
ゴーストは最後の安全な都市『シティ』の存在を説く。
「シティは南米ですからね。歩いて行くわけにはいきません」
彼がゴーストの話を聞いていると ──
「…っ!隠れて下さい!」
咆哮が響き、ゴーストの警告が飛ぶ。
物陰に隠れて様子を伺っていると4人ほどの人影がこちらに迫ってくる。
どうやら追われているようだ。
「フォールンです…」
追っ手のことらしい。
人影を追い立てるそれらは人間とは違う。
中でも指示を出しているであろう一際大きい個体は腕が二対あった。
「…武器も無いままは無理です。やり過ごしましょう」
ゴーストは悲痛な声で告げる。
4人は家族なのだろう。
幼い少女が足並みを崩し、今にも包囲されようとしている。
父親らしき人物が小銃を構える。
── フォールンに向かって飛び出した。
「なっ!ガーディアン!」
一番近い小さな個体がこちらに気付く。
自分の体から電光が迸った。
「 ── これが光です!」
体の内からゴーストの声が響く。
「戦いながら覚えてください!」
飛び出した勢いのまま小さな個体 ── ドレックに体当たりをする。
ドレックは電光によって跡形もなく消失した。
こちらに気付いたフォールンの指揮官 ── キャプテンが群れに指示を飛ばす。
狙いは完全にこちらに移ったようだ。
「グレネードを!」
掌にエネルギーが集まり、それを投げつける。
雲も無いというのに稲光が起こり、複数のフォールンを吹き飛ばした。
それでも多勢に無勢だ。
ドレック達が拳銃のような物を構え、こちらに向ける。
「これを使え!」
こちらに向かって放り投げられる小銃。
追われていた家族達だった。
受け取った小銃を構え引き金を引く。
よく手入れがされた良い銃だった。
主が変わろうとも本分を果たし、ドレックを次々と打ち倒していく。
業を煮やしたキャプテンが残りのドレックと共に突っ込んでくる。
「準備はできています。解き放ちましょう!」
全身から圧倒的な光の奔流が溢れる。
「危ないから貴方達は下がって!」
ゴーストが家族達に警告するのを聞きながら、突進してくるフォールン達に漲る力を乗せ腕を振り下ろした。
── 爆音が響く。
凄まじい雷鳴が鳴り響き、雷光の奔流が地面を舐める。
そこに敵がいた事実など残っていなかった。
【10】
彼らも最後の都市の噂を聞き、旅をしているのだという。
目的地が同じならばと同道することとなった。
ゴーストは移動手段が限られてしまうと難色を示したが幼い少女の無邪気な視線に晒され諦めた。
共に旅をする中で彼らを守る代わりに父親から荒野での生き方や戦い方を学ぶ。
余裕など無かったが充実した日々だった。
── そしてファイアチームに出会った。
ゴーストを連れたガーディアン。
自分以外に見た初めての存在に驚愕する。
彼らは全員をシティに連れて行くことを快諾した。
しかし彼はシティに行くことを拒んだ。
── なぜ貴方達のような存在がいながら彼らのような難民が存在するのか?
それは彼が目覚めて初めて抱いた怒りだった。
そんな彼の態度に大柄な男の戦士が激昂しかけるがローブを着た人物 ── 声音から女性だと解るウォーロックが止める。
「ここで待っているように」
そう言い残してファイアチームと家族は去って行った。
家族達の感謝の言葉を支えに数日待つ。
── そこには逆矢印型の鋭利な翼を持つジャンプシップが着陸していた。
「良い船だろ。まぁちと安いが」
クロークを纏った男 ── ハンターが軽薄な調子で言う。
「これがあれば移動には困らないでしょう」
ウォーロックは無機質に言った。
「今回の報酬代わりよ」
ハンターは大柄な男を見ながら言う。
「この堅物が技師を誤魔化したんだ」
── 礼くらい言っとけよ。
そう言い残して二人は去って行く。
「…お前の言うことも正しい」
男は言った。
「俺たちは人々の盾となるべきクラスだ」
── それを忘れるな…
そして男も去って行く。
彼は船に乗り、旅立った。
そして風防ガラス越しにこちらを見つめる三人 ── ファイアチームを見る。
── いつか自分もあんな仲間が欲しい。
彼はそう願った。