【ガチ恋プリンセス】これがVtuberのおしごと~後輩はガチで陰キャでコミュ障。。。『ましのん』コンビでトップVtuberを目指します! 作:夕姫777
48. 1期生初コラボ『すたフェス』同時視聴配信③
オレは今、初めての1期生コラボの『Fmすたーフェスティバル』の同時視聴配信に参加している。そしてついに『姫宮ましろ』の出番になりライトアップと同時に、『ホワイトプリンセス』の曲が流れ始める。
「おおっ!ホワイトプリンセスだぁ!ポアロこの曲、テンション上がるからめっちゃ好きなんだよね!」
《ましろちゃんと言えばこの曲だよね。ひなたも好き》
《そうね。最初聴いた時は、この曲をましろが歌うの?って思ったけど、お清楚のましろが歌うとギャップがあって格好良いのよね》
画面の中では、深夜のスタジオで羞恥心と戦いながら連発した「ウインク」が、見事にアイドルとしての完璧なファンサとして機能していた。
《ふふ。みんなありがとう》
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『マジ神曲』
『AME最高!』
『これこそましろ姫の歌!』
『姫は歌うと声が低くて格好良い』
『ウインクで無事死亡しました』
なんか、こうやって苦労を共にしてきた同期であり、ライバルでもある仲間たちに真っ直ぐ褒められるというのは……こそばゆくて照れ臭いというか、なんとも言えない気恥ずかしさがあるが、やっぱり純粋に嬉しい。
そして曲が終わり、間髪入れずに次の曲のポップなイントロが流れる。
もちろんトリを務めるのは、3期生の『双葉かのん』。初披露となるオリジナル曲『フェアリーテイル』だ。
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『かのんたん!』
『もしかしてこれもAMEの曲?』
『すげぇ格好良い!』
《あ、みんな気づいたかな?実はこの曲、さっきの『ホワイトプリンセス』のアンサーソング的な歌なんだって。迷子のお姫様を探して、白馬の王子様の元へ導く妖精さん……みたいな?》
「えっ、エモ!かのんちゃん、姫のガチ親衛隊だもんね!それにしても、あの激しいテンポで歌って踊るの、本当に格好良いじゃん!」
《かのんちゃんって、裏だといつも小動物みたいにオドオドしててすぐ噛んじゃうのに……いざステージに立つと、こんな速い曲を堂々と歌えるんだね。ギャップがすごい》
《ちょっとひなた。それはかのんに失礼でしょ。……まぁ、私も全く同じこと思って驚いてるけど》
「リリィママもそう思うんじゃんw」
自分のことのように後輩を褒めちぎる同期たちの反応に、オレは鼻高々な気分になりながら、その後はユニット曲の『夢色トリック』を一緒に聴き届けた。
そして、盛大な花火の演出と共に閉会式が終わり、『Fmすたーフェスティバル』の配信は無事に幕を下ろした。
「……うわぁ。もう3時間もたったの!?同時視聴配信、マジであっという間に終わった印象なんだけど……」
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『最高だった!』
『来年も頼むぞ』
『すたフェスしか勝たん!』
『1期生の同時視聴も最高だったよ!』
「いやぁ……本当に一瞬だったね。どうだった、みんな?」
《ひなたはね、こうやって毎年行われるこの大型イベントが毎回すごく楽しみなの。みんなの成長が見られるし、自分もまた来年このステージに立つために頑張らないとって思えるから》
《ましろも同じだよ。それに、今回はこうやって1期生の同期全員で集まって笑い合えたのが、すごく嬉しかった》
「だよねだよね!で、リリィママはどうだった?」
ポアロさんが元気よく話を振るが、いつもならすぐにツッコミを入れるリリィさんから、なぜか返事がない。
あれ?回線落ちか?どうしたんだろう?
「リリィママ?どした?寝たの?w」
《うぅ……ぐすっ……ご……ごめんなさい……》
「えぇ!?……マジ?泣くなよリリィママw」
《だって……本当に感動して……っ。私たち、デビューした頃はずっと……右も左も、何も分からず……ただ手探りでここまで頑張ってきたから……。こんなに優秀な後輩もたくさん出来て、フェスがこんなに素晴らしいものになるなんて……思わなかったから……っ》
鼻をすするリリィさんの声に、オレもひなたさんも、言葉を失った。
《うん……。リリィちゃんは、同期の中でも一番最初にチャンネル登録者が伸びて、ずっと私たち1期生を最前線で引っ張って来てくれたもんね……。それこそ、世間から『Vtuberって何?』って色物扱いされてた時からさ。心ない誹謗中傷もたくさんあったけど……折れずに頑張ってきたよね》
ひなたさんの優しく労うような言葉に、オレの胸の奥がギュッと締め付けられた。
確かに、そういう暗黒時代もあった。今でこそ事務所も大きくなり、スタッフのフォロー体制も活動方針もしっかりしている。でも、オレたちがデビューした2年前は、会社自体が手探りだった。
何を配信すればいいのか分からなくて、一人で虚空に向かって喋り続けて、誰も見てくれなくて……。それでも彼女たちは諦めずに、泥臭く配信を続けた。その血の滲むような努力が、今のFmすたーらいぶの繁栄に繋がっているんだ。
コメント
『泣ける』
『泣いた』
『リリィママ……ありがとう』
『初期から見てるから俺も泣いてる』
《何度も辞めようかと思った……チャンネルがBANされた時も、収益化が外されて心が折れかけた時も……。でも……みんながいたから……ここまでこれたの。ポアロは、同期への理不尽な誹謗中傷にTwitterでガチギレして、自分の身を呈して炎上して守ってくれたり……》
「あったなそんなことも。事務所にめっちゃ怒られたけどさ。良い話じゃないけど、今となっては懐かしいね」
《ひなたは裏でも良く相談に乗ってくれたり、目を引くサムネの作り方を一から教えてくれたりしたわよね……》
《うん。そうだったね》
《そして、ましろは……裏での絡みは全然なかったけど……毎日決まった時間に朝活配信をルーチン化して、誰に何を言われようとブレずに、淡々と我が道を貫いてチャンネル登録者を増やしていった……。あの鉄のメンタルを見てたら、『あぁ、私が全部を背負わなくてもいいんだ、もう休んでもいいんだ、無理しなくていいんだ』って思えて……すごく、私の肩の荷が降りたの。本当に救われたのよ》
リリィさんの言葉を聞いて、オレは目頭が熱くなるのを堪えきれなかった。
……オレがブレずに朝配信を続けていたのは、単に『仕事として割り切ってこなしていただけ』だったからだ。メンタルが強かったわけじゃない。何も感じていなかっただけだ。
それなのに、結果的にそれがリリィさんを、同期を救っていたなんて。
本当に、素晴らしい同期に恵まれた。
だから、オレは今の素直な気持ちを伝えることにした。
《うん。みんなのお陰で、こうやって『Fmすたーらいぶ』は大きくなったし、色々な壁を乗り越えられたと思う。リリィさんは本当に凄いよ。ひなたさんも、ポアロさんも。……ましろ、みんなが同期で本当に良かった。心からそう思う。だからさ……来年も、絶対また同期コラボしようね?》
コメント
『本当に尊い』
『ティッシュなくなるで』
『1期生最高かよ』
『絆エモすぎる』
『また絶対コラボしてくれ』
『これは歴史に残る神回』
『来年も楽しみにしてる』
《ましろ……うぅ……ありがとう……ごめんポアロ……配信グダグダになって……》
「あぁもう!泣くのやめてよリリィママ! ポアロまで泣きそうになるじゃんか!」
《ふふっ。もう、しょうがないなぁ……。よしっ!じゃあ、ひなたがこの後すぐ二次会の枠立てるから。そこでみんなでお酒飲みながら、朝までお話ししよ!》
こうして、1期生初コラボは終わり、ひなたさんの枠でも昔話に花を咲かせてお酒を飲んで夜遅くまで盛り上がった。
宴が終わった深夜。
パソコンの電源を落とし、静寂に包まれた自室で、オレは一人天井を見上げていた。
同期の温かさに触れ、彼女たちの背負ってきた重みを知った。
そして、隣の部屋で『双葉かのん』としてひたむきに夢を追う鈴町さんの熱意を知った。
「……オレ、このままでいいのかな」
『姫宮ましろ』の中身が男であること。それを隠したまま、彼女たちの純粋な絆の中に居座り続けることへの、拭いきれない罪悪感。
いつか来るかもしれない「終わり」を前に、オレは心のどこかで『このままじゃダメだよな』と、自分自身の在り方を見つめ直さなければならないと、強く感じていたのだった。
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