Thriller '83: 11/18   作:ムニムニムーニン

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Ep.2: Hey Jude

 "Fuck off, you bloody devil!"

(「死ね、このクソ悪魔!」)

 

 1983年11月18日、西ヨーロッパ時間午前1時00分。イングランド・イーストサセックス州ピースマーシュ。

 

 ポール・マッカートニーが猟銃を放つと、その銃弾は「ジャガイモの悪魔」の胴体を容赦なく撃ち抜き、そいつをその場で絶命させた。

 

 "Hey, Paul... Is the devil dead?"

(「ねえ、ポール…もう悪魔駆除できたの?」)

 

 "Yeah. One shot."

(「ああ。一発だ」)

 

 そうマッカートニーが笑うと、自らの猟銃を見せつける。

 

 "Lindi, that's brilliant! Easy to load, dead accurate, and one shot is all it takes. What more could you want? No need for a Devil Hunter!"

(「リンディ、こいつはすごいや!装填は簡単、照準は正確、一発で仕留められる。これ以上何がいる?まったく、デビルハンターなんて要らないね!」)

 

 マッカートニーが手にしているのは、英国の名門銃器メーカー、ホーランド&ホーランドに特注した一丁だった。

 悪魔の脅威が銃器の普及によって急速に相対化されつつある昨今、その市場では「より強く、より正確に、より早く悪魔を殺せる銃」を求める競争が激化している。

 その中でもこの一丁は、名門銃器職人たちの技術と、時代の最先端を結集した最高級品だった。

 

 "You sound like a salesman."

(「あなた、まるでセールスマンみたいよ」)

 

 "I'm just telling the truth. Beautiful piece, isn't it?"

(「事実を言ってるだけさ。良い銃だろ?」)

 

 "You said that five minutes ago."

(「それ、5分前にも言ってたわよ」)

 

 マッカートニーは二発目の薬室に実包を押し込み、銃身を閉じた。

 

 カチャリ。

 

 "Funny thing is, they say devils have been getting weaker lately."

(「そういえば最近、悪魔弱くなってるらしいよ」)

 

 "Too many people aren't afraid of them anymore, are they?"

(「みんな怖がらなくなったからかしら?」)

 

 "Yeah. Some of them are hardly more dangerous than wild animals now."

(「まあ、今じゃ野生動物と大差ない奴もいるし」)

 

 そのまま家に入る二人。

 

 マッカートニーが銃の手入れをしようとした瞬間。

 

 ジリリリリリリ!!

 

 "Huh… What?"

(「ん…何だ?」)

 

 不意に、廊下の電話がけたたましく鳴り始めた。

 

 "Who on earth is calling at one in the morning?"

(「一体誰よ、夜中の1時に電話なんて」)

 

 リンダも時計を見る。

 

 "Could it be the studio?"

(「スタジオからかしら?」)

 

 "At this hour?"

(「こんな時間に?」)

 

 マッカートニーが自室に戻ろうとする。

 

 "If it were to be Allen Klein, tell him I've escaped to the Moon."

(「もしアレン・クレインなら、月へ逃亡したって伝えてくれ」)

 

 ジリリリリリリ!!

 

 受話器は容赦なく鳴り続ける。リンダと顔を見合わせたマッカートニー。大きな溜息をつくと、渋々といった様子で受話器に近づく。

 

 "All right, all right... I’m getting it."

(「わかったよ、わかった……出ればいいんだろ」)

 

 そして受話器に手を伸ばし──

 


 

 ツー…ツー…

 

 それを取る。

 

 "Bloody hell... It's not getting through."

(「ちくしょう……全然繋がらないぞ」)

 

 ロジャー・テイラーがぼやく。

 

 1983年11月18日、中央ヨーロッパ時間午前2時01分。ドイツ国・バイエルン州ミュンヘン。

 

 アラベラ・ホッホハウスの地下に位置するミュージックランド・スタジオでは、長時間にわたるセッションの熱気とともに、ある四人組の男たちが居座っていた。

 

 "Must be the exchange again. Bloody Hollywood—can't even get a telephone call through."

(「また交換局だ。まったく、ハリウッドってところは電話まで映画みたいだ」)

 

 "It's only early evening over there, isn't it?"

(「向こうはまだ夕方だろ?」)

 

 ブライアン・メイが時計を見る。

 

 彼ら──ロックバンド・クイーンは、発売が翌年の1月に迫った新シングル・『Radio Ga Ga』の仕上げを行なっていた。

 

 "─but… we can't finish it until we check the takes we left at the Record Plant…"

(「──のはいいんだが…レコード・プラントに置いてきたテイクを確認できないことには、仕上げようがないな…」)

 

 "Funny, isn't it, darling? We write a song about the radio… and tonight we can't even get a bloody telephone call through."

(「面白いじゃないか。僕たちはラジオについて歌を書いているのに、今夜は電話一本すら通じないなんて」)

 

 フレディ・マーキュリーが軽口を叩き、場の空気が若干軽くなる。

 

 "It's meant to be the next single in January, isn't it? What about the LA takes?"

(「この歌は次のシングルとして1月に出す手筈なんだろ?そしたら、LA側での音はどうするんだ?」)

 

 "Tomorrow's fine. The tapes aren't going anywhere."

(「明日でいい。テープの問題は変わらない」)

 

 ジョン・ディーコンの提案でロサンゼルスへの電話を一度諦める一同。

 

 "Come to think of it, Roger, didn't we used to swear by No synthesizers?"

(「『Radio Ga Ga』といえば。そういえば俺たち、昔は『シンセサイザーは使わない』とかって言ってなかったか、ロジャー?」)

 

 話題転換としてブライアンが昔話を持ち出すと、ロジャーとフレディ、ディーキーがそれに答える。

 

 "We were fools."

(「昔の俺たちは馬鹿だったんだよ」)

 

 "No, we were young."

(「いや、昔の僕たちは若かったんだ」)

 

 "We've come a long way since we started working with Mack, haven't we?"

(「(ラインホルト・)マックと仕事を始めてから、僕らも随分変わったよな」)

 

 そこで、話題はもうすぐクランクインする同シングルのプロモーションビデオの話に移った。

 

 "So, Roger. What about the video?"

(「ところで、ロジャー。次のビデオはどうする?」)

 

 "I want it to be something everyone can sing along to."

(「俺としては、みんなで歌える曲にしたいんだよな、フレディ」)

 

 "Like my We Will Rock You?"

(「俺の『We Will Rock You』みたいにか?」)

 

 "Sounds good to me."

(「いいんじゃないか、ブライアン?」)

 

 そこで、フレディが何気なくテーブルを指で叩く。

 

 "We Will Rock You had the stomp."

(「『We Will Rock You』は足踏みだったな」)

 

 "What's your idea, Freddie?"

(「何かアイデアでもあるのか、フレディ?」)

 

 ロジャーが顔を上げる。

 フレディは言葉の代わりに、両手を胸の前に持ち上げる。

 

 パンッ、パンッ。

 

 "How about hands?"

(「今度は手、ってのはどうだ?」)

 

 一瞬、誰も何も言わなかった。

 ロジャーが眉を上げる。

 

 "Just the hands?"

(「手だけ?」)

 

 "Just the hands."

(「手だけ」)

 

 ブライアンが試すように二度、手を叩く。

 

 パンッ、パンッ。

 

 ディーキーも続く。

 

 パンッ、パンッ。

 

 そしてロジャーが笑う。

 

 "♪ All we hear is─ ♪"

 

 パンッ、パンッ。

 

 フレディが歌い始める。

 

 "♪ Radio Ga Ga ♪"

 

 ブライアンが一拍遅れる。

 

 "Too slow, Brian."

(「遅いぞ、ブライアン」)

 

 ロジャーが吹き出す。

 

 "Oh, piss off."

(「うるせえ」)

 

 "Again."

(「もう一度だ」)

 

 フレディが笑う。

 

 "♪ All we hear is─ ♪"

 

 パンッ、パンッ。

 

 "♪ Radio Ga Ga ♪"

 


 

 パンッ、パンッ。

 

 その瞬間、目の前に立っていた秘書官の身体が大きくのけぞった。

 1983年11月17日、アメリカ東部標準時午後8時01分。アメリカ合衆国・ワシントンD.C.

 

 "...What?"

(「……何だ?」)

 

 レーガンは目を見開いた。

 秘書官の頭部から血が流れ落ちる。

 

 "What?"

(「何だ?」)

 

 一滴。

 また一滴。

 やがて床に落ちた血が、ゆっくりと広がっていく。

 

 "What?"

(「何だ?」)

 

 レーガンは後ずさった。

 赤い液体がカーペットの上を這い、ついには彼の靴先へと届く。

 

 "WHAT!?"

(「何だ!?」)

 

 その叫び声を聞きつけ、廊下から複数の足音が駆け寄ってきた。

 

 "MR. PRESIDENT! ARE YOU ALL RIGHT!?"

(「大統領!? ご無事ですか!?」)

 

 シークレットサービスの男が扉を蹴り開け、レーガンの前に身を滑り込ませる。

 

 "Mr. President! A SHOOTING! There's A SHOOTING!"

(「大統領! 銃撃です! 銃撃が発生しています!」)

 

 "A SHOOTING!?"

(「銃撃だと!?」)

 

 レーガンの視線が、テレビへ向いた。

 先ほどまでシカゴの惨状を映していたブラウン管は、今や真っ黒な画面を映している。

 画面の中央には、銃弾によって穿たれた小さな穴。

 その向こうには何も映らない。

 レーガンの脳裏に、二つの光景が蘇った。

 1981年、ワシントン・ヒルトン。

 そして今夜、シカゴ。

 

 "The Hilton... Chicago... and now the White House?"

(「ヒルトン……シカゴ……そして今度はホワイトハウスだと?」)

 

 だが、廊下から聞こえてくる銃声は、いわゆる銃乱射事件のものとは明らかに違っていた。

 

 パンッ。

 

 一発。

 

 パンッ。

 

 間を置いて、また一発。

 

 パンッ、パンッ。

 

 無機質に、正確に、何かを一つずつ消していくような銃声だった。

 

 "No..."

(「そんな……」)

 

 その瞬間。

 ドォンッ!!!

 扉が内側へ吹き飛んだ。

 凄まじい衝撃波が室内を駆け抜ける。

 レーガンはシークレットサービスの男に抱え込まれるようにして吹き飛ばされ、そのまま窓へ叩きつけられた。

 ガラスが砕け散る。

 

 "H-his Excellency..."

(「か、閣下……」)

 

 男が咳き込みながら呻いた。

 レーガンは何とか顔を上げる。

 

 "H-hey... What... what is it?"

(「お、おい……これは……何なんだ?」)

 

 窓の外に広がっていた光景を見て、レーガンは言葉を失った。

 ウエストウイングの向こう。

 本来なら荘厳な姿を見せているはずのエグゼクティブ・レジデンスが、まるで巨大な力で抉り取られたかのように半壊している。

 煙。

 瓦礫。

 崩れ落ちた壁。

 そして、夜空。

 ほんの数分前までそこに存在していたはずの「ホワイトハウス」という日常そのものが、見る影もなく破壊されていた。

 レーガンは震えていた。

 そこにいるのは、「グレート・コミュニケーター」と呼ばれたアメリカ大統領ではない。

 ただ、目の前で起きていることを理解できず、恐怖に支配された72歳の老人だった。

 

 "What...?"

(「何だ……?」)

 

 レーガンの唇が震える。

 

 "What is coming for us...?"

(「……何が、我々を狙っているんだ……?」)

 


 

 1983年11月17日、アメリカ中部標準時午後7時01分。アメリカ合衆国・イリノイ州シカゴ。

 

 消防隊員のジャーマンは、立ち尽くしていた。

 何が起きたのか、理解できなかった。

 

 つい一時間前に発生したスタンダード・オイル・ビルでの銃撃テロ。

 その現場には、無数の人間が集まっていた。

 消防隊や、警察や、報道陣や、救助隊や、建物の中に取り残された家族や友人の安否を確認しようと駆けつけた人々──

 

 そこにいる誰もが、全てが終わったと思っていた。

 ようやく、終わったと。

 

 犯人は制圧され。

 銃撃も止み。

 あとは、生存者を救い出すだけ。

 

 ──その、はずだった。

 

 パンッ、パンッ。

 

 耳をつんざくような銃声が、夜のシカゴに響き渡った。

 ジャーマンが振り返り、そして──目を見開いた。

 周囲にいた人間が、次々と倒れていた。

 誰かが叫ぶ暇すらなかった。

 一人。二人。三人。

 ほとんど同時に、頭部から血を噴き出させながら、その場に崩れ落ちていく。

 消防服を着た隊員が、まるで糸を切られた人形のように膝から崩れ落ち。その隣では、警察官が拳銃を抜くことさえできないまま倒れている。

 カメラを構えていた報道記者も、何が起きたのか理解する暇すらなく、顔面を血で濡らして地面へ突っ伏した。

 息子の名前を叫びながら救助を待っていた女性も、二度とその声を発することはない。

 悲鳴。怒号。そして──沈黙。

 あまりにも短い時間だった。

 まるで、何十人もの命だけが、世界から一斉に切り取られたかのように。

 

 "What on earth is this, sir…?"

(「先輩、これは一体なんですか…?」)

 

 ジャーマンはふと後ろを振り返る。

 そこには、頭から血を流すだけの物言わぬ死体と成り果てた先輩隊員の肉体が横たわっていた。

 

 "A-ah..."

(「あ……」)

 

 彼はその場に尻餅をついた。

 

 "W-why...?"

(「な、なんで……?」)

 

 呼吸が速くなる。

 

 "W-why? That shooting had already stopped..."

(「な、なんでだ? 銃撃はもう終わったはずじゃ……」)

 

 ジャーマンは銃声のした方向を見る。

 だが、そこには誰もいない。

 建物の屋上にも。

 窓にも。

 路地にも。

 人影は、一つもなかった。

 

 "Where are they...?"

(「犯人は……どこだ……?」)

 

 そのときだった。

 

 "Hey! Hey, mister!"

(「お、おい!あんた!」)

 

 ジャーマンが振り返る。

 瓦礫の向こうから、一人の警察官がこちらへ走ってくる。

 制服には煤が付着し、額から血を流している。

 それでも、生きている。

 

 "Yo, you good?!"

(「あんた、大丈夫か!?」)

 

 ジャーマンは何度も頷いた。

 "I... I think so..."

(「お……俺は……たぶん……」)

 

 警察官は荒い息を吐きながら、周囲を見渡した。

 

 "Fuck... What the hell just happened?"

(「くそっ……一体、何が起きたんだ?」)

 

 "I don't know..."

(「分かりません……」)

 

 "Was it another shooter?"

(「別の犯人か?」)

 

 "I didn't see anyone!"

(「誰も見てません!」)

 

 "Neither did I!"

(「俺だって見てない!」)

 

 二人は互いの顔を見つめた。

 その瞬間──

 

 パンッ。

 

 二人とも身体を硬直させた。

 だが、誰も倒れなかった。

 銃声だけが、遠くの闇へ消えていく。

 警察官が反射的に拳銃を抜いた。

 

 "Get down!"

(「伏せろ!」)

 

 ジャーマンは地面に身を伏せる。

 警察官は周囲を見回した。

 

 "Jesus Christ..."

(「神よ……」)

 

 ジャーマンは必死で神に祈りを捧げていた。

 まるで、絞首台の前で赦しを請う死刑囚のように。

 あるいは、屠殺を目前に飼い主に鳴き始める鶏のように。

 

 "God save us…!"

(「どうか、我らをお救いください…!」)

 


 

 "♪ God save the Queen~ ♪"

(「♪ 神よ女王陛下を守り給え〜 ♪」)

 

 1983年11月18日、西ヨーロッパ時間午前1時02分。イングランド・マージーサイド州リヴァプール。

 

 ショーン・レノンが学校で覚えた歌を口ずさみながら何度か呼び出し音を鳴らした後、ようやく受話器の向こうから「お目当ての人物」の声が返ってきた。

 

 "Hi, Uncle Paul!"

(「やあ、ポールおじさん!」)

 

 受話器の向こうの人物──ポール・マッカートニーが苦笑する。

 

 "Oh, Sean! You little rascal! Didn't your dad teach you not to call people at this hour!?"

(「おいおい、ショーン!この悪い子め!お父さんから真夜中に人に電話をかけちゃダメって教わらなかったのか!?」)

 

 "No! Dad said I'm supposed to bother you!"

(「ううん、ポール。パパが、たくさんポールに迷惑をかけろって!」)

 

 "Oh, that bloody guy…"

(「ああ、あいつったら…」)

 

 ピースマーシュのマッカートニーが頭を抱える中。

 ショーンは階段から足音が響いてくるのが聞こえた。

 

 "Hey, Sean... What are you doing up this late?"

(「おい、ショーン…?こんな夜遅くにに何してるんだ?」)

 

 "Jules!!"

(「ジュールズ!!」)

 

 ショーンが目を輝かせる。

 

 "Hey Jules! Guess what? I'm calling Uncle Paul right now to sing him the song I learned today!"

(「今ね今ね!ポールおじさんに電話をかけて、今日覚えた歌を聞いてもらうところなんだ!」)

 

 "Oh, really!?"

(「はあ、本当か!?」)

 

 ジュールズ──ジュリアン・レノンがショーンから受話器を取り上げてこれに出る。

 

 "Oh, Paul... Sorry for waking you up at this hour."

(「ああ、ポール…ごめん、夜遅くに叩き起こしちゃって」)

 

 「おお、ジュールズ!」とポールが言う。

 

 "Hey Jude! Not you too! What are you two doing together?"

(「おお、ジュード!お前まで!なんで一緒にいるんだ?」)

 

 "Dad's away with Yoko, so I'm looking after Sean while he's got school."

(「今ジョンがヨーコさんと旅行しててね。学校のあるショーンを僕が預かってるんだ」)

 

 "I see! Oh, Jules. You'll have to teach him instead of that useless old John!"

(「なるほどね!そうだ、ジュールズ。お前からショーンに何か言ってやってくれないか、あの役立たずのジョンに代わってね!」)

 

 はいはい、と笑いながらショーンに顔を向けるジュリアン。

 

 "Hey Sean! Stay up this late again, and the Night Devil'll come and get you!"

(「おい、ショーン!また夜更かししてみろ、そんな悪い子は今度こそ『夜の悪魔』が食っちまうぞ!」)

 

 "The Night Devil's gotta be weak, Jules! I'm not scared of the dark!"

(「『夜の悪魔』なんて絶対弱いよ、ジュールズ!夜なんて怖くないもん!」)

 

 ショーンの子供らしい強気な言葉にジュリアンもマッカートニーも笑う。

 

 リヴァプールの街角と、ピースマーシュの農園。

 遠く離れた二つの場所で、四人は穏やかな夜のひとときを過ごしていた。

 

 ──少なくとも、この瞬間までは。

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