千年前の天与呪縛 現代で生存フラグ建築士となる 作:サイセンサイ
あの日のことは昨日のことのように思い出せる
特に代わり映えのしない日だった。昼の少し後だったか?あのジジィの後ろに見慣れないヤツがいて何となく目に入った。そしたら私の視線に気づいたのかこっちを向いた後に私に笑いかけてヒラヒラと手を振りやがった。
あいつにとってはなんてこと無い行動だったかもしれねぇけど、あんな優しく笑顔を向けられたのは初めてだった。となりの真依も少し驚いてたな
そんでその日の夕方にそいつは私たちの前に現れた。長い黒髪に健康そうな肌、眉間にシワを寄せてることが多い荒んだ大人たちとはまるで違う生き物。何より驚いたのはその雰囲気、私たちの一個上らしいけどそれじゃ説明出来ない落ち着いた空気を感じたんだ。
そしてあいつは私達に手を伸ばしてきてこういった
「私の『小姓』になってください」
その次の日 私達は家を出た
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ていうのが水子との出会いだ」
「いい話っぽいですけどいきなり知らんやつの小姓とか絶対裏あるでしょそれ」
「まぁ実際そうだったな」
私は真希さん 尊敬してますよ
そんなやり取りがあった後に真希は蜘蛛寺との出会いエピソードを話していた。あの後京都校のメンバーは早々と帰ってしまい(なんかアイドルがどうとか言ってた)いくらか話した後にあの蜘蛛寺水子の話になったのだ
「あいつは元々一般の出でジジィ、、今の禪院家当主がスカウトしていたらしい、おまけに父親不明、母親は娘に無関心な環境だったから特に何もなくこの世界に来たって感じだ」
「スカウト、、、ん?今まで呪術とか界隈とか知らなかった奴がいきなり小姓を欲しいって言ったってこと?ならだいぶん傲慢じゃないっすか?」
「あぁだけどその時からすでにあいつは『反転術式』を使えてた」
「!」
「安い言葉で言えば『天才』なんだろうよ」
真希は類まれなる身体能力の代わりに術式を持たないフィジカルギフテッド、そんな彼女が天才と言われる蜘蛛寺の小姓、明らかに何かあると思うのが普通だった。
「だけどあいつは思った以上にまともな奴だった、、、」
そして真希は思い出す。突然家を出ることになってこれからどうなるのか不安な顔をしていた真依、その手を握ってあいつに与えられた家に行ったあの日
あいつは柔らかな笑顔が私たちを迎えた
「でも裏があったんでしょう?」
「あぁそれなりの理由がな、、、あいつの術式が関係してんだよ」
「術式?」
「あぁ『躯統呪術』っていう術式がな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「何で私達を小姓にしたんだよ?あのジジィに目をかけられてんならもっと大人のやつとか選べただろ」
家にあがってだされたのはお茶となんか見たことない菓子類(コンビニで買ってきたやつ)正直気を使われるなんて思っておらず、2人とも正座のしたまま硬直した。テーブルを挟んで蜘蛛寺はニコニコとこちらを見続けている。そんななかでも真希は蜘蛛寺に向かって疑問を堂々と言い放った。
「知らない世界に飛び込むので同性の同世代が近くにいてほしかったから」
蜘蛛寺は相変わらずニコニコしたまま言葉を綴った。
そして真希すぐにジトォと胡散臭いものを見る目で蜘蛛寺を見つめ直した。子供の無知を差し引いても禪院家当主にお墨付きを貰っているに等しい少女がそんなタマであるはずが無いからだ
「後は私の『術式』の訓練に付き合ってほしいんです」
「訓練?」
その言葉に真希はポカンとした。訓練なら自分のような物ではなく確かな術式を持っている者のほうがいい、なぜよりにもよって自分なのかと
その隣で真依は何か良くない想像をしたのか少し震えていた
「実際に見せたほうが早いですね」
「あ、待て私は呪具がなきゃ何も見えないぞ」
「いえ大丈夫、見えなくても問題ありません」
「あ?」
「えい」(キュッ)
「!」
蜘蛛寺は真希の隣に移動して彼女の指先を掴んだ。
「!!?」
「お姉ちゃん!?」
「身体が動かねえ」
「え!」
蜘蛛寺に掴まれた瞬間、真希はフリーズして指一本動かせなくなった。何かに縛られているわけではない、ただ身体の内側から引っ張られるような感覚がしている。フィジカルギフテッドの身体がだ
「私の『術式』は『躯統呪術』説明が難しいんですけど、振れた肉体の情報をスキャンして、そのスキャンされた情報を他人の身体に流し込むと肉体の機能がバグってフリーズしてしまうんです。言うなれば肉体に干渉して『統制』する能力」
蜘蛛寺水子の術式『躯統呪術』
振れた肉体の情報をスキャンする。そしてその情報を使って何らかのアクションを起こす呪術、スキャンされた情報はさまざまな場面で様々な事に利用することができる
『闘諍堅固邯鄲之歩(とうじょうけんごかんたんのほ)』
他者の肉体の情報を流し込むことによって肉体のフリーズを起こす。DVDプレイヤーにCDを無理やり突っ込んで起動させるようなものであり当然の動きが出来なくなる
躯統呪術の『技の一つ』
「更に私は『反転術式』による他者への治癒が可能なのです。他者の肉体の情報を自分に取り入れれば肉体への理解がすぐに出来るので治癒を行うのに最適なんです」
「それで、その『訓練相手』が私たちの理由はなんだよ」
「貴方たちが一卵性双生児の双子、つまり『同じ肉体』も持っているから」
「「!」」
そうそれが双子の姉妹が選ばれた理由、同じ肉体ならそれぞれに別のことをさせて比べることができれば、数値上とても正確なデータが手にはいるというわけだ。
そしてそれを理解した二人はその顔に影を落とした
ようは売られたも同然だったのだ
役立たずの出来損ないなど実験動物に最適
更に仮にも禪院の家のもので実験した成果なら
蜘蛛寺の成功のおこぼれを狙える
家を出るときに誰も見送りになんて来なかった
禪院家は思わぬ棚ぼたにラッキーと思っているのだろう
所詮、居場所が違っても自分たちは変わらない
「だから今から貴方達は私の小姓そして、、、、、」
私の宝物だよ
「「、、、、、、、、、、、、、、、え?」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「宝物っすか」
「あぁ、、、、、不覚にもぐっときちまった」
「、、、、、、真希さん」
「簡単な女って笑えよ」
「それで暫く三人で暮らしてたんですよ」
「「ん!?」」
釘崎と真希の後ろから到達に声が響いた。そこにいたのは肩掛け学ランに女子の制服を着た黒髪の少女
さっきまで話していた蜘蛛寺水子だった
「楽しかったですよ、特にあの頃の真依くんは小動物系といいますか〜ハム太郎にも負けない小ささでを」
「待て待て何でここにいんだよ水子」
東堂達と共にアイドルのイベントに行ったのではなかったのか?そう聞こうとしたその時だった
蜘蛛寺が唐突に釘崎の両頬に両手を当てた
釘崎は一瞬、警戒をあらわにするが、敵意のない笑顔を向けられて変な事をしようとしているんじゃないと理解して握っていた拳を押さえた
「真依くんのお詫びがまだだったのでここでしておこうかと」
「お詫びぃ?」
釘崎が胡散臭いものを見る目で蜘蛛寺を見る
そしてその直後、蜘蛛寺が呪力を練り始めた
そして
「術式反転・錦上添花融通無碍(きんじょうてんかゆうずうむげ)」
釘崎の顔に正のエネルギーが迸る
暫くした後に蜘蛛寺は釘崎の顔を離した
「私の術式は『肉体の統制』なら反転術式で反転すればその特性は『肉体の自由』に変わる」
何が起きたのか探るために釘崎は捕まれていた頬を触る
ツルン♪
そして聞いた
自分のお肌のすべすべすぎるくらいすべすべな音を
彼女の眼球が全力全開で見開かれた
嘘だろと言う顔をして蜘蛛寺に再び向き合う
もし
もしも
自分の想像が当たっているのなら
「錦上添花融通無碍、肉体の一部を自由化して正のエネルギーで部分的に健康的な付与をする」
簡単に言えば『美容能力』です
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あの能力のおかげで京都校、主に女子たちから慕われてるらしい、化粧品費用がかからないからだとかで」
「真希先輩、姉妹交流会で勝った方は一名生徒を引き抜けるっていうルールありませんでしたっけ」
「ねぇよ」
「なんで!?」
(実はもっとスゲェ事が出来るけど黙っといたほうがいいな、野薔薇が間違いなく暴走する)
「あのシスコンがぁーーー!!!毎日あんな反則級なサービスを先輩にさせてんのかクソが!!絶対ぶっ潰してやる絶対先輩を引き抜いてやる!!」
『術式反転・錦上添花融通無碍』
触れた部分に正のエネルギーを流して健康部位を作り出す。
肌荒・ニキビ・乾燥肌・かゆみ・かぶれ・あせも・ひび割れ等の対策が出来るため、女たちからの感謝の念が毎回凄まじい