千年前の天与呪縛 現代で生存フラグ建築士となる 作:サイセンサイ
交流会が始まる。モニタールームに引率の教師たちが集ってその動向を見守る席に着く、その場所には本来生徒で参加する側である蜘蛛寺水子もいた。
「なんだ 蜘蛛寺でないの?舐めプ?」
「バランスの問題ですよ人数の それと後輩に目立つ場を作るため」
「なるほどね〜」
本来錚々たるメンツなのだが、蜘蛛寺は全く意に返さず五条と雑談をしている。歌姫は純粋に悪影響を及ぼす五条との会話にヤキモキしながらお茶を飲んでいる。楽巌寺は不機嫌オーラを隠しきれていない
「冥冥さんも来てたんですね」
「金になるからね、飴雨子先生」
「あ、3冊目の本今日中に出せそうです」
「それはよかった」
蜘蛛寺は冥冥といわゆるビジネスパートナーのような関係なのは周知の事実で歌姫も認知している。というか蜘蛛寺に冥冥を紹介したのが歌姫だ
「あ〜あのドロドロの足の引っ張り合いね〜僕好きだよあれ〜禪院家の解像度が凄まじくて」
「それは光栄ですね」
最も教育に良いことはしないだろうな〜とは予想していたが、教育に悪い本を書くなど想像できなかった。ちなみに彼女もちゃっかりそのドロドロのファンだったりする
「この交流会で負けた方は引率の先生含めて『ぽっこりお腹』にする提案をしたんですけど即拒否されました」
「なにそれ最高じゃん!なんでやらなかったの?」
「アンタがそういうやつだからよ!あと女の尊厳!」
「ちなみに五条先生ならこれのあとにどんな物を付け加えますか?」
「そうですねー蜘蛛寺の術式なら縮ませることも出来んでしょ〜腹より上をガリガリにして洋画に出てくる宇宙人体型に持ってくなんてどうでしょう?」
「可能です」
「水子ーーーーー!!!」
いい加減に涙が出てきそうだった。普段は良い子なのだが何故か変人奇人と相性がいい、特に五条との相性がいいのが歌姫のメンタルを抉る。その掛け合いは学生時代のクズコンビを思い出させるようで心底気に入らないのだ
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「所で飴雨子先生は実際どれくらい貯め込んでるんだい?」
「それは内緒で♫」
「そうか、ワンチャン教えてくれると思ったけどね」
「まぁご期待に添えるような額は溜め込んでますよーいつか大きな仕事をお願いすることになったら遠慮なく散財します」
「それは楽しみだ。君の将来性には本当に期待しているからね」
「おーおー冥さんがそこまで蜘蛛寺寄りとは思わなかったよ」
蜘蛛寺水子の反転術式は今や家入梢子とはまた違う。
言ってしまえば【前衛のヒーラー】家入は負傷したものを確かな医学知識込みで後方から治療する医者タイプだが、蜘蛛寺水子は最前線で戦う者たちに追従して戦いながら治療するパーティーの僧侶枠、戦いのすべも心得ているため準一級の等級に名を連ねている。
「でも上からすれば後ろから治すのに集中してもらいたいのがホンネだよね〜どうやっていなしてんの?」
「そこはまぁいろいろと上手くやってますよ。だけど利用する気満々なので大変なのは卒業後ですね」
蜘蛛寺は学生の身分、上も最低限の配慮はあるがそれが取っ払われた時、彼女は色々な理由をつけられて都合よく動かせる駒として上に従属させられるだろう
「正直、上にはこの時点で水子を扱おうとする奴らも少なくないわ。学生何だからまだまだ色々あるってのに、、、この前なんて見合いの話まで来てたし」
「わ~おモテモテ〜、、、っと言いたいけどそりゃ気の毒に」
呪術師界隈では男尊女卑の風習が今でも根強く残っており御三家の禪院家がその筆頭、ゆえに女である蜘蛛寺水子を道具のように見ている者は少なくない
「卒業しても自由にさせてあげたいけどね」
「かまいませんよ歌姫先生♪私これでも忍耐はあるので」
「水子、、、、」
ときおり五条悟がちらつく行動を取ることはあるが、彼女は普段優しい性格なのだ。同僚との縁を大切にしてその助けになりたいと本心から願っていることは引率である歌姫にはわかっている。むしろ気を使わせて申し訳ないと思うほどに
「じゃあもう特定の相手見繕っちゃえばーこれじゃないって思ったら別れればいいし」
「お前は先生を辞めろ!!!!」
ちょっとしんみりした空気を五条悟が『茈』して来た。ぶっちゃけ一般社会でもアウトな発言、それも教職員という立場で軽いノリの言葉、真面目な歌姫はマジ切れした。
「蜘蛛寺だから言ってるんだよー僕だってこいつならいいやって人を選んで発言してるし」
「水子ならいいって何!!?」
「だって蜘蛛寺図太いじゃん、こんな発言で怯えるようなたまじゃないのは歌姫だって知ってるでしょ 釘崎とか真希だったら秒で殺しに来るし それに思いのほか合理主義だから意外といい手かもよ」
「だからってアンタねぇ!!」
やっぱりクズだ 人の心とかないクズ 何で神はこんなダボに才能を与えたのよ死ねクズ 弱い人の心がわからない変態に説教しても無駄だとわかってはいるが歌姫も人間、教師になってもムカつくものはムカつくし声に出したいと思ったら声に出さなきゃ気がすまない
だがそんな『枠』からズレた存在もいる
「そうですね〜」
「うん」
「五条先生が娶り相手なら玉の輿ですね」
「「「やめろぉぉ!!!」」」
3人の声が揃った。
一人は歌姫、顔を青ざめさせて俊足の速さで蜘蛛寺の正面に行き、今は肩を掴んでガックンガックンしている
一人は夜蛾学長、例えそれが悪ノリの言葉だとしても叫ばずに入られなかった。純粋で誠実な正義感ゆえに
一人は楽巌寺学長、その老体から考えられない声量だった。傍若無人な男に傍若無人な女が番って傍若無人な未来を想像してしまったからだ
そして肝心の五条悟は、、、、、、顔をしかめていた
蜘蛛寺は悪ノリが好きだが冗談は少ないタイプの女、おそらく先の発言は冗談でもなくほんとに可能性として視野に入れたOKなのだろう。と言うか現代最強の術師であり顔もスペックも立場もある五条悟の隣に立ちたい女などいくらでもいる。本来なら多量の女をあてがわれて妾だ愛人だが量産されてもおかしくない存在なのだ。それが起こっていないのは五条悟自身がそういうのを毛嫌いしているから
「いやいや僕って愛される先生だから、愛される先生でいたいから、教え子たちの年齢の女に手を出したら流石に皆から公衆便所を見る目で見られるから無理」
(あの五条悟が本気で嫌がってる。)
蜘蛛寺本人は歌姫にガックンガックンさせられながら『あはは☆』と笑うばかり
別に彼女は五条に好意こそあれ恋心はない、ただ自分の心に刺さった人ならOKという感覚なのだ。だから相手が加茂でも東堂でも彼女は有りだと思っている。
貞操観念が薄いわけではない、貞操観念の解釈が他の人とは異なるのだ。
「アララ〜フラれちゃいました〜」
「それでいいぃ!!それでいいのぉ!!貴方は私の大切な生徒!相手が必要なら私も探すの手伝うから!お願いだから五条悟は止めて!教え子があのクズのものになるのは本当に耐えられない!」
もはや歌姫はガッツリ泣いてる。自分にとって大切な生徒を思うがゆえの優しい涙。本当に人間が出来ている。
そんな顔を赤くしたり青くしたりと忙しい歌姫の頭に蜘蛛寺はポンと手を置き撫でながら抱きしめる。まるで自分が年上であるかのような振る舞いで絶賛メンタルズキズキ中の歌姫に温もりを与えた
「そうですか、うん、順位をつけたら五条先生より歌姫先生の方が上なのでそうします」
「え、どんな形であれ歌姫に負けた?」
「というか〜」
「私は夜蛾学長や楽巌寺学長でも全然OKですよ?」
「「ひゅっ」」
※年長2人の喉が締まる音
「「ぶっ!」」
※流石に予想外な言葉に吹き出す引率2人
「流石だね」
※大物
その瞬間
脳内に溢れ出した
存在しない『未来』
パンダくん、今日から私が貴方のお母さんです
俺パンダだからよくわからないけど流石にこれはない
学長、、、
お茶漬け
夜蛾さん、、、世話になってる身ではありますがこれはその、、、、無いです
「蜘蛛寺水子、お前が認めない婚姻等は俺の方でも対処するから頼むから間違っても先の発言はこの先永遠に言葉にしないでくれ何なら『縛り』を設けてもいい」
擬似的な心臓麻痺を食らった気分になった夜蛾学長は額に手を当ててうつむき背中から大量の汗が分泌されまくるのを感じながら謎の疲労感に苛まれる
だがもっとひどいのは楽巌寺学長の方だ
付き合いの長さから蜘蛛寺の性格はある程度熟知している。それゆえに焦るのだ。この女はやりたい事しか口に出さない、もしも自分に取って納得のいかない相手があてがわれたら自分の中の合格条件達成者である者と本気で婚姻を願うのだろう。その中に自分も入っているのは誰も予想できなかった
楽巌寺学長の脳内に溢れ出したのは
存在『するかもしれない』未来
何?蜘蛛寺は楽巌寺が相手でもいいのか?
楽巌寺は上の言う事をよく聞く
信頼ができる
ならいい
蜘蛛寺が拒否しないなら信頼できるものを奴の隣に置くのは有益だ
下手な男に隣にいられるより都合がいい
じゃあいいな
あぁ
というわけで頼むぞ
楽巌寺学長は上の命令を絶対視して規律を守り信頼を勝ち取りこの年でもなお呪術師界隈に関わることのできる上にとってはめちゃくちゃ都合の良い男、そしてここに手駒にしたい女が楽巌寺のような老体でも別にいいという奇跡
もうはっきり言おう
0%ではない
「儂は呪術師界隈のために規律を守りそして未来の呪術師の育成のために今もなお力を入れている。そんな未来の礎であり生徒のお前さんにはもっと相応しい男がいるはずだ。一時の感情で選んでいいほど男女の問題は簡単ではないそれはどこの世界でも難しい問題なのだ。我々は呪術師であり教師だ。未来ある若者の可能性を費やしてはならぬ、お前はこれから更に高みへ、さらなる深みへ行くのだ。その反転術式は家入梢子のような後ろで治療するのに適しているだろうが、確かに前衛で治せるものは必要、お前のやり方は間違ってなどいない、それはとても希少な才能だ。多くの呪術師のためになる使われるべき才能だ。だからこそ若い今この時に伸ばさなければならぬのだ。いい加減にしろ蜘蛛寺、婚姻関係の話など今でなくともよい、確かに長い期間を考えれば今もうちに考えるのはいいことだ。それ自体はいいことだ。たしかにいずれ必要な話ではあるだろうが今はいい、お前さんは若いんだ。その力は呪術師界隈の未来を守るためにある。今は自らを鍛える時だ。大人とは違う若い頭は学習するために使え、若い体は同じく若い同僚達と現場を駆け抜けるために使え、お前が有益なものである事を儂は知っている。前衛での治療における死亡率の低下、自らも戦い準一級の等級に値する実力、自らの術式で自らの肉の人形を作り上に寄付する奉仕の精神、そんなお前は未だに発展途上、これからも先がある。大きな力となり世の世界を変えるかもしれない可能性をお前は秘めている。お前の寄付した肉人形『即身成仏分崩離析』のおかげでそこから抜かれた眼球、心臓、肝臓がどれだけ役に立っているかを儂は知っている。おなごのお前が評価されているのはその献身故だ。上に男尊女卑の風習があるのは認めるがお前なら安心していい、お前の能力を前に使えないと宣うものはいない、お前は貢献できている。その価値を周りに示している。お前の力はお前の周りにいる者たちを支える力を秘めている。それは若さゆえの志かもしれんがとても大切なことだ。いずれ年をとりそのやり方が通じなくなるときが来たとしても、成功体験は必ず老体となろうとも自分のためになる。だからいい、焦らなくていい、そんな話はしなくていい、誰にもしなくていい、視野を広げろ、若い時間を大切にしろ、いざとなれば儂のような老体など足場にしろ。それが呪術師だ、お前たちが成ろうとしている呪術師だ。そうだ、だから今の発言は今後口に出すな。交流会が始まるぞ、分かったな、、、、分かったな!!」
「息しないと死んじゃいますよ?」
ガクン!
「あ、死んだ」
「ええええええええええええええええ!!?」
楽巌寺学長の年齢では喉から出るはずもない長文が彼の肺やら心臓やらを破壊した。ピクンピクンと動いて机に倒れ込んだその姿はまさしく屍直前のそれ、変なリズムの息もしてるし夜蛾学長以上の汗もかいてるしでマジの生命の危機をその身で体現していた。
叫んだ歌姫が詰め寄り必死に楽巌寺の意識に呼びかける傍らで蜘蛛寺は持参したマイバッグからポテチを取り出して自分の机に広げて同じく持参したファンタオレンジ(冷えた状態)をそこに並べる
「さぁ始まりますよ!」
「そんな場合かーーーーーーーー!!」