ソードワールドの二次創作。平凡な冒険者の冒険譚 作:シットライヌ
本作は、「グループSNE」および「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.5』(または2.0/無印)の二次創作参加作品(またはファンフィクション)です。
ライシン(魔法戦士)
イーストエンド島出身。冷静沈着で前衛の要となる剣士でありながら、初歩的な古代語魔法も修める。
種族 / 年齢: 人間 / 20代前半
冒険者レベル: 1
保有技能: ファイター Lv1、ソーサラー Lv1
能力値: 器用度14 / 敏捷度14 / 知力12/ 筋力14/ 生命力15 / 精神力12
主な装備:
マジックブレイド(発動体兼用のイーストエンド島の特注刀剣。オリジナル設定.
形状は日本刀。)
斬撃武器(バスタードソード相当)として機能しつつ、古代語魔法の
発動体としての役割も果たす。
ソフトレザー(柔らかい革鎧): 動きやすさと魔法行使の邪魔にならないことを優先。
特記事項・オリジナル設定
遺失魔法【リープ・スラッシュ】(消費精神力: 2): 納刀状態からの居合一閃により、真空の刃を飛ばして離れた敵を斬り裂く。
シリア(元森林衛士候補)
魔法の国ラムリアース出身。自然と精霊の声に耳を傾け、索敵や遠距離支援を担う。
種族 / 年齢: 人間 / 20代前半
冒険者レベル: 2
保有技能: レンジャー Lv2、シャーマン Lv1
能力値: 器用度18 / 敏捷度14 / 知力13 / 筋力12/ 生命力13 / 精神力16
主な装備:
ショートボウ(短弓)& 矢筒: 主力武器。
ダガー(短剣): 矢が尽きた際や、接近戦での護身用。
ハードレザー(硬い革鎧): 野外活動に適した防具。
特記事項
精霊魔法による微風の操作や、レンジャー技能を活かした足跡追跡(トラック)が得意。ラムリアースの森林衛士候補だった過去がある。
メリッサ(賢者・神官)
知識神ラーダに仕える神官にして、豊富な知識を持つパーティーの頭脳。
種族 / 年齢: 人間 / 20代前半
冒険者レベル: 2
保有技能: セージ Lv2、プリースト(ラーダ) Lv1
能力値: 器用度12 / 敏捷度12/ 知力18 / 筋力10/ 生命力12 / 精神力18
主な装備:
ライトメイス(軽量の鎚鉾): 刃物を嫌う神官の護身用武器。
ラーダの聖印: 神聖魔法(《キュア・ウーンズ》など)の行使に必須。
クロースアーマー(厚手の布服): 防御力は最低限だが、活動しやすい。
特記事項
セージ技能により、古代遺跡の構造や魔物の生態・弱点を看破する役割を担う。
カイル(吟遊詩人・斥候)
陽気で口が回る吟遊詩人。前衛の右翼を固め、罠の発見など斥候役も兼任する。
種族 / 年齢: 人間 / 20代前半
冒険者レベル: 2
保有技能: バード Lv2、シーフ Lv1
能力値: 器用度16 / 敏捷度15 / 知力14 / 筋力13/ 生命力14 / 精神力15
主な装備:
ショートソード(小剣): 狭い場所でも扱いやすい。
バックラー(小型盾): 敵の攻撃を逸らす・受け流すための盾。
ソフトレザー(柔らかい革鎧): 軽快な動きを阻害しない。
リュート(楽器):演奏の為の楽器
シーフツール(盗賊道具): 鍵開けや罠解除の必需品。
特記事項
バード技能による呪歌で味方の支援が可能。シーフとしての腕は初歩だが、機動力を活かした立ち回りが得意。
ロロ(商人・盗賊)
「商人」を自称するが、本職は盗賊。自身の商会を持つ事が目標。交渉術、経費計算、そして罠や鍵の解除を担うリアリスト。
種族 / 年齢: 人間 / 20代前半
冒険者レベル: 2
保有技能: シーフ Lv2
能力値: 器用度15/ 敏捷度16/ 知力15 / 筋力13/ 生命力13 / 精神力14
主な装備:
クォータースタッフ(六尺棒): リーチを活かした牽制や、足場の確認、罠の作動テストにも使う万能杖。
ダガー(短剣)& ナイフ(小刀): 近接用および靴底に隠した暗器。
ハードレザー(硬い革鎧): 軽快な動きを阻害しない。
コモンルーンの指輪: 微小な『光』やを生み出す魔法の品。
シーフツール(盗賊道具): 鍵開けや罠解除の必需品。
特記事項
パーティーの財布の紐を握る金庫番。知力と器用度が高く、日用品(油など)を使った搦め手を得意とする。
第0章:銀貨と打算の寄せ集め
魔法の国ラムリアース。その裏通りにひっそりと佇む「冒険者の宿」は、今日も金と仕事とわずかな希望を求める者たちの熱気でむせ返っていた。
カウンターの端で、小柄な青年が羊皮紙の依頼書を睨みつけながら、舌打ちを一つ落とした。
「……ダメだ、俺一人じゃリスクが高すぎる」
青年の名はロロ。将来自分の商会を持つという野望を抱き、日夜「冒険者」という名の危険な日雇い労働で資金を貯めている盗賊(シーフ)だ。
彼の手元にある依頼書には『郊外の小麦粉倉庫に住み着いた巨大鼠(ジャイアントラット)数匹の駆除。報酬:銀貨100枚(ガメル)』と記されている。
「報酬100ガメルは悪くない。だが、ネズミ相手に怪我でもして治療院送りになれば、逆に赤字だ。前衛で壁になってくれるタフな奴がいれば……」
ロロが酒場を見渡すと、部屋の隅のテーブルで、ただ一人、無言で白湯をすすっている黒髪の男が目に留まった。
男の腰には、アレクラスト大陸本土では見慣れない反りのある刀剣――イーストエンド島特有の『マジックブレイド』が帯びられている。質素なソフトレザーの鎧には無駄な装飾がなく、ただ生き残るための実用性だけが滲み出ていた。
ロロは愛用のクォータースタッフ(六尺棒)を手に、男のテーブルへ歩み寄った。
「そこの腕の立ちそうな兄さん。日銭稼ぎの小仕事に興味はないか? 俺はロロだ」
男はゆっくりと視線を上げ、静かに名乗った。
「……ライシンだ。魔法戦士をやっている。報酬とリスクの釣り合いが取れるなら、話を聞こう」
「話が早くて助かる。郊外の倉庫のネズミ退治で、報酬は100ガメル。俺は斥候と後方支援に回るから、前衛を頼みたい。取り分は俺が40、あんたが60でどうだ?」
「待った。その仕事、俺も一枚噛ませてくれないか」
不意に横から声がした。見れば、隣のテーブルでリュートを爪弾いていた陽気な青年が、ショートソード(小剣)とバックラー(小型盾)を腰に提げて立ち上がっている。
「俺はカイル。吟遊詩人(バード)だが、斥候(シーフ)の真似事もできる。右翼の守りくらいはこなせるぜ。取り分を三分するなら、もっと安全に仕事が終わる」
「三人で割れば一人33ガメルか……まあ、悪くない」
ロロが顎をさすりながら計算していると、今度は背後から落ち着いた女性の声が響いた。
「ネズミの牙には病原菌が潜んでいる可能性があるわ。神官(プリースト)の回復魔法(キュア・ウーンズ)なしで挑むのは、無謀な経費削減と言わざるを得ないわね」
分厚い書物を閉じて歩み寄ってきたのは、知識神ラーダの聖印を首から下げた賢者、メリッサだった。
「私はメリッサ。駆け出しだけれど、癒やしの奇跡と魔物の知識(セージ)を提供できるわ。報酬を等分してくれるなら、私の『保険』をパーティに掛けてあげる」
「おいおい、四人かよ。一人25ガメルに減っちまうぞ」
ロロが渋い顔をした時、酒場の扉が開いて、雨に濡れたハードレザー(硬い革鎧)姿の少女が入ってきた。ラムリアース出身の森林衛士候補だった野伏(レンジャー)のシリアである。
彼女は財布の軽さを確認してため息をつくと、四人が囲むテーブルの羊皮紙を覗き込んだ。
「郊外の小麦粉倉庫ね。あそこの周辺は草丈が高くて、ネズミが倉庫の外のどこから侵入しているか見つけないと、いくらでも中に入ってくるわよ。私のレンジャーの目で侵入経路(トラック)を塞ぐから、私も混ぜてくれない?」
ロロは天を仰ぎ、指折り数えた。
「……魔法戦士、盗賊、吟遊詩人、賢者、森林衛士。これで五人。一人頭の報酬はたったの20ガメルだ」
「だが、生存率は跳ね上がる。全員が自分の役割を果たせば、誰一人として武器の修理費も怪我の治療費もかからない『完全な黒字』になる」
ライシンが白湯を飲み干し、静かに立ち上がった。
「悪くない編成だ。行くぞ」
こうして、偶然と打算と、そして「今日を生き延びるための銀貨」を求めて、五人の寄せ集めパーティは宿を出た。
はじまりの陣形
郊外の小麦粉倉庫は、薄暗くカビ臭い匂いに包まれていた。
シリアが倉庫の外周を調べ、ネズミの侵入経路となっている壁の穴を素早く土嚢で塞ぐ。これで、中にいる数匹を仕留めれば仕事は終わりだ。
「よし、中に四匹いるわ。暗がりで息を潜めている」
シリアがショートボウに矢をつがえながら囁く。
「中に入ったら、すぐに陣形を組むぞ」
ライシンが低い声で全員に指示を出した。彼の中で、この五人の持ち味を最大限に活かす配置がすでに組み上がっていた。
「俺が中央に立つ。ロロ、お前は杖のリーチを活かして左の壁になれ。カイルはバックラーで右翼の防御を固めろ。メリッサとシリアは俺たちの後ろから支援と射撃だ」
「了解だ。行くぜ」
五人が木戸を蹴り開けて倉庫へ踏み込むと、暗がりから巨大なネズミたちがキーキーと歯を鳴らして一斉に襲いかかってきた。
「左は通さねぇよ!」
ロロがクォータースタッフを鋭く突き出し、飛びかかってきた一匹を空中で叩き落とす。
「右もお断りだ!」
カイルがショートソードで牽制しつつ、バックラーでネズミの噛みつきをガッチリと受け止める。
完璧な左右の壁。そして後方からは、シリアの放った矢が狂いなくネズミの一匹を壁に縫い付ける。
中央で完全に自由を得たライシンは、刀の柄を握りしめ、古代語の呪文を静かに、しかし流れるように紡ぎ始めた。
「……我は刃に魔を宿す者。空間を断ち、遠き敵を討て(リープ・スラッシュ)……!」
マジックブレイドの白刃が暗闇を切り裂き、正面から迫っていた最も大きなネズミの首を、すれ違いざまに見事に刎ね飛ばした。
わずか数合の交差。
誰一人として血を流すことなく、五人は連携の歯車を完璧に噛み合わせ、四匹の巨大ネズミを無傷で駆除してみせた。
「……お見事」
メリッサがライトメイスを下ろし、感嘆の息を漏らす。
「おいおい……なんだよこの陣形。めちゃくちゃ戦いやすいじゃないか!」
カイルが興奮気味にショートソードを鞘に収める。
ロロも杖の汚れを払いながら、ニヤリと笑った。
「怪我人ゼロ。武器の刃こぼれも最小限。解毒薬も神聖魔法も使わずに済んだ。……最高の『経費削減』だぜ」
ライシンは刀を鞘に納め、四人の顔を見回した。
突出した英雄の力など一つもない。だが、互いの足りない部分を補い合い、知恵と工夫で死地を黒字に変える力強さがここにはあった。
「……これから毎日、宿の掲示板の前で顔を合わせるのも手間だろう」
ライシンが珍しく口元に微かな笑みを浮かべて言った。
「どうだ。明日からも、この五人で稼いでみないか?」
「賛成! 次は私の矢の代金も経費から落としてよね」
シリアが明るく笑う。
その夜、冒険者の宿の片隅で、五つの粗末な木の実の酒杯が打ち鳴らされた。
世界を救う伝説の始まりではない。だが、彼らにとっては、明日を確実に生き延びるための、何よりも心強い「地味で堅実な絆」の始まりであった。
本作は、「グループSNE」および「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『ソード・ワールド2.5』(または2.0/無印)の二次創作参加作品(またはファンフィクション)です。