応援団奇談   作:haku728

1 / 4
我が団について《その壱》

 

押忍!

 

新入生の皆様、本日はクラブ活動勧誘説明会にご参加いただき誠に感謝の極みであります。

 

今回自分が、この栄えある西南海大学応援団の説明並びに入団案内を務めさせていただきます、団員ニ回生、西郷 守(さいごう まもる)であります!

 

我が団の素晴らしさや魅力について魂を込めて説明をさせていただきますので、最後までお付き合いのほどよろしくお願い申し上げます。

 

まず、我が西南海大学応援団の沿革についてでありますが、大学開校とほぼ同じくしてその歩みが始まっており、なんと100年の歴史があります。

 

この長い歩みの中で、様々な伝統が育まれ受け継がれてまいりました。

 

今回はその中で特に素晴らしい伝統儀式やしきたりをいくつかご紹介するものであります。

 

まず、我ら団員が着用する学ランは詰襟の高さが10cm以上、上着の裾の長さは足首までと決められております。

 

そしてこの長ランを着用したが最後、決して脱ぐことは許されません。

 

私生活ではもちろん就寝時でも常に着用しておかねばなりません。

 

その間10cm ハイカラーのフックはきちんと閉じておかねばなりません。

 

不用意に頭を動かさず、いついかなる時も下を向かず、常に上を向いておくために絶対に必要なことであります。

 

この不自由と窮屈に耐えることこそが漢(おとこ)を磨くのであります。

 

そして、栄えある応援団団長の長ランはさらに特別な仕様となります。

 

ハイカラーの高さは1mと決められております。

 

この究極の高さこそ応援する姿を大きく見せ、他校の団を圧倒し、我が校を勝利に導く鍵となるのであります。

 

もちろんこの高さでは顎の下では詰襟は収まりません。

 

ハイカラ―は顔をすっぽり覆い、立ち上がるその様はまるで黒い煙突のようであります。

 

もちろん前面に100個あるフックは全てきちんと閉じられており、団長は詰襟のとじめの細い隙間から辛うじて外界を伺うのであります。

 

そして現在の団長、藤堂 二郎三郎摩論(とうどう じろうさぶろうまろん)は今年で6回目の留年をなされ、在学は10年目であります。

 

団長歴は今回で7年目となる伝説の男なのであります。

 

しかし我々団員は誰一人として団長の顔を見たものはおりません。

 

常にハイカラーに包まれたそのお顔は、今も謎に包まれているのであります。

 

 

 

さて、皆様。ここからは、我が団の真髄とも言うべき、団長と団員の絆を不動のものとする、最も神聖にして、最も過酷な伝統儀式についてご紹介させて頂くのであります!

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。