まず《愛・団長ビンタ・ハキュ~ン》についてご紹介させていただきます。
我々団員は、その応援団生活の中で、常に団長よりビンタを頂戴いたします。
そのビンタが放たれる理由、タイミングはいっさい不明であります。
いついかなる時も我々団員は団長のビンタをお受けする事を覚悟しておかねばなりません。
しかし団長の手はまるで熊の掌のようであります。
団長は常に最上の愛を込めて、その雄大なる手のひらで我々団員に強力なビンタを放ちます。
我々はそのビンタを受けた刹那、涅槃を目撃いたします。
鼻血が噴き出すこともしばしばであります。
しかし我々はそれに対して決して不満や怒りを見せません。
我々は気力を振り絞り、身を正し、団長の愛あるビンタに対して「押忍! ご指導、ありがとうございました!」と腰を90度に曲げて、お礼を申し伝えるのが決まりであります!
それに対して団長は 一言「ハキュ~ン」と申し述べるのが決まりであります。
この「ハキュ~ン」は、団創設以来、代々応援団長に受け継がれてきた由緒格式ある言葉であります。
その意味につきましては 一般団員には明かされない秘密となっております。
次にご紹介いたしますのは《団長キッス》であります。
これは選び抜かれた特定の団員のみ許される特別な儀式であります。
まず団長は4月30日に全員招集をかけます。
全員緊張感に包まれながら後ろ手を組み、胸を張って微動だにせず並び立ちます。
その中で 一回生を団長は一通り見回してから、特に見た目が華奢で目鼻立ちのくっきりした顔立ちの団員に対して指を差し、「藤山紀香!」と叫びます。
すると指を差された団員はたちまち上級生に囲まれて別室に連れて行かれ、化粧を施されかつらをかぶせられます。
さらに団長好みの赤いワンピースを着せられて再び団長の前に立たされます。
この選ばれた 女装団員は《光漢児(ひかるだんじ)》といいます。
団長は光漢児に対して「紀香か?」と問いかけます。
光漢児は「押忍!」と答えます。
団長は再び「紀香かぁぁ~!!!」と先ほどの数倍の声で問いかけます。
光漢児も「お押―――忍!!!」と返します。
すると 団長は「会いたかったよ……紀香!」といって光漢児に身を寄せます。
その瞬間、応援団員全員が由緒ある団歌の一つ「団長キッス」の唱和を開始します。
春うららかな この朝に
我が西南海の 応援の
集いしここの 学び舎に
藤山紀香が あらわれた
麗しきかな 美しき
女子が姿を 現した
今こそあれを 放つ時
我が団長の くちびるは
紀香に愛を 放つ時
団長キッスの 愛おしさ
団長キッスの ありがたさ
それ!
団長キッスの 愛おしさ
団長キッスの ありがたさ
それ!
団長キッスの 愛おしさ
団長キッスの ありがたさ
それ…………
大音声でこの団歌が鳴り響く中、団長は詰襟のホックを顔の口に当たる部分のみ外します。
するとその隙間から、タコの口のように尖らせた団長の唇が姿を現します。
そして団長は優しく女装団員を抱きしめ、そのタコ唇で光漢児の赤いルージュが引かれた唇に重ね合わすのであります。
この《団長キッス》はニ時間継続するものと決まっております。
その間唱和は決して途切らせてはなりません。
声の続く限り2人の姿を祝福し、応援をし続けるのであります。
もちろん《光漢児》は団長に選ばれし非常に光栄なる身でありますから嫌応はないのであります。
さて……。次にさらなる重要な儀式について紹介させていただきます!