応援団奇談   作:haku728

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我が団について《その参》

これからお話しさせていただくのは、我が団の夏季合宿についてであります。

 

これは団のクライマックスともいえる重要行事であり、毎年八月に群馬の金色漢寺(こんじきおとこでら)にて行われます。

 

この合宿では毎朝3時に起床し、まず全員で整列しご本尊に向かって団歌詠唱を行います。

 

団長が『良し』と言うまでそれは止められません。

 

声が枯れ、 床に汗が溜まろうとも団長が納得しなければ、それは永久に続けなければならないのであります。

 

それが終わると次は本堂とご本尊の清掃を行います。

 

我が団と大変ゆかりが深く、毎年合宿所としてご協力いただいているこの寺に深い感謝の心で、精魂込めて丁寧に掃除を行うのであります。

 

 

清掃が終わり夜明けを迎える頃、ようやく朝食時間となります。

 

硬い板の間の上に正座をし、食事中は絶対に音を立ててはなりません。

 

もし無作法にも音を立ててしまったなら、その団員には《真・愛・団長ビンタ・ハキュ~ン》が炸裂します。

 

これは《愛・団長ビンタ・ハキュ~ン》の五連続往復ビンタ版であります。

 

 

 

バチン!ベチン!

「押忍! ご指導、ありがとうございました!」

「ハキュ~ン」

 

 

ベチン!バチン!

「お、押忍! ご指導、ありがとうございました!」

「ハキュ~ン」

 

 

この繰り返しであります。

 

 

これを受けた団員は鼻血と気絶必須であります!

 

 

そしてその後夕方まで、過酷な鍛錬と練習が行われます。

 

この内容についてはここでは触れません。しかし漢を磨き強くする為の最強のプログラムであることだけはお伝えさせていただきます。

 

その間、休憩時間はおろか食事の時間も全くありません。

 

まさしく団員は全員極限状態にまで追い込まれるのであります。

 

 

そして夜の就寝時にも試練が訪れるのであります。

 

この寺には我が団の初代団長『徳川拳四朗(とくがわけんしろう)』の即身仏が祀られております。

 

彼は大学を卒業後この寺にこもり、団の繁栄を祈念して自ら仏となった偉大な人物であります。

 

その徳川初代団長が鎮座する永遠漢堂(とわかんどう)が団員の寝所となります。

 

祭壇の中央で鎮座されているミイラ化した初代団長が見守る中、団員は板敷の上に直接雑魚寝となります。

 

漢(おとこ)の鍛錬に枕や布団などは無用であります。

 

そして偉大なる徳川初代団長の元で就寝出来る団員は誠に幸せ者であります。

 

 

しかし合宿の夜に限り奇跡が起こります。

 

初代団長が立ち上がり、就寝している団員の周りを徘徊するのであります。

 

この間、欠して物音を立てたり声を発してはなりません。

 

もしも音を立てようものなら、徳川初代団長に抱きつかれ、黄泉の世界に連れ去られてしまうのであります。

 

しかし困ったことに初代団長はもごもごと何かを口に発しながら徘徊します。

 

大概は意味不明なのでありますが、時々理解できる言葉が混じるのが厄介なのであります。

 

それは例えばこんなものであります。

 

「らき☆すた」

「ウェディングベル」

「幸せの黄色いハンカチ」

「お兄ちゃんを遂行する」

「バルス!」

 

これに反応せずに一晩を耐え抜く事により、何事にも動じない強い心を作り上げることができるのであります。

 

 

 

さて、次に合宿の最終日に行われる伝統儀式《団長飯》についてお話させて頂きます。

 

 

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