フロントミッションサードの二次創作   作:シットライヌ

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第3章:漆黒の網

第3章:漆黒の網

冷たい雨が叩きつける川崎の臨海工業地帯。錆びついたクレーン群が巨大な恐竜の骨格のように暗雲へと伸びていた。NGM社のダミー施設とされる巨大倉庫の周囲には、不気味なほどの静寂が漂っている。

「各機、状況開始。これより突入する」

『炎陽』のコクピットで国家情報局の冴子鷹司が静かに命じると、雨煙を突いて『強警』と『強盾』が同時に躍り出た。巽巡査部長が操る強警がショットガンを構えて側面の搬入口を蹴り破り、榊一尉の強盾が重厚なシールドを前面に掲げて突入の矢面に立つ。

倉庫内部は外観の廃墟めいた装いとは一変し、真新しい冷却ノイズと電子機器の作動音に満ちていた。大量のコンテナと通信サーバーが整然と立ち並ぶ中央区画で、複数の動体反応が跳ね上がる。

「敵機感知! 自動防衛システムじゃない……搭乗員がいる!」

海保の女性が駆る『陣陽』が、高所のアスファルトキャットウォークからライフルを水平に構えた。即座に放たれた精密な一撃が、物陰から顔を出したNGM社の警備用ヴァンツァーのメインカメラを過たず撃ち抜く。

しかし、『強警』がロッドを振り上げ、目前の敵機を殴り飛ばしたその時、異変が起きた。倉庫の天井を突き破り、漆黒の機体が舞い降りたのだ。それはNGM社の警備機とは明らかに異なる、曲面装甲と低振動アタッチメントを纏った無機質なシルエット——大漢中軍の非公認特殊部隊の隠密機だった。

「チッ……! やっぱり先客がいたか!」

『強盾』がマシンガンを掃射し、突進してくる敵機の装甲を弾く。大漢中の特殊部隊はNGM社の防衛部隊と主人公チーム双方に牙を剥き、狭い倉庫内は一瞬にして三つ巴の泥沼へと変貌した。

「動揺するな! 奴らの狙いもサーバーのデータだ!」

後方の『炎陽』から高精度のマイクロミサイルが連続射出され、入り乱れる大漢中機の足元をピンポイントで爆砕する。格闘の強警が前線で敵の姿勢を崩し、強盾が突進を阻み、陣陽が狙撃で退路を断つ。異なる組織の意地が噛み合った連携が、異国の影の部隊を確実に追い詰めていく。

だが、大漢中の隊長機が爆散する間際、外部スピーカーから掠れたノイズ混じりの通信が漏れ出た。

「……愚かな日本人どもめ。M.I.D.A.S.の欠片を手に入れるのは……我らだけではない……」

崩れ落ちる敵機の残骸を背に、巽巡査部が荒い息を吐き出しながら強警のコクピットで呟いた。

「どうやら、本当の地獄はここかららしいな」

言葉通り、倉庫の奥で赤く明滅する中央サーバーからは、M.I.D.A.S.再生産計画のコアデータがすでに国内の複数箇所へ分割送信されたことを示すアラートが響き渡っていた。

 

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