始まりは夏に入りかけの時期だ。
「なに、今の」
学校の景色がいきなり変わって、急に地獄の景色へ変貌したことを思い出した。
幻覚にしてはいやにリアルだったから、これはもしかしてオカルトというやつなのではと思った私はその足でオカルト部に突撃した。
「どうかしたんですか?」
結構奥まったところにあるから怖かったけど、部室には金森優太という同級生がいて安心した。
金森くんにさっき起きたことを話すと調査を約束してくれた。
その数週間後に、金森君が調べてくれたことを教えてくれた。
どうやらこれまでに何回か起きている事象みたいで、被害者も特にいないらしい。
ひとまず安心した。でも、これだけで終わらない予感もした。
一応金森君が追加調査してくれるらしいから大丈夫だと思うけど……
「今なんか後ろで音がしなかったか?」
「キノセイだよキノセイ!ウンウン」
と思っていたら、私とヨスガが教室から出た瞬間に教室の中で地獄が現れた。
ヨスガは幸い気づかせなかったし、教室からでたのは私たちが最後だったから誰かが被害に遭ったわけじゃない。
でも、巻き込まれそうになったのは事実だ。
金森君の調査に協力してみようと思う。
一番最初に地獄に会った場所を調べていると、また同じ場所で地獄が現れた。
その中で危険な目にも合った。
やっぱり、あの地獄はなんとかして封印しないといけない。
金森君の調査を手伝いながら、私は金森君からあの世界を封じる方法を聞いてみた。
「安心してください。来週、僕がやりますよ」
金森君はそう言っていたけど、私は不安で仕方なかった。だからこっそりと金森君の後を付いていったんだ。
そして、儀式の最中で金森君が地獄に吸い込まれるのを見た。
「え、え!?」
飛び出して金森君の後を追おうとしたけど地獄は閉じてしまった。
普通、地獄が消えると中に吸い込まれた人は出てくるはずだ。
でも、今日だけは金森君が出てこない。
つまり、もう誰も止めることはできない。
「いや……違うよね」
私だけは違う。
私は儀式っていうののやり方を少しは知っている。
大切にしているものを供物に必要なのも知っている。
私はカバンの中のゲームカセットを握りしめる。
「大丈夫。成功する。途中までは金森君がやってくれたんだ」
だけど、私は失敗した。
とっさに用意したから大切なものが足りなかった。
儀式の途中で察した私は何よりも大切なもの、自分の命を捧げた。
制服のネクタイを使って、輪を使って、そこに首を掛けて……
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一年後、ヨスガがこの異世界にやってきた。
やってきたっていう言い方は良くない。入れたのが正しい。
異世界の周りで自殺しようとしていることを察知した私は、とっさにヨスガが満たす異世界に入る条件を作って、ヨスガをこの世界に入れた。
本当は話したかったけど、現実に未練を残したくなかった。だから私はすぐにヨスガを追い返そうとした。
だけど、ヨスガが日本に帰る直前に私の姿を見られてしまった。
「キッカ!キッカだよな!絶対助けるから!俺、一年で方法を探し出すから、待っててくれ!」
私はその言葉に期待してしまった。
期待しすぎてしまった。
ヨスガともう一度会える!
でも、もう私はもう人間じゃなくなってるし……
そこで閃いた。
私のここまでの記憶を全部封印したら純粋な気持ちでヨスガと会えるんじゃない!?
私天才かも!
一応、思い出せなくなったらやばいから必要になったら無意識に記憶を封印した場所にたどり着けるようにしておけばもんだいない!
どんとこいヨスガ!
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「え、本当に?本当にこの記憶であってる?」
そんなくだらない理由で私ここまで苦労していたの?
でも、記憶はこれで完璧だって直感でわかる。
あの日見た白昼夢も、金森君との出会いも、自殺も、全部そろっている。
そして、この世界がもうすぐ終わることも、その対策に私が何をしたかったかも。
もう残された時間は少ない。
私は弾かれるようにワープを使った。
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「というわけですよ、灰原夜須賀くん」
「まじか……いやまじか」
概ねの話を聞いた俺の感想である。
俺があずかり知らぬところでそんな現代ホラー漫画みたいな展開が起きていたとは……つくづく俺はクソ野郎だったらしい。
「これからどうしますか?」
「決まってるだろ。菊花にあう。会って話をする。変わらない。俺は俺のやるべきことをやる」
掴んでいる糸が上に上がっていく。
多分この先でキッカに会える、そんな予感がした。