男子寮に入るはずが、なぜか女子寮で可愛い女の子たちに可愛がられてます 作:秋時雨-autumn shower
序章
ここは、私立大門字高校の寮
僕は今年からここに通う高校一年生の月見里阿斗里、十五歳男子。
何処にでもいる普通の高校生の僕には、二つ悩みがある。一つは自分の身長が中学生くらいに低いこと、もう一つは・・・
「あ、おはよう、阿斗里君」
男子なのに何故か女子寮で登録され、さらにはそこの女子たちから可愛がられていることだ。
第一章「なんで僕が女子寮に⁈」
なぜ僕が女子寮で過ごすことになったかというと、時は遡り・・・
入学式の日
「やっと式がおわったな」
入学式が終わり、寮の部屋を確認しようとしていた時、
「あっ、阿斗里君だ!」
突然名前を呼ばれ、その方向を見てみると、
「やっほ~、君の幼馴染の小鳥遊さとりちゃんだよ~」
そこには幼馴染の女子、小鳥遊さとりがいた。
「やあ、さとり、君も寮の部屋割りを見に?」
「うん!早くゆっくりしたいからね!」
彼女らしい。あとめっちゃ可愛い。なんてことを考えていると、
「今、可愛いって思ってたでしょ?」
と言われたので、「うん」と答えると、さとりは頬を赤らめて、
「そこ肯定するんだ⁈」といった。やっぱり可愛い。
「もう!早く部屋割り見よ!」と、さとりが言うので僕らは部屋割りを見て自分の名前を探すが、僕の名前がなかなか見つからない。
「あっ、あった!って、え?」
とさとりが言ったので、僕は、「どうしたんだ?」と言いながら彼女が見ている場所を見て僕は絶句した。
何故なら、そこにはさとりの名前と共に、僕の名前も書かれていたからだ。
「えっ?なんで僕の名前が?」
「知らないよ!でもちょっと嬉しいかも・・・」
「ん?なんか言った?」
「いや!な、なな、なんでも無いよ!」
「?ならいいけど」
と会話をしながら僕は全力で考えていた。
なぜさとりと相部屋に?そしてなぜさとりは少し嬉しそうなんだ?などと考えていると
「とりあえず、寮に行ってみようよ!」
とさとりが言うので、「そうだな」とテキトーに返事をしてしまい、「じゃあ行こ!」
とさとりに引っ張られて、僕たちは女子寮に向かった。
寮についてから、僕は気付いてしまった。
「僕、男なのに入ったらヤバくね?」と
さとりも、「そうじゃん!」といった。
いや気付いてなかったのかよ!
「まあ、それなら私の服貸してあげるからさ!」
「いや服の問題じゃないだろ!あとさとりの服を僕が着るとか色々と問題が・・・」
と抵抗する間もなく、さとりは僕を物陰に連れていき、僕の制服の上から体操服(もちろんさとりのだ)をどこからか取り出して僕に着せていった。てかめっちゃいい匂いする・・・
「うん!似合うじゃん!大きさがあってなくてぶかぶかだけど、それも可愛くて本物の女の子みたい!」
と言われた。やめてくれ。僕の羞恥心も考えてくれ!
「それじゃ改めて、行こ!」と言われ、彼女と一緒に女子寮に入った。
うわー、女子しかいない。まあ当然だけど。あと何故かすんごい良い匂いする
「てかマジでバレないんだな」すごいマジでバレない。
「そりゃあ、阿斗里君、男子がこの寮に入ることはないだろうし、男の子がこんな小っちゃくて可愛いわけがないしね!」
「だから可愛いって言わないでくれ。あと小っちゃいとかもだ!僕のメンタルが持たない」
「やだ!だってホントのことんだもん!」
などと馬鹿げた会話をしているうちに部屋についた。
部屋に入って安心したことが二つあった。
一つは、お風呂が部屋についていたことだ。
助かった。無かったらお風呂どうしようかと思っていたんだ。
もう一つはベッドが二段ベッドではなく、別々にあったことだ。これで安眠できる。
と、そこまで考えたところで自分が女子寮で過ごすことに疑問を抱いていない自分に気付いた。いやいや、なんで僕がここで過ごすことになっているんだ!
「やっぱり、先生に言いに行く」
「えー?いいのかなぁ?そんなことしたら君が困ると思うんだけどなぁ」
お前が連れて入ったんだろうが!と言いたくなるが、確かにそれは困るな。
「ぐぬぬ、何も言い返せない・・・」
「センセーに言わないでいたら、あたしも阿斗里君の女子寮生活に協力してあげる」
正直に言うと、その提案は今の僕にとってかなりメリットの大きい話だ。だが、
「その提案でのさとりのメリットはなんだ?」
そう。この提案のさとりに対するメリットが分からないのだ。
「それはね、秘密だよ」
「はぁ?」
「まあ、しいて言うなら君を女子寮に連れて入ったのはあたしだしね。センせーに言われるとあたしも困るから、かな」
最初に秘密と言ったってことは、本当の理由ではないんだろうな。
「まあ、その理由なら・・・」
「その代わり、夜の消灯時間の後はうるさくならない程度だったらあたしのこと、好きにしてもいいよ?」
「はぁ⁈ななな何言ってんだよ⁈」
「ていうのは冗談ね」
こいつ、一回ぶん殴ろうかな。
「ごめんごめん!マジで謝るから!」
そのあと、コンビニのスイーツを好きなだけ奢ってもらうことで許してあげることにしました。
そしてその夜・・・
「さて、そろそろ寝るか」
「そうだね。あたしもう眠いよ~」
そういうさとりの寝間着は、めっちゃ露出が多かった。私服も露出度高かったし、やばい、寝れるかな・・・
「おやすみ・・・阿斗里君・・・スゥ」
「いや寝るのはやっ!」
それになんか、寝てる姿もエロ・・・いやいやいや!幼馴染になんて感情を抱いているんだ!理性を保て僕!
「もう寝よう・・・色々と疲れた・・・」
それにしても・・・なんで僕が女子寮に?
第二章「なんで僕のことなんか⁈」
・・・というようなことがあり、一週間後、今に至る。
「おはよう、さとり」
でも、朝目が覚めたら美少女が隣にいる生活も、なかなか悪くない。
「ねえ、早く準備して食堂行こ!」
「ダメ。女装なのがばれたらどうするんだよ
僕、下手したら退学だぞ」
[えー、じゃあまた購買のパン?駄目だよ?しっかり栄養取らなきゃ]
「さとりは僕の母親か」
そんてことを話しながら身支度を済ませつつ
、僕は確かにどうにかしないと、と思った。購買のパンも飽きてきたし。
ちなみに、一応補食談話室という場所が寮内にあるが、食堂と同じ理由で使っていない。
僕、料理下手だし。さとりは料理うまいのかな?
「なあ、さとりって料理できる?」
「無理だなぁ。できるようにはなりたいんだけどねー」
「じゃあさとりに作ってもらうっていうのはむりか」
「そんなこと考えてたのか」
そりゃあ元凶はさとりだしね。しかし本当にどうしよう。
「あ、そうだ!川代さんに頼んでみたら?」
「川代さんって、裕理の彼女のあの川代さん?」
「そう、その川代さん!」
「川代さんって料理できるの?」
「できるよ!しかもめっちゃおいしい!」
川代さんというのは、僕の親友で幼馴染の海野裕理の彼女の川代氷華のことだ。
なるほど。しかも川代さんなら仲もいいからちょうどいいな。
「じゃあ頼んでみるか」
そう言って、僕はスマホを取り出し、LIMEで川代さんに朝食に弁当を作ってもらえないか聞いてみた。そしたら速攻で返信が来た。
「川代さん、なんて?」
「『全然いいけど、明日からでいい?』って」
「良かったじゃん!」
「まあ、今日は購買のパンで乗り切るけど」
といいつつ、川代さんにありがとうと返信した。これで僕の体の健康は守られた。
「さて、購買のパン買って学校行こ」
「んじゃ学校で!」
「ああ、学校で」と言って僕らは部屋を出て別れた。
さとりと別れてから僕は購買に向かった。さてと、今日のパンは何かなっと。
そして、ウィンナーロールを買って僕は寮を出た。
寮を出て最初にやることは、女子寮と男子寮の間、僕しか知らない秘密の通路で女装に使っている体操服のジャージを脱いで制服に着替えることだ。ちなみに、女装のために着ているジャージは僕の姉のものだ。
脱ぎ終わったらジャージを仕舞ってさっき買ったパンを食べながら男子寮側から学校に向かう。
男子寮側からいかないと他の生徒たちにばれてしまうかもしれないからね。
「おはよう、裕理」
「おう、おはよう阿斗里」
こいつが僕の親友であり幼馴染で美人の彼女持ちの海野裕理だ。僕が女装して女子寮で暮らしていることを知る、数少ない人間の一人でもある。
「どうだ?昨日の夜はさすがに何か進展はあったか?」
「いつも聞いてくるけど、何もないぞ」
「でもお前、さとりのこと好きじゃん」
「何言うてんねん!さとりとはな、お前よりも付き合い長いんやで?」
「どうして急に関西弁になった?」
「とにかく!僕はさとりのことは恋愛対象外だ!」
僕はそう言って、裕理の脇腹を軽くどついた。 そうすると、こいつはしばらく痛みに悶絶して喋れなくなる。そのうちに話題を変えることにした。
「そう言うそっちはどうなんだよ?川代さんと仲良くやってんの?」
「いてて、え?氷華と?もちろん仲良く相思相愛してるぜ」
「ならよかった。あ、そういえば、さっき川代さんに明日から朝飯に弁当作ってくれないか?って聞いてオッケーもらったから」
「?ああ、そうか。お前、朝食いつも購買のパン頬張ってるからな。てかなんで俺に言う?」
「だってお前川代さんの彼氏だろ?彼氏持ちの女の子に弁当頼むなら、その彼氏にも言うのが礼儀だろ?」
「なるほど」
そんな話をしているうちに校舎についた。
ここ、私立大門字高校は、中高一貫校で、中高合わせて千三百二十三人が通っており、その三分の二が高校生の割と大きめの高校だ。
ちなみに、さとりの妹ちゃんのこいしちゃんはここの中等部に通っている。
さとりに似てめっちゃ可愛いし、さとりよりもしっかりしてるからどっちが姉かよくわからなくなることがある。今度会いに行こうかな。
などと変態的思考を巡らせる間に、僕たちのクラスについた。1-Aが僕たちのクラスだ。
教室に入ると、さとりと川代さんがもう来ていた。
僕たちも支度を済ましてさとり達のところに行くと、珍しい人物がいた。
「あれ?柊じゃん!どうしたんだ?」
「いやさ、そこのさとりんの彼氏君に弁当作ってくれって頼まれたから弁当作ろうと思ってさ」
「さらっと僕のことをさとりの彼氏って言わないでくれないかな?」
「でも献立が思いつかなかったから料理上手の誠っちに献立考えてもらおうと思って聞いてたんだけど」
「それで?」
「ボソボソと喋ってて聞き取れないからさとりんと頑張って聞き取ろうとしてたところ」
あー、なるほどね。そりゃ無理もない。この柊 誠という男は、女子に耐性がないから緊張しているんだろう。
ましてやクラスの中でもトップクラスの美少女二人ともなればまともに話すことも出来ないのだろう。
「多分、裕理が聞いたほうがいい気がする」
「えっ⁈なんで俺?阿斗里が聞きゃいいじゃん」
「僕は弁当の献立とかはその時に知りたいタイプだから」
僕はそう言って席に着いた。そろそろ先生が来る時間だ。
「みんな席に着いて~」
そう言って入ってきたのは僕ら、1-Aの担任の谷口先生だ。彼女は僕らと年も近く、一週間で生徒と馴染んでいるようだった。
朝のホームルームが終わり、他の生徒たちは次の授業の準備をしていた。僕はというと、「谷口先生、話いいですか?」
「うん、いいよ。何か相談でもあるの?」
「相談というか、先生って、アクアリウムですよね」
「えっ、ちょっと他のところで話さない?」
「いいですよ。知られたくないんですよね?自分が人気コスプレイヤーのアクアリウムだって?」
「取り敢えずこっちに来てちょうだい」
なぜ僕が先生の秘密を知っているのかというと・・・
「ここならいいかな、さて、なんであなたが私の秘密を知っているの?」
「なぜって、前に何回かお話したはずですけどねえ」これマジで分かってないやつか。
「お話ししたって、いつ?」
「いやだなぁ、夏コミや冬コミで何回も会ってるじゃないですか」
これで分かってくれないかな。
「夏コミや冬コミって、あなた、まさかモナたん⁈」
「やっと分かりましたか」
「いや、まさか生徒の中に知り合いの、それもコスプレイヤーがいるなんて思わないわよ!」
まあ、それもそうか。
「こっちも思いませんでしたけど、声と雰囲気で大体分かりましたよ?」
「本当⁈」
「ええ、一瞬で分かりましたよ」
「マジで言ってるのね・・・取り敢えず、二人の時敬語は無しにしましょうか」
「そうだね。そうしてもらえると助かる」
プライベートの知り合いに敬語はきついものがあるからね。
「確かに、敬語外したらモナたんだわ。それで?そんなモナたんが私に何の用?」
「レイヤー仲間として、ここだけの話にして欲しいんだけど、僕の寮の部屋なんだけど」
「うんうん」
「女子寮なんだけど」
「ごめん、聞き取れなかったからもう一回言ってくれない?」
「だから、僕の寮が女子寮になってるんだって」
「なぜ?」
「分かんないから先生であるアクアたんに聞いてるんだけど」
察し悪いなあ。先生なのに。
「ちょっと待ってくれる?頭の中を整理したいから」
そりゃあそんな反応するよな。だって僕は男だし、もう一週間たってるし。
「つまり?一週間前に寮を確認したら女子寮で?それからさとりさんに半ば強制的に女子寮に連れていかれ、一週間たって今に至る。ということでOK?」
改めて整理してみると僕の高校生活えげつないなぁ。
「うん。その認識でいいよ」
「なんで先生には相談しなかったのかな?」
「さとりに、『いいのかなぁ?そんなことしたら君が困ると思うんだけどなぁ』と脅されてね。さらには『センセーに言わないでいたら、あたしも阿斗里君の女子寮生活に協力してあげる』と言われたからさあ、男としてはいえるわけないじゃん」
「ろくでもない理由ね」
「まあその後は特に何も起こってないんだけどね」
「ならいいけど・・・それで?私がアクアリウムだって分かったから、今さら言いに来たと」
やっぱ鋭いかも。この先生。
「レイヤーとしてだったら、学校とは関係ないからアクアたんなら絶対に秘密を守ってくれると信頼しての事だよ?」
「相変わらず卑怯な手口を使ってくるなぁ」
なんとでも言ってくれたまえ。僕のメンタルは鋼の硬さだからね。
「それで?それだけじゃないんでしょ、話は?」
「うん、実はコスについてで・・・」
これを言うのは少し恥ずかしいなあ。
「何か新しいことにでも挑戦するの?」
「いや、普段から軽くやってはいることなんだけど・・・」
「え?何かやってたっけ?」
「ヒントは僕がどこで生活しているか」
「・・・、まさか女装?」
察しわるっ!
「正解なんだけど、普通に考えて分からない?普段からってところで」
「それはそうだけど、なんでコスでも女装を?」
それ聞いちゃうのね。別にいいけど。
「今女子寮で生活することになった元凶にいつも僕の女装姿が可愛い可愛い言われるからさ。それならいっそのこと、コスに使えるのでは?と思ったから」
「なるほど、でもって学校ではメイクができないからやり方が分からない。それで同じくコスをしてる私に教えてもらおうというわけね?」
察しは悪いのに勘は鋭いなぁ。この先生は。まあ、とりあえず褒めておくか。
「ご名答!勘が鋭いね!というわけで、アクたん先生!今年の夏コミ、メイク教えてもらうついでに一緒に行きませんか?」
そうすれば僕の交通費が浮いてコスプレにまわせるし。
「ちなみに、断ったら、先生が人気コスプレイヤーのアクアリウムだってことを校内にばらしますからね」
「選択肢を与えてるように見せかけて、イエスとしか言えない聞き方やめんかい!」
やった!これで全て計画通りだ!
「ありがとうございます!谷口先生!」
「じゃあ夏コミの話はまた今度ね。いまはもう授業を受けてきなさい。月見里君」
そう言って先生は職員室に向かって歩いて行った。
「さて、教室に戻るか」
そうして僕も教室に戻った。ちなみに、授業にはギリギリだった。危なかった・・・
そして授業が全て終わり、帰ろうとしてたところで、「ね、ねぇ、月見里君」と僕に話しかける人物がいた。
「? なに?柊君」
「あの、月見里君の好きな食べ物を聞こうと思って」
「いいよ。あと僕のことは阿斗里でいいからそう呼んでくれると嬉しいな」
「わ、分かった、阿斗里君。僕のことも誠でいいよ」
「OK、それで、僕の好きな食べ物だっけ?そうだなぁ、基本なんでも食べるけど、しいて言うなら肉とかかな。ところで、なんで急に?」
「あの、川代さんに考えた献立を伝えようと思って」
「ああ、なるほど。じゃあ僕ともLIME交換しない?あとみんなでグループLIMEも作ってさ」
「え、いいの?僕なんかで」
「いいに決まってんじゃん!」
気付いたら後ろに裕理とさとり、川代さんがいた。めっちゃびっくりした・・・
「ほら、みんなもいいって言ってるんだからさ」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
「いやったー!」
そうして誠君はみんなとLIMEを交換してみんなでグループも作った。
「あ、それと阿斗里君。もう一つ質問してもいい?」
「いいけど、なに?」
「その、阿斗里君ってゲームとか好き?」
「うん!めっちゃ好き!」
「じゃ、じゃあ今度一緒にゲームしない?」
「する!」
「じゃあ今度の土曜にみんなでゲーム大会しね?」
「あたしは賛成!」
「うちも」
急に裕理が提案してきたが、今日仲良くなったやつといきなり距離詰めすぎじゃないか?まあいいけど。
「柊はどうする?嫌なら嫌で全然いいから気にせず決めてくれ!」
「じゃ、じゃあ僕も行きます」
「別にこいつの気にするなは本当に気にしなくてもいいんだよ?」
「い、いえ、僕も皆さんとゲームもしたかったので、ちょうどいいです」
「よっしゃ!それじゃ決まりだな!」
こういうの、青春っぽくて案外いいもんだな。
「じゃあ細かい予定とかはグループLIMEで」
そう言って各自解散となった。
そして僕は朝、男子寮に向かうのに使った通路でジャージを着た。これ着とかないと女子寮に戻れないからね。
ジャージを着て、簡単な女装を済ませたらそのまま女子寮に戻る。それから部屋に入ったら速攻で部屋着に着替えるのだが、たまにさとりの着せ替え人形にされる。今日は疲れてるし勘弁なんだが・・・
「ねえ阿斗里君!これ着てみて!」
結局さとりの着せ替え人形にされてしまったし、いつも女性ものの服なので着かたが分からないだろうとさとりに半ば強制的に着替えさせられるから僕にとっては実に屈辱的だ。コスプレイヤーなめんな!
なにより、一番恥ずかしいのは、服が似合うからといって、写真を撮られることだ。やめろ!ノーメイク状態の女装を撮るな!
そうして、さとりの気が済んだところで僕は自分の私服に着替えた。そうは言っても女子寮なので、女子も着てそうな服をチョイスしている。
「じゃあ夕食持ってくるね!」
さとりには、食堂から部屋に夕食を持ってくるように頼んであるのだが、いつも二人分持ってきて一緒に食べている。一緒にさとりのことも食べてやろうかと思う自分に少しの恐怖心を感じているが、そう思うのも仕方がないほどに、さとりはガードが緩い。緩いどころか、僕に対してはガードが全くないと言ったほうが正しいくらいだ。そんな状況で理性を保てている自分を誰か褒めて欲しいぐらいだ。今度川代さんに褒めてもらおう。
もちろん食べ終わった後の食器を持っていくのもさとりだ。よくよく考えてみると、まるでさとりが僕のパシリみたいになってるが、さとりが協力すると言ったので考えないようにしよう。
さとりが戻ってきたら、どちらが先にお風呂に入るのかをじゃんけんで決める。今日は僕が先に入ることになった。片方がお風呂に入っている間は、もう一人は勉強をしているのでゆっくり入ってもいいので、僕は一人の湯船を堪能していた。時々、もしさとりが急に一緒に入ると言って入ってきたらどうしようなどと考える時がある。今日もそんなことを考えていたら、
「やっぱりあたしも一緒に入る~!」という幻聴が聞こえた。ついに幻聴が聞こえるようになってしまったかと自分に関心と軽蔑の念を抱いていると、扉が開く音が聞こえたので見てみたら、そこには一糸まとわぬ姿のさとりがいた。
「えっ⁈さとりさん⁈なにして、というかまずタオル巻いて!あとこっち見ないでくれ!」
さとりに最低限のことを言って、僕はさとりを一旦外に出そうとしたところで足が滑ってしまった。
「いたっ!くない?」
体を起こすと、目の前が肌色一色、触ってみるとさとりの少し色気のある声がしたので僕は気付いた。これはさとりの胸だと。
「ご、ごごごめん!さとり!取り敢えず叫ぶのだけは勘弁しムグッ⁈」
さとりをなだめようとしてたら、なぜかさとりは僕の頭を自身の胸に押し付けていた。
予想していなかったさとりの行動に、僕の脳は混乱して、抵抗ができなかった。
「あの、さとりさん?これは一体?」
「大好きな阿斗里君を逃がさないようにしてるんだよ」
「大好きって、僕のことが?ごめん、苦しくなってきたので逃げないから離れてくれませんか?あとお互いにタオルを巻いて風呂に入りながら話しません?いくら四月といえど寒いし」
「そうだね。阿斗里君が一緒にお風呂入ってくれるならいうこと聞くよ」
そういって、さとりは僕の頭を解放してくれた。そしてお互いタオルを体に巻いて湯船につかった。体が触れてすんごいドキドキするんだけど。
「さてと、さとりさんよ。取り敢えず最初から全部説明してくれませんか」
「うん。端的に言うと、あたしは中学三年生の春から、君のことが好きでした」
は?去年の春?そんな前から僕のことを?なんで?
「もちろんその前から好きだったけど、それは幼馴染としての好きだったんだよ。でも、去年の春に君があたしのことを助けてくれてから、なぜか胸の奥がドキドキしてたんだ。君にとっては些細な事だったのかもだけど、それであたしは阿斗里君のことが好きなんだって気付いたの」
助けた?去年の春に?やばい、全然記憶にない。一体去年の僕は何をしたんだ?
「それからは、阿斗里君に色々アピールしてたんだよ?でも君は気付いてくれなかった。そしてそのまま一年が過ぎて、高校生になってからも好きって気持ちは変わらないし、むしろ大きくなっていく」
そうだったのか。なんかさとりが急に距離詰めてきた感覚はあったけど、まさかアピールされてたとは・・・
「高校生になって、寮生活だから阿斗里君と過ごせる時間が減っちゃうなって思ってたらね、寮どころか部屋まで一緒になっちゃったからね、あたしすごく嬉しかったの」
「それであの時嬉しそうにしてたのか」
「バレてた?それから、あたし冗談だっていってたことあったよね?」
「ああ、たしか、『あたしのこと、好きにしてもいいよ?』だったか?」
「そう。それ、恥ずかしくて冗談だって言って誤魔化しただけで、本当だったんだよ?」
「うん。それは今なら冗談ってことが嘘なんだなってわかる」
「あと、あたしの私服や寝間着が異様なまでに露出多めだったのも誘ってたんだよ。襲ってくれってさ。本当はすんごく恥ずかしかったんだからね、あれ」
「でも、さとりなら僕が襲わないって分かってたろ?」
「そうだけど、少しでも確率を上げたかったんだもん」
「まぁ、正直危なかったけど」
「なら、もうこれからは我慢しなくてもいいよ?あたしが全部受け止めてあげるから」
そう言うさとりは、とても魅力的だった。
「それはさすがに我慢するけど、もし我慢しきれなかったらな」
「分かった。でも、もしかしたらあたしが我慢できなくて襲っちゃうかもだから、その時はごめんね?」
意外と大胆なんだな、さとりって。
「それはその時だな。それにしても、なんで今まで好きだって言わなかったんだ?」
「それは・・・だって・・・好きだって言ったらこの関係が崩れると思ったから」
「そんなことで崩れるほど、僕たちの関係は弱くないよ。だって幼稚園の時からだぞ?」
「うん。そうだね」
「さて、じゃあ僕もここで一つ言ってもいいかな?」
「何?」
これを言うの滅茶苦茶恥ずかしいけど、さとりも想いをぶつけてくれたんだから、勇気だせ!僕!
「実は・・・僕も高校生活初日で、さとりのことが好きになってました」
「ほんと⁈」
「うん。高校生活初日の夜、さとりの寝てるところを見て、可愛いなって考えてたら、一緒に、好きだ、付き合いたいっていう気持ちがこみ上げてきてさ、それからずっと」
そう僕が言って、さとりのほうを見ると、彼女は泣いていた。
「ご、ごめん!僕、なんか嫌なことでも言った?」
「・・・そいよ」
「え?」
「言うのが遅いよ。バカぁ」
「・・・ごめん、遅くなって。それじゃあ改めて、さとり、君のことが好きです。付き合ってくれませんか」
僕がそういうと、彼女は泣きつつも笑顔で、
「あたしでよければ、こちらこそ」
そう言って、僕らはそっとキスをした。
初めまして
筆者の秋時雨といいます
この小説は、私が趣味として書いたものです
初めて投稿するので、おかしい部分とかが沢山あると思いますし
文章量も結構あるので、それでもいいなと思ってもらえたら、続編も投稿する予定なのでぜひ!読んでみてくださいね!
それではまた次の投稿で!