「なぁ、もしかしたらカネツグの能力って幻影を見せるだけじゃないかもしれないぞ」
「どういうことでやがりますか?」
「ちょっと考えればわかることだ、ただ幻を見せるだけでは痛みなんて感じない。おそらくお前の能力は『幻を見せることにより錯覚を起こす』能力だと思う」
「なるほど」
「それにそんな使い方次第では無敵ともなりうる能力だから副作用みたいなものがあるだろ?」
「え〜、まぁはい。大きめなモノを見せるのは2回が限度でやがりますかね」
「そっか。能力を使うにあたっては所々に幻で小さな攻撃を加えてくってことでかなりの効果があると思う。てなわけでゾロよ、剣術を教えといて」
「了解」
「あ、それと自分に対して錯覚させることができるようにもしとけ、いずれ使うかもしれない」
「わかりました。ほら、教えやがれ、ゾロ」
「なんでルフィには敬語なのに俺にはタメ口なんだよ‼︎」
「お前、戦闘員。俺、戦闘員。センパイ♪、船長。オーケー?」
「チクショウ‼︎」
そんなとある日の出来事。
適当に進めばナミに会えるんじゃね?みたいな甘い考えを持ちながら俺たちは海をただよっている。 ゾロはさっきからずっと見聞色の覇気の練習をしているしカネツグは武装色の練習をしているのでかなり暇だ。
ふと空を見上げると巨大な鳥が飛んでいた。
「ゾロ〜、あの鳥撃ち落として昼メシにするか」
「別に俺は構わないが」
「んじゃ『ゴムゴムの銃』」
鳥は俺の攻撃をかわして逃げ去っていく。生意気な。
「クソが。撃ち落として丸焼きにしてくれるわ‼︎」
「え、えとセンパイ♡?何をしてやがんです?」
「もちろんメシの確保」
「え〜」
確かに鳥を丸焼きにして食べるのは初めてだと抵抗があるかもしれない。だがそこは仕方がないものだと思ってもらうしかない。
「クソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがクソがァァァァァァァァ‼︎」
鳥はことごとく俺の攻撃を避け、どんどんと飛んでいく。見聞色の覇気で動きを先読みしているはずなのに鳥はその予想よりも速く動く。なんだあの鳥は覇気使いかよ。
ふと下を見るとそこには何もなかった。いつの間にか船から飛び出してきてしまったらしい。ゾロが狼にならないか心配だ。
そのまま鳥を追って少し経つと島が見えてきた。そこそこ発展した、少なくとも俺の村よりは大きな町は全然人の気配がしなかった。
「ハデに撃てぇ‼︎」
突然甲高い声が町の方から聞こえてくる。明らかに町には似合わない声だ。おそらくバギー一味だろう。
そこまで考えたところで俺の右側から赤い砲弾が迫ってきた。その砲弾には海賊旗のドクロが描かれていた。
「なんだったっけ、この弾の名前」
「これはバギー玉ってモノですごい破壊力を持っている」
「そうだった。………………………テメェ誰だよ‼︎」
独り言を言ったはずなのに返事があったからびっくりした。だけどそこには誰もいなかった。俺は空を飛んでいたんだぞ?ホラーだ、超怖い。しかし遠くに緑色の人影が見えたからきっとそいつだろう。
「ったく、誰だアイツは………っと危ない」
それはさておき、バギー玉を掴むとその勢いを利用して空中で一回転、そのまま打ってきた方角へと投げ返してあげる。俺って優しい。
ドカーン‼︎と凄い音の後に悲鳴が聞こえてきたけどどうでもいい。ここにバギーがいることは確認できたからナミもいるはずだ。
「な、何よあんた………」
下を見るとオレンジ色の髪をした女が俺を見上げていた。ラッキーだ。こんなにもすぐにナミに会えるとは。
「俺の名前はモンキー・D・ルフィ、海賊だ。初めまして、泥棒さん」
「ッつ‼︎海賊‼︎バギーの仲間⁈」
「心外だな、あんなピエロとは格が違う」
「見つけたぞ‼︎」
突如として現れたのは見るからに貧弱そうな武器を持った貧弱な野郎達だった。俺とナミのファーストコンタクトを邪魔しやがって。ぶっ飛ばすぞコラ。
「チッ、あんたも逃げた方がいいわよ。じゃないとあたしと一緒に追われるわよ」
「覇王色発動」
ナミが俺に忠告している最中に覇王色の覇気を使って気絶させる。今の俺なら東の海は覇王色だけで制圧することができるかもしれない。
「また………あんた本当に何者?」
「だから海賊だって。どこにでもいる普通の最強だ」
「普通の最強なんていないわよ‼︎」
「そんなことはどうでもいいからメシ食わせてくれないか?」
「海賊は嫌いだけどあんたは悪い奴ではなさそうだし………仕方ないわね」
「thank you」
一方、ゾロ達は
「クソっ、ルフィの奴どこまで行きやがった‼︎」
ゾロとカネツグはルフィの飛んで行った方角に船を進め、ルフィのいる島までたどり着いたところだった。
「ほら、行ってきやがれ」
「分かったよ」
カネツグは先ほど船のスピードを上げるために幻影で波を作り出したので船で休憩することにした。本人は気づいていないがやったことは紛れもなく錯覚させることであり、言われたことをすぐに可能にしていた。原理としてはゾロと自分に波があると錯覚させることによって船ごと前に進んで行ったのだ。
ゾロが行った直後、
「あ?なんだこの船は?」
バギーの仲間がカネツグのいる船を見つけてしまった。
「お、カワイイ子が眠ってやがるぜグヘヘ」
◻︎リコンであった。こいつが不幸だったのはカネツグが男であったこと、カネツグが寝ようとしていただけで実は起きていたこと、そして何よりルフィがいないことに苛立っていたことだ。
「うるせぇんだよ、吹き飛ばされたいんでやがりますかァ?」
「え」
それは一瞬だった。カネツグの右手からは荒れ狂う炎が吹き荒れ、男を包み込んだ。しかもそれだけではなく左手から強風を出し一層火の勢いを強めるとともに遠くへと吹き飛ばした。まだ簡単な幻なのでその程度だったら連発できる。最初の炎はただの幻なので気付けば消えるが2発目の風は男が風に吹かれたと錯覚したために吹き飛んで行った。長い間の能力の使用により、まだ無意識下ではあるがルフィの言ったことを実践している。
「ふぁー、寝よ」
教訓
カネツグの、寝込みを襲うな、殺される(五・八・五、字余り)
ゾロはと言えば、
「グアァァァァァァァァ‼︎」
先ほどカネツグが吹き飛ばした男が火だるまになりながら飛んできた。
「ウワァァァァァァァァ‼︎」
ゾロは大声をあげながら飛んできた男を蹴り飛ばした。実は現在ゾロの足には片方70キロの重りがついているが、ゾロはまるで何もないかのように蹴りを出した。ゾロは知らないがその声でカネツグがまた寝るのを邪魔されたことによりキレかけていた。
男は蹴り飛ばされた後近くの民家の扉をぶち抜いて突き刺さった。
「あっつあっつあっつ熱ぁぁぁぁ?あれ?熱くない?」
「ん?」
男はまるで幻だと気がつく前に炎が熱くないと気がついたように見えた。カネツグの幻影を解くには自ら気づくしかないはずだが………とゾロは珍しく頭を使った。ホント珍しい。恐らく一生分使ってしまっただろう。これで本当の脳筋になってしまった。かわいそうに。
そのまま少しゾロが走るとボロボロになったテントのある場所へとたどり着いた。そこは先ほどルフィがバギー玉を投げ返したせいで爆発が起こったバギーがいる場所だったのだ。
「あー、やってしまいましたね?おいテメェら、さっきの麦わら小僧を見つけ出してブチ殺しやがれ‼︎」
バギーは声の質感を変えながら指示を出す。はたから見るとピエロが面白い声でしゃべっているようにしか聞こえない。
「おい、その麦わらってルフィのことか」
先ほど脳を使い果たしたかわいそうな
「なんだぁ?オメェさっきの麦わら小僧の知り合いかぁ?」
「バギー船長!あいつ海賊狩りのロロノア・ゾロですぜ‼︎」
「そーかそうか。カバジ、やれ」
「了解しましたバギー船ちょグハァッ‼︎」
ゾロの前に一輪車に乗った変な髪型の男が飛び出してきたが見聞色の覇気を僅かながら使えるゾロは冷静に対処してみぞおちに蹴りを入れただけでカバジを倒した。
「カバジちゃーん?」
バギーが間の抜けた声を上げるがカバジは倒れたままだ。
「こうなったら俺自らやってやる。ハデにいくぜぇ‼︎」
バギーはそう言ったものの一歩も動かず、ゾロの攻撃を待っているようだった。ゾロはそんなバギーに近づき、刀を一閃した。明らかに一撃で終わるほどの攻撃だったがバギーは、
「バラバラ緊急脱しゅホゲェェェェ‼︎」
かわせなかった。正確には斬撃はバギーの持つバラバラの実の能力によって無効化したもののゾロは刀を振った勢いのままバギーの腹を殴った。
「めんどくせぇな。ったく、おーいルフィー‼︎」
ゾロは大して疲れた様子もなければ戦闘を行ったという雰囲気も出さずにルフィを探しに走り出して行った。………ルフィの去った逆方向に。
「あの野郎、ぶち殺す‼︎」
バギーの言葉はゾロには届かなかった。
「え?勝っちゃったよ」
木の陰から見ていた緑色の人物は特徴のない声でそう呟いた。
今回出てきた緑色の人物。名前はセロリマン。番外と言えない、もう一つの本編でそちらの様子を書きます。
メインヒロインがグランドライン突入した直後に出す予定なんですけど東の海の事はサクッと簡潔にしたほうがいいですかね。