海賊世界の3つの楽園   作:佐為苦露譜洲

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無駄に長くなりました。


第9話:泥棒猫と無駄野郎

「で、なんでお前は追われてたの?」

 

ナミと一緒に適当に家に入って飯を食っている時に質問を投げかけた。町は無人だったから不法侵入だけど海賊なんだから関係ない。

 

「ちょっと海図を盗み出したらバレちゃって」

 

なんでもないかのようにサラリと言った。分かりきってはいたことだがナミはセコい。

 

「それでバギー一味に追われていた、と。ついでに俺が海賊だと言った時に嫌そうな顔したけどなんで?恩人が殺されたとか?」

 

「ま、似たようなものね。アンタには関係ないけどね」

 

似たようなもの(・・・・・・・)?原作では親代わりの人が殺されたうえで村の人間を人質に無理矢理仲間にされたことで嫌っていたのではなかったか?アーロンは人間に対して躊躇無く殺せるようなやつだったはずだが………?先ほどの緑といいカネツグといい今回のことといいイレギュラーがすでに多すぎる。どうしたものだろう。

 

「なあ、俺と手を組まないか?」

 

「嫌よ、海賊なんて」

 

お前の願いを叶えてやる(・・・・・・・・・・・)、と言ったら?」

 

「どういうことよ」

 

「お前は先ほど俺の質問に対して『似たようなもの』と言ったな。つまりまだ死んではいない、ってことだ。違うか?」

 

「………………ええ、その通りよ。死んではいないわ。でも昏睡状態なのよ………‼︎そしてあいつらは目を覚まさせる方法を1億ベリーで教えてくれるって…………‼︎」

 

魚人ということは力に任せて脳に異常を起こさせたか毒かのどちらかだろう。魚人が目を覚まさせるということは恐らくは後者だろう。魚の毒を混合したものだと確かに現在医療では難しいだろう。しかしこの世界(ONE PIECE)の医療は正直なところ俺の知識と差がある。この世界ではダメでも俺の知識を使えばなんとかなるかもしれない。まぁそれも知識だけだから実践することは難しい。

 

「目がさめる可能性がある、と言ったら?」

 

「あり得ないわ‼︎お医者様でも無理なことをアンタみたいな海賊が出来るわけないじゃない‼︎」

 

「俺は確かに海賊だ。だがそれと同時に技術者でもある。ついでに医療知識もそこらの町医者には負けない程度は持っているつもりだ」

 

そう言って俺は懐からあるものを取り出す。

 

「これは?」

 

演算兵器(スマートウェポン)だ」

 

取り出したものは既存の銃に比べて少々ゴツい銃。

 

「ハイ、これ持ってろ」

 

「え?え?豆腐?」

 

ナミに渡したのはどこにでもある木綿豆腐(手作り)。大きさとしてはナミの顔の半分ほど。それに向けて銃を構える。

 

「え………?」

 

銃を向けられたナミは一瞬惚けたものの自分が武器を向けられていることに気づいて慌てだした。だが、俺は無視して発砲する。パン、と軽い音と同時に銃口から飛び出た弾丸はナミの持っている豆腐(手作り)に吸い込まれるようにしてあたった。

 

弾丸は手作り(豆腐)の中に留まり、ナミには破片すら飛ばなかった。

 

「ちょっとアンタ殺す気‼︎」

 

「まあまあ、これで俺の技術力はわかった?」

 

「分かるか‼︎」

 

「そりゃそうだ」

 

わざとらしく顔を背ける。もちろんふざけてやっている。

 

「他にも色々とあるけど今持ってるのはこれだけ。それ以外はパーツごとに分けて船にある。とまあ冗談はこれまでにしてどうよ、仲間になる?それともコソ泥のまま金を集める?」

 

「………確かにあんたの技術力は高いかもしれない。でも1億ベリー稼いだ方が確実よ」

 

1億ベリーと言えば大人が一生かけても貯まるかわからないほどの大金のはずだが懸賞金が軽く億越えするような海が後半の方に広がってるからなぁ。

 

「頭を使えよ。お前の嫌いな海賊はそんな1億ベリーも貢いでくれる金ヅルを簡単に手放すとでも思うか?大方手を組んでる海軍の懐に入るだけだろ」

 

「そんな……………」

 

ここで不思議に思ったことがある。ベルメールの目を覚まさせるのに1億ベリーならば村を買うための金は一体どこに行った?もしかしたら別に1億ベリーを集めなくてはいけないのだろうか。それとも1億ベリーでベルメールと村の両方を救えるのか、一体どちらなのか。ないとは思うが村人は人質になっていないとか?いや、それはないだろう。人間嫌いのアーロンが村人から税金を集めないわけがないだろう。ベルメールは見せしめとして意識不明にされたのだから他の人も同じようになっている可能性がある。確か原作では村一つが壊されていたはずだ。

 

「分かったわ。でも仲間にはならない。手を組みましょう」

 

先ほどとは違い、目に光が灯る。絶望しているような濁った目ではなく、わずかな希望を見出した、信じたいと思う気持ちが見て取れる。

 

「今はそれでいいだろう。だが、意地でも仲間になると言わせてやるぜ」

 

原作とは違う流れだがナミの手を組む発言いただきました。と、その時。町の至る所から爆発音が聞こえてきた。爆破音が通常の大砲よりもわずかにでかいのがいくつかある。バギー玉をばら撒いてるのかもしれない。

 

「ちょっと待っとけ。すぐに終わらせてくる」

 

そう言ってナミをその場において剃で爆破音の中心部、恐らくはバギーの居る場所へと移動した。本来なら町長や犬と会わなくてはならないだろうがそんな暇はない。近頃、剃を使う頻度が増えてきたせいか靴がボロボロになってきた。いずれ帰る予定だったがなるべく早くしたほうがいいのかもしれない。

 

10秒とかからず辿り着く。予想どおりそこは大砲がわんさかと置いてある場所だった。先程の拠点よりもわずかに高い場所で撃ち下ろしたのだろう。だがそこにはバギーの姿はなくゾロとゾロに斬られたモブ達しかいなかった。

 

「お前何やってんの?」

 

「いたぁ‼︎ルフィ‼︎全くどこに行ってやがった」

 

「それこっちのセリフな。で、何やってんの?」

 

「それがな…………………」

 

ゾロの話をまとめるとバギーを殴り飛ばした後に街を走り回っていて、見つからないから休憩していたところ大砲がたくさん運ばれてきていきなり撃ち始めたために声をかけたところ襲い掛かかられたり。一輪車に乗った変な奴を最後に切った後は誰もいなくてまた探しに行こうとしたところ俺がきた。ということらしい。もしかして一輪車に乗った変な奴ってカバジのことか?もしそうだとしたらバギーに刺された筈。だがゾロは傷一つなかった。つまりゾロはすでにバギーのような特殊な悪魔の実の能力者相手に落ち着いて対処したということだが…………?聞いてみたところやはりそうだった。これは予想よりも成長速度がかなり速い。

 

ひとまずゾロと別れてバギーを探すことにした。ゾロは変なライオン…………名前なんだったけ、とにかくそいつを探しに行かせた。ナミが宝を盗んでいないからナミのところにはいかないはず………そう考えていた時期が俺にもありました。ナミはグランドラインの海図を持ったまんまだしあの泥棒猫が宝を盗みに行かないわけがない。どうせあいつのことだから色々な手練手管で盗み出してしまうだろう。

 

わずか数分後。宝の入った袋を持ったナミを追いかけている上半身だけの変態……もといバギーを発見した。

 

悲鳴を上げて逃げ回るナミ。それを追いかけるバギー。正直、関わりたくない。ここで俺が颯爽と現れてバギーをボコボコにすればいいのだろうがどうにもやる気が出ない。バギーの飛ぶスピードは思ったよりも速くないためナミならば捕まらないで済むだろうが赤鼻のピエロの上半身に追われるとなると精神的ダメージの方がデカい。

 

そこまで考えてナミを助けるためにバギーとナミの間へと飛び込んだ。いきなり現れた俺に2人は驚き、動きを止めた。その隙にバギーの下半身を引き寄せ強制的にくっつけさせる。斬撃を無効化するバギーのバラバラの実の能力だが嵐脚は効果があるのだろうか。打撃を無効化する俺に効くということは斬属性の攻撃のはず。嵐脚を放つ。予想通りバギーには効かないようだ。バギーがようやく俺のことを認識したらしく「麦わらぁ⁈」と間抜けな声を出しているが気にせず嵐脚でぶつ切りにする。そこで頭と手首、足首だけを接続させて吹き飛ばせば後は原作通りに事が進むはず。

 

と、その時右横の民家が吹き飛んだ。そこから飛び出してきたのは顔面が陥没しているおっさんと黄緑色に光る男にアイアンクローを極められている巨大なライオン。それにアイアンクローをしている男。ついでにゾロだった。男は先ほど見た黄緑色の影と同じ覇気をまとっていた。そのままおっさんとライオンをまとめて放り投げるとちょうど俺の鼻頭を掠る距離でバギーを弾きとばした。バギーは頭を中心に幾つかのパーツとともに星になったが胴体のパーツはそのまま。つまり頭と手足だけの化物になってしまった。吐きそう。おっさんとライオンは仲良く気絶し向かいの民家に突っ込んで止まった。

 

 

「おーいゾロ、大丈夫?じゃなくてもいいか別に」

 

とりあえず表面だけ心配してゾロに声をかけるが反応がない。へんじがないただのまりものようだ。ふと横を見るとナミがどこからか取り出した手配書を握り締めながらおっさんとライオンを吹き飛ばした男を凝視していた。

 

「セ、セ、セ、セ、セ、セロリマンンンンンンンンンン!?!?!?!?」

 

どうやらナミは知っているらしい。だが男ーーセロリマンの格好は個性作りましたよ臭がするほどに奇抜なものだった。

 

髪は黄緑色に染め上げツンツンと逆立ち、同じような色合いの何処かの死神がつけているような面をつけ、足首まである長いロングコートは上に行くにつれて白から黄緑色へと綺麗なグラデーションをつくり、白いズボンとロングブーツはスマートな印象を与える。身長は基準がわからないがデカい方か200cmを越えるかもしれないほどにデカい。

武器らしいものは全く見当たらず細身ながらも鍛え上げられた強靭な筋肉があることがわかる。明らかに強者のはずだが発する覇気はただの一般人と大差ないものである。

 

「いかにも。オレは手配書などにはセロリマンと書かれているものだ‼︎」

 

声は正直なところ個性が全くないような声だ。だが、どこにでもいそうなのにどこにもいない、そんな雰囲気のする声だった。

 

ナミはその宣言を受けて真っ白になってしまった。肩を叩けば灰になって消え去ってしまうのではないかと思うまでに。ナミの手から手配書をひったくるとそこには全く同じ格好をした人物が聖地だと思われる豪華なところで辺り一面炎に囲まれながら堂々と立っている姿が映し出されていた。

 

 

DEAD OR ALIVE

 

CELERYMAN

 

490,000,000

 

 

「は?」

 

もう一度数えてみたがやっぱり俺は間違ってなどいなかった。今目の前にいる男の懸賞金額は4億9000万ベリー。これは白ひげ海賊団にいるはずのエースに次ぐぐらいの高額懸賞金で、途轍もないことをしなければこんな額にはならない。世界トップレベルの賞金稼ぎや海軍本部の将校が出てきてもおかしくないレベルの人物なのだ。

 

「4億9000万ってマジかよ……。何したらこんなことになんだよ」

 

「聖地行って天竜人を殴って大将の追跡から逃れれば」

 

「前言撤回。安すぎじゃね?」

 

安い理由としては海軍の威厳を保つためだろう。聖地への侵入を許した上に海軍の精鋭の追跡を逃れられたとすれば公表した途端に海軍の権威は地へと落ちる。大将の追跡を逃れられたということで高額懸賞金首にするしかなかったのだろうがそれにしても安い気がする。

 

「なんでここにいるかは置いといて、仲間にならないか?」

 

「いいぞ」

 

「「いいの!?」」

 

ありえないほど簡単に。怪しさMAXだ。どこからどう見ても不審人物が怪しい勧誘に即答する姿は通報モノだ。懸賞金首だから通報されるのは当たり前だろうが。

 

「ちょっと待てルフィ。こんな怪しい緑色の奴を仲間にして大丈夫なのか?」

 

ゾロが横槍を入れてきた。もっともなことだがすでに決まったことに反論されたくはない。同じ緑のくせに。

 

「同じ緑のくせに(笑)」

 

「ぶった切るぞルフィ‼︎」

 

刀を抜くゾロを無視して話を進める。

 

「ところで、セロリマンってのは名前じゃないよな?そうだよな?」

 

セロリマンなんて変な名前をつけられたのなら親は一体どんな思考回路をしていたのだろうか。一度会ってみたい気がする。

 

「セロリマンってのは昔海兵からそう呼ばれただけでいつの間にか世間一般に広まっちゃった名前なんだ」

 

その海兵のネーミングセンスに脱帽。

 

「それじゃ本名は?本名な。偽名はダメだ」

 

「名前、か。だいぶ昔に捨てたなそんなもの。好きなように呼んでくれて構わないぜ(キラッ)

 

大柄な体をしていていかつい仮面をしている男が声色一つ変えずにキラッとか言っている姿は滑稽であるとともに恐ろしいものがあった。

 

「んじゃジョン・スミスで」

 

「うわー全く考えて無さそうな名前ね」

 

「なにその七夕の日に現れそうな未来人の名前は」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

確かに考えるのがめんどくさかったから適当な名前にしたけどセロリマンの反応は明らかにおかしいものがある。普通はナミのような反応をするだろうが違った。

 

「んじゃゾロ。2人を船のところまで案内しとけ。2人は乗ってきた船をもってこい。俺はちょっと用事があるのでまた後でッ‼︎」

 

そう言い残して剃で移動する。目指す場所はバギーが拠点にしていた場所。すでに戦闘員は全員ゾロにやられているだろうからバトる可能性は少ない。あっという間にたどり着いて目的のものを探す。

 

「流石バギー。結構あるな」

 

目的のものは思っていたよりも多かった。バギーは東の海ではそこそこ名の知れた海賊だし仲間も多かったから多いとは思っていたがこれほどとは。

 

ひとまとめにして船を止めた場所まで向かうとそこにゾロの姿はなかった。しまった。ゾロが方向音痴だということをすっかり忘れていた。

 

「あーあミスったなぁ全く。見聞色」

 

見聞色の覇気を最大展開すると軽く見つかった。ゾロ、ナミ、セロリと3人固まっていたが他に1人と1匹?が一緒にいた。恐らくはプードルと町長だろう。いや、なんかおかしいな。プードルという名前の町長と犬か。何にせよこの町に一番詳しい人物がそばにいるのだ。港にたどり着くのは容易いだろう。予想道理3人は真っ直ぐ港へと向かってくる。その途中でなぜかゾロの反応が消えたがどうでもいい。

 

「悪かったな。ゾロが方向音痴だってこと忘れてたわ」

 

「いいってことよ。無事辿り着けたことなんだし」

 

「無事っていえるのかしらコレ」

 

ゾロはセロリに引きずられながらやってきた。なぜかゾロの頭には大きなたんこぶ。

 

「大丈夫だろ。ゾロなんだし」

 

「そうだな」

 

全く、ひどい奴らだ。俺もその一員だが。ゾロを適当に船に放り込むと中から「むぎゅっ」と潰れるような声が聞こえてきた。2人分。

 

「わ す れ て た !!!!」

 

カネツグが中にいることをすっかり忘れていた。俺としたことが……‼︎ゾロのような天然記念物を別ベクトルの天然記念物のそばに投げるとは……‼︎

 

ゾロは投げ込まれた後、目を覚ましたがすぐに吹き飛ばされて海に落ちた。目を覚ましたカネツグが何かしたのだろう。

 

「ガボッ‼︎ルフィ‼︎たずッ‼︎けろッ‼︎」

 

「ムリデス。オレ、ノウリョクシャ。オヨゲナイ。まぁおふざけはやめよう。今ゾロを吹き飛ばしたのがカネツグだ。こいつも能力者だから海に突き落としたりなんかしたら耳の穴からムカデ入れるから」

 

その言葉を聞いてナミは分かったようだがセロリはわからないようだ。

 

「ところでナミの船はあるけどセロリの船は?見当たらないぞ」

 

「ないよそんなもん」

 

「は?」

 

「だから船なんて乗ってきてない。海の上を根性で走ってきたから」

 

「oh……それじゃ俺たちの船に乗れ。カネツグはナミの船に乗ってこい」

 

「りょ〜か〜いしました〜」

 

寝起きなのか声が間延びしているカネツグ。これはこれでイケる。

 

「ゲボッ‼︎も……ダメだ……」

 

ふと声がする方を見ると沈んでいくゾロ。アレ?

 

「フリじゃねぇのかよ‼︎ちょ、誰か助けてやってくれ‼︎」

 

「任せろ‼︎」

 

そう言って綺麗なフォームで飛び込んだセロリ。ただ、それは【泳ぎ】ではなかった。水と空気の中間を勢いよく蹴ると水しぶきが起きて魚雷も真っ青なスピードでゾロに向かって突っ込んでいった。ここで問題だったのがゾロの手をつかんで引き上げればよかったものを足をつかんで逆に沈めてしまった。とてつもないスピードで掴まれたゾロにかかる水圧は計り知れない。

 

しばらく経った後、海の中から垂直に飛び出してきた。ゾロは白眼をむいているようだが意識はあるようだ。

 

「なんで溺れたんよ。泳げるだろお前」

 

「足が……足が……重い‼︎」

 

要は足につけている重りが水中での動きを阻害したために泳げなかったと言っている。水中でも大丈夫だと思っていたが無理らしい。

 

「まぁいいや。行くか」

 

まぁいいやで済ませる。客観的に見るとこれ以上ない最低野郎だがゾロ相手なら許される。と信じている。

 

その後は原作とは違うが同じような流れで進んでいった。ナミの持っていた宝のうちの1つはセロリが勝手に置いていったためにナミに激怒された。俺が持ってきたものは今はまだ必要ないからしばらくは置いておく。メリー号が手に入り次第使うようになるからすぐ使うかもしれないが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、ゾロたちが寝静まった後ルフィは見張りと称して海を眺めている。ルフィ以外はしっかりと深く寝ている。筈だった。

 

「で、なんか用かよ」

 

背後に誰かが立つ気配を感じて声をかける。背後に立ったのは先程の目が痛くなるのか鎮静効果があるのかよくわからない格好を止めていないセロリマンだった。

 

「おう、ちょっと話がある」

 

「奇遇だな。オレもあるぜ」

 

ルフィはマストをよじ登り天辺に座った。風はないものの少しバランスを崩しただけで落ちてしまうような不安定な場所、ルフィはそんな所にまるで酒場の椅子に腰掛けるように乱雑に座った。

 

「お前怖くないのか?」

 

「はっ、怖いわけないだろうが」

 

「根性あるな」

 

「声デケェよバカ野郎。で、何の用だよ転生者さん?」

 

「ってことはお前もそうなんだな麦わらのルフィ」

 

「やっぱそうだよな。大体お前はヒント出しすぎなんだよ。原作に登場しないキャラがいきなり出てきて勧誘を断らない?怪しさMAXじゃん。そもそも俺だって転生者なんだから相当警戒してたんだよ俺以外の転生者がいるかもしれないってなぁ。なんにせよその反応だけで自白したも同然だろ。もっと演技力つけとけよ」

 

「はぁ、まぁ解っちゃうよな。オレは一応お前よりも年上だから先輩だな」

 

「知るかボケ。ついでに聞くけどお前は天竜人か?」

 

「あぁ、よくわかったな。そんな素振りなんて一切見せなかったつもりなんだけどな」

 

「カネツグがな、昔天竜人の奴隷やっていてその時に悪魔の実を食わせられたらしいんだがどっかのお人好しの天竜人が逃がしてくれたらしいんだよ。それがお前じゃねえかってな」

 

「んー?あー?あー?あー‼︎あの時の子か?」

 

「心当たりはあるんだな。まぁこれで原作を壊せることの証明になったし。それにしても面倒くさい事してくれたよなお前」

 

「?どういうこった」

 

「東の海では大人しく過ごそうと思ってたのに余計な真似しやがってよぉ。お陰でプランが一気に崩壊寸前、再度組み直すのは容易いことだが面倒くさいし」

 

「別にいいだろ人助けぐらい」

 

「それで?お前の用は何なんだよ」

 

「お前のと同じ」

 

 

その後十数分間は会話らしい会話は全くなく、ただいたずらに波に揺られ風に吹かれ過ごしていた。ルフィはその間一度も下に降りず、セロリマンも一度も上を向こうとすらしなかった。

 

 

「なぁ、お前って前世の記憶あるか?」

 

唐突にルフィは誰かに問うわけでもなくポツリと呟いた。無論そんな話題が通じるのは下で酒を飲んでいるジョンしか居ないのだが。

 

「一部を除いてハッキリと覚えているけど?」

 

「どういうことだ?」

 

「うーん、“経験はあっても知識はない”ってところだな」

 

「?なんだそれは」

 

「何かをした、例えば1日の行動とかは覚えていたんだがな、それが意味することが全くわからないんだよ。他にも勉強したという記憶はあるけど何をしたのか覚えていないし。自分が何者だったかはハッキリと覚えている」

 

「ふーん。なんか面倒くさいなそれ。………お前は良いよな」

 

「俺はな、お前とは全くの正反対なんだよ」

 

「ふーん。で?」

 

「………ちょっと傷ついたわ今の返答。まぁそれだけだったらよかったんだがな、俺の頭には色々と兵器の設計図やら機械やらの知識が大量に入ってるんだわ」

 

「ふーん。で?」

 

「………お前寝てねぇ?想像してみろよ、目が覚めたらどこか知らない場所にいて漫画の中の登場人物の名前を呼ばれんだぜ。しかもその漫画以外にはほとんど覚えているものがない。自分が誰だったのか分からずに理性はしっかりとある。しかも頭の中にはどこで手に入れたかわからない殺人兵器の設計図がたーくさんある」

 

「それは………いやだな」

 

「だろ?だから俺は最初は錯乱しまくってた。赤ん坊の頃だったから随分とよく泣く元気な子だとでも思われてたかもしれねぇがな」

 

「オレは自分が誰かわかっていたからそこまで錯乱しないで済んだが確かに自分のことがわからないで理性だけあると怖いよな………根性出して頑張ればよかったのに」

 

「出来るわけねぇだろうがタコ。ま、それも2、3年で落ち着いて俺は《漫画の主人公》の“モンキー・D・ルフィ”として生きることにした」

 

「なんでだ?自由に生きればいいじゃないか」

 

「“モンキー・D・ルフィ”として生まれたからには絶対にやらないといけないことがあるんだよ。ナミだってほっときゃアーロン達に死ぬまで使われる。ドラム王国だって再びワポルが王座に着く。アラバスタだってクロコダイルに乗っ取られる。空島だってエネルに消される。他にもたくさんある。どれも“モンキー・D・ルフィ”が助けるとわかっていることだ」

 

「他人に任せればいいじゃないか」

 

「必ず助かると決まったわけではないだろ?もしかしたら誰も救わずに終わるかもしれない。だったら俺が“モンキー・D・ルフィ”として助ければ確実に上手くいく。要は俺は“モンキー・D・ルフィ”を演じているわけだ。幸いなことに俺には恐怖心ってもんがないから火の中水の中どこでも大丈夫なんだよ」

 

「恐怖心が無いだと?」

 

「そう、その代わりに俺にはとてつもない身体能力がある。1度だけ全力を出したがそん時はゴア王国の都が3割消し飛んだだけで済んだ」

 

「お前の仕業だったのか………根性あるなお前」

 

「何お前、根性論信者かよ。まぁそんなことがあったから今は色々と工夫して押さえ込んでいるから弱くなってるかもな」

 

「弱くなってるとか言って実は強いんだろ」

 

「当たり前だ。ギア2も工夫を加えて凄いことになってるし、他にも色々と10年間で技を身につけたからな」

 

「まぁいつか喧嘩してみたいな」

 

「望むところだ。ま、色々あって俺は転生者として自由に生きることができるのはもうちょい後、それまでは暫くあいつらの前では仮面を被ってることにするさ」

 

「仮面?なんの事だ?」

 

「あいつらの前だと軽い調子でいないと面倒くさいんだよ」」

 

「んー確かにみんなの前だとおちゃらけたバカみたいな奴だったし………」

 

「お前絶対俺に喧嘩売ってるよな」

 

「うん」

 

その後は一切の会話はなく、2人は自然と眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勿論ルフィはマストから転落して海に落ち、ゾロたちの眠りを妨げた上に一時パニックとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば可愛いは正義って言ってたらしいがあれも演技なのか?」

 

「んにゃ本心(マジ)

 

 

 

 




バギーが空気に。

バラバラと聞いてバラバンバラがパッと出てきました。ナゼだッ‼︎

次回、シロップ村編ですが軽く流して終わらせるかもしれません。
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