作戦を部長から聞いて、俺と一誠、小猫は体育館に向かっていた。
正面はダメだ。もう相手が陣取っていることは予想していたほうがいい。
となると、裏から入るしかないってわけか。
気配をできるだけ殺しながら、体育館の舞台裏まで行く。
合宿のお陰か、防具を創造できたお陰なのか少しだけ気配を察知できるようになっている。
……相手は四名か。これは大変そうだ。
「そこにいるのはわかっているのはわかっているわ! 貴方達がここへ入り込むのを監視していたんだから!」
体育館に響く声。あの声は確か…、俺に勝負を吹っかけてきた女の子だな。
「…どうやらバレているらしいぞ?」
ワザとらしく肩をすくめる俺。
「…そうですね。だったら真正面からいきましょうか」
小猫の言葉に頷く一誠だったが、俺は頷かず小猫に話す。
「二人はあの四名を相手していてくれ。俺はギャラリーから援護する」
「援護って何をする気だ?」
一誠が訊いてくる。俺は無言でドラグノフを呼び出す。
「これで援護する。相手を殺さないように、バレないようにするからな」
「………はい。わかりました」
納得のいかない様子の小猫だが、頷いてくれた。
「じゃ、頑張れ」
翼を広げてばれないようにギャラリーへ飛ぶ。
着地して、一誠達の様子を見に行く。
小猫は相手の『戦車』と
一誠は三対一という不利な状況にも関らず、着々と力を貯めている。
「さて、俺も仕事をするかな」
柵の間から兵士の一人を狙う。狙う場所は動きを止めるため足を狙う。頭、心臓に近い場所は狙ってはいけない。さすがに死んでしまう。
「くそっ、動きが激しくてよく狙えない…!」
まずは棍を扱う女の子、ミラを狙う。
少し動きが鈍った所を狙い撃つ!
パァンッ!!
超音速の弾丸が少女の足を貫く…!
「ああぁッ!?!」
ミラはそのまま倒れ、足を押さえる。
「あ、くぅ! き、気をつけて…! 私達は…、狙われているよ…!」
ミラの言葉に他の奴もキョロキョロと警戒する。
…余計な事を。狙撃できる機会はあと一回と考えたほうがいいな。
今度は小猫と闘っている『戦車』を狙う。
だが、小猫がいるせいで狙えない。退いてくれ、小猫…!
その願いが通じたのか、小猫が『戦車』から距離をとった。
チャンスがやってきた!
相手が足に力を入れた所を狙い撃つ…!
パァンッ! ビスッ!
「はあぁッ!」
相手は前に倒れる。よし、これでいい。
「で、出て来い卑怯者!」
『戦車』の女性が叫ぶ。…ここは出て行くべきだな。
ギャラリーから皆がいる場所へと下りる。
「お前は…!」
ミラが俺の顔を見て、驚愕する。
「また会ったな、お嬢さん?」
「くっ…!」
ミラの顔が怒りに染まっていくように見えた。
だが、痛みで立ち上がる事が出来ないようだ。すぐに尻餅をつく。
「じゃあな」
俺がベレッタM92Fを呼び出し、ミラに向けて引き金を引こうとしたとき、
「イ、イヤアアアアアアアアアアッッ!!!」
女の子の叫び声が聞こえた。声がした方へ向くと、そこには幼女の服を破った
「…っ!?」
その衝撃的すぎる場面に出くわした俺は呆然としていた。
そして小猫に負けず劣らずいろんな所が小さい少女の裸を見てしまった!
ドクンッ!
体にヒステリア性の血流が流れ出す。
待て! この女の子相手にヒスったら俺はロリコンのレッテルを貼られてしまう…!
また反射的に少女の裸を見てしまう。
…恥ずかしがっている女の子。
…上目遣いで睨む女の子。
――いい。
ドクンッ!!
―――なんてこった。見た目幼い女の子相手にヒスってしまうなんて、自殺もんだ。
俺は双子の女の子に近づく。
「な、なんですか!」
「ち、近づかないでください! ヘンタイ!」
大事なところを隠しながら俺を拒絶する二人。
「………」
俺は無言で二人に上着を着せた。
一つは俺の。もう一つは一誠からぶんどったものだ。
「…これを着れば、少なくとも大事な部分は隠せるだろ」
「「あ、ありがとうございます…」」
双子の少女たちはハモりながらお礼を言った。
じゃ、これでやれるな。
「少し痛いが、我慢してね」
トンッ
「「ぁ…」」
俺は双子の女の子を気絶させた。
……これでいいんだ。HSS状態の俺が女性を相手にするときの精一杯の攻撃だ。
それに…これから来る攻撃よりはマシだ。
『イッセー、小猫、クリス。聞こえる? 私よ。朱乃の準備が整ったわ!』
部長の声。そろそろ例の作戦の時間か。
「よし。小猫、一誠。脱出しよう!」
俺の言葉に無言で頷く二人。
二人は体育館の中央口に向かっていく。
「逃げる気!? ここは重要拠点なのに!」
二人の行動に驚くライザー眷属たち。
「―――ごめん」
ぼそりと呟くと、俺は体育館の中央口へ駆け出した。
くそっ、これもHSSの弊害か…!彼女らを見捨てる行動に心が痛む!
中央口から外へ出た瞬間だった―
ドオォオォォォォォォォンッッ!!!!
轟音と共に巨大な雷の柱が体育館を飲み込んだ!
雷が止み、さっきまであった筈の体育館が消失していた!
「
ニコニコ顔の朱乃さんが黒い翼を広げて空に浮いていた。
『ライザー・フェニックス様の「兵士」三名、「戦車」一名、リタイア』
グレイフィアさんの声がフィールド中に響く。
さ、さっきの一撃で体育館にいた敵を全員戦闘不能!?
……絶対に朱乃さんだけは怒らせない方がいいようだ。身の危険を感じる
『あの雷は一度放ったら二度目まで時間がかかって、連発は不可能なの。まだ相手のほうが数は上。朱乃が回復しだい、私達も前へ出るから。次の作戦に向けて動き出してちょうだい!』
「はい!」
部長とアーシアが前へ出るのか。
いや、王が前線へ出てはダメだろ。王は最後に動くものなのだから。
俺が部長に進言しようとした時だった――
ドォォォンッ!
近くから爆砕音が聞こえた。音がした方へ振り向くと
「…ッ!? こ、小猫!」
小猫が少し離れた場所で煙をあげながら倒れようとしていた。小猫を地面へつく前に抱きとめる。
「だ、大丈夫か!? 小猫!」
小猫の体や制服は爆発に巻き込まれたかのようにボロボロだった。さっきの音は…まさか…!
「撃破」
見上げれば、魔道師の格好をした女性の姿。あれはライザーの『
―――奴が小猫をッ!!
ライザーの『女王』を射抜く位睨んでいるとき、小猫が俺の服を引っ張った。
「クリス先輩……、すみません……」
「こ、小猫ッ!? しゃ、しゃべるんじゃない!」
「……私、もっと…部長たちの役に立ちたかったのに……」
「っ!」
その言葉に思わず涙が溢れそうになった。
「こ、こね――」
小猫、と名前を呼ぼうとしたとき、小猫の体が光に包まれ、両手にあった重みが消えた。
『リアス・グレモリー様の「戦車」一名、リタイヤ』
無情にもアナウンスが流れる。
「小猫ぉぉッッ!!」
小猫の名前を叫ぶ。叫ばずにはいられなかった。
叫ばなかったら……きっと、この『女王』を殺すかもしれない。
だが、小猫は死んでいない。別の場所に転送され、治療しているはずだ。
頭では分かっている。だが…怒りが止まらない!!
ドクンッ!
あの教会強襲作戦のときに流れたドス黒い血流が流れ始める。
――まだだ。お前はまだ黙ってろ。出番じゃない…!
「――降りて来たらどうだ? 俺が相手になってやるよ」
怒りを抑え、相手を挑発する。
「そうだ! 俺達があいてになってやるッ!!」
一誠も相手を挑発していた。
「あらあら。貴方のお相手は私がしますわ。『
朱乃さんが相手の『女王』の前に来ていた。
「その二つ名はセンスがなくて好きではないわ。『
「イッセーくん、クリスくん? ここは私に任せて祐斗くんのところへ行きなさい」
「で、でも!」
「――わかりました。行こう、一誠」
食い下がる一誠の手を握り、運動場へ引っ張っていく。
「待てよ、クリス! 朱乃さんだけじゃ――」
「わかっている!! 今の俺には…それがどれだけ辛い選択だと思っているッ!?」
一誠の言葉を遮り、溜まっていた思いが溢れだす。
「俺は今にも心が張り裂けそうだ! 女性を傷つけ、女性に任せてこの場に来るのだって、後悔している!」
「ク、クリス…」
正直、この戦いはHSS持ちの俺には辛すぎる。相手はライザー以外全員女性だ。
この状態は女性を傷つけるのに躊躇ってしまう。戦闘ではその躊躇いすら命取りになるんだ。
「なら、その気持ちを尊重しながら闘えばいい」
「…ッ!?」
後ろの声の主にベレッタM92Fをつきつける。安全装置は外してある。すぐにも撃てるようにな
「まいったな。クリスに銃を向けられるとは思わなかったよ」
ははは、と苦笑を浮かべているのは祐斗だった! 速いな! アナウンスがなって二分ぐらいしか経っていないのに。
「ごめん、祐斗。…済まない、小猫は…」
「…無念だったろうね。何を考えているか分からない子だったけど、今回は張り切っていたよ」
「……そうか」
祐斗の言葉に胸がズキっと痛んだ。
「クリス、木場。…勝とうぜ」
「そうだね」
「当たり前だ」
俺達三人は拳と拳をぶつけ合った。
「んじゃ、男性の絡みが好きな女性の皆さんが興奮するようなコンビネーションを見せようか」
「ハハハ! 僕とクリスが攻めでいいかな?」
「馬鹿野郎! 攻めは俺だろ! ってちっがーう!!」
「どちらかというと、祐斗が受けだよね」
ハハハ、と笑いあう俺達。
そのときだった。運動場から女性の大声が聞こえる。
「私はライザー様に仕える『騎士』カーラマイン! こそこそと腹の探りあいは飽きた! リアス・グレモリーに仕える『騎士』よ! 正々堂々と剣を交えようじゃないか!」
……なんて奴だ。そんな所にいると狙い撃ちにされるぞ!
「…だってよ、木場。ご指名だぜ?」
一誠の隣にいた祐斗がふっと笑った。
「名乗られてしまったら、『騎士』として、剣士として、男として、行くしかないじゃないか!」
そう言うと、祐斗は運動場へ出て行った。
「あの馬鹿」
そういいながらも一誠もついていく。
カッコイイな、祐斗。
それじゃあ、俺も行こうか。俺は女性が相手でも目的の為、できるだけ傷つけないようにリタイアをさせるだけだ。
そう心の中で誓うと、先へ進む一誠と祐斗を追いかけた。
◇◆◇
「僕はリアス・グレモリーの眷属、『騎士』木場祐斗」
「俺は『兵士』の兵藤一誠だ!」
「同じく『兵士』の神矢クリスだ。よろしく、お嬢さん?」
「お、おじょ……っ!?」
俺の言葉に動揺するカーラマイン。
多分、お嬢さんという言葉に慣れていないのかな? これは失敬。
カーラマインは頭を振ると、口の端を吊り上げる。
「リアス・グレモリーの眷属にお前達のような戦士がいたとはな。堂々と正面からくるとは、正気の沙汰ではないからな!」
「そういうあなたも堂々と宣言したのですから、少なくとも正気ではないですね」
ふふっと微笑む祐斗。
「そうだな。私も正気ではないのかもしれないな。さて、闘おうか!」
すっと剣を鞘から抜くカーラマイン。祐斗も剣を抜き身にしていく。
「僕は待ち望んでいたよ。個人的には尋常ではない斬り合いを演じたいものだね」
「よく言った! さて死合いだ! 」
二人の『騎士』による決闘が始まった。
俺達にはこれに手を出すのは無粋というものだ。
「さて。――一誠はそこの女性を相手してくれ。俺はこの『僧侶』と踊ろうか」
後ろへ振り向くと、半分だけ仮面を隠した女性と、金髪で縦ロールの女の子がいた。
一誠は距離をとると、『
俺もベレッタM92Fと
デザートイーグルにいたっては初めて使用するが、なんとかなるだろう。
「スタンバイ!」
『
一誠のパワーアップも始まった。ここからが本番だな。
「私は戦いませんわよ? イザベラ、相手してあげたら?」
「元からそのつもり。さ、戦おうか」
イザベラという女性が一歩、前に出る。
「ちょっと質問してもいいかい? そこのお嬢さんは戦わないのか?」
その質問はイザベラもわかっていたようですぐ答えた。
「――この方は、レイヴェル・フェニックス。ライザー様の妹君だ。特殊な方法で眷属悪魔になっているが、実妹だよ」
――俺と一誠の空気が凍りついた気がした。
「ライザー様曰く、『妹をハーレムに加えることは世間的にも意義がある。まぁ、俺は妹萌えじゃないからわからないけど。一応、形だけ眷属悪魔ってこと』だそうだ」
……馬鹿がここにもいたのか。いくら形だけでも倫理的にも問題があるだろ!
それに親が許してくれた…のか? 妹をハ、ハーレムにいれるなんて!!
「お、おい。クリス、大丈夫か? 汗が凄いぞ」
気づかない間に冷や汗が出ていたようだ。…これも作戦の内か、ライザー!
「あ、あぁ。だ、大丈夫だ。一誠、やばくなったら俺に交代しろよ」
「おう!」
拳をぶつけ合って一誠はイザベラに向き合った。
「では、いくぞ!」
イザベラが一歩前進すると、拳を繰り出す!
一誠はそれを避ける。おぉ、よく避けた。
イザベラはさっきより数段速い拳で一誠を翻弄する。
このスタイルは…、確かボクシングのフリッカーだ。
一誠。お前にはけっこうキツイ相手だな。ファイトだ
で、だ。俺はこのお嬢さんの相手をしなければいけないんだが、このレイヴェルさんは戦わないときた。
……俺の出番はないかな。それはそれでありがたいけどね。
「あら? あなたは戦わないのかしら?」
レイヴェルが俺に話しかけてきた。
「そうだな…戦う相手がいないから、どうしようもない」
「そうでしたなら、少し私とお話しませんこと?」
「…わかった」
◇◆◇
「なぁ、レイヴェル。俺達はライザーたちに勝てると思うか?」
俺の質問をう~ん、と考えてレイヴェルは答えた。
「『紅髪の
HSSから通常に戻った俺は、レイヴェルと話を続けている内に仲が良くなっていた。
目の前では祐斗と一誠が戦っているのにこっちでは談笑している。
なんて場違いなんだ、俺達は。
「そうかな? フェニックスには弱点があるだろう?」
「精神がやられるまで戦い続ける事と、神クラスの一撃ですわね。ですが、この中には神クラスの一撃を持つものや精神がやられるまで戦い続ける根気を持つものなんていませんわ」
レイヴェルの言葉に苦笑する俺。
「………わかっていないなぁ。あいつがどれだけしぶといか」
「……?」
レイヴェルは首を傾げる。どうやら、俺の言葉は聞こえなかったようだ。
『ライザー・フェニックス様の『戦車』一名、リタイア』
どうやら、一誠がイザベラを倒したらしい。
「さて、レイヴェル。談笑もお終いだ」
俺の目の前にはライザーの『兵士』が二名、『騎士』が一名がいる。
ホルダーに仕舞っていたベレッタとデザートイーグルを取り出す。
「シーリス、ニィ、リィ」
「御意」
「にゃ」
「にゃにゃ」
おいおい。俺は三対一ってか。まぁ、やるしかないよな。
「シーリスはクリスさんを、ニィ、リィは赤龍帝をやってくださいまし!」
ニィ、リィという『兵士』は一誠の元へ駆け出した。
「くそっ、いかせるか!」
俺は二人に目掛けてベレッタとデザートイーグルを放つ。
二つの弾丸は彼女達の足に――当たらず、シーリスが剣で防いだ。
「ぐっ! 意外と銃弾とは重いものなのだな!」
これで、一誠は二連戦ってわけか。
「はぁッ!!」
シーリスは『騎士』のスピードで一気に間合いを詰める!
速い…! 祐斗よりはいくらか遅いが、今の俺では目ですら追えない!
俺は神器の能力で
ギィンッ!
「ぐはッ!?」
背中に大きな衝撃が襲ってきて、少し体がよろける。
「こいつは…、あまり大した事はないな。なら早く終わらせてもらおうか!」
さっきより少しばかり速い斬撃に、俺は為す術がない。
ベレッタもデザートイーグルもさっき斬られたしな…。
今の防具は防刃耐性がついているため、俺の体は斬れていない。だが、打撲は覚悟していたほうがいいかもな。
感覚としては、鉄バットで思いっきり殴られている気分だ。
くそ……ッ!! 俺はここで終わるのか…?
何もしてないのに、ここで終わるのか?
――クリス先輩、……すみません。
不意に小猫の声が聞こえた。
…そうだ。俺はまだ、小猫の仇をとっていない!
奴を…、ライザーをまだ屠っていない!
小猫のリタイアとライザーの『女王』の顔を思い出すと同時に――
ドクンッ!!
あのドス黒い血流が一気に流れ始めた。
思考が攻撃一辺倒に塗り潰されていく。
「…俺は、こんな所で終われないんだよッ!!」
シーリスの剣を人差し指と中指の真剣白刃取りで受け止め、1mはあるであろう大太刀を創造し、肩から横腹にかけて斬った。
「そんな…馬鹿な…!」
シーリスは光に包まれて、消えていった。
『ライザー・フェニックス様の『騎士』一名、リタイア』
「………」
大太刀を消し、後ろを振り向いたときだった。
「『
『
目の前は一気に魔剣だらけになり、ライザーの『兵士』であるニィ、リィ。『騎士』のカーラマインも魔剣に貫かれていた。
「これも、ドラゴンの力というのか…!」
『ライザー・フェニックス様の『兵士』二名、『騎士』一名、『僧侶』一名、リタイア』
グレイフィアさんのアナウンスが聞こえる。
どうやら、さっきの神器開放+ギフトで運動場にいるライザー眷属はほとんどやられてしまったようだ。
「さすがだな、祐斗に一誠」
「クリス…。――そうか。教会のときみたいになったみたいだね」
祐斗は俺が教会強襲のときの雰囲気になったのがわかったみたいだ。
〈これが…。ふふっ、キミってやっぱ面白いなぁ♪〉
いきなりエリスが話しかけてきた。
―何がだ。俺はちっとも面白くないぞ。
〈まぁ、それはいいとして。さっきのキミの攻撃、よかったよ! さしずめ『
『狂戦士』、か。
いいな、それ。これからはこの状態はヒステリア・ベルセと呼ばせてもらおうか。
「クリス、部長達が屋上であの焼き鳥と戦っている。助けに行こうぜ!」
「ああ」
俺達が新校舎に向かおうとしたとき―
『リアス・グレモリー様の『女王』一名、リタイア』
「――ッ!?」
あいつに…朱乃さんが負けた…だと?
ドクンッ!!!
より強く血流が強くなる…!
ベルセは攻撃一辺倒になる。全身に回る前に、一誠でも校舎へ…!
ドォォォォンッッ!
俺の目の前で祐斗がやられ、光に包まれて、消えていく…!
くそッ! 仲間が、一人ずつ消えていく…!
『リアス・グレモリー様の『騎士』一名、リタイア』
「………」
俺と一誠は突っ立っているだけで、何もできなかった。
「『騎士』撃破」
俺の視界で、空中に浮いているライザーの『女王』。
ドクンッッ!!!!
血流がとうとう全身にまわってしまった。
……こうなった俺はもう女にやさしくはできないぜ?
「…一誠。ここは俺に任せろ」
「………。わかった。絶対に無事でいろよ!」
そう言うと、一誠は新校舎の中で入っていった。
「プロモーションすらしていない『兵士』の分際で、私に勝とうと?」
『女王』は嘲笑を浮かべる。
「…朱乃さん、祐斗。そして、小猫の仇とらせてもらおうか」
新たに、ベレッタとデザートイーグルを呼び出す。
防具は防刃から爆発耐性に変える。
「いいでしょう。すぐに三名のところへ送ってあげる」
最弱の駒である『兵士』と最強の駒である『女王』の戦いが始まる!