第15話~幼なじみと生徒会~
ある日、部長の提案で一誠の家で部活をすることになった俺達オカ研のメンバー。
現在旧校舎は部長たちの使い魔が大掃除をしており、使用出来ないためここに集まったのだ。
だが、一誠のお母さんが一誠の小さい頃のアルバムを持ってきてから部活どころじゃなくなった。
「見るな! 絶対に見るなよ!」
今は一誠が皆からアルバムをとろうと必死になっている。
一応俺も見てみたんだが……一誠、小学生のときからやんちゃだったのか。全裸で海に向かっていくとは…。
俺も一誠のアルバムを見て楽しんでいたのだが――
「……そういえば、私の部屋からこういうものが」
という小猫の一言で俺も一誠と同じく、走り回らないといけなくなった。
「あらあら。小さい頃のクリスくんも可愛らしいですわね」
朱乃さんは普段と変わらずニコニコと微笑みながら見ていた。
「あ、朱乃さん! 見ないで下さい!」
顔が羞恥で赤くなるのを感じながら、アルバムを取り返そうとするが全く取れない。
「……確かに。小さい頃のクリス先輩は可愛らしいですよね」
グットと言わんばかりに親指を向ける小猫。何がいいんだよ、小猫。
「………」
祐斗は一誠と俺のアルバムを見ながら黙っていた。
「一誠くんにクリス。これとこれに見覚えは?」
祐斗はアルバムの一枚の写真を指差しながら俺達に問う。
一誠のは園児時代の写真に剣を持った男性を。俺のは玩具のような大きさの刀を持った少年を指を指していた。
「ガキの頃のことだからな…。あんまり覚えていないや」
「こいつは俺の幼馴染で、名前は
「荒神、仁…」
祐斗は自分の脳にその名を刻むかのように反復する。
「ねぇ、この刀と剣は聖剣だよ」
まさかその聖剣使いと近いうちに会うとはこの時はまだ、誰も知らない。
◇◆◇
今日は早めにあがらせてもらった俺は、自分の家の目の前に一人の少年が立っているのに気づいた。
黒い短髪にお坊さんが来ているような服装。印象的なのは腰にぶら下げている刀と黒い眼帯だった。
あの刀から嫌な気配がひしひしと感じる。悪魔の本能が、拒絶を示している。
ということは、あれは聖剣…!
……ここはそのまま素通りしよう。
とそのお坊さんの横を通りすぎようとしたとき
「ん? お前は――」
お坊さんは俺の顔を見て驚愕していた。
おれもお坊さんの顔を見て、驚きを隠せないでいた。
「ッ! お前は――」
「神矢クリス…」
「荒神仁…」
家の目の前に立っていたのは俺の幼馴染みである荒神仁だったのだ!
◇◆◇
「………」
「………」
リビングに静寂が訪れる。
仁に冷えた麦茶を入れソファに座り、仁と向き合う。
「…単刀直入に聞く。何があったんだ? そんな暗い顔をして」
俺の問いに、仁はいきなり土下座した。
「頼む…! 妹を一緒に探してほしい…!」
妹…。確か、仁の妹って…。
いや、まずは土下座を直させよう
「ま、待て。まずは土下座を直せ」
「お、おう…」
顔を上げた仁は涙を流していた。
「辛いと思うが、
「実は…」
仁から聞いたところ、妹の荒神
だが、二週間前にメールがきたらしく
『お兄ちゃん 今までありがとう さようなら』
と書かれてあった。
仁がいうには愛華はこんなメールをしないらしい。
ということは、愛華の身に何が起こったと考えられる。
「……愛華はきっと、誰かに連れ去られたんだ…そいつを見つけて、愛華を取り戻す…!」
俺の記憶が正しければ、こいつは幼い頃一度も泣いたことがなかった。
そしてその泣いたことがなかった奴が、いま泣いている。
それがどれ程の事なのか、普通の俺でもわかった。
なら、答えは1つしかない。
「仁、妹を探すのを手伝おう」
「ほ、本当か!?」
「ああ。こんな大事なことに嘘をつく奴なんていないだろ」
「ありがとう! ありがとう! クリス!」
仁は俺の手を握り、何度も頭を下げた。
「それで、どうしてこの町にいるんだ?」
「この町に住んでいる叔母が、愛華らしき人物を見たらしいんだ。俺はその情報を頼りにここへきたんだ」
「そうか! もしかしたらここで見つかるかもしれないな」
「ああ!」
それから、何年ぶりに再会した幼なじみだからか俺達はずっと質問を繰り返していた。
何をしていたか、怪我はしなかったのか。こっちは忙しかったんだぞ! など、冗談を交えながら談笑をしていた。
「なぁ、クリス。おまえって――」
仁の口からある程度予想できた言葉が出てきた。
「いつから、悪魔になったんだい?」
「………」
思わず口を閉ざす。いうべきか、いわざるべきか…。
「ここにいる上級悪魔は…あぁなるほど。なら、安心だ」
仁はきっと分かったのだろう。俺を悪魔に転生させた奴を。
「愛華を連れ帰る為には、ここを管理している悪魔であるリアス・グレモリーに助けを求めるつもりだったんだ。リアス・グレモリーの下僕であるお前がいれば頼めやすくなる」
そういうことか。部長――リアス・グレモリーの眷属である俺を介して頼めば協力を得やすくなる、ということか。
……ていうか、情愛の深い部長のことだ。行方不明の妹を一緒に探して欲しいと普通に頼み込めば、助けてくれるだろうに。
「休日のときにクリスの主に会いに来るから。そのときはよろしくな」
「おう、わかった」
仁は微笑むと玄関から出ていった。――刀を置いて。
「あっ! そういや忘れ物していたわ!」
仁が刀を取りに来たのは数十分後だった。
◇◆◇
ある日の昼休み。部室にいくと、見慣れない人たちにびっくりした。
部室のソファには生徒会長である
一誠によると、怖そうな雰囲気を持っていて、男子よりも女子に人気があるという。部長や朱乃さんに次いで、三番目に人気らしい。
その会長さんの付き添いなのか、同じ学年の匙
…成程、この二人は悪魔なのか。
〈おっ? よくわかったね。うんうん、クリスが成長しているのは僕も嬉しいね〉
いきなりエリスが話しかけてきた。
―まぁ、気配察知はある程度できるようになっているが…。
〈先々代の所有者は気配を察知できて、神器を完璧に扱えるようになってからあれに至ったからね。…もうすぐかな?〉
―もうすぐ…?
〈いや何でもないよ。それより、姫島朱乃が何か話すようだよ〉
―ん? あぁ、じゃあな。
エリスと話し終えると、ちょうど朱乃さんが話し始めた。
「この学園の生徒会長、支取蒼那さまの実の名はソーナ・シトリー。上級悪魔シトリー家の次期当主様ですわ」
……な、なんとなくわかっていたが、それにしてもソーナ・シトリーって…。安直すぎないか? もう少しだけひねろうぜ、会長さん。
朱乃さんの説明によると、シトリー家はフェニックス家と同様の七十二柱の一角らしく、この学園の『表』を支配しているらしい。因みに、グレモリー家は『裏』。
「俺の名前は匙元士郎。二年で会長の『兵士』だ」
「おおっ! 同じ学年で同じ『兵士』だ!」
一誠はとても喜んでいた。それとは逆に、匙の方はため息をつきながら少し嫌そうな表情をしていた。
「俺としては、変態四人組であるお前達と同じだなんてプライドが傷つくというかなんというか……」
「な、なんだとぉ!!」
「匙。言っておくが俺は一誠たちのように変態じゃないぞ」
「………」
一誠がジト目で俺を見ていた。
―小さい女の子で興奮して紳士になるお前は充分
―一誠。後で体育館裏に来い。ひき肉にしてやる!
―上等だ! 返り討ちにしてやるよ!
俺と一誠の間で視殺戦が行われていた。あの野郎、絶対に許さん。
「やるか? これでも駒四つ分消費の『兵士』だぜ? 悪魔に成り立てだが、兵藤には負けないぞ」
一誠の挑発する匙だが、会長さんがそれを止めた。
「今日ここにきたのは、最近下僕にした悪魔同士を紹介し合うためです。つまり、あなたと兵藤くんに神矢くんとアルジェントさんを会わせるための会合です。あまり、私に恥をかかせないこと。それに――」
会長さんの視線が俺と一誠に向けられる。
「サジ、今のあなたでは彼らに勝つことはできません。フェニックス家の三男を斃したのが兵藤くんで、その眷属をたった五秒で全滅させたのが神矢くんなのですから」
「ま、マジですか…! てっきり姫島先輩や木場が救ったとばかり…」
匙は驚いた様子で、一誠を見ていた。
それから何事もなく紹介も終わり、会長さんと匙は帰っていった。
ふむ…。匙と一誠は根本的なところが似ているところがある。主想いのところとかな。
そんなことより、まずは一誠を殺ってやろうか。