ハイスクールD×D~HSSを持つ転生者~   作:あっくん

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第24話~王者のHSSと赤い夜~

「クリスお前…無事なんだよな?」

禁手が解けた一誠が震える手で確認してきた。

「まぁな。まだ…死ぬわけにはいかないからな。さぁ、交代だ一誠に裕斗。今度は俺がやる」

「本当に大丈夫なのかい?」

「裕斗。大丈夫っていっているだろ? 早く手当てしてもらうんだ」

「わかった」

「おう。…わりぃ木場、ちょっと手を貸してくれ」

「うん、無理しすぎだよ。イッセーくん」

裕斗は一誠に肩を貸し、みんながいる場所へ向かって行ったのを見届けてから、コカビエルがいる場所へ向きなおす。

 

…さっき校舎の時計をチラリと見たが…、この魔方陣が発動までのこり三分もないぐらいだったな。間に合うか…?

「…よくも俺の仲間に手ぇ出したな…? 許さないぞ…!」

「…何を今更。だが…貴様、何があった? さっきと雰囲気がまるで違うぞ…!」

「そんなの俺が知りたい」

HSSになっているのはわかるが、こんな静かに怒ることなんて無かった。しかも、今まで一番強いHSS。

「クリス、無事だったか…!」

どこかに行っていた仁が話しかけてきた。

「仁、何をしていたんだ?」

「魔方陣の解除をしていたんだが、こいつが厄介でね。複雑なんだよ、構造が。だぶん、間に合わない」

「そうか」

仁の話を聞いていて、あまり落胆はしなかった。正直、コカビエルをこの短い時間で斃せる自信がない。どうするか…、このままじゃあ町が消し飛ぶ。

「でも調べるうちにわかったんだよ。コカビエルがここからいなくなれば魔方陣は消える。なら、こことは違うところへいけばいい(・・・・・・・・・・・・・・・)てな」

「貴様…何がいいたい…!? 俺をほかの場所へと転移させるだと!? この魔方陣は転移系統の魔法、魔力を封印する機能もあるんだぞ!?」

コカビエルが動揺した表情で言った。

「百聞は一見にしかず。まずは見てみるか。――禁手化(バランス・ブレイク)

仁が禁手化と唱えた瞬間―世界が割れた。

空が急に赤くなったのだ! 俺たちを明るく照らしてくれていた月は黒く塗りつぶされていた。

禁手(バランス・ブレイカー)―まぁ名前は無いけど、俺はこの世界を『赤い夜』って言っている。この世界にいけるのは、俺が認証した者だけ。今回はコカビエルとクリスだけ。まぁこれで、あの魔方陣は消滅する」

仁の金色に輝く右目がコカビエルを捕らえる。コカビエルは震える手で仁の右目に向かって指を差した。

「その金色に輝く瞳…もしやと思ったが、そうだったのか!」

仁は右目を隠すように覆った。

「そ。これは神滅具(ロンギヌス)(アイオン)()』。未来視できる能力がある。こいつの本来の禁手はもっと凶悪なんだが、俺の場合はこの世界がこれの禁手になるな」

おいおい…劫の眼の本来の禁手はこの世界よりすごいのか。

「でもまぁ、愛華に手を出さなければこの能力は使わない。俺の目的も達成したし、何かお前ら因縁みたいのがあるみたいだしな。どちらが負けたときに赤い夜が解除されるようにしといたから」

そういうと、仁は校庭から離れていった。

「決闘みたいなものか…つまらんことをしてくれる。だが、お前と一対一(サシ)でできるのはこれ以上ないものだな…!」

オーラを体の周りに溢れ出しているコカビエル。狂喜の笑みを浮かべていた。

「ふん。言っておくが、殺す気でこないとコカビエルお前…死ぬぞ?」

「闘わずに死ぬぐらいなら、闘いで散り逝くことのほうがいいに決まっているだろうがッ!!」

コカビエルがさっきとは非にならないぐらいの速さで駆け出してきた!

「戦争狂で戦闘狂か。俺の生活にはいらないな!」

コカビエルは確かに速い。速いが―今の俺には遅く見える。

コカビエルが繰り出してくる拳を払いのけ、腹に秋水をぶつける!

ドォンッ!!!

「グハッ!! 何だこの力は…!」

のけ反るコカビエルを思いっきりうえに蹴り上げる!

「うおぉぉッ!?」

「……40%。コカビエル、お前にやられたことを数十倍にして返す!」

地面を踏みしめ、コカビエルに向かって跳ぶ!

鎖を顕現させておき、コカビエルを地面にたたきつける!!

「ぬおぉッ!?」

地面にたたきつけられる寸前にコカビエルに鎖をまきつかせ、引っ張る!

「おぉッ!!」

コカビエルが俺の元へ戻ってきた瞬間を狙ってさらに上へ蹴り上げる!

「…60%。コカビエル、俺たちに手を出したことを後悔させてやる!」

両手を前に出し、魔力を集めつつタイミングを窺う。

―今だッ!

「アイシンクルブラスター!!」

特大の魔力がコカビエルへ向かっていく。

「まだだ…、この楽しい闘いを終わらせられるかぁぁぁッッ!!」

コカビエルは俺が放った魔力を瞬時に創った光の槍で相殺した。

地上へ降りたコカビエルは、顔をしかめながら尋ねてきた。

「クリス貴様…禁手したのか?」

「ああ。禁手(バランス・ブレイカー)武身創造(アメント・クリエイション)』。本来の武装に加え、新たに潜在能力の開放ができるようになった」

「なるほど、強いな。ここまでの強者は本当に久しぶりだ!!」

「悪いがこの闘いもこれで終わりだ」

桜花の構えを取り、集中する。

「全速力での攻撃か。面白い!!」

コカビエルも構える。

「…80%。いくぜ!!」

コカビエルへと全力で駆ける!

つま先、膝、股関節、背中、肩、肘、手首、指先の関節を連結させ、一気に振るう!!

「うおぉぉぉぉおぉおおッッ!!!」

指先から円錐水蒸気(ヴェイバ-・コーン)が乱舞して――

――パアァァァァァァァァ――

「何だこの速さは…うおぉおぉぉぉぉぉッ!?!?」

超音速の突きはコカビエルの腕一本を持っていき、コカビエルは衝撃で吹き飛んでいった。

「くそ…まだ俺は…負けて…な……」

「いいや、お前の負けだ。コカビエル」

とどめに腹パンすると、コカビエルは気絶した。

それと同時にパリィンと割れた音がして、赤い世界から元に戻った。

「クリス!」

一誠が嬉しそうな顔をしながら、こちらへ走ってきた。

「大丈夫か!? いきなり目の前から消えたからビックリしたぜ!」

一誠の言葉に少し苦笑し、上にいる強大な気配を持つ者を見る。

「待て一誠。まだいるぞ」

「ッ!? マジか!?」

一誠も俺につられ見上げる。

白い鎧を着た何者かがゆっくりとこの校庭へ降り立った。

この姿…一誠の「鎧」と似ている…?

部長たちも白い鎧を見て敵意を高めていく。

そうか、お前は――

「――『白い龍(バニシング・ドラゴン)』」

いつの間に近くへ来ていた裕斗が呟いた。

「白い龍」と赤い龍がこの場に揃った。部長たちが敵意を高めているのは今ここで二天龍の闘いが始まるかもしれないからだろう。

 

だが、それはない。この白い龍からは敵意や殺意などは感じない。

ゼノヴィアが言っていたのを思い出した。白い龍は堕天使側にいると。

そこから出る答えは――

「連れて行くなら連れて行けよ。ほら」

気絶したコカビエルを白い龍に突き出した。

「……こいつを一人でやったのか?」

と、白い龍に訊かれたが無視してやった。おれは早く寝たいんだ。

「………」

白い龍がコカビエルと近くで倒れていたフリードを背負い、飛んでいこうとしたときだった

『無視か白いの』

一誠のほうから声が聞こえた。

『なんだ。おきていたのか赤いの』

『そちらから以前のような敵意が伝わってこないが?』

『そちらも敵意が段違いに低いではないか』

『お互い、戦い以外の興味対象があるということか』

『だがそれも一興。たまにはいいだろう? また会おう、ドライグ』

『ああ。またな、アルビオン』

白龍皇と赤龍帝の会話。

白い龍は今度こそ飛び立っていった。

 

周りに俺たちや生徒会の気配しかない。俺たちは勝ったのだ、歴戦の強者と伝説の聖剣に。

気を抜くと同時に、膝から崩れ落ちた。

「クリス!?」

「ゴメン、一誠。二日ぐらい寝る」

その言葉に笑みを浮かべた一誠は無言で頷いた。

おやすみなさいと心の中で呟き、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日談。

一誠に言った通り二日後に起きた俺は、隣で眠っていた小猫と朱乃さんにおはようと言って、あらかじめ出していたコートを着て久しぶりの外へ出た。

夏が近いこの季節にコート着ていたからなのか、他の人たちの視線がいたい。

それに耐えつつ、目的地である仁の家に着いた。

「おう、入れ入れ」

俺が寝ている間にけっこうなことが起こったらしい。

仁や愛華、それにゼノヴィアまでも駒王学園に編入したらしい。

どうやら、神が死んでいることを聞いてしまったからだとか。

一緒にきていたイリナはゼノヴィアに酷いことを言ってやばかったらしい。

後、愛華が黒刀、剛刀、隠刀の所有者になったとか。色々ありすぎだろ。

ていうか愛華の父親が所有者らしく、譲ったらしい。…娘には弱いんだな、父親ってのは。

 

とりあえず、平和になった。またいつもの日常に戻った感じ…かな?

 

まぁ、今回もこの言葉で締めくくるか。

一件落着、と。




さて、今回で第三章は終わりです。

次は今回出てきた仁と愛華、それと宇宙先生のキャラ紹介しましょうかね…?

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