王国中央記録院で、公的な記録規格の改定を担当する補佐官ノル・エルセイン。
伯爵家の末娘でありながら、彼女が向き合っているのは領地でも社交界でもなく、仕様書と予算と全国の運用だった。

新しい魔導写真規格の導入を前に、ノルは現場調査のため第三工業区の光像工房を訪れる。
そこで出会ったのは、長い濃紺の髪と灰青の瞳を持つ光像技師・ミオ。

中央が「使用可能」と書いた新規格を、ミオは否定しなかった。
ただし、こう言った。

「使えることと、使い続けられることは別です」

古い撮影機。乾板。魔石。地方の工房。予算。規格を作る側と、規格を使う側。
仕事を通じて何度も顔を合わせるうち、二人の間にあった立場と身分の境界は、少しずつ別の形へ変わっていく。

魔法が産業と行政の中に組み込まれた王国を舞台に、
伯爵令嬢の官吏と、家名を持たない光像技師の仕事と生活、そして恋を描くファンタジー百合。


カクヨムにも掲載しております。そちらでは既に完結済みです。