エセ・スパイダーマンがノー・ウェイ・ホームに参戦する話 作:マッキーガイア
サーファーくんの手中にオレンジ色の球体の何かを取り出したのが見えた。
「ねぇ、それ見覚えがあるんだけど…」
「一旦、死んでみろ!!」
そう言うとサーファーくんは僕に向けてその球体を投げる。ああ、あのオレンジ色のやつ、たしかハリーと戦っていた時に使っていたやつだ。
と言う事は…
BOOOM!!!
爆発音が響くと同時に、僕は背後にウェブと身体能力をフルに使って飛ぶ。
近くの民家にまるで蜘蛛の様に張り付くと、それを見越したのかの様にサーファーくんは爆炎を掻き抜けるとこちらに一直線に突っ込んできた。
「君のパパの正体わかったよ。」
その渾身のタックルを避けて少し隣の壁に張り付きながらそう言うと、僕に振り翳していた彼の拳は僕に当たらず、壁に突き刺さった。
「父の正体…だと?」
「ああ、ハリー・オズボーンだろ。年齢に合わないけど、その装備は彼のものそっくりだ。年齢が合わない理由だってきっと養子か、またオズコープの製品で…」
「ハリー………オズボーンは……」
バキ……バキっ…と僕が張り付いていた壁が異音を立て始める。
見れば彼が突っ込んでいた拳を起点に僕がいる方の壁を破壊しようとしているのがわかる。
まずいと思いつつも、逃げ道がない。
「俺だァァァァァ!!!」
響く声と共に僕が張り付いていた壁を破壊し、僕は体勢を崩していまった。
壁から落ちると思った瞬間に壁を破壊した手が僕の胸ぐらを掴むとそのままサーファーくんは僕を持ち上げた。
「は、ハリー……君が…?
随分と整形したみたいだね?まるで気付かなかったよ。その顔の傷は手術の時に?」
「……まだ惚ける気か。ならお前を……」
そう言うと、腕に装着されている刃が飛び出しこちらに狙いを付けた。
だが、その瞬間に視界の端でいつものウェブ発射ポーズに変えると、その顔面に向けてウェブを発射した。
「なっ!?」
「ごめんだけど、まだ死ぬ訳には行かないんだよね。」
そう軽口を叩きながらハリー(?)から距離を取り、ウェブシューターの口を向けて牽制を図った。
顔に付いたウェブを軽く払いのけるハリー、あの時より粘着力上げたのに本当にあまり意味をなしていない様だ。
「……ハリー…僕が君の父親を殺した犯人ってどう言う事?確か、君の父親は病気で亡くなったって、君自身から聞いた筈だ。」
「……まだ惚けるか。」
「惚けるかとかじゃなくて、僕が覚えていることと、君が覚えている事が噛み合っていないんだ。
話し合おう。」
「話し合ってどうなる!?昔みたいに仲良しこよしするか!?」
「殺し合いになるよりはマシだ!グウェンを殺したお前を許せる気にはならないけど!それでも、僕は親愛なる隣人だから…!
この居場所を守る為に君を助けたい。その為に話し合おう。」
「……グウェン?」
ハリーはそう呟くと、しばらく迷う様に僕を見た。
現状が理解し難いのか、少し考える素振りを見せて、グライダーから足を離す。
「…話し合いに応じてくれるの?」
「お前があまりにも青臭くてな。」
「………はぁーーーーーーー……
……うん、じゃあ、カフェにでも行こうか。この格好じゃあれだし。何処かで着替えよう。」
そう言うと二人はニューヨークの街中を歩き出した。
僕の仕事はたくさんある。
例えば前回みたいに迷子の人を助けたりとか、迷い犬探し、迷い猫探しに迷い自分探し…これが見つからないんだよね。
で、そんな中でも一等目立つのが…
「トラップスターいい加減接着剤を街にばら撒くな!!後で誰が片付けると思ってるんだよ!!」
迷いヴィラン探し。
ある意味じゃ、本業だと思う。
さとて、説明しよう!あの現金輸送車を襲っているプロフェッサーもびっくりな禿頭の名前は『トラップスター』少し前に誰かの協力で刑務所を抜け出したみたい。
奴は実銃とかは一切使わない。その代わりめちゃくちゃ粘り強くて一瞬で固まる接着剤をあの専用の発射機から撃ってくる。自分で作ったらしいけど、そっちで商売した方が良かったんじゃない?って思う今日この頃、実際性能は僕が身を持って体験してるし一筆くらいは書くよ?
「蜘蛛頭!!毎回毎回邪魔しやがって!!今度こそ終わりにしてやる!!」
「僕だって君と会いたくなかったよ!!いい加減、刑務所でティータイムでもしててくれないかな!?僕の仕事が増えるんだけど!」
「ティータイムは俺の趣味じゃねぇ!!」
「じゃあ、僕が刑務所に入りたかったよ!!」
そう言い争いながらも決着自体は2分で済んだ。接着剤の発射口にウェブを放って入り口を塞いで仕舞えば、あとは行き場を無くした接着剤が暴発してトラップスターの体に纏わりついて終わり。
決着は呆気ないものである。
「君、別世界から来てないよね?」
「頭イカれてんのか?」
「…そうだよねぇ…俳優も変わってないし、能力も以前と遜色ない。頭の空っぽさ加減も……うん。
そう言えば、君誰かの協力で刑務所を抜け出したらしいけど。誰?」
「うるせぇな。言っても信じねぇよ。」
「何言ってんの。魔法が実在する様な世界で信じられないものはないんだよ。アベンジャーズだって20年前までは信じられなかったんだし。聞かせてよ。」
そう言うと、接着剤の山からまるでアンジェロ岩の様に顔を出したトラップスターは息を吐いた。
「よくわかんねぇ、黒いネバネバした奴だった。」
「………っ!
へぇ、詳しく聞かせてよ。」
そう聞けば仕方なしに話してくれる。
曰く、牢獄で大人しくしていたら黒くてネバネバした謎の物体が署員を締め上げていたと言う。そうして気絶した署員の鍵を盗んで何人か囚人が逃げ出したとか。
…まぁ、ともかく黒くてネバネバした奴ってのは思い当たる節がある。シンビオートには違いない。
まぁ、ヴェノムandエディは今頃、サンフランシスコだろうし違うとして……多分、僕のせいでパワーアップした術によって来た何物かだろうか。
どうせスパイダーマン3のヴェノムあたりだろうなぁ……もしくは、暗くてよく見えなかったって言うし、実は赤黒くてカーネイジとか?でも、実写スパイダーマンと関わりなかった様な…
もしかして、ゲーム版アメイジングスパイダーマン2のラスボスのカーネイジとか?
それありだったらなんでも有りだよ!?こんちくしょう!!
「……なんだ?お前も信じねぇってのかよ。」
嫌そうな顔をしていたせいなのかトラップスターが不機嫌な顔でそう聞いて来た。
「いや、信じるよ。でも、それが本当だったら……面倒くさくなるなぁって…」