エセ・スパイダーマンがノー・ウェイ・ホームに参戦する話 作:マッキーガイア
MCUの世界に来ちゃった!MCUの世界に来ちゃった!
アイアンマンに会えるとかキャップに会えるとか思ってたけど。それどころじゃないし!もう退場済み!!
それに僕にとって一番最悪の時期なんだけど!
「ミステリオを返せ!」
「人殺し!!」
みんながまるで僕を悪魔か犯罪者の様にみてくる。石を投げたり、インクを投げたり様々だ。
「まったく!酷いな!僕じゃないよ!!このつぶらな瞳を見れれば犯罪者なんかじゃないって分かるのに!!」
それら石やインクを避けながら上手く避けていく。スパイダーセンス様々だ。
「へっへー!当てられたら、金一封!当てられるはずないんだけどね!じゃーねー!!」
「なんだあのスパイダーマンムカつくんだけど!!」
「いつもより憎たらしい!!」
地団駄踏む市民たちを横目にビルの頂上に登った。此処が地元じゃないためになんの建物かわからない。有名な建物だろうか。
いつかはNYに行ってみたいとは思っていたけど、まさかこんな風に行く事になるとはびっくり仰天である。
「……フゥー…一旦整理しよう。」
まず、デッドプールが現れてノーウェイホームがどうとかって……ガチ?
マジであのノーウェイホームに参戦しろっての?
たかがスパイダーマン歴数ヶ月の僕が?しかもエセスパイダーマンときた。
「ハァーーーっ、マジでどうするの?MCUに来ちゃったよ。
参戦するにしろ日本製スパイダーマンだったらもっと東映版とか漫画版とかいただろ。なんでエセスパイダーマンである僕なんだよ…」
世の不条理を嘆きつつ、青空を眺め見る。いつも考え事があるとこうしている。たしか、ミステリオの時もそうだった。いや、この世界のミステリオのことでなく僕の世界のミステリオだ。
奴は街に催眠ガスを垂れ流して多くの人に幻覚を見せて操ってみせた。映画みたいなド派手なアクションや映像的に見栄えのある戦いではなかったが、警察と手を組んで少しずつ追い詰めていったのだ。奴の催眠ガスの成分を調べたり、その素材を元に製作過程を調べて、そのガスが作れる研究室を検挙していって、みたいな。地味な戦いだった。
マジで数週間頭を抱えながら戦ったのだ。
お陰で警察の人とは仲良くなれたけど、もう二度とごめんである。
「……ってそんな事よりもこれからどうするか考えなくては…」
他のスパイダーマンみたいに最後に参戦するか?
それとも……いや、決まってる。
「メイおばさんは助ける……みんなからピーターの記憶を消させたりしない。」
これが最終目標だ。
メイおばさんとはピーター・パーカー…スパイダーマンの育ての親である。人生の師であり、唯一の血縁。
彼にとって失ってはならないこの人をこの作品では失ってしまう。しかも最も悲惨な状況で…
それはあまりにも残酷すぎる。その上ただでさえ傷ついた彼の心に寄り添ってくれる存在でさえ、彼は失ってしまった。
この世界においても、ピーターパーカーは不幸であるのだ。一応、僕はピーター・パーカーでない為に、パーカーラックが発動しないのか比較的安定しているが、彼はまるで前世で核爆弾のスイッチでも押したんかという程に不幸が舞い降りているのである。
それを少しでも緩和してあげたいのだ。
「……っと、方向性が決まったな。次の手は…」
にしても、とんでもないタイミングで呼び出されたものである。現在は8月、ドクター・ストレンジによって他世界のヴィランたちがこの世界に集結するのが11月か12月。だいぶ間がある。
デッドプールのやつ、ノーウェイホームが始まるっていいながら始まるにしても序盤の時間軸に飛ばすとか、酷いを越して笑いが込み上げるてくるレベルだよ。
「……ん〜。どうする僕?4ヶ月東京離れて大丈夫か?いや、多分時間の方は大丈夫か?時間軸の移動もできる様だし。」
ただいまそんな僕はスーツを脱ぎ、私服で街中を歩き回っている。行き先もないが、スーツを着た状態では暴力も辞さない連中が多すぎるのだ。いくらなんでも野蛮すぎるだろ。
「金ない、身分証ない。ないない尽くし。これでアメリカで4ヶ月も生き延びられる自信ない。助けを求めるなら……
いやぁ。ストレンジしか居ないかなぁ…」
ドクター・ストレンジ…正直言って、あんまり関わりたくないタイプの人間ではある。たしかに実力もこういう事の理解度も随一である。だが、一般人である僕にとっては映画を見る限り少し関わりづらい人種なのだ。
「とは言え、誰の援助も無しに生きていけるほどアメリカは楽じゃない。
あー、もう…ピーターはこんな中でどうやって生きてたんだ…?」
しょうがないとばかりに覚悟を決める。
「サンクタムの住所はわかんないし。スパイダーマンのスーツで歩き回るのは危険が伴うし。足で探すしかない。
映画で見た人がいれば………」
別だけど、と言いかけて言葉を止める。視線の先に違和感と共に、こんな街中になんで彼が?と言う気持ちが…いや、
「……ウォン?」
めっちゃ知ってる顔だった。
視界の端でコンビニ的な所で現ソーサラースプリームのウォンがアイスを選んでいる。インフィニティウォーで言っていた物に執着しないって言うあれはなんだったのだろうか…いや、後々色々裏でお金儲けしてたらしいし、俗世的な事もしているのだろう。にしては庶民的だが…
「…ああ、でもこれで問題が一つ解決!」
僕は慌ててウォンの近くに走り寄った。
「すみません!ウォンさんですよね!」
「ん?ああ。すまない。今はプライベート中でな。サインなら後にしてくれ。」
「サイン?」
「違うのか?…ああ、わかった。写真が欲しいんだろ。生憎、俺たち魔術師はアイドルじゃないんだ。サインや写真を強請るのはよしてくれ。そう言うのはアベンジャーズの連中に言ってやれ。アイツらはそう言うの好きだろうから。
あ、握手ならしてやってもいい。片手で済むからな。」
「違いますよ!ちょっとDr.ストレンジに話したい事が。」
「ほー…しまったな。スターククレイジーナッツが切れてる。アイツ不機嫌になるぞ。」
「実は僕は違う世界か突然呼び出されたんです。」
「代わりは………ハルクのイケイケアイスでいいだろう。
ふん、続けて。」
「赤いタイツ男に……いや、スパイダーマンじゃないですよ?アイツに連れてこられて僕にはやるべきことがあるって!
…あ、スパイダーマンのアイス。」
「君にやるべきこと?ストレンジにサインを貰うことか?
スパイダーマンのアイスはダメだ。出来が悪い。」
「違いますよ。でもマルチバース間を移動して来たのは本当です!」
「ほー、ではその赤い男は広大なマルチバースを選んで移動できると言う訳だ。」
「はい。」
「もう少しまともな設定考えてくるんだな。マルチバース間を移動するなんて羽無しで空を飛ぶ様なものだぞ!不可能だ!ましてや、選ぶ事なんて神業としか言いようがない。」
「……………え、で、でも、オタクは出来ますよね?」
「何?」
「ほら、羽無しで空飛んでた。」
「……………」
「すみません。」
「とりあえず、俺は帰るからな。アイスが溶けてしまう。
もし本当に困っているなら警察か、アベンジャーズを頼れ。いいな?警察か、アベンジャーズだぞ。」
「そんなぁ…待ってくださいよ。」
そうしていると、ウォンは懐からスリングリングを取り出すと、指にはめた。
ああ、もう仕方ない。
THWIP!
瞬間、僕はいつものウェブ発射ポーズを取ると、彼の指にハマったスリングリングに向けて放ち。
スリングリングを奪い取った。
「………!」
それを見ると驚いた様に僕を見る。ウォンさん。そうして僕の手のひらに収まっているスリングリングを見つめた。
「……じ、実は言ってなかったんですけど、僕は違う世界のスパイダーマンなんです。」