ペダニウムゼットン、ウルトラマンゼット、そして突然現れた謎の巨人。
街を騒然とさせた者たちが軒並み姿を消し、ダイナレックスだけがその場に取り残された。
『おぉい暦!どこ行くんだよ!…なんだあいつマジで…。ハァ…仕方ねぇ、俺たちだけで探すぞ。お前らは上から探してくれ、まだ遠くには行ってないはずだ』
『えっ…でも、あの人はどうするんですか?』
蓬が指差したのは、ウルトラマンゼットの消滅と共に現れた一人の男。傷だらけで意識を失っている状態の人間を放っておくのは少し憚られる。
『あぁ?んー…わかった、俺が拾っとくからお前らはとりあえず探せ。いいな?』
頭を掻いて結論を出したガウマは、合体を解いて男を拾った後海中に姿を消した。
……
………
「クソッ…なんとか修理しねぇと…このままじゃ戦えねぇ…!」
ガウマの操るダイナダイバーは、ダイナゼノンとダイナレックスの脚部となる箇所に多大なダメージを受け煙が出ている状態だった。どうにかして直さなければ、戦うことができないという焦りを感じる。
そしてふと、場所は狭いがなんとか寝かせた傷だらけの男の方を見る。
あの巨人が消えたと同時に現れたのはなぜか。そして腰にあるZマークの描かれたものは何か。極め付けには
「んだこの機械…?」
男の側に落ちていた謎の機械。三つ窪みがあり取手も付いている。持ち方はわかるが、使用用途がまったく不明。だが、これにも巨人と同じようなZマークがある。
「…まさかな」
脳裏にある可能性を一旦置き、怪獣を探すのに意識を集中することにした。
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「あの怪獣は、とてつもない力を秘めてるみたいだね。怪獣を取り込んで、そのエネルギーを使い別の怪獣を生み出し使役する…。普通じゃ考えられないね」
「……そうだな」
「しかも使役している怪獣も一級品の強さだ。電撃に怪力……本体も炎と怪力を扱える。今度こそガウマもあの巨人も倒せる」
「…そうですね」
「だがあの新しい巨人…新しい敵が増えるのはすこし厄介だな……でも、あの怪獣なら…」
「シズム!!」
怪獣が消えた後、工業地帯の高台で破壊された街を眺める三人。冷静に分析するシズムに、オニジャが詰め寄る。
「テメェなんでそんな冷静なんだよ!ムジナがあいつに取り込まれちまったってのに!!」
「落ち着いてくださいオニジャ…!」
「テメェもそうだジュウガ!こんな異常事態だってのに、お前も…!」
「僕だって動揺してるんですよ。あれから…怪獣に取り込まれるなんて、聞いたことがありません」
ムジナが怪獣を操ろうと干渉し、そのまま怪獣へ取り込まれてしまった事態に動揺や危機を覚える中、ただ一人シズムだけは冷静に怪獣の分析をしていたのにオニジャは耐えられなかった。
「あの怪獣が倒されたら、そのまま……」
「今はわからないことが多すぎます。今回は安易に手が出せません」
「けどガウマを頼んのもあれだからな……だぁーっちくしょう!!」
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「…あ、帰ってきた」
日が完全に落ちた夜。蓬は、海の側でガウマのダイナダイバーが浮上してきたのを確認する。
「やっぱ無茶苦茶調子悪いぜ…怪獣が見つかんねぇ」
「…そうすか…」
「…腹減ったな。とりあえず飯でも食うぞ」
少しの静寂が場を支配した後、ガウマが話を切り出す。その誘いに従い、蓬、夢芽の三人で夕食を取ることにした
……
………
「ごちそうさまでした…!あぁー食った食った!ぃよし!バリバリやる気出てきたぜ!」
「えっ…はい」
「…ごちそうさまでした」
「んん……」
「…ぁ、そういえばガウマさん、あの男の…「あぁーいたいたー、やっと見つけたぁ…」
食事を終え、ふと思い出したことを聞こうとした瞬間、横から声がかかる。その正体は、赤い頭髪と装いに身を包んだ『飛鳥川ちせ』だった
「ちせちゃん…」
「どうしてここに…」
「えっ酷ー、今まで一緒に戦ってきた人に対して……ってあれ、暦先輩は?」
「んだか知らねぇけどどっか行っちまったんだよ…」
「えっ…一人で?」
「あぁ。早く呼び戻さねぇとな…今夜は朝までコースになりそうだからな」
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『うっ……ここは…』
怪獣との戦いで消滅したと思われたゼットは、謎の空間で目を覚ました。あたりは一面真っ暗でなにも見えない。
『ハルキ?…ハルキ!…ダメだ、反応がない』
ハルキへ交信を試みるも反応はなく、完全に行き詰まってしまった…と思ったその時、一筋の光がゼットにさす。
『なっ、なんだ?』
光の差す方へ歩いていくと、それはテレビだった。そしてそこに写っていたのは
『お、俺ぇ!?』
戦っているウルトラマンZの姿…つまり、自分の姿が写されていた。
オリジナルの姿で、怪獣と戦う姿。
アルファエッジの姿、ベータスマッシュの姿、ガンマフューチャーの姿も次々と写される。
『これは…どういうことなんだ…?』
「同じ名前の主人公がとうとう出たかー…いやぁ感慨深い」
『この声は…ハルキ!?』
困惑するゼットの耳に聞き覚えのある声が入る。それは紛れもなく、自身と融合しているハルキのものだった。
「日常に飽きれば非日常を求めるって言うけど、ほんとだよなぁ……ここいら働き詰めで、逃げたいもん」
「ま、それでも変わらず働かなきゃいけないんだけどねぇ……」
「そろそろ出勤かぁ…いってきまーす」
扉の開く音と共に、テレビの映像が切り替わる。そこにはただ一文
特撮番組 ウルトラマンZ
とだけ写り、電源が落ちた。
『特撮…番組…?』
ゼットは地球の文化に対して詳しくないため、写っているものの意味がよくわからない。考え込むと、再び光が背後から指してくる。振り向くと、そこにはハルキが佇んでいた。しかし、その姿は初めて出会った時より老けていて生気を感じにくい。
『ハルキ!一体どうしたんだそんな格好で…っ』
ハルキへ手を差し伸べようとするが、手が触れる寸前のところで霧のように飛散してしまった。その霧はゼットの視界を包み込み、大量の情報を流し込む。
それはゼットにとって、驚かずにはいられないものだった
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「……っ痛たた…」
体がバキバキと悲鳴を上げるなか、狭いところで目を覚ました。痛みと共に、ぼんやりとしていた意識と記憶がだんだんと蘇ってくる。ムジナが変身したと思われるペダニウムゼットンに敗北し、謎の巨人が出現。エネルギー切れにより体力がなくなってそこから…
「ゼットライザーもどうしてここに…。それにしても、ここはどこなんだ……なんかの部屋みたいだけど…」
軋む身体を起こし、なんとかして出る方法を探してみる。悪戦苦闘の後、外に出ることには成功した。その場はなんと海の上、船とは言い難い謎の乗り物の上に立っていた。
「なんだこれ、まぁいい。とりあえず近くの陸に上がるか…痛てて…」
なんとか、近くの岸へ上がろうと努力する。案外岸に接地していたため降りることは出来たが、飛び降りるのに痛手を負った体ではすこし無茶だった。
「痛ってててて……湿布とか貼りたいけど、んなもんここにはないしな……ハァ…」
上がった先にはちょうどよく座れるスペースがあり、そこへ横たわる。ゼットライザーを抱え、上を見上げる。
「ゼットさん?…ゼットさーん…。ダメだ、通じない」
ゼットとの交信を試みるも、反応はなし。ただ自分の声が響くのみ。口をつむぐと波の音と風の音だけが耳に入ってくる。思考が掻き消え、だんだんと身体中の力が抜けていく。
「疲労と痛みに、眠気かよ……腹減ったな…」
目を開けるのすら億劫な疲労、ズキズキと身体中へ響く痛み、そして疲労困憊を癒そうとする眠気。こんなとこで寝ていたら通報されるかもしれないが、もはやそこまで頭が回るわけもなく。
波と風の音に寝息が混じり始めた。
……
………
「…きろ……おいおきろ……起きろってば!!」
「うおっとととと…」
熱烈な呼びかけにより意識が現実に引き戻された。驚きのあまりゼットライザーを取り落としそうになるが、ギリギリ持ちこたえる。
「お前、なんでここにいるんだよ」
「はい…?」
ぼやける視界を声の方へ向けると、そこには左頬に傷を作った大男。赤髪と胸と手に巻かれた包帯が特徴と、クセの強い見た目をしている。
「なんでって、言われても」
「ダイナダイバーから出てきただけか」
「…ダイナ、ダイバー?」
「お前を乗せてたやつだよ、俺がお前を拾っといたんだからな」
「あぁ…それはどうも…」
軽く礼をすると、こちらに向けられる二つの視線に気づく。青髪の男子と、栗色の髪の女子、最後にビーチランドで出会った赤髪の女児。このメンツで、ようやく思い出した。初めて変身したあの日、集まっていた集団。おそらくダイナゼノンを操る四人のうちの三人…だったはず
「ああ、あの時の…「早速だが、お前に聞きたいことがある」
「お前は……何者だ?」
「俺は…ウルトラマンZ、あの青い巨人…に変身する人間だ」
次回は少々説明口調が多くなってしまうかもしれませんがご容赦ください