ひとしきり泣いた後、日が昇ろうとしている現実に戻ってきた。もちろん起きたことは意識の中の話であって涙の跡はなく、体は傷だらけ。ゼットに急いで作戦のことについて説明をした。
『なるほど…あの怪獣はメダルで強化されていて、それを弱体化させるためにあの中にいる人?っていうのを、メダルごと引き剥がす。出来なくはないかもな…』
「……聞きたいんです。どうしてこの世界にベリアル融合獣がいるのか、どうしてこんな行動を起こしたのか…。」
俺の言葉がダメだったのか、逆に焦りを助長してしまったのか…それとも、他の仲間の影響で決意してしまったのか…知る術は戦う他ない。こうは調子よく言ったものの、肝心の俺がボロボロな為失敗もあり得る。負ければ俺も、中にいるムジナさんも恐らく死ぬ。ダイナゼノンやグリッドナイト…はわからないが、勝ったとしても中の安全が保障されていないから恐らく…。なんとしてでも勝たなければならない
…
……
「きた…!」
昇る朝日をバックに、奴は堂々と現れた。その傍にはもう一つの影が。今度はサンダーキラーやスカルゴモラではなく、別の怪獣を従えていた。
「キングギャラクトロンか…!!」
頭部と左半身は白と赤、胸部と右半身は黄土色の別れた容姿に加え、右腕はペダニウムランチャー、左腕には鋭い爪が装備されたペダニウムゼットンと似たロボット型の怪獣『キングギャラクトロン』。2体の融合獣の代わりにペダニウムゼットンと肩を並べ進行する姿は圧巻に思える。
「昨日の2体と違ぇじゃねぇか…!」
「まーたロボットみたいなやつっすね…」
「もう一体を足止めしつつ、昨日の怪獣の隙を作ればいいんだな?」
「ああ、よろしく頼む…ダイナゼノン、グリッドナイト!!」
ダイナソルジャー
ダイナウィング
ダイナストライカー
ダイナダイバー
四つのユニットが巨大化し、ダイナゼノンへ合体するのと同時にグリッドナイトも変身し、着地で大きな水飛沫をあげる。
「宇宙拳法、秘伝の神業!!」
【Ultraman Z…Alpha Edge】
隙を見逃さず速攻を掛けることができる、アルファエッジへウルトラフュージョンし、ダイナゼノンとグリッドナイトの前へ着地する。
『……行くぞ!!』
『ああ…!』『おう!!』
ゼットを先頭に2体の融合獣へ走り出す。まずはゼットがペダニウムゼットン、残り2人はキングギャラクトロンを相手する。
『デェアッ!ダッ!ジュアッ!』
一発一発の威力はないが、アルファエッジの手数とスピードで翻弄し隙を伺いつつ攻撃をいなしていく。
『グリッドナイト…サーキュラーッ!!』
『なんとかビーム!』『ペネトレーターガン!!』
キングギャラクトロンを相手取る2体はまず遠距離からの牽制を試みる。しかし、二つの攻撃を受けたにも関わらず効いた様子は全く見られず、進行を続ける
『あいつ硬すぎだろ…!全ッ然効いてねぇ!』
『関節部や腹部を狙え!どんな堅牢なロボットも関節部分は他の装甲に比べて柔らかいはずだ!』
『おう!ダイナセイバー!!』
グリッドナイトからの指示を受け、ダイナゼノンは手のひらから緑色の光刃『ダイナセイバー』を出し、グリッドナイトはサーキュラーを手に出したままノコギリのように扱う。接近してくる2体に対しキングギャラクトロンは、グリッドナイトには左腕に魔法陣を展開し素早い連撃『ペダニウムパンチング』、ダイナゼノンには右腕からのペダニウムランチャーで応戦する。
『速いッ…!グァッ…!』
『うぉぉっ…かなり来るなこれは…!』
『デェアッ!』
ゼットの方はというと、翻弄することは出来ているのだが肝心の隙が見つけられずチャンスが生まれない。竜巻閃光斬を防がれてしまえば一巻の終わり、そのため使い所を見極めなければいけない。
(一体いつのタイミングがいいんだ…!)
タイミングを決めあぐねているとペダニウムゼットンが反撃を開始する。自身をゼットンシャッターで囲みゼットからの攻撃を防ぐと、その場で高速回転をし出した。やがて回転数が最高潮に達すると、バリアだけが宙に浮き上がりドリルのようにゼットを狙い始めた。
『まずい…ッ!!』
絶対に防ぎきれないと予感したゼットは空中に飛び上がり高速で離れる。しかしどういう原理か、ドリルと化したバリアはそのままゼットを高速で追尾していく。
『なっ…!追ってきてるのか!?』
右、左、上、下。どれだけ回避行動を取ってもそれに合わせてくる。だんだんと距離も縮まってしまいあと少しのところまで迫っている。
(…!ゼットさん!あっちの怪獣にぶつけよう!)
ゼットへ指したのは、グリッドナイトとダイナゼノンを相手取っているキングギャラクトロン。キングギャラクトロンまで近づきギリギリのところで回避することでバリア攻撃を肩代わりさせる作戦だった。
『よしわかった!…2人とも!!そこから一旦離れるんだ!!』
速度を極限まで上げ、キングギャラクトロンへ接近する。相手取る2体へ呼びかけると、離れるのではなく2体でキングギャラクトロンを抑え込んだ。動きを固めているその隙にキングギャラクトロンとの距離はもう僅かとなった。
『ナイスだ!……ジュアッ!!』
寸での所で急上昇しバリアをかわす。一方バリアは方向転換が間に合わずちょうどキングギャラクトロンの身体に直撃した。高速回転したバリアは勢いよく装甲に直撃し片膝を付くほどの大ダメージを与えた。
『━━━━!!』
キングギャラクトロンは、鳴き声のような甲高い機械音を響かせると右腕のランチャーにありったけの全エネルギーを溜め始めた。
『俺たちを道連れにする気か…!!』
『…そうだ!この攻撃を奴にぶつければ…!』
ランチャーに集まるエネルギーは、その場の空気を震わせる程のパワーを持っている。それ程のパワーがあれば、ペダニウムゼットンに少なくともダメージを与えるかバリアを破れるかもしれない…そう考えていると、近くにいた2体から呼びかけられる。
『だったら俺たちに任せな!』
『お前はあいつに攻撃をする準備をしろ!』
ダイナゼノンはキングギャラクトロンの注意を引き、グリッドナイトはペダニウムゼットンの注意を引く。
『こっち向きやがれ!!』
ペネトレーターガンで、エネルギーチャージ中のキングギャラクトロンを攻撃し注意を逸らす。
『グリッドナイト…乱れサーキュラー!!』
『ハァーッ!!』
ペダニウムゼットンへ大量の光刃を飛ばし、動きが止まったところへキックを喰らわせる。キックはバリアで防がれてしまったが、動きを止めるのにはちょうどいい。
【Jack Zoffy Father Of Ultra】
ゼットライザーに『ジャック』『ゾフィー』『ウルトラの父』のメダルをセットしスキャン、いつでも必殺技が放てる状態でスタンバイ。
『グリッドナイト!避ける準備しとけ!!そろそろ来るぞ!!』
『了解した!!』
キングギャラクトロンの瞳が点滅し始め、身体が動かせるギリギリまで体内の全エネルギーをチャージし終えたのを確認する。グリッドナイトはペダニウムゼットンのバリアを踏み台にし距離を取る。それと同時に、ペダニウムランチャーから極大のビームが一直線に放たれた。展開されていたバリアへ直撃、辺りにエネルギーが飛散し爆発を起こす。抵抗するペダニウムゼットンだが、だんだんバリアへヒビが四方に入り始めた。やがてヒビは全体へ行き渡り、ビームが途切れるのと同時に砕け散った。
『━━━━!!』
体勢を崩したペダニウムゼットンだが、すぐに立て直し反撃へ入った。両腕で火球を作り上げ、力を溜める。
『今だ!!』
『決めろォォ!!ウルトラマンゼット━━━━!!』
『(M78流!!竜巻…!!閃光ォォッ斬━━━━ッ!!!)』
ゼットライザーから光の刃が生成される。通常の使い方と違い、竜巻を発生させず剣のような光の刃を光輪へ変化させ、飛ばさずにそのまま回転させてペダニウムゼットンの背後から斬りつける。
『うぉぉぉぉぉ!!』
光輪が激しく火花を散らす。その間にもペダニウムゼットンは止まらず火球はどんどん巨大化していく。なんとか防げないかとグリッドナイトとダイナゼノンも攻撃するが効果はない。
『やべぇぞ、止まんねぇ…!』
『くっ…ダメなのか…!!』
一向に光輪は火花を散らすだけで傷一つ付けられない。ありったけの力を込めているが届かない…!
『クッ……ソォォォォ!!』
とうとう活動限界が近づきカラータイマーが鳴り始めた。火球の方もさらに巨大化し軽く三体を飲み込むまでになっている。
(救えないのか…目の前の人1人…!!)
(あんな事言っといて…無理なのか…!!)
(……いや、無理なんかじゃない!!)
「俺は、ウルトラマンになったんだ…!限界なんて……超えてやる!!」
『ハァァァッ!!』
出せるエネルギーを全て使い光輪を三つに増やす。すると勢いよく刃が刺さり手を入れられるようになった。
『「届けぇぇぇぇッ!!!」』
圧倒的なパワーを生み出している核へ手を伸ばし、2枚のメダルと1人を掴み取った。それと同時に、とてつもなく巨大化していた火球が消え去りペダニウムゼットンの身体中から黒い霧のようなものが噴き出す。手にしたものを一時カラータイマーへ移すと、必殺技の構えを取る。
『今だ!!決めるぞ!!』
『あぁ!!』
『わかったぜ!!』
ダイナゼノンは一度分離しダイナレックスへ変形、グリッドナイトは両腕をクロスさせ大きく広げて、左腕を突き立て前に出す。
『必勝大火炎…!!』『グリッドナイト…!!』『ゼスティウム…!!』
『『『『レックスロアー!!』』』』
『ストーム!!』
『光ォォォ線━━!!』
三つの技が合わさりペダニウムゼットンへ直撃する。攻撃が止むと直立状態のまま背後へ倒れ、大爆発を起こした。爆発の影響で雨のように海水が降る。
「……救えた」
『やったな、ハルキ!』
緊張が解け静かに呟いた言葉はガウマの大声によってかき消された。
『よっしゃあぁぁ!!』
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「…倒されちまったな」
「そうだね」
怪獣優生思想の面々は遠くからその戦いを見ていた。爆発したペダニウムゼットンを見て、オニジャはやるせない気持ちになる。
「クソッ…」
「…!オニジャ、あれを見てください」
「あん?…ってうおっ!?」
ジュウガが指差した先。そこには、飛行してくる青い巨人…ウルトラマンZの姿があった。
「まさか、俺たちを直接やりに来たのか…!?」
「そういう雰囲気じゃなさそうだよ……ほら」
急いで逃げようとするオニジャに対し、冷静にゼットを見つめるシズム。その言葉通り、ゼットはゆっくりと握り拳を地面へ近づけ開く。
「ムジナ…!!」
そこには意識を失って横たわるムジナの姿があった。驚いてゼットの方を見れば、ただ静かに頷いて飛び去ってしまった。
「あそこから助けられたんですか……感謝はしないといけませんね」
「……」
ゼットの飛び去った先を見つめるシズム。
その手には5つのメダルが握られていた。
そしてグリッドマンユニバースも完走しました。激アツ展開からの感動で深夜にドカ泣きしました。興奮のあまり、のたうちまわりました。終わらないでくれ……
あとZ成分が少ないかと思ったのでちょーっとZ本編から流用的な形でZ側に関わる話をダダッ被りしないよう気をつけて何個か入れようと思ってます。