「空っぽなんだよ、お前」
「誰かに付いて回ることしかできないやつが」
…
「何かしたいこととか、ないの?」
「進路決まってないのか?」
……
「この無能が!」
「お前は何がしたいんだよ」
………うるさい
好き勝手言いやがって。俺だって頑張ってんだよ…なのに、どうして。何がいけない?何をしたらいい?何をすればいい?なになら認める?
そんなにやりたいことがなくて悪いか?やらなきゃいけないことすらやりたいとは思えないのに。
…
そうだ、怪獣を倒さなきゃ。俺がしなきゃ、認められなきゃ。存在意義が欲しい。
俺は、ウルトラマンなんだから
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『…ルキ…ハルキ!!』
(ッ…!)
『大丈夫か!?』
暗闇に飲み込まれそうになっていたところを、ゼットの呼びかけで引き戻された。
嫌な記憶を見せられた。
死ぬ前の自身へ投げかけられた数々の言葉の刃。どれだけ忘れようとも、記憶の根底には深く突き刺さっている。
『ここはどうやらあいつの体内みたいだ。どこから抜け出せるか…』
(…上ですゼットさん。上に行けば抜け出せますよ)
『…ハルキ。前から思っていたがお前は…』
(出てからにしましょうよ。ここじゃ気分が悪い)
ここにいたら自分がどうなってしまうかわからない。気が狂いそうになるのを必死で抑えている
(ここはベータスマッシュのゼスティウムアッパーで一気に行きましょう)
「真っ赤に燃える、勇気の力…」
…
……
『お、おい…!あいつ飲み込まれちまったぞ!』
『じゃあ早く倒した方が…』
『攻撃したら中の人ごと行きません!?大丈夫すかね!?』
『…!待って、何か聞こえる』
『ゼスティウムアッパァァー!!!』
ガンQの身体を粉砕しながら飛び出してきたのは、赤い筋肉隆々のゼットベータスマッシュ。ガンQは叫ぶ間もなく粉々に吹き飛んだ。
『す、すごいね…』
ダイナレックスのなかにいる一行がその光景を見守る中、ゼットはダイナレックスへグッドを送った後空へ飛び立った。
『『『『『…N?』』』』』
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やるべきことはたくさんあるのに…やりたいことなんてない、今も見つからない。この戦いだって今や、出たから倒す、なんて風にパターン化している。
俺はそもそも、ウルトラマンになるような人間だったのだろうか?というか
俺って、なんなんだ
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夜になり、ただひたすらに、人気のない外を歩いている。ガンQとの戦いから調子がよくない。ずっと頭の中がモヤモヤしていて、自問自答を繰り返している。
死ぬ前から無個性で平凡だった。死んで、ウルトラマンになった。
ただ、それだけ。とってつけられた物を誇りに思うなんて、できない。それに俺は知っているから、ウルトラマンの物語を。本来なら悩んだりするところ、大丈夫だからとか知ってるからでなにも思ってこなかった。極め付けには、自分で決めたこと、あったか?ゼットに言われて、調子に乗って、そこから深く考えず戦ったりなんだり。俺は何がしたいんだろう
『…ハルキ』
「…なんです?ゼットさん」
『悩みがあるなら…話してみてくれないか?ほら、こういうのは吐き出した方がスッキリするでございますよ』
顔を見かねたのか、身を案じ寄り添うゼット。
「…ゼットさんはどう思う?俺を」
『え?そりゃ頼りにしてるよ』
「こんな俺でも?空っぽで、自分の意思もなく、ただ惰性で戦ってる俺を?自分のために戦ってるような俺を?」
『ハ、ハルキ…落ち着け!一旦落ち着くんだ!』
「これでも落ち着いてるんだ!!!!」
人気がないとはいえ、街中で出すにはよくない程声を荒げる。ハッとしてすぐさま謝罪を入れる。
「…悪い」
『…いや、聞き出そうとした俺も悪かった。今は、休んでくれ』
そこでゼットの気配は消えた。代わりに、一人の気配が現れた。
「…あなた、そんな大声出してどうしたの?」
声の主は、声の高さやシルエットからして女。それにしてもどこかでこの声…?
「すいません…ちょっと悩み抱えてて。すぐいなくなりますから、ご迷惑おかけしてほんとすいません」
「待って」
注意されると思い、そそくさとその場を離れようとした所止められる。そしてツカツカとこちらに歩みを進めてくる。暗闇に目も慣れ、ちょうど見える距離まで近づかれると、その顔が現わになる。この暗闇でもはっきり見える青く輝く瞳、真っ白な服装。近くで見ると、顔も整っておりスタイルもよいことが伺える。あの怪獣を操っていた一人だった。
「その腰のやつ……もしかして、あの店員さん?腰に変なのつけてたから記憶に残ってたの。ほら、覚えてない?昼間お店に行った、私と同じような服装した三人組」
「あ、あぁ…その節はどうも…って、腰…?!」
腰のメダルホルダーを指摘され、一気に身体中に緊張が走る。確かこれは地球人には見えない素材で作られている話のはず。なのにどうして…!
「…これが、見えるんですか?」
「?うん、ハッキリ見えるけど……やっぱりその柄、見覚えある。あの青い巨人の胸のマークに」
完全に相手は見えているのに加え、この柄だけでゼットと結びつけようとしている。察しがいいらしい
「最近ニュースとかにもなってるし、知ってるよね?青い巨人。それとその腰の物、何か関係あったりする?」
「…どうしてそんなこと聞くんですか?」
「…興味、かな。青い巨人、なんて初めて見るし、似てるものがあったら気になる」
…?先ほどから、敵意や悪意を感じない。自分たちが怪獣を操っているのを倒す者、それは敵なはず。もし正体が俺だと知ったとして、先に倒す!…とかそういうのになったりしないのか?
「…わかりました、俺からの答えを言います。…あなた方は、どうして怪獣を操るんですか?毎回デカくなって怪獣と戦うの疲れるんですよ一応。体動かすんで」
「!」
いざ返答すれば、少し目を大きく開き驚いたような表情になる。無表情だと思ったら意外と感情が出る
「…嘘、あれあなたが変身してたの?ロボットとかじゃないんだ、そんなのあるんだ」
「…はい?」
随分と拍子抜けだった。やっぱり…とか、ここで倒すーとか…ほんとに興味本位で、何も知らず、ほんとにただ腰のホルダーの柄が似てるってだけで?……ますます相手の素性がわからない。
「え、あれがなにとか知って…?」「ううん」
「このホルダーとあれの関係は知って…?」「ううん」
「…はぁ、イマイチよくわからない…」
さすがに頭を抱えた。敵であるはずの俺を、たかだか興味本位で当てるとか、俺もどうして敵であるはずの相手に喋ったのか。さすがに精神状態がよくないせいか。
「それで、どうするんですか?今戦います?」
「ううん、やめとく。今怪獣いないし、そんな気分じゃない」
「…聞いておきますけど、あなたの目的は?」
「…さぁ、私にもわかんない。ただの興味」
…つくづくわからない。敵なのに、どうして相手も俺も、こう真面目に話を聞くのか。
「…ハァァァ〜ッ」
「なに、ため息なんかついて」
「あなたのせいなんですけど…?敵なのにこうして話してるし、興味だけでここまでするし、何がしたいんですか?」
「…わかんない。なにがしたいとか、自分のことも」
「……」
言葉から感じ取れる感情、それには人一倍敏感だったからわかる。
俺と同じタイプ。というより今の俺とほぼ同じじゃないのかと思う、
「…それ、わかりますよ。自分のしたいこととか、そもそも自分のことも、わからないの…。一応聞いておきますけど、名前は?」
「…ムジナ。あなたは?」
「ムジナさんね……しっかり覚えときますよ。俺は…隼西ハルキ、ハルキで結構です」
「ハルキ君ね……。ん。時間も時間だし、それじゃ」
「それじゃ。また会ったら、似た者同士仲良くできますかね?敵だけど」
「その時の状況次第、じゃない?」
「それもそうですね」
暗闇に消えていくムジナの背を見つめる。死ぬ前と、ウルトラマンになった後。初めて、親近感と強い好奇心を覚えた。そして、この付き纏う劣情への意識が少し変わったのを感じた。
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…
……
自身たちの操る怪獣達を倒す、青い巨人。本来敵で、戦う存在なのに、その正体は自身と似たような気配を漂わせる者だった。いつもの四人に囲まれて、感じることのなかった特別な仲間意識…自分を重なる見方をしてしまった。
ガンQ登場、そして怪獣優生思想(今作のキーパーソン一人)との遭遇、闇の露呈回でした。そして次は、あの神秘の力が…?