※この作品は、東方ニコレクション:2026年8月『東方ショートストーリー』コンテスト投稿作品です。
テーマは『秋』『まじない』『NewClassic』の三種類ありますが、この作品は『NewClassic』で投稿しています。
内容は、東方紅魔郷ストーリーになぞらえた二次創作です。『東方紅魔郷―NewClassic』のホームページ(8月22日現在)を意識して作りました。
文字数は2000文字以内におさめていますが、文章整形したことで文頭に余白が出来ています。余白込みだと多分超えますがニコレクションの方に投稿する際は余白ないので大丈夫です。
幻想郷が紅色の霧に包まれた。湖にある島の畔に出来た大きな洋館から発生していると聞きつけた霊夢と魔理沙は、異変解決のため館へと向かう。
「邪魔」
「あ"だいッ!」
見敵必殺、霊夢はお祓い棒で容赦なく妖精の脳天に天誅を下し、湖の底に叩き込む。
「うへぇ、容赦ねぇ〜」
「妖精なんてどうせすぐ復活するんだから……てか何でアンタもいるのよ」
「そりゃ洋館探索とくれば、お宝の一つや二つあって然るべきだろ?」
「……はぁ、邪魔だけはしないでよね」
「はいはい」
二人はそのまま湖を渡っていると、見慣れない服装した人物がウロチョロしているのを見かけた。
後をつけようとしたら弾幕で抵抗されたが、スルリと避けて迎撃を繰り返しているうちに、いつの間にか門の前に来ていた。
そこは、この紅霧の異変の発生源たる、洋館の門前だった。
「あら、道案内はもう終わりかしら?」
「ここに逃げたってことは、あんた、この洋館の番人なんだろ? 成敗してくれる」
「あんた達どんな教育受けてきたのよ!」
門の番人は二人に対して精一杯の弾幕をぶつけるも、ひょいひょいっと避けられ、二人の必殺技である夢想封印とマスタースパークを同時に受け、門ごと吹き飛ばされた。
「私、悪いことしてないのに……!」
しくしくと、地べたで泣き続ける門番。そこに二人がニュッと現れ、門番の服の襟を掴んで持ち上げた。
「さぁ、サッサとアンタの主の元に案内しなさい」
「さもないとウチの霊夢さんに酷い目に合わされまっせ」
「うぅ〜、すみませんフランお嬢様ぁー〜!」
館の門番、紅美鈴の案内のもと、二人は館の中へと潜入する。
館の中は、酷く荒れ果てていた。割れたガラスの破片があちこちに散乱し、中央の階段すら真っ二つに割れ、機能していない。歩くだけでケガしそうなので、二人は宙に浮きながら散策する。
「まるで廃館じゃない……」
「お前、ホントにここの門番か? ただの通りすがりの一般人とかじゃないのか?」
「違いますよ〜。この館は元からこうなんですよ。お嬢様も私もお片付けしないので、必然とこんな風に……」
「主はいるのね?」
「はい。ちょっと変わった主が」
霊夢たちは館の中を探索するも、一向にその主とやらに出会えない。美鈴いわく、主は館の中を気ままにフラついており、出会うこと自体難しいらしい。
ただ主はお人形遊びを好み、よく人形を連れては、誤って引きちぎるそう。その痕跡を辿れば、主の元にたどり着けるらしい。
霊夢たちは図書館散策中に見つけた人形の綿を辿り、それが屋上に続いているのを見つけた。
「それにしても、広いわね……」
「広いわりに道中誰とも出会わなかったが、どうなってんだ?」
「この館はずっと私とお嬢様の二人住まいですよ?」
美鈴の発言に、二人は驚く。
「何があったらこうなるんだよ……」
魔理沙はこれまでの不可解な状況を整理する。
この館は、ある日なんの前触れもなく現れた。住人は主と門番しかいない。なのに館の内部は異常に広く、部屋も、椅子の数も、食器の数も、異常に多い。
おまけに図書館は、使い古された大量の魔導書が散乱していた。この館には魔法使いが住んでいて、これらを管理しているのだと思った。だが、誰もいない。
「本当にお前らここの住人か? ただの家無しじゃないのか?」
「本当ですって!! 私とお嬢様はこの館でずっと、何百年も住んでるんです!!」
美鈴は本気でそう告げる。その様子を二人は訝しみながらも、館の屋上へと向かった。
「……本当に使えないわね、美鈴」
屋上に出たすぐ先に、宝石の翼を携えた少女が浮いていた。
「あなたが館の主?」
「そうよ。私が館の主、"フランドール・スカーレット"」
「随分と雑な主がいたものね。部屋の片付けくらいしたらどう?」
「そういうのは従者の役目でしょ?」
「使えない門番しかいないじゃない」
「それもそうね」
クスッと笑うフラン。
「そんなことより、迷惑だからこの霧止めてくれる? 嫌って言っても止めるけど」
「残念だけど、私を殺しても止まらないわよ。私、なんにもしてないし」
「は?」
「この霧は勝手に出てきたの。だから、どうしようもない」
「そんな嘘が通じるとでも?」
「私が記憶喪失だって言っても、アナタは信じない?」
「……っ!?」
「ねぇ。どうして?」
フランが霊夢に近づく。
「何で私は、495年間も、ここに閉じ込められていたの?」
「……ッ!」
霊夢はお祓い棒を構えた。
「へぇ、やるんだ?」
「アンタを倒して、異変を止める」
「ふぅん、意味ないのに。でもいいよ」
「こんなに月も欠けてるから……」
「寂しい夜になりそうね」