神はただ、人の人生を操るだけだ 作:俺よりあんたに必要そうだ
神様はいつでもどこでも私達の事を見守っている。天網恢恢疎にして漏らさず、なんて言葉もあるけれど、大小関わらず悪事は神様に見られているから、私達は自分の行動を恥じてはならないし恥じるようなことをしてはならない……のだけど。
うわぁ、なんだか凄いことになっちゃったぞ。うーん……緋の眼と緋の眼が被ってしまったなぁ。
眼前に広がるのは眼球をくり抜かれた老若男女の死体。簡単に言うとクルタ族虐殺イベント。何故こんな事になったのか、少しばかり振り返ってみると──
「人身売買のルートを一つ突き止めた」
蜘蛛の現在の活動は悪名を広げること。その為に盗み(強盗)をして蜘蛛のマークを残しておいたり、金持ちを殺してその金を貧民街(流星街含む)にバラまいたりしていたのだけど、そんなことをしていたある日、クロロがそう呼びかけてきた。久しぶりの全員集合である……とはいえまだ初期メンバーしか居ないんだけど。番号は結構歯抜けです。
「人体実験を繰り返している少数部族……クルタ族というんだが、そいつらは自分達の眼を隠すための薬を作ろうとしているらしい」
どこから情報を集めてきているのかは知らないけど、クロロが言うなら多分合ってるんだと思う。なんで原作知識持ってる私より賢いんですか? もうパクノダに私の記憶読み取ってもらってクロロに渡してもらった方が良い? 発狂したと思われそうだからやらないけど。
「こいつらを狩って見せしめにする。手順は──」
でもここに関してだけはどうにか伝えた方が良かったかも……? いや、逆に考えよう。緋の眼を奪っちゃってもいいと考えるんだ。クラピカさえ撃退できれば問題ないわけだし。頑張ってウボォーさんに勝ってもらおう。凝を怠るなよ……
とまあそんなわけで、緋の眼を奪いによく分からないところまで連れてこられたのだけど……
「私要らなくない?」
「まあそれを言うなら俺とかパクノダも居なくても平気そうだし」
戦闘はウボォーさん達の武闘派組が、拷問はフェイタンが担当することになったから私は暇を持て余していた。これ私来る必要あった?
「パクノダは拷問の時に呼ばれるでしょ、その方が効率良さそうだし。シャルは……一緒に善行でもする?」
「いや、こんな所で何をするのさ」
苦しまないようにトドメを刺すとか……? ウボォーさんの硬に中途半端に巻き込まれた人とか酷いことになってるし。でもそうすると緋の眼にならないから駄目なのか。ままならないね。
「……懺悔でもしとこうかな」
「ザンゲ?」
「神様に悪いことしてごめんなさいって謝るの」
「悪いこと? 子供を攫って解剖すような奴らだぜ?」
「あ、お帰りウボォー。別に私も、そんな連中なら殺すことはむしろ善行だと思うんだけどねぇ」
殺すのは良くて甚振るのは駄目とはどういう倫理観なのか、そう詰められたら答えに窮してしまうのだけど、私の気分の問題なのだから仕方がない。多分死ねば皆仏って感覚が残ってるせいだとは思うけど。
「まあ嬲るのに興味ねぇのは俺も同じだけどな。骨があって戦うのは楽しかったけどよ」
「うんうん。やっぱ神様の言うことには従わないとね」
「それは知らねぇけどな」
己の中の神様の声には従うべきなのである。逆に神様が駄目だと言っていることをやっても大体その結果はロクなことにならない。……この感覚がある以上私の念能力的にこの後悪いことが起きるんだろうなぁ。具体的には復讐鬼になったクルタ族の生き残りが打倒幻影旅団にその生涯を捧げるとか。
「全部終わったら弔いだけしようかな……手伝ってくれる?」
「分かんねぇけど力仕事なら任せな!」
「わぁ、脳筋って心強い」
そしてトランプをみんなでやっているところに拷問担当兼緋の眼回収担当の面々が戻ってきて、冒頭に戻るのである。こんなに緋の眼ばっかあっても困っちゃうよ。流石に三桁は無さそうだけど……あれ?
「クロロ、クロロ、クーちゃん。クルタ族って皆殺しにした?」
「いや、あくまで見せしめだからな。むしろ生き残って恐怖を伝えてもらわないと困る」
「なるほど……なるほど?」
「どうした? 何か懸念事項でもあるか?」
「や、うーん……」
クルタ族虐殺イベントって鏖殺だったよね? 生き残りがクラピカしか居ないからこその原作の諸々だし。かといってこの後にまたクルタ族に襲撃をかけるとも思えないし……わかんなーい。
「ちなみにこれ、どうするの? 飾る?」
「人体収集家に高く売れるらしいからな。闇オークションに流すつもりだが……欲しいのか?」
「や、別に……」
いくら色が綺麗でも人の眼球はグロいが先に来ちゃうよ。ネオンなんかは喜ぶんだろうけどさ。原作でも欲しがってるシーンがあったような気がするし。
「そうか? まあどの道暫くは手元に置くつもりだが。『盗賊の極意』の進化に使いたい」
「ああ、制約……」
それとも誓約? 分かんないけど、クロロの念は貴重なオタカラを盗むと進化する……らしい。実際にその場面を見た事は無いが、念を盗む為に必要な手順が減ったり、盗んだ能力の詳細が分かるようになったりするのだとか。どうせなら同時に色んな能力が使えるようになったらいいのにね。
そして貴重なオタカラってなんだよという話なのだけど、特に明確な基準がある訳ではないとのこと。市場価値だったり歴史的価値だったり、物の価値なんて簡単には決められないだろう? とはクロロの言。まあ多分だけどクロロの主観で決まるのだとは思う。本人の趣味的に本とか文化遺産とかが該当するんじゃないかな。
さらに補足として、この場合の『盗む』というのは『自分の所有物では無いもの』を『手段を問わず自分の物と認識出来る期間傍に置いておくこと』らしい。極論普通に買ってもいいのだとか。それって盗んでなくない? って聞いたら『盗賊は欲しい物を手に入れるのが目的なのであって、盗みは手段の一つでしかないだろう?』ってお返事。納得いくようないかないような。まあ他人の誓約なんてそんなものだと思う。逃げ道を与える縛り(笑)で斬撃範囲を拡張されるよりは納得いく。あんなのなんの制限にもなってないよ。
まあ話が横道にそれたけど、そんな訳で何人……は軽く見すぎかな。何十人かを拷問死させたみたい。まあ議論の余地なく悪行ではあると思う……のだけど。確か緋の目ってもっと多くなかった? 128だか256だかだった気がする。
クラピカが襲ってくるのはもう諦めるとして、半端にお残ししたのが復讐者になって集団でリベンジに来ない? これ。かといって根切りにしようなんて提案するのもなぁ……流石にそれは『善行』とは思えないのです。
「んー……まあ、なんとかなるか。で、メッセージ残すんだっけ?」
「ああ、流星街を匂わせつつ、蜘蛛の恐怖を刻む。まあ、エンブレムでも残しておいたらいいだろう」
「よーし……ゴメン、私文字書けないや」
「げ」
読めはするんだよ読めは。日本語なら書けるんだけどねぇ……ジャポンでだったら使われてたりするのかな。ハンゾー(だっけ? ハゲてる忍者)にでも観光案内してもらいたいものである。
結局クロロにやってもらいました。こうして団長が替えのきかない存在になっていくのね……
♢♢♢♢♢
とある森に迷い込んだ旅人の女性が、損壊の激しい128人の死体を発見した。
純粋なクルタ族は全て両眼が抉り取られており、そうでない者は眼球は残されていたが潰されていたり縫い合わせられていたりと無惨な姿にされていた。
また、土で汚れた死体もあり、埋葬された遺体を陵辱することで怒りによる緋の目の発現を目論んだものと思われる。
惨殺体の傍には1枚のメッセージが残されていた。
『我々は何も拒まない。だから我々から何も奪うな』
共に書かれていた13本の脚を持つ蜘蛛のエンブレムから、近年悪名を上げている『幻影旅団』の犯行によるものと断定。彼らには懸賞金がかけられ、ブラックリストハンターなどが足取りを追っている。
事件からしばらく後、緋の目がまとまって闇の世界に売りに出された。
その総数が殺された緋の目を持つクルタ族の数に比べて少ない事など、誰も気づきはしなかった。
復讐者と化したクルタ族の生き残りの少年も。
「やっぱり未来のある若者の勇敢な姿はいいもんだ。芸術ってのはこうでなくちゃな」
とりあえずここまで。続きは(反応があれば)書け次第。
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