連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの先生補佐の活動日誌 作:フルフル亜種
七神行政官に挨拶をした後にシャーレのオフィスに入ってみたのだが、さっきまで人がいなかったにしては小綺麗である。まあ、誰かが掃除していたのだろう。
先ほどまで小脇に抱えていたワカモを縛ったまま椅子のうえに座らせて、この前もらったビルの間取り図と実際の間取りを見比べながら先生がやってくるのを待つ。
「なぜ私を連れてきたんです?」
「え?」
「だから何で私をここに連れてきたのか聞いているんです。そのままヴァルキューレあたりに突き出せばよかったでしょう。」
「そりゃあ面白そうだったからに決まってるじゃないですか。今更ヴァルキューレに目をつけられてもねぇ。」
「それに、おっとさっきぶりです先生。」
ワカモの質問に答えていると、ちょうどいいタイミングで先生がオフィスに入ってきた。
「ちょうどいいタイミングでしたね先生。そろそろ彼女が痺れを切らして暴れ出してシャーレ始業数分でここが更地になるところでしたよ。」
「お茶淹れるんでそこに座って待っててください。そこで縛られてるのは上に座るでもいいですし膝の上に乗せるでもいいですよ。多分貴方になら何されても喜ぶと思うんで。とにかく逃さない様にしてくれればいいです。」
軽口を飛ばしつつワカモが座っている椅子に座るように促す。2人とも一瞬何を言っているのか分からないようで固まっていたのだが、そのうち俺の言葉が理解できたのか、ワカモは顔を真っ赤にしたり、先生はほかの椅子を探そうと目を動かしていたのだが生憎この部屋に椅子は2つしかないので、早く座るように促すと、先生は渋々といった様子でワカモのほうに向かっていった。
"う、うん。分かった。それじゃあ失礼するね。"
「」
先生は恥ずかしさやらなんやらで頭から煙を上げているワカモを膝の上に乗せ椅子に腰掛ける。
備え付けの給湯器から急須にお湯を入れたり、取り出したお茶菓子を3人分用意しながら先生を気付かれないように先生を観察していると、ワカモに話しかけていたり、ナチュラルに匂いを嗅いだりしている。もしや膝に乗せるのもわりとノリノリだったのではと思ってしまう。
できたお茶とお茶菓子をデスクに置きながら先生に話しかける。
「こちらお茶です。」
"ありがとう。"
「それでは改めまして本日付で連邦捜査部S.C.H.A.L.Eに配属となりました肩書上は副顧問の九ノ尾ホムラです。よろしくお願い致します。」
"私は宇都宮空。これからよろしくねホムラ君。"
「そして私はあなた様に全てを捧げる狐坂ワカモです。これから末永くよろしくお願いします。あなた様♡」
"よろしくね。ワカモ。"
さっきまで顔真っ赤にして痙攣してたとは思えないくらい普通に会話に参加してくるな。あと、先生も普通に接してるし。あの数分で何があったのかは分からないが、まあ、これからする話には彼女も参加してほしい。
時間も惜しいしさっさと本題に入ってしまおう。
「早速ですがお二人にお話しておきたいこと語あります。」
"何かな?"
「先生はもう既にこの組織の概要は知っていますよね。いえ、知っているという前提でお話します。」
「単刀直入に言います。狐坂ワカモさん、連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの部員第一号になる気はありませんか?」
「はい?」
「ですから、此処の部員になりませんかと言っているんです。確かに狐坂さんの気質的に集団に属するのはあれかもしれませんが。」
「ですが、此処に所属している限りは過去に起こした事件などで追われることはなくなります。」
「私としては、貴女にフリーでいて欲しくないというのと、その能力を買ってのことですし、貴女にとっても悪いことは無いと思いますが。」
「それに、先生の護衛という四六時中くっついてても何も言われないです。」
畳み掛けるようにこちらから条件を提示していきそのうえで彼女の利になるような情報を抜き出して伝えていく。
最初の方は行動が制限されるということで嫌そうな顔をしていたのだが、提示した情報から、利点を読み取ったのと、最後の先生にずっとついてまわれるというところでついに折れたようである。
「分かりました。」
「ただし、貴方の指示は聞きません。私が従うのは先生のみです。」
「そうですか。先生、いいんですね。彼女はキヴォトス全土で指名手配されているテロリストです。それでもいいのならその机に入っている入部届を彼女に渡してください。」
"大丈夫だよ。はい、これが入部届。ここに名前と必要事項を記入してね。"
「はい!不束者ですが改めてよろしくお願いします。」
"改めてよろしくね。"
本日2回目の挨拶を交わした先生たちを茶を啜りながら眺めているのだが、先程からずっと視線を感じている。なんならここに来る前に仕掛けておいたセンサーにいくつか反応がある。仲良くお茶をしているのに、無粋な輩もいるものだ。
反応は合計6人。こちらをのぞいている視線はおそらく2人。多分狙撃手が何かだろう。
「先生、シャーレ内部に不明反応6。羽川君たちではありません。接触まであと10分。そして勘ですが周囲2キロメートル圏内に狙撃手が2名以上。必要でしたら私と狐坂君で追い返すか捕縛してここに連れてきます。」
"あんまり手荒なことはしないでほしいけど、とりあえず連れてきて。もし必要であれば私が指揮を執るよ。"
「了解しました。でしたら誰かの指揮下での戦闘行為に慣れさせるために先生は狐坂君をオペレーティングしてください。」
"ホムラ君はどうするの?"
「私も一応は現場指揮官みたいなものですのであまり必要はないですが、万が一のことがあるので、取り敢えず通信は繋がるようにしていてください。それと、先生は床下に簡易的なシェルターがあるのでそこから指揮を執ってください。」
"分かったよ。あんまり無理はしないでね。"
"ワカモもそれでいいかな?"
「はい。その程度の数でしたら私一人で十分だと思いますが、より確実にあなた様を守るためですから。」
"じゃあ、作戦はホムラ君とワカモでここに来ている8人をここに連れてくること。相手が攻撃してこない限りこちらからの手出しはしないでね。"
「「了解。」」
次回少し戦闘入ります。