ですが全てを大幅に改変(私のやりやすい設定や世界観)してるので原作に沿った物語や世界観を見たい方は合わないと思うのでお気をつけください。
「・・・っ!」
目を覚ます。
今まで経験した長い旅の記憶を寝ている間に見ていたようだ、体を起こして辺りを見渡す。そうここは「夜空ソラ」の隠れ家、長い眠りに入る前に拠点にしていた場所。
「どれくらいの時が経ったんだ…」
ほぞっとひとりでに声を出し、ベッドから出て部屋の状態を確認する。
「あの時から変わらず、か」
部屋は長い眠りにつく前に見たときと変わらず綺麗なままだ。
ふと思い起こす。眠りにつくときは座っていたはず、ましてや自室ではないはずだ。この場所は家主であるソラの自室で普段寝るときしか使わない部屋。
いつ自分は移動したのだろうか、気にはなったが一度その問題を置き部屋を出て他の部屋を確認しに行く。
書庫へ赴き今まで集めた本を見渡す。永い時が経ったのだろう埃を被っていて少し廃れた感じだ。それはそうだろう、ここは魔法で施錠されておりソラにしか開けることができないからだ。そもそも隠れ家に人が来ること自体おかしな話ではあるが。
「ここは廃れてるんだな。って外に出てみるか、その方がどれほどの時が経ったかわかる。それにこのままだとキノコンが生えそうだ…」
部屋を出てリビングを通り、玄関を開ける。
家の前にはセシリアが綺麗に咲いている、そして辺りは木々に囲まれているようだ。
「相変わらず綺麗なままだ…」
そう口にした瞬間、気配がした。
人のような気配を感じる。ソラは木々の間に目を凝らし見つめ、その人物?の姿を確認するため立ち止まったまま体を向ける。
コツ、コツ、コツ…
足音が近づき、その姿が見える。
プラチナブロンドのロングヘアー、淡い青ピンクの瞳、そして長い耳。その彼女の姿がソラの瞳にはっきり映る。
「(誰だ…?)」
そう思慮した時、その女性が目を大きく開き走り込んでくる。
「(起きたのね!!!)」
そう言いながら抱きしめられた。敵意が一切感じないため何もしなかったが全てがソラからすれば謎過ぎた。「なぜ抱きしめられた?」「一体誰なんだ?」「というか俺男だよ!?」と、顔色は変えないが内心は凄く焦っていた。
「(あれからずっと待っていたのよ?貴方が眠りにつくと言ってから400年の時間が経ったのよ。)」
彼女が言いながら少し力を緩むよう抱きしめ言葉を続ける。
「(あら?もしかして私のこと気づいてない?)」
「ギクッ…」
図星を突かれ体を少し驚かせながら彼女から身を離す。
「んっ、すまない君のことを知らないん…だ?」
ソラは彼女を全身を見つめながら口にする。顔を見つめ直して気づく、見覚えがある容姿だと。だがあの時の女の子であれば幼かったはず、何より先程400年の時が経ったと言っていた。だとすれば流石に自分のような存在か長命種だけだ。
「(思い出してくれたかしら?)」
彼女の綺麗な顔が微笑む。そして思い出した、彼女は「ニコ」。
自分の開発した魔法名を参考にして名付けした女の子なのだ。
彼が眠りにつく前に7人の女の子を保護し育てていた時期がある、彼女達にそれぞれ魔法にちなんだ名前を与え、少し大きくなった時にこう伝えた。「これから永い時を眠りにつく、君達はこれから自由に生きていい」そう言い放ったんだ。
「もしかして、ニコ…か?」
「(っ!そうよ、よかったわ!流石に記憶を無くされると私としてもどうしようもなかったもの)」
微笑みながら彼女はもう一度ソラを抱きしめる。驚きながらも抱きしめ返し彼女に質問をする。
「そうか、ニコだったのか。本当に美しく綺麗になったんだな」
昔を思い出しながら彼も微笑みそう口にする。
「(っ/// えぇ、流石に400年も経てば大きくなるもの)」
「それもそうか、君が居るということは他の娘達も居るのか?」
「(いいえ、今日は私だけよ。一応貴方のお世話は皆でしていたわ)」
皆で眠っている彼の世話をしてくれていた、400年もの間をだ。
流石に感謝を伝えねば、そして今までの事やそれぞれの現状を聞きたい。なにより気になることが多過ぎる。これから長い会話になるな、そう思いながらニコと共にリビングに行き椅子へ座る。
「長い間、世話をしてくれてありがとう。色々聞きたいことがあるんだがいいか?」
「(いいわよ、何でも聞いてちょうだい)」
ソラが気になった事を聞いていく。
「家の掃除とかは皆が?」
「(えぇ、それぞれ訪ねたときに掃除してるわ)」
「昔と変わらず向日葵は咲いたままなんだな」
「(貴方が花が好きだって言ったのを覚えていて、花壇を作ったあの娘がずっとお世話していたわ)」
「書庫には入ってなかったんだな」
「(あれは貴方しか入れないでしょう?研究を見れないって嘆いていたわ)」
「ははっ、確かに言いそうだ」
ひと笑いして彼女、ニコの事に関して少し真面目になりながら言葉にする。
「君はいつ声を失ったんだ?」
…っ!
少し体を驚かせ、彼女が答える
「(私に力が目覚めてからよ)」
「(ねぇ、貴方の魔法に名前があるでしょう?私達はそれぞれ、その魔法に因んだ力を手にしたわ)」
彼女は改めて続ける。
「(私は貴方の「ニスコ・リアン」神導という力よ。これは貴方のほうが詳しいでしょう?)」
誰にも使えない、唯一ソラだけが使える7つの魔法の内一つ「ニスコ・リアン」は神導。導きを示す魔法。それは人や物に限らず多種多様なものに適用される魔法だ。あまり戦闘向けではないが、それでも扱い方次第で化ける魔法。名の通り「神導」なのだから。
「だが、何故それで君の声を失うことになる?」
彼は思考を深める、彼女の眼は真剣なままだ。
彼が一から生み出した魔法、そもそも魔法は大地を通して地脈から生まれる「マナ」を使い、行う神秘のようなものだ。それを魔法という事柄へ昇華させ行使する。
そして「ニスコ・リアン」は神導、神の導きなのだ。その力を行使する……
「成る程、身に余る程の力が目覚め、代償として声を失ったのか…」
「そして… その力を行使するのに人族では限界だから精霊へと…」
そう、何となく感じていた。彼女は今人ではない、400年前は人の少女だったはずだがそうじゃなくなっている。出会う前から感じていた人のような気配は精霊だったのだ。
彼女が答える
「(そうよ、貴方が眠った後私達はそれぞれの道を進んだ時に力に目覚めた)」
「(その時は凄く大変だったわ、振り回されてばかりで迷惑もたくさんかけたもの。それでも私達は乗り越えたの)」
言葉が彼の心に刺さる。
ソラが保護し、育て鍛え、教えた娘達がまさかソラの魔法で人生を狂わされかけたのだ。ソラは天才だ。幼い頃から魔法を見て覚え、使いアレンジし、自ら魔法を作り出していた、普通でないのは明白だった。「ニスコ・リアン」を生み出したが作った本人が代償などを起こすはずが無いのだ。
暗い顔をしながら俯き深く謝る。
「すまん…いや、違うな」
「ごめん」
ニコは喋らなかったが大きく驚いていた。
「俺の魔法が君を傷つけたんだ。ニコ以外にも皆そうなんだろ?俺が目覚めていたらそうはならなかったはずなのに…」
そこまで声に出したら彼女が机の上に置いていた彼の手を握り言葉を紡ぐ。
「(確かに、貴方の魔法が私達の身に降りかかったのは事実よ。でも聞いて欲しい事があるの)」
顔を上げ、彼女を見つめる。ニコはソラへ微笑みながら言うのだ。
「(この力を手に入れた時私達は喜びもしたの、眠ってしまった貴方だけれど私達はずっと繋がってるんだって思えた)」
「(貴方を少しでも知れた、あの時子供だった私達を一人で育ててくれたあなたの事を)」
一息つく、そして彼女が言う。
「(あなたの事が好きなの、昔からどうしようもないくらい好きなのよ)」
「(私達はみんなそう思ってる、だからこそそんな顔しないで?大丈夫、私達はこの通り今の人生を謳歌してるわ)」
「(なによりこうして貴方が目覚めてくれたのよ、溜まった400年の愛情をちょうだい?)」
彼女が笑顔でそう言ってくれている。それだけで凄く救われる思いだ。
そうか、そんなにも想って待ってくれていた。これから報わないと彼女に、そして他の娘たちにもだ。
けれどここまでの会話で新しく謎が生まれてしまっている、7つある魔法が彼女達それぞれに目覚めたという事。ソラ自身にしか使えない魔法が能力として宿ってしまっている。ソラにしか使えない魔法がだ。
だが、一旦この事は置いて彼女の相手をしよう。せっかく会えたのだ、ここまで言ってくれたのだからしっかりしないと男が廃れてしまうな。
「ありがとう、今までのお礼…とまでは言わないけどそれなりの事は何でもする。その、なんだ…君の告白はしっかり応えるつもりだ」
照れくさいな、ソラはそう思いながら改めてニコを見つめる。凄く綺麗で美しい。元々保護したときから皆可愛かったのだ、そしてその可愛かった娘達が成長して大人になれば見方も変わる。そもそもソラは恋愛経験こそ無いが鈍感ではない、好意は受け取るし返すタイプなのだ。
それにここまで好意を示してくれている、少し他の子たちに申し訳ないが一番先に会えた彼女へ愛を示そう。
「(その、えっと… 一緒にお風呂でも入らないかしら…?///)」
少し小声気味で言った。直接脳内へのアプローチだから小声とかほぼ関係ないのだが、頬を染め緊張しているようだ。無理もない今までずっと想っていた相手が何でもすると言ったのだ。
「わ、わかった!準備する……」
お互いに緊張しながら準備を進め、時間が経つ。
………
チュンッ チュンッ
囀りが聞こえ始め外が明るくなっている。
二人は同じベッドの上に寝ていた、ソラが長い眠りから目覚めてから1日が経ったのだ。
ソラが先に目を覚ます、隣にまだ眠っている彼女の頭を優しく撫でひと言「おはよう」と小声でつぶやき、支度をはじめる。昨日話し浮き出た謎を少し考えながら彼女が昨日持ってきていた食材を使い朝食を作る。
「とりあえずは謎を解明しつつ、ほかの皆へ会いに行こう」
そう声に出し朝食が完成した頃に彼女、ニコが目を覚ましこちらに向かって来ていた。ソラへ近づきそのまま抱き着く、いわゆるハグというやつだ。
「おはよう、ニコ」
「(おはようソラ)」
お互いに笑顔で向かい合う。
「朝食ができたから一緒に食べようか。この後色々やりたい事があるし、まだ少し聞きたいこともあるからさ」
「(えぇ!ありがとう!さっそく食べましょう♪)」
楽しみにしていたのだろうか、400年ぶりのソラの朝食。朝なのにテンション高いな、と彼は思いながらもお互いに食べ始める。軽く感想を互いに言い合いながら食べ終わり一段落ついた頃。
「そーいえば、他の皆にはもう伝えてあるのか?神導を使えばリンクしてる相手ならば遠くにいても伝える事はできるだろ?」
「(もう伝えているわ、でも皆ちょうど用事があるみたいですぐ終わらせて会いに来るそうよ。)」
「(特にアリスとアンシュは貴方にすごく会いたがっていたわ)」
「そうか、あの二人が…」
アリスはニコに似た髪色で綺麗な紅い眼のエルフだ。当時は凄く活発で何事にも興味を示し、よく後ろに付いてきていた思い出がある。特に爆発が好きなのか?明るく輝くものが好きなのだろう、物を壊し家の周りにある森をよく変形させていた。
アンシュは水色の髪のエメラルドグリーンの様なこちらも綺麗な眼をした人だ。物語が好きでよく絵本や童話を買ってあげたりしたものだ。当時は時代が荒れていたのもあって童話は少なかったが、それでも彼女は笑顔で読んでいた。
「彼女達はどの魔法が能力になったんだ?」
「(アリスが「アリスフィア」境界で、アンシュが「アンジュ・ディティル」事象よ)」
「なんというか、思ってたより相性の良さそうな組み合わせだな」
「(それに関しては同意ね)」
「アリスフィア」境界は境目を操れる魔法だ。主に防衛で使っていた魔法、我が隠れ家もアリスフィアを使い入れないようにしてある。入ろうとすれば全く違う場所出るようにしているのだ。ほぼ空間を操るような魔法だから防衛にはもってこいである。使い方によっては全然攻撃にも使える。
「アンジュ・ディティル」事象はいわば結果を操る魔法だ。過程を無視して結果を作れるようになる。こちらは主に攻撃に使っていた魔法、アンシュ的には戦いを好まなさそうだから攻撃的過ぎる魔法なきがするが俺からすれば楽したいときに重宝している魔法だ。こちらも使い方によっては防衛にも使える。
どちらも規格外な魔法で、これが彼女達に能力として宿ってしまっているのが気掛かりすぎる。魔法を能力として宿すなど俺ですら不可能なのに…
「まぁ、今は皆元気ならいいか。俺が起きたことを伝えていればいずれ会える。それに変わった世界を見て回りたいんだ」
「(あの時と違って穏やかになったのは事実だけれど、他の脅威があるのも気をつけないといけないわ)」
「他の脅威?」
ソラが首を傾げて聞き返す、他の脅威とは一体?
「(えぇ、ここ十数年アビスの動きが怪しいのよ。「アストロメイア」で視てもらったけれど靄が掛かってて視えなくて)」
「なるほどアストロメイアで視えないのか…厄介だな…」
「(だから一応貴方も気をつけてね?)」
「わかった頭のなかに入れておく」
警戒する程なのかと納得する。「黒王」を倒してから数年と400年が経っていてカーンルイア人は脅威を示さないらしい。だがアビスときた、当時は脅威ですら無かったがここにきてなっている。「魔王」が変わったか?それともそれ以上が?
これ以上考えても仕方がない、わからないものはわからないし向かってきても勝つ未来しか視えないのだから。
「っていうか、今更なんだけど…」
一呼吸おきソラが言う、ニコは首を傾げる
「なんで俺少年になってるんだ?」
そう、今まで触れていなかったが400年前は青年だった。今の彼は15歳程。
「(彼女の仕業よ、人体の仕組みや何かを生む頭脳や能力は相変わらず凄いんだから)」
「あはは…」
苦笑いしかできない、心当たりは大いにある。彼女に生命を説いたのは彼自身なのだ。物作りの本やそういった類いの本を買ってあげていた。ソラは自分の研究内容や結果を教えてたりもしていた。眠った後書庫を開けれず嘆いてたのは彼女だろう。
読んでいただきありがとうございます。
気分で更新するので気に入っていただけたら幸いです。
あ、ちなみに旅人は兄妹で出ます。いつ頃出るかは未定で