んちゃです、気まぐれ投稿です。
軽く雑談を行っていると彼女から聞かれる。
「(こうして目覚めた訳だけれど、これからどうするのか決まっているのかしら?)」
ふと考える、確かに目覚めたとはいえやる事を決めてない。色々と変わっているであろう世界を探索してみたいところではあるが、準備もせずそのまま行くのも憚れる。アビスの件もあるし少し準備してから出るか。
「また旅をしてみようと思う、あの時と違って多少は流石に楽しめるだろ」
「(大変な事態に巻き込まれないといいわね)」
「俺もそう願うよ…」
ここは昔と変わらなければモンドに近いはず、一度そこを目指してみるのもいいかもしれない。時間は沢山あるし、当時と違って街とかも増えてると思うから旅の苦労はしないだろう。
旅の計画を立てていると彼女から話しかけられる。
「(それじゃあ、私はそろそろ行くわね。やらないといけない事があるから)」
「わかった、次は旅先で会うかもな」
お互いに微笑みながら言う、先日は感動の再会ではある。だがそれぞれ目的があるのも事実だ。400年は永く重い年月だが、これからが彼等にはあるためそこまで暗い別れにはならない。彼女の方から皆に神導で伝えてくれているのもある。
玄関まで行き彼はニコを見送る、去っていく彼女を横目にこれからの計画を改めて立てていく。各国を目指して旅をするのがいいと判断して組み立て「モンド」→「璃月」→「スメール」→「稲妻」の順番で進んでいくようだ。とはいえ旅は予定がコロコロ変わるもの、いつでも変えていいように柔軟にしておく。
そうこうしている間に旅支度も進んでいた。
水色の宝剣「ミスト・ルミナス」400年前、水の国にてとある人物から貰った宝剣。この武器は当時から愛用していて、刃こぼれは一度もおきたことが無い。
貰う際彼女に言われた言葉、聞き流しながら受け取ったとはいえ流石に覚えているが、その時が来るのだろうか。
白く綺麗なフード付きローブ「レディエント・ローブ」
これは昔、保護した娘が作った初作品だ。なんてことのないローブではあるが、いつの間にか沢山の魔法の紐付け、機能や模様が足されている。眠っている時にアレンジを加えたのだろう。
そして、世界樹の枝が使われている杖「イグドラ・ルーツ」160cm程の長さ、こちらは借り物である。黒王を倒す前、魔法の可能性を広げる為に世界樹を管理していた者から借りたのだ。本来の持ち主は他ならぬ彼女である
旅のついでに返そう、彼はそう考え共に持っていく。別に返すのを忘れていた訳では無い。
他にも装備があるが紹介はまた今度にしよう。ここまでの装備を改めて彼は見つめ考える、実は殆どが貰い物であった。そう彼は戦闘に関する事は異彩を放つが、それ以外は結構ズボラだった。装備が適当でも魔法でなんとかしてしまう。
当時、彼の周りには自然と人が集まっていた、殺伐していた時代とはいえモテててもいたため、色々な物を貰っていた。荒れていた為落ち着く暇が無くて何も返せなかったが…
「皆もしまだ居るのだとすれば、必ず会うようにしないとな」
ぼそっと声に出し一息つく
数日経ってしまったが、旅支度の準備が整った。
「一応置き手紙しておくか、もしかしたら来るかもしれない」
旅をするとニコから伝わってるとはいえ、入れ違いになる可能性がある。「旅に出ています、旅先で会おう」そう書き、外に出て家を見つめる。
彼の旅がもう一度始まる
あの時は悲劇を止める旅だった
だけど今回は好き勝手に進む旅だ
「よし!自由気ままな旅を始めよう!」
彼は高らかにそう言い、足を進める。元世界最強の旅が今から始まる。
・・・・・
家出てから森へ入り、歩みを進める。隠れ家に選んだ場所なだけあって森は広い
「流石に広いな、まだまだ歩かないと道すら見えないな」
苦笑いを浮かべながらしばらく進み続け、数刻の時が経っただろう。木々の間から光が見えた。そろそろ出れる、彼はそう思い少し興奮気味に軽く走り広い森を抜けた。
ファサッ
鳩が数匹羽ばたき、眩い太陽の光が差す。その先には楽しみにしていた街が見える。当時のモンドとは少し姿形が違うが位置的にはそうだろう。まだまだ離れてはいるが今日中には街につき、宿へ泊まれるだろう。
少し歩みを進めてたら何か像らしき物を見つける
「なんだこれ、昔は無かったが…」
微かにマナを感じる、これは風だろうか?
像がある場所は水に囲まれていて、行きづらさがあるがそこは問題ない。風魔法を使えば簡単に飛べるからだ。像の元まで行き調べる事にした。微かに風のマナを感じる、だがこれはなんだろう?身体が安らぐ。ここは安全だということだろうか。
考えを深めていると、誰かの話し声と姿が映る。
「神を模った像は七神の象徴として世界に点在してるんだ」
「7つの神のうち、ここは風を司るものだな」
「そうなんだ」
「おう!でも、旅人が探してるのが風の神かは知らないけど…」
「ふふっ、色々教えてくれてありがとう」
空飛ぶ妖精?が金髪の少女へ説明している。
「あれっ?あいつは誰だ?」
「気をつけて…」
二人が警戒を強め、こちらを見つめている。はて、何故自分はそんなにも警戒されているんだ…?改めて自分の姿を見返す。フードで顔を隠し、背丈程の大きな杖。ローブには怪しげな模様があるのだ、流石に警戒されてもおかしくない。
すまんすまん、と軽く謝りながらフードを外した。今まで触れられていなかった彼の容姿が露わになる。
「申し訳ない、諸事情であまり素顔を晒したく無かったんだ」
そう、彼はカーンルイア人にとって宿敵のようなもの。黒王を倒し赤月との因縁を終わらせた張本人であり、今は若くなってしまったとはいえ当時を生きた伝説なのだ。そんなにやすやすと顔を晒すのは良くないと思っていた。だがこの二人にはカーンルイア人特有の瞳をしていないため、素直に姿を晒した。
第一に髪、オーシャンカラーを感じさせる綺麗なシルバーを後ろで纏めている
そして顔立ち、綺麗に整っていてキリッとした印象を与えるが少し童顔気味。
最後に一番目立つ眼、パライバカラーのブルーとグリーンのオッドアイだ。
身長は彼女より少し高いくらい、165くらいだろうか。見惚れる程の微笑みを浮かべながら挨拶をする。
「改めて自己紹介を、俺の名前は夜空。旅をしようと家を飛び出した新人旅人だ。君達の名前を教えてくれないか?」
そう言い彼女達を見つめるが返答が来ない、固まっているようだ。無理もない彼の容姿は羞花閉月、沈魚落雁、APP16(旧版)を超える顔なのだ。落としてきた男女の数知れず。
「えーっと、二人とも大丈夫か…?」
彼が困惑気味に彼女達へ聞く
「ごっ、ごめんなさい!その…」
「お前がイケメン過ぎて少し驚いたんだぞ…」
二人は少し頬を染めながら応える。少し焦りはしたが可愛い女の子に褒められたのだ、褒められて嬉しくならないはずが無い。だがずっと何も喋らず過ごすのは居た堪れないので、話を進める。
「すまない、今一度君達の名前を聞いてもいいか?」
「あっごめんね、私は旅人の蛍(ホタル)そしてこっちが…」
「オイラは旅人のガイドをしてるパイモン!よろしくな!」
蛍が落ち着いて、パイモンが元気良く自己紹介をしてくれた。真反対な印象を持つ2人だが雰囲気が落ち着いている。仲が良いのだろう。
「よろしく、さっき軽く言ったが俺も旅をする身だ。とはいえ新人なものでな、モンドへは向かってるんだが、この像を見かけて…少し見てみようと思ってな」
「私達もそうだよ、この七天神像が気になって来たんだ」
「七天神像?」
聞き覚えの無い名前だ、先程出会う前に話してた内容の事なのだろうか。
「おまえ、旅人と一緒で七天神像も知らないのか?」
「あぁ、なんせ新人だからな…」
苦笑いしながら応える、仕方ないのだ。400年前はこんな像立ってすらいなかった。そもそも当時は国はあっても象徴するものなど、統治者が居ればその者が象徴なのだ。態々像など戦火の時代にそんなもの立てても意味が無い。
「仕方ないやつだな、特別におまえにもオイラが教えてやるぞ!」
「助かるよ、パイモン先生」
少しおふざけも加えパイモンに教えを説いてる間、蛍が神像見つめている。数分見つめた後、まるで何かに吸い寄せられる様に近づき神像へ手を触れる。そして少し明るめを光を放ち始め
「だよな、たびび…と。え!?」
「どうした先生…え!?」
光が蛍を包み、姿を現すと優しくも強い風が彼女の周囲を回り溶け込んでいく。
「大丈夫か!?旅人!」
パイモンが蛍へ近づき聞く。ソラは身に覚えがある力を感じていた。だがあの子は…
「私は大丈夫だよ、多分風の何かを受け取ったみたい」
「それは風のマナだ!旅人は神像を触れるだけでマナを手に入れられるみたいだな」
蛍とパイモンの会話を聞き、ソラは考えを一度止めマナの説明を行う
「マナは地脈を通して大地へ生まれるんだ。基本的には地域によって主なマナが決まってるんだが全く関係の無いマナに目覚めたりもする」
説明通りマナは地脈から大地へ生む、そしてマナを使い魔法へ昇華させ行使するのだ。だがマナを受け取る人達はそれぞれ運の様なものがあり、マナの種類も人によってバラバラだ。水の国なのに雷や炎等に目覚める事もある。
「あれ?パイモンの説明と違うような…?」
「何を言ってるんだ?マナは選ばれた人しか受け取れない代物だぞ?」
「ん?」
「ん?(ん?)」
お互いに首を傾げる。おかしな話だろうか?これは当時田舎の人達でも知ってる常識のはずだが?昔は殆どの人がマナを使えていたし、子供がよく虫や岩等に魔法を使っていたが…
「まぁいいか、にしても神像を触ってマナを受け取るとは、珍しい体質なんだな。少し驚いたよ」
物を触ってマナに目覚める人は400年前でも相当少ない。殆どが起きたら目覚めるか、戦闘のさなかマナに目覚め魔法を使い始めるかだ。
「そういえばおまえは知らなかったな、旅人には少し事情があるんだ」
「そうなのか、差し支えなければ聞いてもいいか?」
「うん、少し長くなるけどいいかな?」
「大丈夫だ、神像の付近は安全だから少し休みながら話そう」
そう言い彼は「レイン・ドレイト」を使い椅子やテーブルを作り、茶菓子等をバッグから取り出し準備を整えた。旅人達は驚きながらも座り説明をする。
「実は… 私達この世界の住人じゃなくて外から来たの」
「ほう…」
「お兄ちゃんと宇宙を旅してる時漂流しちゃって、次の世界に行こうと思ったら見たことの無い神に出会って」
「襲われたから戦ったんだけど、負けて離ればなれになったんだ」
「旅人…」
蛍が少し哀愁を漂わせながら説明をする中パイモンが心配する。
「それから何処かへ飛ばされて周囲を散策してる時にパイモンに出会ったんだ」
「そしてパイモンにこの世界のガイドをしてもらいながらお兄ちゃんを探す旅に出てるんだ」
哀愁を何処かへ飛ばし、微笑みながらパイモンを見つめそう言う。
「最高のガイドであるオイラがしっかり教えやるぞ!」
「ふふっおねがいね、パイモン」
「そうか、色々話してくれてありがとう。俺も可能な限り君のお兄さんを探そう」
「ありがとう夜空さん」
「夜空でいいよ、そんなに年齢も離れてなさそうだし」
「そう?わかったよ夜空」
会話を重ね、パイモン共に名前を呼び合うようになり、出会って間もないとはいえ仲良くなった気がする。
「そうだ、俺はこの後モンドへ行こうと思ってるんだが2人は?」
そう彼の目的はモンドへ遊びに行くことと、知り合いがいれば昔話をしようと思ってる。仲良くなったとはいえ彼女達は兄を探している旅人。新人の自分がずっと拘束するのは申し訳ないのだ。
「そうだ!オイラたちもモンドへ行く途中なんだ!神の事で風神に会いに行こうと思ってな」
「なら是非、共に行かせてくれないか」
少しテンションを上げお願いする
「どうする?旅人」
「いいよ、モンドに一緒に行こう」
「ありがとう!一人で旅ってのも案外さみしくてな」
少し苦笑いを入れながら彼は言う
こうして出会って仲良くなったまま、また一人で行くのはさみしくてしょうがなかった。誰か旅の仲間でもなと思っていた所に偶然が重なった。
話を終え、出した茶菓子や机椅子を片付け、出発する準備を整える。
「それじゃあ、オイラに続け!」「おう!パイモン先生!」「ふふっ」
元気よく、そして落ち着きながらも共にモンドへ向かう。
この出会いが吉と出るか凶と出るかは分からないが、彼らにとってこの旅は忘れられない壮大な旅になる事が約束されていた。
ちなみに、空はソラを知っています
逆にソラは空を知りません