リリカルなのは~赤鬼転生記~   作:コントラス

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次で終わらせたいと思います(キリッ

恥ずかしい!!

全然終わらなかった!

次回は多分終わると思います。
少し試験編が長いと思いますが試験やりました。管理局員をやっている。で済ませたくなかったので、どうかお付き合いください。


第九鬼~アルの心境~

side~アル~

 

 あたしは、アル・フェルト。第52管理世界ギュストローで生まれた。家はそれなりに裕福だと思う。別に多く稼ぎたいからとか、誰かの為に力を使いたいとか、そんな明確な目的がある訳じゃない。何となく、ただ何となく管理局に入ってみようと思っただけ。そう思ったときに今回の試験の応募を見た。それだけだった。来てみれば殆どが10代ぐらいの奴ばっかりで女は少ないし、男共はガキ臭いし、ほんと来なきゃよかった。

 何より、最後に来たガキが気にくわない、どう見ても10代には見えない、6、7歳くらいだと思う。あんなのが入局できるんなら、人手不足になったりしないわよ。って思ってたんだけど、このガキンチョがまた曲者だった。あたしが五人組のチンピラに絡まれたとき、あたしを助けたのはこいつだった。

氷結変換資質を持ってる。その言葉通り氷結で魔力変換した魔力弾で、奴等の足を凍りつかせて動きを止めて、普通の魔力弾で男の急所を撃った。容赦がないのはこのときに分かった。ただ注目すべきなのはその容赦のなさじゃなくて魔力弾の構成の速さと制御の正確性、周りには何人もの魔導師がいた。なのに誰も気がつかなかった、試験官でさえも気づくのに数秒掛かったみたいだった。ブリーフィングルームには長机が数脚、生徒の分だけ椅子があったし、当然あたしらとアイツらの間にもそういった障害物に成りうるものはあった。それらに一発も当てることなく、全部目標にほぼ同時に当てた。

 二回目の魔力弾も同様だった。あたしは誘導弾は得意じゃない、変換資質の弊害だっていうのは聞いたことがある。だからコントロールを捨てて、速度と威力に力を注いだ。でも、こいつは変換資質と併用して制御を完璧にこなしてみせた。ガキだからって意味もなく見下してた。でも違った。こいつはあたしより魔力制御が上手い。技術面に於いては認めざるを得ない。他はどうか分からないけど、それだけ見ても突出してるのが分かる。逆らうのは得策じゃないわね。

 試験官達がチンピラを摘まみ出した後、今は残った四チームで作戦会議をしている。と言っても決めることはもう話し合ったから特に話すことなんてもう無いんだけど。

 

 

「そういえば、宏壱君がさっき言ってたこの試験の意味って?」

 

 

 作戦会議も終わり、各々リラックスしようとした中ルーヤがガキンチョ、宏壱に聞く。

 

 

「はい! 僕も気になります!」

 

「わ、私も」

 

「聞いてあげなくもないわよ」

 

 

 ガキンチョ2号、ニッツが元気良く手を挙げ、レイは控え目に肩の少し上くらいまで挙げる。あたしは認めたといっても、さっきまでの態度を急に変えるのが恥ずかしくて憎まれ口を叩く。

宏壱は何かを考えるように、顎に手をやり少し俯いて黙っている。

 

 

「あ? ああ、あれか。気になんのか?」

 

「うん、私、頭が良い方じゃないから考えても分かんなくて、分からないなら宏壱君に聞いた方が早いかなー、なんて」

 

 

 コクコク、とニッツとレイがルーヤの言葉に同意する様に首を縦に振る。あたしも興味はあったけど、それを態度に出すのは何か負ける気がして、興味ないと顔を背ける。横目でチラッと見ると、苦笑いしてあたしを見ている宏壱と目が合い、恥ずかしくなった。頬が熱くなっているのが分かる。多分真っ赤になってると思う。頬の赤さを見られないように宏壱達に背を向ける。

 

 

「あのぉ~、いいですかぁ~」

 

 

 そんな中、リッシュが声を上げる。

 

 

「えっと、リッシュちゃんどうしたの?」

 

「何か分かったんじゃねぇの?」

 

 

 ルーヤがリッシュに聞くもリッシュが返事をする前に、宏壱がそう言う。

 

 

「頭良いんだね!」

 

「本当ですか!?」

 

「す、凄いです、リッシュさん!」

 

「いえぇ~、外れているかもしれませんしぃ~」

 

 

 宏壱の言葉が当たっていたらしく、皆に言われたことに照れ笑いを浮かべるリッシュ。皆の驚きも分かる、トロそうだもんね、この子。

 

 

「でわぁ~、こほん。連携を見る為じゃないかと思うんですぅ~」

 

「連携?」

 

 

 リッシュが一度咳払いをして放った言葉にあたしらの頭に?が飛ぶ。

 

 

「はいぃ~、即席のチームで、どれだけの連携が取れるかを見る為じゃないでしょうかぁ~」

 

「え、っと?」

 

「?」

 

「なるほど。そういうことですか」

 

「へぇ~、まぁ、でも考えてみれば簡単なことよね」

 

 

 リッシュの言葉にあたしとレイが納得し、ルーヤとニッツはまだ?を頭に浮かべている。宏壱は口を挟まずリッシュの話を聞いている。

 

 

「わたしが思い付くのはこれくらいですぅ~」

 

「ニッツ君分かった?」

 

「い、いえ。僕もいまいちピンと来ません」

 

 

 そうリッシュが話を締め括ると、ルーヤとニッツが顔を付き合わせてヒソヒソとお互いの理解度を確認し合う。どうもこの二人は頭が良くないみたいね。

 

 

「もっと詳しく言うんなら、即席チームでどれだけの作戦を立てられるか、自分の立ち位置を理解できているか、仲間のフォローは? 自分本位の戦い方をするのか? ってとこだろ。勝ち負けは関係ないんだろ。周りが見えてるのか、いねぇのか。部隊で動いていた場合、一人が先走れば隊列が乱れ隙が生まれる、部隊全滅………なんてこともあり得るからな。個人の技量はもちろんだろうが、それ以上に味方との連携を重要視できる奴が欲しいんだろ」

 

「なるほどぉ~、そこまで考えていませんでしたぁ~。つまり初対面の方とをどれほど信頼できるのか、という話ですねぇ~?」

 

「だろうな。別部隊との合同任務だってあるんだろうし、足並みが揃えられる奴、自分のやるべきことを把握してる奴、部隊運用には欠かせないもんだぜ? そういう連中は」

 

 

 このガキンチョは本当に何なのかって思うわ。頭の回転が早すぎるでしょ! ここまで考え付くなんて、個人の技量はさっき見た。でも、頭もこれだけ良いなんて、反則よ。

 

 

「まぁ、俺が試験官な訳じゃねぇし? あくまでも予想にすぎねぇんだけどな」

 

「外れてても幾つか追加要素があるだけだと思いますよぉ~」

 

「は、はい、私もそう思います」

 

「ぼ、僕も!」

 

「うん! よく分かんなかったけど、私も!」

 

「今ので分からないってどれだけよ、まぁ、要は周りのフォローを確りしろ、ってことでしょ」

 

「まっ、簡潔に言えばな」

 

 

 話に付いてこられていなかったニッツとルーヤに簡単にそう言ってあげる。宏壱があたしの言葉に同意し得心したのか、コクコクと納得の表情で首を縦に振る。

 

 

「まぁ、さっき決めたことをベースに各自、臨機応変に対応していきましょうってことでいいか?」

 

「うん!」

 

「は、はい!」

 

「はい!」

 

「任されたことくらい確りやるわよ」

 

「はいぃ~、ルーヤさんとレイさんはわたしが守りますぅ~」

 

「応! 俺もなるべく後ろに通さねぇようにすっから」

 

 

 宏壱の言葉にそれぞれの返事すると、ニカッと笑みを見せるとそう答えた。これなら来た甲斐があったかも、なんて頭の片隅で考えていると。

 

 

「時間だ。それではこれより管理局飛び級入局試験・実技を行う。先ずは俺と試合うチーム、模擬戦場に出ろ」

 

 

 

 

 

 模擬戦場、ブリーフィングルームに行くまでに通った中庭で始まった試験は、最初っから全開だった。

 

 

 ―――出し惜しみは無しだ。初っぱなから全開で行く。そうでもしねぇとすぐに潰されんぞ。

 

 

 試験前に宏壱が言った事は間違いじゃなかった。最初の宏壱の魔法、あたしじゃあ反応できずに沈められて終わってたわね。あたしの魔法も回避され、ニッツの貫通性の高い魔力弾も効かず、宏壱の魔力刃も効果は見られなかった。

 ましてやルーヤ達のところまで行かせてしまい反応できなかった。それは、宏壱が何とかしてくれたけど、何をどうしたのかは全然見えなかったし、炎熱変換資質も持ってるなんて聞いてないし、あたしらに指示出すだけ出して何か氷漬けになるし、意味わかんないわよ! ただ、アイツの魔力でできているからか、氷は赤い色をしていてまさに結晶のようで綺麗ではあったけど。

 

 

「何をするのかは知らんが、止めた方が良さそうだ」

 

 

 氷が宏壱を完全に包み、止まることなく成長を続けているところを呆然と見ていたあたしの耳にそんな声が届く。声のしたところ 、氷の向こう側を見ると試験官が構え宏壱に向かう瞬間だった。

 

 

 ―――援護は任せた。

 

(っ!?)

 

 

 宏壱の言葉を思い出す。何をするのかは知らないけど、援護を任されたんだからやってやるわよっ!

 

 

「リッシュっ! ぼさっとしないで! 宏壱に近付けさせないでっ!!」

 

「っ!? は、はい! ファスト キャノン!!」

 

 

 ニッツの前に5つの薄緑の魔力弾が生み出され、右手に持つ杖形のデバイスを振るう動作と共に放たれる。その速度はさっきの魔力弾と比べ物にならないほど速い。でも、確りコントロール出来ないのか、真っ直ぐにしか飛ばずあっさり躱される。それを視界の端に入れながら側面に回り込み、両手を前につき出し掌を前方に向ける。

 

 

「スパーク!」

 

 

 あたしの前に赤色の丸い魔法陣が現れ、――バチイィィ!!――っと火花が走る。その火花は宏壱と試験官の間を遮るように走った。一瞬動きを止める試験官、その隙をつく!!

 

 

「イグナイテッドッ!!」

 

 

 ――バチイッ!――と一瞬手元で火花が散り、――ヂュドドドドォォォォォンッッッ!!!――さっき走っていった火花を追うように連鎖的に爆発していき、試験官を巻き込んだ。

 

 

「ぼ、僕だって!」

 

 

 あたしの魔法を見て少し唖然としていたニッツが、足下に魔法陣を展開する。

 

 

「レール キャノン!」

 

 

 杖形のデバイスが形を変えていく。柄が伸びて先端が尖り、二又になった。その、又になっている部分に魔力が集束していき、拳ほどの大きさになったところでニッツが叫ぶ。

 

 

「ファイヤッ!!」

 

 

 爆風で、まだ煙の晴れていない所に魔力弾が放たれ――ドオォォンッ!!――爆発する。

 

 

「っ!?すごい威力!」

 

「僕の取って置きです!」

 

 

 でもこんなので終わるわけない!

 

 

「追い討ちかけるわよ!」

 

「はい!」

 

 

 ニッツの声が大きく響く。かなり力が入ってるわね。でも、今はその方がいい。この勢いのまま!

 

 

「フレイム ランサー!」

 

「ファスト キャノン!」

 

「「ファイヤーーッ!!」

 

 

 あたしの周囲にある6つのスフィアから四発ずつ、ニッツはコントロールを捨て数を取ったのか17発の魔力弾が放たれ、試験官がいるであろう煙のなかに吸い込まれていき轟音を発しながら爆風を巻き起こす。

 

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ、やっ、やった?」

 

「ふぅっ、ふぅっ、ふぅっ、わ、分かりません」

 

 

 魔力の許す限り撃ち続けたあたしとニッツの息は荒くなっていた。チラッと宏壱を確認してみる。氷の成長は既に止まっている。

 

 

「ぐぁっ!?」

 

「えっ?」

 

 

 ニッツの悲鳴が聞こえ、そちらに首を向けると、視界が暗くなる。

 

 

〈protection〉

 

 

 赤色の魔法陣があたしの目の前で展開され 、いつの間にか降り下ろされていた試験官の槍を防いだ。

 

 

「っ!?」

 

 

 プロテクションに皹が入り、とっさに後ろに跳ぶ。それと同時にプロテクションが割れてゴオォゥッ!!と風を切り地面に激突、――ドゴォォンッ!!――クレーターが出来上がる。ツゥーっと汗が頬を伝って顎先から落ちる。

 

 

「目が良いな」

 

 

 目の前にいるのはゼスト・グランガイツ、あたしらの試験官、その奥にニッツが倒れている。意識はあるみたいだけど、動けないみたいね。本格的に不味いわね。

 

 

「一人リタイアだ」

 

 

 いつの間にか目の前にいた試験官が、そう呟きながら槍を振りかぶる。

 

 

(プロテクションじゃ破られる! この距離じゃ避けられない! ヤられる!!)

 

 

 死なないって分かってても痛みはあるし、怖いものは怖い、人の本能で目をぎゅっと閉じる。

 …………………あれ? 衝撃が来ない? と言うか、何か誰かに抱っこされてるみたいに温かい。落ち着く感じ。薄目を開けて周りを確認する。一面青が広がっている。

 

 

(なぁ~んだ。そりゃ当然よね。だって空に居るんだもん)

 

 

 下を確認すると、薄い氷?みたいなのがあって、その向こう側に防壁を張ったままのリッシュ達、離れた位置にニッツ、試験官が見える。槍を降り下ろした後なのか、足下にクレーターが出来ている。

 

 

「で、そろそろこっち向いてくれねぇかな?」

 

 

 この声、ガキンチョにしては少し低めでもう声変わりでもしてるのかなって感じだったけど、今の姿だとしっくり来る感じ? あ、でも、もう少し低い方がいいかも。

 

 

「現実逃避は終わったか?」

 

 

 無駄なことをつらつら考えていると、またもや声をかけられる。分かってる、分かってるわよ!

 

 

「あ、あんた宏壱でしょ!? なんで背が伸びてっ! って言うか、どう見ても20代じゃん! 何! 何したのよ!? って言うか、下ろしてよ! 恥ずかしいんだけど!」

 

 

 今のあたしの状態は、膝裏に手を入れられて肩を抱かれている。所謂お姫様抱っこという奴よ。女の子なら誰もが夢見るもの、嬉しくないと言えば嘘になる。ましてや、相手はワイルド系イケメン、爽やかさやクールさは殆どない、一度惚れればメチャクチャにされそうな野性味溢れた感じで、でも、確かにある知性、これが本当に宏壱ならそういった観察眼、考察力は人並み以上にある。今まで何人かの男と付き合ってきたし、男友達も勿論いる。でも、あたしの周りにはいないタイプの男よ。

 

 

「下りるんじゃなかったのか? このままだと闘いづれぇんだけど」

 

「お、下りるわよ!」

 

 

 そう言って、空中に薄く張られた氷の上に下りる。足場を確かめるように、コツンコツンと爪先で突いてみる。

 

 

(案外確りしてるのね)

 

「さて、ニッツとアルが頑張ってくれたんだ。俺も良いとこ見せねぇとな」

 

 

 もう十分だと思うけど。

 

 

「で?アルは一人で降りれんのか?」

 

「別に飛行魔法ができない訳じゃないわ。苦手なのよ、ゆっくり降りれば問題ないわ」

 

「了解」

 

 

 そう言葉を交わして、タンっと軽やかに飛び降りる。

 

 

(怖くないのかしら、10mはあるけど)

 

 

 そんなことを考えながら、ゆっくりと降りていく。

 

 あたしが地上についた頃には、試験官がチェーン バインドで縛られ、宏壱のデバイスを首元に突きつけられているところだった。

 

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