リリカルなのは~赤鬼転生記~   作:コントラス

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前回前書きに書こうと思って忘れていたものを今回書いておきます。

修正点というか変更点ですね。

賊百万を相手にした→賊五万を相手にした
自分で読み返して多くね?って思ったんで変更しました。

所属ゼスト・グランガイツ直属部隊→所属一番隊
ゼスト・グランガイツ直属部隊?どこやねんって話ですよね。ゼスト隊って通称だと思うんですよ。そう思うと違和感が自分の中で生まれまして、それで、なんの捻りもないですけど、一番隊とさせていただきました。

長くなりましたけど、本編どうぞ。



第十九鬼~赤鬼と催眠術~

side~宏壱~

 

「はぁ、また負けた」

 

「いやいや、こっちも危なかったって」

 

「ロッテの言う通りよ。この一年でほんとに強くなったよ、宏壱は」

 

 

 物資の搬入が終わりギルさんは次のポイントへ行った。が、この物資輸送を隠れ蓑にしてウェイン・ボルクの護送が本当の目的だ。リーゼは俺を鍛え直すってことで付いてきたらしい、名目上はリンディさんの応援要請だけどな。

 

 で、今は扱かれた後で休憩所の椅子に座ってクールダウンしてる最中って訳だ。

 

 

「これは負ける日も近いかなー」

 

「ホントだよねー、魔法なしじゃ二人がかりでも勝てないし」

 

 

 アリアの呟きにロッテも追従するようにそう言う。

 

 

「おいおい、まだ負ける気はない、とかそんな気概はないのかよ」

 

 

 俺が呆れて二人にそう言うと、二人は顔を見合わせて俺に向き直り一言。

 

 

「「ない」」

 

 

 ……一瞬体の力が全部抜けた。

 

 

「何でだよ」

 

 

 倒れそうになった体を既のところで支えてそう返す。

 

 

「そう言われてもねぇ」

 

「アンタの成長速度が異常なんだって」

 

「何が異常なのかしら?」

 

「「うにゃあ!?」」

 

 

 俺たちに忍び寄っていたリンディさんが声をかけてきた。その声に驚いてリーゼが飛び上がる。耳と尻尾がピンって逆立っためちゃくちゃかわいい反応だな。

 

 

「リ、リンディ驚かさないでよ」

 

「ビックリした~」

 

「ふふ、ごめんなさい♪」

 

 

 声が弾んでるな、リンディさん。

 

 

「それで、三人は何の話をしていたのかしら?」

 

 

 休憩所にある自販機でリンディ茶とかいう怪しげな飲み物を購入、ラベルには「激甘!」と書かれていた。

 

 

「う、美味いのか?」

 

「あら、美味しいわよ。飲んでみる?」

 

 

 ちょっとした興味本位だったんだけど……なんか、リンディさんの目がキラキラしてんだけど。リーゼは首を横に振りまくってる、止めとけってことか?

 

 

「じゃあ、ちょっとだけ」

 

「どうぞ」

 

 

 好奇心には勝てませんでした。グビッと飲んでみる………………………はっ。

 

 

「どうかしら?」

 

「………死んだお袋と親父が見えた」

 

「「え゛?」」

 

「そ、そう」

 

 

 うん、妹に蹴り返されたけどな。

 

 

「そ、それで三人は何の話をしていたの?」

 

(逃げた)

 

(逃げたね)

 

(無かったことにするつもりか)

 

 

 そう思っても掘り返すようなことはしない。また逝っちゃいそうだ。

 

 

「宏壱の成長速度が異常だって話」

 

「異常?」

 

「色々あるんだけど、一番は魔力量かな。一年前はAAAランクだったんだけど……」

 

「今じゃSランクだもんね」

 

「い、一年で?」

 

「そうなんだよねー」

 

「そんなことより、リンディさん何かあったのか?」

 

 

 何となく居心地が悪くなってきたから話題をそらす。

 

 

「どうして?」

 

「いや、雰囲気がな。進展でもあったか?」

 

「アリア、分かる?」

 

「……全然」

 

 

 リーゼがヒソヒソと話している。丸聞こえだけどな。

 

 

「ええ、後で皆を集めて言うけど、敵勢力の組織名の発覚と先遣隊がアジトを発見したのよ。進路はもうそっちに向いているわ。二日程かかる距離ね」

 

「やっと、か。やっぱりアイツがこっちの情報をリークしてたってことか?」

 

「それはお父様が聞き出してくれるわ」

 

「リンディたちもなんか怪しいことされたんだっけ?」

 

 

 あの程度の男なら簡単に口を割りそうだな。アリアの言葉にそんなことを考えていると、ロッテがリンディさんに聞く。

 

 

「ええ、催眠術の一種らしいわ」

 

「らしい?」

 

「宏壱君に言わせるとそうなるらしいわ」

 

「宏壱?」

 

 

 三人の視線が俺に集まる。

 

 

「ああ、昔似たようなことをしている奴がいたんだよ」

 

「昔って」

 

「まだ七歳でしょ。あんた」

 

「チャチャ入れんな」

 

「「痛っ!?」」

 

 

 指で空気を弾いてリーゼの額に当てる。俺が親父から引き継いだ体技『六式』のひとつ指銃の応用技、を使った。俺の持つ技の中でも威力が低く射程も短いせいで実戦には向かないけどな。

 

 

「……また妙な技を」

 

「うにゃー、赤くなってるよ」

 

「ホント、女の子にこんなことするなんて」

 

「六式、だっけ?」

 

 

 リーゼが涙目で額を押さえながらブーたれる。

 

 

「ろくしき?」

 

「ほら話それてんぞ。催眠術の話だろ」

 

 

 催眠術から六式に話がシフトし始め、それを修正するために柏手を二度打つ。後リンディさん、あんた本当に子持ちか? 首を傾げたのが妙にかわいいんだけど。しかも六式って意味が解んないから、文字に起こしたら絶対ひらがな表記だよな。

 

 

「そうね。そのろくしきは後で聞くとして、今は催眠術の話ね」

 

「ちょっと長くなるぞ?」

 

 

 そう言いながら自販機で無料の水を買い、またもとの位置へ戻る。

 

 

「ええ、お願い」

 

 

 確認の意味を込めてそう言うと、リンディさんは構わないと頷き、リーゼも同様に聞く態勢に入っていた。

 

 

「この話は昔の話だ。今から約二千年前の話」

 

「え?」

 

「に、二千年前?」

 

「それってどういう?」

 

「だから黙って聞けって、聞きたいことがあるんなら後で聞け」

 

 

 リーゼ、リンディさんは困惑顔だが、今は黙らせる。

 

 

「続けんぞ。………二千年前の話だ。俺の出身世界、第97管理外世界地球にある中華人民共和国という国、嘗ては漢と呼ばれた国だ。その国に黄巾党と呼ばれた勢力があった。漢の政治は腐っていて、貴族、豪族、官僚の連中は民を蔑ろにし横暴が続いた。無茶な高税の設定、人身売買に手を出す、族の放置、むしろ民を守る立場の人間が族の真似事をし民を苦しめる。これ等が積み重なりとある乱が引き起こされた。後に黄巾の乱と呼ばれる大事件だ」

 

 

 そこで言葉を切り、目の前にある水を飲み渇いた喉に潤いをあたえ言葉を続ける。

 

 

「黄巾党は黄色い布を体の一部に身に付けていることから付いた名だ。その黄巾党自体も元は唯の民が中心になってたんだけどな。そんで、彼らが掲げたのは民の平穏、普通に寝て、起きて、働いて、食事を取り、また眠る。そんな普通のことを彼らは望んだ。最初は百人程度の人数、それが何時しか千人、二千人と増えていった。増えるなかで彼らができることも増えた。最初の頃は村から村への移動の護衛、これを無償で民に行った。当然護衛するのは腕に覚えのある者、それなりに訓練を受けた者だった。賊が蔓延る世界だ、村や街から離れるのは危険を伴った。女は犯し殺す若しくは人買いに売る、男は身ぐるみ剥がされ殺される、子供なら労働力として売り飛ばされ奴隷となる。そんなことが罷り通る時代だった。でも、それは民だけだったんだよ。貴族、豪族、官僚、そして皇帝。国の上のやつらは豪遊三昧だった。民は逆らうこともできない、逆らえば自分達が生活できなくなる。そんな鬱憤が溜まり、爆発したのが黄巾党だ」

 

「その話と催眠術の話、どう繋がるのかしら?」

 

「これから繋がっていくんだよ。ええっとどこまで話したっけ………ああ、そうそう。爆発したってとこだな。さっきも言った通り黄巾党が当初行ったのは、民が村から村へ行き来しやすいように護衛することだった。でも、人数が増え出来ることも増えた。そうなると人は気が大きくなる。『赤信号、皆で渡れば怖くない理論』だな。それで黄巾党は賊から民を守るだけでなく民を苦しめる一端となっている貴族、豪族を襲い始めた。彼らの住む家を襲い、護衛を引き連れ街道を行く者を襲う。そして金品を奪い民に分け与える義賊になった。が、一人の男が参入してから黄巾党は黄巾賊へ成り下がった」

 

「黄巾賊?」

 

「そ、黄巾党と名乗っていた勢力は、その刃を無差別に彼方此方へ向けだした。標的は無辜の民、貴族、豪族、商人なんでもござれだ。そして賊が賊を呼び最大で二十万人、それだけの大きな規模に上り詰めた。当時は黄巾党と言えば民を守る義賊、それがいつの間にか民を恐怖に陥れる賊に成り下がった。何故か? さっきも言ったが一人の男が参入してからだ、そうなったのは」

 

「ひょっとして」

 

「アリアはもう解ったか?」

 

「なるほど、そいうことね」

 

「え? 何? どういうこと?」

 

「解ってないのはロッテだけみたいだな」

 

 

 アリア、リンディさんが理解したのを見てロッテは困惑顔だ。ここまでなんの話をしていたのか考えれば解るだろうに。アリアもリンディさんも呆れて溜め息吐いてるし。

 

 

「催眠術、なんでしょ?」

 

「え? あ、そっか!」

 

 

 リンディさんの言葉でやっと理解を示すロッテ。頭が悪い訳じゃなくて鈍いんだよな、こういうことに。一を聞いて十を知るってのは朱里とか菫、そういった天才ぐらいだろうけど、それでもここまで話して察せないってのはちょっと鈍すぎる気もするけどな。

 

 

「そういうことだ。その男の名は」

 

「ぎ、ぎるがめっしゅ?」

 

「……なんだか変わった名前ね」

 

「あたし、そんな名前つけられたら泣いちゃうよ」

 

 

 アリア、リンディさん、ロッテが順に感想を述べる。俺も同感だ。あの時代でそんな珍しい名前確実に迫害の的にされる。………そういえばアイツ一度だけ話をしたことがあるが英語使ってたよな。スムーズとかビジュアルとかルックスとかスピードとか、……異国の人間だったのかもな。

 

 

「思うことはあるだろうが、話進めんぞ」

 

「え、ええ」

 

「ご、ごめん。あんまり衝撃的な名前だったから」

 

「確かに、あんまり無いよね」

 

 

 次元世界においても珍しい名前なのか? メガーヌさんとかも大概だと思うけどな。

 

 

「今考えてること、口にしちゃダメよ?」

 

「は?」

 

「誰のことかは分からないけどダメよ?」

 

「お、おう」

 

 

 な、なんかアリアから妙な威圧感が………はっ!?これが覇王色の覇気!?

 

 

「どうしたの? 宏壱、顔すごく青いよ?」

 

「いや、何でもない、何でも。………それより話を戻そう」

 

 

 ロッテが声をかけてくれるが何でもないと伝え話を戻す。首を傾げるロッテを気にせず口を開く。

 

 

「んで、その義留我・滅執が使った催眠術に今回リンディさん達が甘掛かりとも言える状態が、その黄巾党達とのものに酷似してるんだよ」

 

「どういうこと?」

 

「文献に書いてあった話なんだけどな」

 

 

 そう前置きする。実際は俺自身が元黄巾党のやつに聞いた話だけどな。

 

 

「自分に疑いの感情を持たない人間を信用させる、感情を誘導するんだ。自分は信頼できる人間だ、信じるに足り得る存在だ、お前たちにとっては自分こそが正義だ、とな。方法は分からない。なにか特殊なことをしたのか。それともただ会話を重ね、向かい合っただけなのか。リンディさんは何かされたような感覚とかあったのか?」

 

「私は特に………そういえば」

 

「何かあるのか?」

 

 

 言葉を切って間を少し開けて、何かを思い出したように言うリンディさんに身を乗り出して聞く。

 

 

「何か甘い香りがしたのよ」

 

「香り? 香水とか?」

 

「お菓子じゃない? ケーキとかさ」

 

 

 アリアが香水だとあたりをつける。ロッテ? 頭の足りてない子は無視です。

 

 

「………なんか今、悪口言われた気が」

 

「(動物的勘か?)気のせいだ。その甘い香りってのはどういう状況でだ? アイツの部屋でか?」

 

「どうして私が彼の部屋に行くのよ。艦長室で話をしたりするときです」

 

 

 呆れたように言われてしまった。それなりに仲良く見えたんだけどな、どうやら見当違いだったらしい。

 

 

「じゃ、香水、か?………その香りを嗅いだときの気分は?」

 

「気分?………そうね、少しふわふわした感じかしら。何というか、頭がポーっとしてくるような心地いい感じね。彼の言葉が、すうーっと心に染みていくのよ。でも宏壱君の話を聞いたあと、甘さが抜けていく感じがしたわね」

 

「決まり、だな。たぶんそこで甘く掛かっていた催眠術が解けたんじゃないか? 黄巾党も義留我・滅執参入後、直ぐに賊に成り下がったわけでもないらしいからな。完璧に催眠術で洗脳するのに時間が掛かるんじゃないか?」

 

「洗脳って」

 

 

 俺の洗脳って言葉を聞いた三人が引きつった顔をする。一緒だろ? 所謂マインドコントロールってやつだ。

 

 

「実際のところかなり厄介なものだ。自分に疑いを持たない者には効果覿面だからな」

 

「そうね。宏壱君がいなかったら、私たちも内通者として操られていたのかもしれないわ」

 

「リンディが内通者?………うわぁ、最悪だよそれ」

 

「確かに、人望もあるし上役にも顔が利く………その香水使って催眠術かけられたら管理局終わっちゃうんじゃない?」

 

「ギルさんにリーゼ、確か三大提督にもパイプ持ってるんだっけ?」

 

「どうして貴方がそれを知っているのかしら?」

 

「俺にも独自の情報網があるもんで」

 

 

 当然呉刃の働きだけどな。情報は時に武器になる。情報を制するものは世界を制する、戦争も政治も覇権争いも、相手の弱味を握り弱点をつけば有利に進められる。まぁ、やり過ぎると手痛いしっぺ返しを食らうのも世の常だけどな。

 

 

「気にするだけ無駄よ、リンディ。宏壱には優秀な私兵がいるから、たぶん此処に来る前に軽く調べさせたのよ」

 

「私兵?……確か、レアスキルの欄に『蜀伝の書』でそれらしいものがあったわね」

 

「そうなんだよね~、しかも一人ひとりが何かしらに大きな才能があって、それだけで軍隊って感じなんだよ。絶対宏壱だけは敵に回したくない」

 

「同感ね」

 

 

 失礼な奴らだな、ホント。リンディさんが話についていけてないぞ。

 

 

「でもこう考えると結構ギリギリだったのね」

 

「あー、確かにヤバかったかもな」

 

「あたしらのお陰だね」

 

「ま、そうなるな。俺を此処に連れてきてくれてありがとう」

 

「え?あ、うん」

 

 

 感謝の意味を込めてロッテの頭を撫でる。椅子の上で膝立ちだけどな。

 

 

「うにゃ~」

 

「む~」

 

「あらあら」

 

 

  ロッテは目を細め、アリアはどこか不服そうで、リンディさんはあらあらと言いながらにこにこしている。

 

 

「アリア、おいで」

 

「……あ」

 

 

 ロッテの頭から手を離して椅子に座り直す。傍で名残惜しそうな声が聞こえたが気にせず、アリアに声をかけ手招きして自分の膝をポンポンと叩く。

 

 

〔にゃん♪〕

 

 

 猫モードになったアリアが嬉しそうに鳴き、俺の膝の上に乗って丸くなる。丸くなったアリアの背中をゆっくりと撫でる。次第にゴロゴロと喉をならしだすアリア。結構落ち着くらしい。

 

 

「ん? ロッテ?」

 

 

 アリアを撫でている手と反対の手に、猫モードになったロッテが猫パンチを繰り出していた。爪立ててないし、肉球がぷにぷにして気持ち良いだけだけどな。

 

 

「ほらアリア、ちょっと詰めてくれ」

 

〔仕方ないわね〕

 

 

 大きく俺の膝の上を占領していたアリアに移動してスペースをつくってもらう。猫が人語を喋るのってどうなってんだろうな? 声帯的に発音できないらしいけど……魔法の神秘か。

 

 

「宏壱君は人気者ね」

 

「まぁ、俺自身動物は好きだからな。たまにリーゼに猫になってもらって撫でさせてもらってるんだ」

 

「そう」

 

 

 俺の膝の上で気持ち良さそうにゴロゴロと喉を鳴らす二人に、ホッコリしながらリンディさんにそう言う。

 

 

「そういえば、連中の組織名ってなんだ?」

 

 

 催眠術の話をする前にそんなことを言っていたのを思い出しリンディさんに聞く。

 

 

「そういえば言ってなかったわね。彼らは『黄金の騎士団』と名乗っているわ」

 

「『黄金の騎士団』? おいおい、アイツらあれで騎士気取りかよ」

 

「言いたいことは分かるけど、そういう名前なんですもの」

 

 

 そう言って苦笑するリンディさん。俺はリーゼを撫でる手を休めず心の中で胸くそ悪さが広がるのを感じていた。

 

 

「どう考えても騎士なんて崇高な目的があるようには思えねぇな」

 

「同感ね」

 

 

 リンディさんは一言そう言って椅子から立ち上がる。

 

 

「十分後にブリッジに来てね。そこで今回の作戦の説明を行うわ」

 

「了解」

 

 

 立ち去るリンディさんの背中を見送り、リーゼを膝から下ろす。

 

 

「さて、もう終いだ」

 

〔え~〕

 

〔もうちょっと時間あるし良いでしょ?〕

 

「これ以上続けると寝るだろ、お前ら」

 

 

 ブーたれるリーゼに取り合わず椅子から腰を上げて休憩室を出てブリッジへと足を向ける。

 

 

「ケチ」

 

「変態」

 

「鬼」

 

「悪魔」

 

「鬼畜」

 

「ロリコン」

 

「マザコン」

 

「だーっ! うるせぇ! 何なんだお前ら! さっきから、人を鬼だの悪魔だの! 今回の任務が終わったらたっぷり撫でてやっから大人しくしてろ!」

 

 

 休憩室を出て追いかけてきて横に並んだアリア、ロッテが交互に口に出す悪口に我慢できずそう怒鳴る。

 

 

「「~~♪」」

 

「ったく」

 

 

 その後、リンディさんが言った通りブリッジに武装隊の招集がかかり、任務内容が伝えられた。敵組織への武装解除及び降状勧告、敵対の意思を相手が示す、或はそういった行動を見せた場合現場の判断で実力行使で捕縛、質量兵器の押収を行うことが伝えられ突入部隊長はアリアに決まった。

 

 

 

 

 二日後……。

 

 今俺の前にはアリアが立っていて横にロッテが並び、俺たちの後ろに十人の武装隊が列を作って並んでいた。

 

「よし、じゃあ皆気を引き締めていくわよ。相手には魔法が効きづらいことが分かっているわ。何かしらの方法で魔法のダメージが軽減され効果が薄くなることが分かっているの。油断せず、注意していきましょう」

 

「おう」

 

「うん」

 

 

 アリアの言葉に返事をしたのは俺とロッテだけだった。魔法が効かない、その言葉に緊張しているのが分かる。自分達の攻撃が通用しないかもしれない。そんな考えが浮かんでいるんだろう。

 

 殺すわけにはいかない、私たちは殺し屋じゃないんだ、あくまで逮捕する。アリアが言葉をそう続け踵を返し俺達に背を向け声を張り上げ、目の前の三階建ての屋敷に降状を呼び掛ける。

 

 

「テロ組織『黄金の騎士団』に告げる! 今すぐ武装解除し投降しなさい! 武装解除しない場合抵抗の意思ありと見なし武力行使します! 痛い目をm――パァン!――っ!?」

 

 

 屋敷のひとつの窓が開きアリアに向けて一発の銃弾が放たれた。

 

 

「剃! 部分鉄塊・腕!」

 

 

 剃でアリアの前に飛び出し、腕だけに鉄塊を発動して銃弾を受け止める。

 

 

「刃」

 

〈御意〉

 

 

 刃を展開し戦闘態勢に入る。

 

 

「……ありがとう、宏壱」

 

 

 アリアは一度俺の頭を撫で再度声を張り上げる。

 

 

「戦闘態勢に移行! 残らず捕縛しなさい!」

 

「おう!」

 

「うん!」

 

「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」

 

 

 俺は先陣として駆け出し――ドガアァァン!!――屋敷の壁を突き破って内部へ侵入した。

 

 エルピオンから始まる事件は今終局を迎えていた。いや、俺たちが終わらせる。糞の足しにもならねぇカス共を捕まえてなぁ!!

 

 




何時ものことを考えれば少し遅くなりました。

自分の中でその週の内に一話投稿っていうのを決めていまして、早めに書き上げて次の週のを書き出す。って感じなんですけど……今週はなかなか時間が取れないですねぇ。毎年GWが近づくと忙しくなるんで仕方ないですけどね。

自分の事情はどうでもいいとして……もう二、三回くらい『黄金の騎士団』との戦闘をやりたかったんですけど、そうなると長くなりすぎる気がしたんで今回を最初で最後の戦闘とさせていただきます。

さて『黄金の騎士団』については名前の由来とかなんもないです。敵のトップがアレなんで中二病的な名前で考えてたんですけど、これが案外思い浮かばなくてこんな安易な名前になってしまいました。

では、長話もこの辺で……また次回お会いしましょう。ではでは。
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