特異現象はダメ!死刑!! 作:最推しはアツコ
どうも、転移者です。
トラックに轢かれたとかはなくて、気づいたら誰も彼もが銃を持ってるイカれた世界に異世界転移してました。
此処はキヴォトスと言って、『ブルーアーカイブ』というゲームの世界のようです。
特にプレイしてないのでわかりませんが、全体的に耐久力が高めで銃撃で死ぬ可能性が殆ど無いらしいです。それはそれとして治安はカス極まってます。
謳い文句は『透き通るような世界観で送る学園RPG』らしいですが、転生して1年経っても未だ何処が透き通ってるか分かりません。コンビニに銃弾や手榴弾が当たり前に置かれてる世界は普通に濁りまくってませんか。硝煙とか爆煙とかしか見た覚えねぇぞ。
転移してすぐはボロ布一枚で謎の巨大施設みたいなとこに居て人生終了の気分でしたが、心優しい方に助けられ今でも生きています。
拾ってくれた人は『その方が合理的よ』といって俺をエージェント代わりにして色々させてきます。初めて知りましたが銃って反動凄いんですね。やっぱり俺の人生は終了です。
どうやらこの世界は基本女子高校生と獣人とロボットしか存在しないうえ、女子高校生は全員『ヘイロー』という天使の輪っかがあって『神秘』とかいう謎パワーを無意識に使っています。だから銃弾を喰らっても平気なんですね。
平気だとしても銃を持つのが一般常識なのは間違っているだろうか? そりゃ間違ってるだろ。
そして俺は男子高校生で『ヘイロー』がありません。
けど『異世界転移』自体が『特異現象』なうえ、謎の『神秘』を持ってるらしく存在がバレたらヤバい組織とかに人体実験される可能性があるらしいです。
こんな思いでTS願望が生まれるなんて思ってもみませんでした。
まあ、こんな現実逃避をしたくなるけど、言うほど悪い生活ではなかった。
謎パワー(物質を再構築云々と説明された。モーフィングパワーかな?)を使って犯罪の差し押さえやらオカルトなのとドンパチしたりやら危険は確かにあったが、それでも得難い思い出も多い。
拾ってくれた人──調月リオも合理性を重んじる厳格そうな人に見えてポンコツ合理理論を振りかざす天然コミュ障で面白かったし、他にも個性的な奴らばっかだし、楽しかったのだ。
それに皆、あり得ないぐらい容姿が整ってる。
素直に目の保養です。ガン見して注意された時は死にたくなったけどな。
馬鹿みたいな格好されるとキョドってしまうけど仕方ないだろう。
っぱそりゃソシャゲなんだしイカれた格好してますよね、みたいな感じだ。普通に童貞殺しにかかってるので勘弁してほしい。無理? っすよね~……
そんな訳でリオに拾われてから一年が経ち、銃撃戦にも慣れ、友人も何人かできた。
謎パワーを使えばキヴォトス人相手でもやりあえるし、データが集まって俺の解析も進む。そうすればいつかは元の世界に帰れるかもしれない。
こんな生活も悪くないか、な(笑)。
とか調子こいてたのがちょっと前。
そんな俺は今──
「どうしてこうなったんだろうね……」
『やめなさい、コノハ。貴方の行動は非合理でしかないわ』
「追っかけ方も合理的ではなさすぎるだろ」
──夜逃げをしてます。
△△△
スピーカーから発せられるいつも通りの冷たさを有した声を聞きながら通路を駆け抜ける。
背後から飛んでくる拘束用非殺傷弾を掻い潜り、少年──
おかしい、と眉を顰める。
此処、リオが所有する個人ラボの警報システムは作動させていないのに、どうやって自分の逃亡に気がついたのか。気づくにしても早すぎる。
「もしかして発信機つけてる?」
『……戻りなさい、コノハ』
「つけてんのね」
確認をすれば靴の裏に小型の機械が張り付いていた。
グッ、と力を込めて破壊する。
警戒不足だったな、とため息をついていると前方から壁が下りてきた。
足を止めれば、来た道を残し同様の壁が生まれ、後付けの袋小路が出来上がる。
一定以上の耐久性を備えているのは当然だろう。
彼が現在腰に下げている携行性に優れた拳銃では破壊は不可能。
背後からは機械の駆動音が近づいてくる。
一見して詰みの状況。
「あ~、仕方ないか」
『……まさか、やめなさい。それは──』
「悪い、それは無理だ」
静止を振り切り、コノハは壁に手を置いた。
荒さのない、気軽にただ触れるだけの行為。
だというのに、穴が開く。
上書きされたように、塗り替えられたように、改竄されたように。
まるで
「うし、それじゃ俺行くから」
『っ。駄目よ、認められないわ。分かっているの、今貴方が行使した力は危険なものなのよ』
「分かってるから逃げるんだろ。まだ死にたくないし」
『──』
「あやべ」
失言に口を閉ざす。責める気はなかったのだが、つい言ってしまった。
思ったことをあまり考えずに口にしてしまうのは悪い癖だな、と内心で反省する。
そうして、勢いの落ちた追撃を好機と見て、コノハは駆ける脚を速めた。
「……世界を壊しかねない力とか、厄ネタにもほどがあるだろ」
こうなってしまった原因に、大きなため息をついきながら。
彼が扱った力。
神秘、或いは権能。
そう評されるべきそれが、少年が逃げ出した要因であった。
さきほども行った、触れた物質を分解・再構築する御業。
約一年に及ぶ観測・調査により判明した、その本質こそ、問題だったのだ。
言ってしまえば、それは『名もなき神々』の権能である。
学園都市キヴォトスには存在しない、かつて敗れ去った神性が持つ力。
そして、宿主であるコノハを侵食し、何れはキヴォトスを灰燼に帰すための先兵へと変えてしまうもの。
彼がキヴォトスを訪れた際に植え付けられたのか。
ただ偶然異世界の記憶を有しただけの兵器にすぎないのか。
詳細は不明で、分かっているのはコノハは世界を終焉に導く可能性がある事。それだけだ。
少年はその力を使う度、何かが削られる感覚があった。
少年は
少年に対し世界を滅ぼせと語る、邪悪なる誰かの指示。
月日が経つにつれて激しさを増すその教唆を『いや世界を滅ぼすとか駄目だろ……』と気合と根性で叩き潰し、少年は生きている。
『このままだと今年には限界迎えて厄いことになるかもな』という感覚。
『世界滅ぼしたくはないけど、それはそれとして死にたくはないな』という生存願望。
善性を有してはいる。
困っている人を見たら助けようと動く性格ではある。
だが、どんな理由があったとしても人並みには幸せに生きたいな、と思う少年だった。
これが械枷コノハという少年が抱えているものであり、彼の指針であった。
そして、調月リオ。
コノハの事情は彼女との嚙み合いが非常に悪かった。或いは良すぎた。
彼女の善性は強い。
世界は守られるべきであり、そこに暮らす民は守られるべきであり、それは害するものは排除されるべきだと考える少女である。
だからこそ原作と呼ばれる世界では、
調月リオという少女は、そういう人間性をしている。
原作を知りはしないが、彼は一年の付き合いの中でその性格を十全に理解していた。
故に。
だから。
なので。
『あ、これ俺殺されるかもしれんね』と、彼が思い立ったのが数日前。
コノハのデータを解析していたリオの様子がおかしかったことと、自身に起こっている特異な現象。
導き出される危機感から、コノハは交流を持っていたとある『全知』の力を借りてリオの管理していたデータを確認した所、『名もなき神々』の存在と何が起きているかを把握したからだ。
一緒に見ていた『全知』からの提案と相談を経て、一先ずリオとは離れた方がいい。という結論になった。
『問答無用で殺されなくとも監禁ぐらいは平気でするでしょう。貴方の相棒たる遥かなる蒼穹よりも晴れ渡る超天才超美少女が言うのだから間違いありません』とは、協力者である少女の言葉である。
普通であれば反論しかない言い回しに、一切の反論がなく少年は黙って首を振った。
そうして械枷コノハは一年の時間を共にした恩人の元から逃げ出すに至ったのである。
△△△
「あぶねえ~施設全封鎖された時は終わったかと思ったわ。ほんとありがとうヒマリ」
「ふふ、この程度天才超美少女ハッカーにっとてはちょちょいのちょい、ですよ。さて、言うべきことがあるのでは?」
「超天才! 超美少女! 超好き!」
「よろしい」
よろしいんだ。
女性への褒め方って未だによく分かってないから勢いでやったら、満足してもらえたらしい。
ハイテク車椅子に座り、うんうんと頷いている少女こそ、俺の協力者である明星ヒマリだ。
ミレニアムサイエンススクールで『全知』っていう凄い学位を修めたとかいう、めちゃくちゃ頭がいいハッカーである。
リオ繋がりで厄介ごとに巻き込まれて仲良くなったのだが、色々と助けてくれるマジで優しい人だ。
今回だって俺以上に積極的に逃亡計画詰めてくれたし。いやまあリオへの嫌がらせみたいなとこはあるんだろが。
犬猿の仲だけど心の奥では認め合ってる的なめんどい関係性してるんだよな……
「それで、これからの計画は? 変更なく『神秘の探求』を行うのですか?」
「ああ、その予定だよ。取り敢えずはゲヘナかな。ちょっと伝手あるし、ヒノム火山で調査する感じで行こうと思う」
現在俺は『名もなき神々』とかいう謎の存在から侵食を受けている。
キヴォトスを滅ぼせー、だのテクスチャを覆せー、だのうるさい声が響くが、気合で捻り潰しているのが現状だ。
解決策は、ない。のでそれを探すのが目的だ。
キヴォトスには変な土地が多々ある。
例えばミレニアムの『廃墟』。
さっき上げたゲヘナの『ヒノム火山』とかトリニティの『カタコンベ』、アビドスの『砂漠』とかもだな。
そういう土地にはこう……普通ではない、それこそ『神秘』に満ちていたりする。俺も『廃墟』で見つかったわけだし。
ならば、そこになら何かしらの対抗策になり得る物があるのではないだろうか。
問題が発生した場所なら解決するための物もあると考えるのは至極自然な発想だと思うが?(雑クラピカ)
「それでは、私はこれまで通り通話からの支援をしますね」
「うん、助かる。本当にお前いなかったら詰んでたよ」
「あらあら、もっと褒めてもいいんですよ? まあ今は急いでミレニアムを離れた方がいいので続きは寝落ち通話の時にお願いします」
「寝落ち通話すんの?」
やめろよ、声可愛すぎるんだから寝落ちもちもち(もう二度と言わない)とかしちゃったら普通に好きになっちゃうだろ……
戦慄しつつもほぼ戦闘用の装備しか持ってこなかったので物資を受けとり、ミレニアムを出るための準備が完了する。
リオには置手紙残したし、トキもいるから大丈夫だろう。
次会う時は全部の問題が解決してる頃か、逆に全部が失敗した時だ。
できれば前者でありたいね。
死にたくないので頑張ります。
こんな生まれてきたことが罪みたいな理由で人生終わりたくないです。
全部丸く収まったら元の世界に帰るか、それが無理なら可愛い彼女でも作って楽しく暮らしたいです。
俺は、幸せに生きたい。
「っし、行くか。ゲヘナ」
まあ、もし駄目だったら殺してもらえば解決だしな。
この歳で童貞のまま死ぬとかあり得ないくらい嫌だが、流石に世界滅ぶ方が駄目に決まってる。
俺が化け物になっても殺せるぐらい強い奴らとは結構仲良くなれたつもりだけど、皆しっかりしてるから情に流されないできっちり殺ってくれるだろうし。
これで安心して足掻けるってもんだ。がはは。
械枷コノハ 16歳。リオ達が年上と気づいてからは慌てて敬語にしたがめちゃくちゃ低い声で「は???」と言われ、タメ口に戻った。
本来の苗字(元いた世界でのもの)は異なるが、この世界に来た際に、何者かによって改竄されている。当人にはその自覚がない、或いはその記憶すら消されている。死にたくない、幸せに生きたいという思いが人一倍に強い。が、個人が世界より優先されるのは違うだろ……とも思っているので最悪は死も覚悟している。自分が死ぬほど悩んで悔やんで苦しみながらも世界のために大切な人を殺せる人間なため、他人も同じようにできるだろうと考えている。できるわけねえだろ。
調月リオ 最初は観察対象としか思っていなかったが、生活の中で絆されていった。コノハとトキと一緒にご飯を食べるのが好きだった。もう戻れない。コノハの正体の輪郭を掴んだ時からあまり眠れていない。常に思考の何処かでトロッコ問題について考えている。レールを選ぶのがこんなに辛く苦しいのだと知らなかった。その一方でどうすれば苦しまずに主人公を殺せるかも考えており、殺せる用意は進めている。期待と予想を裏切らない女。特に考えてないけどこれエリドゥってかパヴァーヌ2章とんでもないことにならないすか?
明星ヒマリ リオ経由で知り合った。度々任務の際に協力したり、日常生活においても遊んだり買い物に行ったり、真っ当に仲を深めていった。コノハに頼り、頼られる関係性が好き。コノハに自身の正体及びそれに連なるリオとの件を聞いて「あいつマジでふざけんなよ……」とブチ切れた。コノハが死んでいい訳ない、と思っているので独自に様々な分野を調べている。一方でコノハが死を覚悟していることを薄っすら察しているし、その事実で脳をぐちゃぐちゃにされている。リオではなく、自分が頼られていることに仄暗い快感を覚えているが自覚無し。手遅れ。
飛鳥馬トキ 描写されていないが本気で(『武装』使用)コノハの逃亡を阻止しようとした。無理だった。最初は急に現れたコノハへの警戒が強かったが、本編時には『リオ様のパーフェクトメイド&パーフェクトバトラー……ありですね』とかなんとか言ってたりしてたらしい。その未来は既に失われてしまった。
続きを書く気がなさすぎるので妄想じみた設定を補完を兼ねて書き連ねてます。