特異現象はダメ!死刑!! 作:最推しはアツコ
今回かなり雑です。申し訳ない。
桐藤さんを助けると決めて、契約やら何やらを終わらせた後。
俺は少し離れた位置から周辺を監視をしつつ、思考を巡らせていた。
一先ず、目標を整理する。
最優先はエデン条約の締結を阻止しようと目論む謎の組織の壊滅だ。極論、これが出来れば後は桐藤さんたち政治の世界の話になる。
彼女たちを害そうとする存在がいなくなれば、火急性はなくなる。
なので、俺が最初にするべき事はこの組織の解明である。
とはいっても、そんな事は桐藤さんだってやっている。ティーパーティーの総力を以て捜査をしても、手掛かりはなかったのだそうだ。
Q.ならば、一体どうやって探すのか?
「トリニティ、ゲヘナ、エデン条約……因縁、因果……」
A.
悪ふざけではない。至って真面目に、俺はこの一件を考察している。
前提として、この世界は『ブルーアーカイブ』というゲームの世界だ。実態として、ただ似通った世界なのかそれとも本当にそのままゲームの世界なのかは置いておく。
ほぼ禅問答になるからな。結局感じるがままが全てなので、気にすることはない。俺のスタンスまで悟りっぽくなったな……
一年過ごす中で、ある種のメタ的視点が有効であることに気が付いた。
言ってしまえば、この世界にはチェーホフの銃が適用されている。
物語に登場した要素は使用され、回収されるべきという概念。
つまり、この世界では因果が正しく成立し、正しく回収されるのだ。
何か事件が起きた時、現場に不審な点があればそれは必ず糸口になる。
誰かが言った意味深な発言は、どのような形であれ伏線として意味を持つ。
コメディとして成立するようなふざけた事件(たぶんゲーム的にはイベントとかに当たるのだろう)では真面目に機能しない場合もあるが、今回のようなシリアスな件であれば、必ず正常に機能する。
謎の組織。
経歴も一切不明。
本当にそうなのか?
断言できる。
それはあり得ない。
エデン条約という、複雑に二つの学園を結びつける要素に、急に現れたぽっと出が介入できる筈がない。
関わってくるのなら、逆説的に、その件に見合った資格を持っているという事になる。
この世界で生まれ育った生徒たちでは発想にすら至れないであろう視点で、俺はそれを否定できるのだ。
こういう事をやってる時だけは真っ当に異世界転移したなって感じられる。
「……
桐藤さんに、ここ暫くで少しでも印象に残っている事を聞きだしていた時。
大体はエデン条約とそれに関係した問題だったが、一つ気になる言葉が出てきた。
『──何時だったかは覚えていませんが、以前にミカさん──パテル分派の首長がアリウス分校との和解を提案した事が……いえ、これは関係ありませんね』
そうして打ち切られた会話だったが、嫌に気になった。
前に古関さんに迷惑をかけた詫びを兼ね訪ねた時読んだ古書にその言葉があったからだ。
アリウス派と呼ばれた、かつてトリニティの前身であった分派の一つ。弾圧され、追放され、今は何処かに隠れていると記されていた。
読んだ後に禁書指定されているから隠しておくよう言われ、滅茶苦茶ビビったから覚えていた。
今にして思えばあからさまな設定だ。
弾圧され消えた分派? どう見ても何かあるだろ。
そして、疑問は残る。
トリニティの外に出たという痕跡はなかったと、本には記されていた。
まるで亡霊のように姿を消したと。
これは、ほぼ決め打ちなのだが。
「カタコンベじゃね……?」
俺の本来の目的地であるが故に、ずっと頭の中に残っていた。
此処に逃げ込んだと仮定した場合、一切の矛盾はなかった。一度入れば迷い込むことが約束されている広大かつ異質な土地。
痕跡がなく、調べても何も出てこないのも当然だろう。
本来ならトリニティにはいない集団が、ずっとトリニティ内にいたのだから。
あまりに綺麗にピースが埋まる。
どう考えても、これで合っている。勿論、俺の知らないところに重要な情報がある可能性もあるが、それは考慮しない。
思考のノイズにしかならないし、一刻も早く解決しないといけない問題で否定的仮定は無駄でしかない。
「明日、行くか」
脳を動かし疲れ、座り込む。
腰部に違和感。ん……!?
付いていたのは白い一本の羽だった。
絶対に桐藤さんのだ。え、なんか……悪い事した気分になるんだけど。
「…………」
捨てるのも何だか惜しく、懐に仕舞い、忘れることにした。
いい香りが舞った気がしたが、気のせいったら気のせいだ。
△△△
翌日、こっそり桐藤さんに会いに行き(モモトークでは情報が抜かれる可能性があるため)報告してからカタコンベに向かう。
桐藤さんは何人かを同行させようとしていたが、それは断った。今回はどっちかというと、本当に俺の仮説が合ってるかの偵察だからな。それに複数人で動けば当然バレる可能性も増す。
代わりに、忙しいのは分かりきっているがそれでもアリウスについて調べて欲しいと頼んだ。この問題は多分、倒せば解決するみたいな単純な問題ではない。
これから先、長い目で向き合わないといけないタイプの問題だ。
「……デッッッカ」
用事も済ませ、地図を頼りに早速やって来たが、想像を遥かに超えてカタコンベは巨大だった。
四方八方に続く曲がりくねった道は方向感覚を惑わせ、下手に進めばすぐに迷って閉じ込められるだろう。
結論は直ぐに出た。
「無理、だな。俺一人じゃどうにもならないぞ」
本当にこんな場所に居るのか、居たとして辿り着けるのか、問題は山積みだ。これは一度戻って相談しないとだな。
────と、普段の俺ならなっていたんだと、思う。
「……んだこれ」
カタコンベを訪れ、立ち尽くしていた時だった。
急に、唐突に、
言語化できない、第六感に近い謎の感覚が、肌を伝って脳を刺激する。
あ、これ
いや、この感覚は知っている。
これは、ずっと頭の中で囁いている
「がッ、グ……!?」
頭の中で怪獣が暴れているのかと思うほど痛むいや違う奴らが無名の司祭ががなり立てているのだ。
思考がまとまらない。なのに、体が勝手に進んでいく。
まるで導かれるように、違うこれは殺意だ。
俺のではない憎しみが心を充たし、それに従うように身体がカタコンベに残る神秘の残滓を追っている。
殺せ、殺せ、殺せ、と。
許すな、許すな、許すな、と。
進むにつれて思考を侵食する憎悪と憤怒が増していく。
あ、マジでヤバイ今までと比にならな────
壊せ
テクスチャを覆せテクストを染め上げろ
忘れられた神々の消失を/壊せ/名もなき神々の復権を/壊せ/終わりなき永遠たる太古への回帰を/壊せ/忌まわしきキヴォトスに終焉を絶対なる終末を神秘を生徒を青春を全てを無為に壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ壊せ
「うるせ〜〜!!!!! 知らね〜〜〜〜!!!! FINAL FANTASY」
あっっッぶねえ!!! 完全に思考乗っ取られてた!!
意味わかんねえこと言うのやめろっつってんだろネットミームに轢き潰されて死ねクソが。
気合で叫んで脳みそを汚染していたクソ共を蹴散らし、膝をつく。
全身が痙攣し、眩暈から視界が揺れ動く。
ここまで侵食されたのは初めてだ。今までは、あっても夜中に歩き出す程度だったんだが。
荒い息のまま前を向く。
随分と歩いた気がする。ふらふらと彷徨う様に、地図なんて欠片も考慮していない足取りだったのを思い出す。
「……此処、どこ?」
カタコンベ──
崩れた廃墟が連なる街並み。退廃とした空気が気力を奪っていく。寂れた、既に終わってしまった気配がする、そんな空間。
そんな中で。
真っすぐ視界の先に、誰かが佇んでいた。
白いフード付きの上着と……顔を覆うマスク。
小柄な体格で、ただ立っているだけなのにどこか気品を感じさせる。桐藤さんみたいな、高貴さに近しい。
そんな少女、じっと何かを見ている。
花だった。フードの奥に見える髪色と同じ、紫の花。
ぼけっと、呆けたようにその姿を眺めていた。
未だ衝撃が抜けきらない頭は、それを幻だと思ったのだろうか。
ふと、少女がこちらを向いた。
「…………」
「…………」
沈黙が互いの間を埋める。
「…………花、好きなのか」
突然の異変に襲われ、知らぬ間にカタコンベを抜けた先、俺は謎の少女と邂逅を果たしたのだった。
△△△
ミレニアム外郭、『廃墟』。
カタコンベにてコノハに異変が起きた頃、この場でも何かが起きていた。
いや、この場で
「AL-IS……? アリス……?」
チクタクと、時計の針が進み始める。
歯車が回り、意思の介在はなく。
動き始めれば、もう止まることはない。
機械仕掛けの神の降臨は、既に定まりきっていた。
械枷コノハ 今回の侵食を希釈して二十分の一ぐらいにしたものを毎日耐えている。名もなき神々の王女の目覚めに呼応し、能力が強化された。具体的には生徒の神秘がぼんやり分かるようになり、それの再構築が可能になる。その覚醒・暴走によってカタコンベにて隠匿されていたアリウス自治区に入ってしまった。タイムリミットは爆速で迫っている。
??? 作者の名前を確認してください。
100%ライブ感で書いてるのでもうどうなるか分かりません。助けてくれ。