貞操逆転魔法少女世界×堅物天然軍人(異世界産) 作:とっとこ馬鹿野郎ッ!!
軍服に身を包み、最低限の装飾のみが施された無骨な軍刀を持った青年が、無線通信機らしきものに話しかける。
「日本帝国対魔導士特殊戦闘部隊『龍脈』所属、
『了解』
朽ち果てた家屋を隠れ蓑とし、地下に工房を作り上げていた魔導士。その魔導士の行っている、禁忌を犯す研究を止めるため、彼……久遠刃は派遣された。
その研究とは、異世界へと繋がる
「くっ…もう、嗅ぎ付けられたか!?」
「大人しく投降せよ。さすれば、命までは取らない」
「……あと少しなんだ、止められるものかっ!!」
工房の床に描かれた、幾何学模様……恐らく、研究の成果たる魔法陣に魔力を込める。
投降の意志なしと判断した刃は、即座に魔導士の肉体を両断した。
「悪性必滅、我が刀身に揺らぎ無し」
軍刀を振って血を払い、鞘に納める。その眼差しは、物言わぬ骸と成り果て斃れ伏す魔導士へと向けられていた。そこには、欠片ほどの油断すら排した軍人の姿が伺えた。
しかし、如何に歴戦の猛者であろうとも、想定外は起こり得る。
「なに!?」
使い手が死に、停止したはずの魔法陣が起動する。想定していない魔法陣の起動、それに対し刃は何時でも抜刀可能な態勢へと体を移し、盤石たる心持ちで挑む。
しかし次の瞬間、刃の視界は光で覆いつくされ、意識が遠のいていく――――――――。
唐突に、意識が現実へと引き戻される。くらくらと揺れる頭を振り、目を開く。
そこに広がっているのは、何の変哲もない平凡な街並み。何処かに飛ばされたか?と思い、辺りを見渡してみる。特に変わったところは無く、如何にも平和な――――――――。
ドガーンッ!!
爆発音。状況把握のため、近くの家屋の屋根に上がる。音のした方向に目を向けると―――。
「ぐ……うぅ…………!!」
「オオオォォ…………!!」
街を破壊する巨大な怪物……黒く禍々しい巨人。その頭部には幾つもの目玉がついており、体のいたるところから触手が生え、蠢いている。そして、それと対峙する奇抜な恰好の少女。
外見から見て、十代前半だろうか?傷だらけの彼女は、ステッキ(?)のようなもので体を支えながら懸命に怪物に立ち向かう。
久遠刃に、世の道理は分からぬ。幼少の頃、魔導士の違法な研究に巻き込まれ両親を失った。
それより、自分と同じ人間を生まぬため、軍人として生きることに決めた。
同じ年の少年少女が勉学に励み、友と交流するのを横目に、全ての時間を鍛錬に費やした。
故に世の常識を知らず、己が浅学菲才の身であることは承知している。
そのような男であっても、許せぬ悪は理解できる。目の前の、うら若き乙女の命を散らさんとする怪物、世の平穏を乱し恐怖をまき散らす怪物を許してはおけない。
己の置かれた状況など分からぬ。
それでも――――――目の前の少女を救うのに、僅かほどの躊躇いも無い。
「悪性必滅―――――――!」
飛ぶ――飛ぶッ――――――街に並ぶ家屋の屋根を足場とし、怪物に迫る。
そして、少女に向かい来る拳を……その軍刀で防ぐ。
「無事か?」
「………う、え……え!?」
蚊でも振り払うように軍刀を振って、怪物の拳を弾き飛ばす。
少女は突然の増援に困惑するばかりであった。
「我が身と刀、国と民草の安寧に捧げし護剣なれば……汝の悪逆、見過ごせるはずも無し。黒き巨人よ、如何なる理由によるものかは知らぬが、即刻立ち去れ」
「グ、グオオオォォ…………!!」
刃の言葉に対し、怪物は拳を振りかぶる。
「警告はした。――――これより先は、容赦せん」
怪物は、その全霊をもって目の前の敵を叩き潰さんとする。
迫る拳。それは常人であれば、肉片すら残らないであろう致死の一撃であった。
「に、逃げてぇ!!」
「否!それは我が信念に悖る行為なればッ!……心配するな、君のことは必ず守る」
軽く振り返りながら、そう言って微笑みかける。
「軍式対魔抜刀術・壱の太刀……断魔」
抜刀の要領で、切り上げるようにして軍刀を振るう。
それに合わせ、巨人は動きを止めた。否、体がゆっくりと
巨人は縦に真っ二つとなって斃れた。
私は、新人魔法少女の
先月魔法少女になったばかりで、階級は三等星……一番下だ。
そんな私が―――――こんなのを相手に出来る訳ないじゃん。
「ぐ……うぅ…………!!」
この地域を担当する先輩魔法少女は、既に他の怪人の対処に向かっていて、今戦えるのは私一人。
先輩が戻るまで、持ち堪えないと…………!!
そう意気込んでみたものの、現実は非情だ。
もう、足に力が入らない。歩くことすら………。
目の前の怪人は、少なく見積もっても一等級。三等星の私じゃ、逆立ちしたって勝ち目が無い。
そんなことは分かっていたけど――――逃げない。絶対に、諦めない!
もし私が逃げ出したら、どれだけ被害が出るか分からない。
私は、魔法少女として逃げる訳にはいかない。
例えここで命を落とすことになっても、絶対に――――――――!
迫り来る怪人の拳。私は咄嗟に目を閉じた。
…………どれだけ待っても、衝撃がこない。痛みも…………。
「―――――無事か?」
目を開けると、理想のイケメンがいた。
切れ長の目、シュッとした顔立ち、軍服の上からじゃ分かりにくいけど、体もがっしりしてて細マッチョって感じで…………そんな人が私を助けてくれた。
それは正しく、運命の出会いだった―――――
――――――んだけど………。
「はぁ~~せめて名前だけでもお聞きしたかった~~」
魔法少女協会へ、今回の事態の報告を行った後、私と先輩……
そんな彼女は、私の憧れでもある。でも、今回ばかりは文句を言いたい。
「……悪かったわよ。でも、仕方ないじゃない。あんな所に男性がいるなんて、普通思わないでしょう?」
彼が怪人を倒して私を助けてくれた後、別の怪人を倒していた先輩が助太刀に来てくれたのだ。
それ自体は非常にありがたいことなんだけど………先輩は彼を怪人だと勘違いして、凄い剣幕で攻撃し始めたのだ。
荒ぶる先輩をなんとか止めることが出来た頃には、彼は何処かに姿を消していて…………。
「うぅ、もっとお話ししたかったーー」
「はぁ、私が悪かったから、早く立ち直って頂戴」
(それにしても、一体何者だったのかしら?魔法を扱えるのは女性だけのはず。翠の話じゃ、一級相当の怪人を倒したらしいし………そんなこと、魔法無しで出来るとは思えない)
「とにかく、調査しなくちゃね」
(せめて、敵か味方かくらいははっきりさせないと)
以下、設定など。
・刃の元々いた世界について
魔法が発展した世界であり、魔法を扱うことが出来る者を魔導士と呼ぶ。基本的には魔導士とは研究職だが、危険な魔法研究を繰り返す犯罪者や、魔法を悪事に利用する魔導士を捕縛・処分するために対魔導士を専門とする魔導士部隊が作られた。それが、刃の所属する『龍脈』。それ以外にも、広域殲滅を可能とする戦略兵器級魔導士を集めた部隊などが存在する。
・魔法少女世界について
男女比1:5のあべこべ世界。魔法を扱えるのは女性、それも才覚に溢れた者のみ。基本的に、魔法を扱うのに必要なエネルギー、魔力は加齢と共に衰えていく傾向にある。
人類に敵対する怪人が現れる。それに対処するのが魔法少女。
・魔法少女について
階級は上から一等星、二等星、三等星となっている。その下に訓練生がいる。
国の魔法少女協会に所属しているため、一種の公務員のようなものである。
一般的に知れ渡っており、子供の憧れる仕事ランキングには上位にランクインしている。
広報活動も積極的に行っており、アイドルのような側面も持っている。
全員が自身の能力に合ったコードネームを持っている。
・久遠刃について
強い。イケメン。ちょー強い。天然。
古風な喋り方をしているため、知的な印象を受けるかもしれないが、頭脳労働はからっきし。つまり馬鹿である。会議の時はクールな顔をしているが、脳内は ??? で埋め尽くされている。
上司や先輩からは可愛がられていた。
好物はおにぎり。好きな具を聞かれた時は鮭と答えるが、本当は唐揚げの入ったおにぎりが一番好き。(母が誕生日によく作ってくれたから)