貞操逆転魔法少女世界×堅物天然軍人(異世界産) 作:とっとこ馬鹿野郎ッ!!
喫茶店に訪れた少女たち……昨日会った二人に俺の事情を話し、逆に彼女たちからも色々と聞くことが出来た。そうして分かったことだが―――――やはり、ここは異世界らしい。
恐らく、先日魔導士が起動させた魔法陣によるものだろう。奴の研究は異世界への扉を開くこと。この魔法が不完全起動したことで、俺がこの世界に飛ばされたのだろう。
そして、昨日の怪物や彼女たちのことについても分かった。
まず、昨日の怪物は怪人と呼ばれているものらしい。魔力を用いない近代兵器が通用せず、彼女たちのような魔法少女しか奴らに対抗し得ないのだという。年端もいかぬ少女が戦場に立つなど、到底許容し難い狂気の沙汰だとしか思えぬが、そうしなければ街が滅び人が死ぬ。この現状、度し難いと表せずにいられようか。
二人の話を聞いて、俺の方針が定まった。
現状、俺が元いた世界に帰れる方法はない。今後方法が見つかる保証もない。
しかし、この絶望的状況が、俺が己の信念を全うしない理由にはならない。
俺は―――――――魔法少女たちと共に戦おう。
魔法少女たちは、自ら志願して戦っている者が殆どらしい。
そんな彼女たちの黄金が如き気高き意志を知っていながら、どうして戦わずにいられようか。
そのようなことを、二人に話した。
「そう。……その申し出は大変ありがたいのだけれど、私では判断がつかないわね。貴方は、ただでさえ魔力を持つ男性という貴重な存在なのに、それに加えて異世界からの漂流者なんて情報まで合わさると………本部の方に話を持っていった方がいいわね」
顎に手をあてながら、冷静に情報を精査する葵。
その様子とは裏腹に、膨大な情報量に能がショートしている二人。
「え? あれ全部ホントのことだったの…………?」
「はにゃ?」
(イセカイ? 魔導士? 刃くんがカッコイイってことしか分かんない)
そんな二人を置いて、話を続ける。
「では、魔法少女協会とやらに行けばいいのか?」
「ええ。でも、中途半端な実力なら必要ないわ。昨日の怪人を倒したっていうなら、大丈夫だと思うけど。私たちも、無駄に命を散らせることを良しとはしないから」
「道理だな」
「分かってもらえて嬉しいわ。それじゃあ、都合の良い日に―――――」
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
響き渡る警報音。
「これは……?」
「怪人ね。場所は――――」
そう言って、スマホの画面を見る葵。
それは、魔法少女たちに支給されている端末であり、怪人発生時に付近の魔法少女に通達するものであった。
「近いわね……ほら、しっかりしなさい翠! 仕事の時間よ」
「はっ! か、怪人ですね!?」
「ええ。………貴方も来るかしら?」
「無論。眼前に迫る悪逆を見過ごす道理なし」
「なら、丁度いいから……貴方の実力、見極めてあげる」
三人は一斉に立ち上がり、戦闘準備を始める。
「変身」 「変っ身!」
その言葉と共に、魔法少女の衣装に身を包む二人。
遥花は白を基調とした、ショートスカートの衣装。
左手には、彼女の魔法を行使する際に、魔法の補助と魔力の増幅を行うステッキが握られていた。
葵は青を基調とした、パンツスタイルの中華風衣装。
身の丈ほどにもなる、大きな槍を携えている。
「では、俺も―――――戦術換装」
この言葉が、軍服・軍刀を召喚するトリガーとなる。
「三人とも、気を付けてね」
「はい」 「はい!」 「ああ」
口々に美咲の激励に答え、喫茶店を後にする。
そして、三人が赴いた現場には――――――5体の怪人。
おおよそ2mほどの怪人たちは、それぞれ剣・斧・槍などの武器を持っている。
そして、その全てが似たような仮面を身についていた。
「
「はい! 頑張ります!」
「私と貴方は前衛よ。いけるかしら?」
「問題ない」
「――――コードネーム、スピア。戦闘を開始するわ」
葵の合図と共に、遥花が魔法の詠唱に入る。
その魔力の高まりに、怪人たちが反応する。
怪人たちが戦闘態勢に入るタイミングで――――刃と葵が仕掛けた。
刃は軍刀の一撃でもって首を断ち、葵は槍で胸を一突きにして怪人を仕留めた。
「次ッ!」
魔法の溜めの段階にある遥花を狙い、残った3体の怪人が迫る。
「させんッ!」
刃が、その3体の足を切り飛ばす。
怪人たちは、重力に従って地面に倒れ――――――――。
「三連槍――喰らいなさい」
そこで、葵が三本の槍を召喚。それで怪人を、地面に縫い留めるようにして拘束する。
そして―――遥花の魔法が完成した。
「いきます!
ステッキの先から放たれる、光の奔流。
それが怪人たちを包み―――――――――その肉体を蒸発させた。
その一撃を見て、刃は驚愕する。
凄まじい破壊力………! 新人だと言っていたが、それでこれ程の魔法を扱えるのか。
「久遠、一応言っておくけど………遥花は新人の中でも突出した才覚の持ち主よ。魔法少女がみんなこんな魔法を使えると思ったら大間違いだからね」
「む、そうか」
なるほど。確かにこれ程の魔法を使えるなら、突出した才というのは納得だ。
「まぁ、まだまだ未熟なところはあるけれどね。近接戦とか」
「えへへ、私は遠距離の魔法ばっか得意で………」
(それにしても、今の怪人………妙ね。複数の怪人が現れる際、それらが似たような姿形をしていることは珍しくないけど、今の奴らみたいに魔力まで似ているなんてことあるかしら? いえ、今のは似ているというより………ほぼ同じだった。………念のため、協会に報告した方がいいわね)
「久遠は、これから暇かしら?」
「いや、まだバイトが…………」
「ああ、そう言えばそうだったわね。じゃあ、今日のところは早めに上がりなさい。
―――――――怪人の報告がてら、貴方を協会に紹介しに行くわよ」
葵の提案に従い、俺は魔法少女協会本部に訪れていた。
美咲さんには申し訳ないことをしたが、葵に「先輩への説明は私がするから」と押し切られてしまったのだ。
それにしても、すれ違う職員は女性ばかりだな。同性であった方が、魔法少女たちも安心できるであろうという配慮なのだろう。流石、魔法少女協会というだけある。*1
………凄く見られているな。やはり、このような場では男が物珍しいからであろうか?
「あっれ~~? あおちゃ、男の子連れてんじゃーん。あーしに秘密で男遊びとか始めちゃった感じ~?」
金髪の少女が、葵に話しかける。
あおちゃ、というのは葵のあだ名だろうか。
「……愛香」
「ちょーっと! あーしのことはあいちゃって呼んでって言ってんじゃん!」
「彼女は? 友達か?」
「違うわ。彼女は
「おい! 壊滅的とは何だ、壊滅的とは!! あーしの悪龍魔剣の錆になりたいか!」
そう言って、剣を取り出す。*2
「その剣とかが壊滅的だと言っているのよ。何そのデザイン? お土産屋さんにある小学生しか買わないキーホルダーみたいな見た目、なんとかならないの?」
「かっちーん。流石のあーしもキレちゃったよ。大体、小学生みたいなのはあいちゃの胸のほうじゃん!!」
「!?」
「なにその胸、絶壁じゃん!*3 前世はまな板だったのかにゃ~?*4 よっ洗練されたフォルム(笑)*5
Ms.平ら胸!*6 下敷きに使えそうな体してるね(笑)*7 あれ、魔法少女のコードネームなんでしたっけ、下敷きでしたっけ?*8 あはははは!!」
「………」
「ひー、ひー……あれ、ちょっと? あおちゃ?」
「二人とも、ちょっと待っていてくれるかしら? 今からゴミ掃除をしないといけないの」
「あの、ちょ、待っ――――――」
愛香を物陰まで引きずっていく葵。
バゴンッ! バギッ ガッ ガッ
ちょ、そこまです――――――
ザスッ ウィーーーーンッ
ぎゃあああああああ!!!
「「…………」」
「ふぅ、待たせたわね」
心なしか、スッキリした表情で戻ってきた葵。
「いや、はい。大丈夫です」
(せ、先輩怖ーーッ!! 刃くんドン引きしてるよ!!)
「いや、問題ない。ところで、彼女は…………」
「大丈夫。ちょっと眠っているだけよ」
(先輩、音が全然大丈夫な感じじゃなかったんですが。何やってたのアレ!?)
「そうか。では、早く行こう」
刃は、スルーすることに決めた。*9
おまけ 人物紹介
翠遥花 コードネーム:ルミナ 14歳
能力:光魔法
光弾や光線のような遠距離攻撃魔法が得意。近接戦が苦手。
新人魔法少女で、戦闘時は経験不足が目立つこともある。才能は随一。
むっつりスケベ。
美遠葵 コードネーム:スピア 17歳
能力:槍魔法
槍を生成する魔法を扱う。近接戦に特化した魔法少女だが、遠距離に対して取れる手段が無い訳でもない。(槍を投げればいいじゃない) スレンダーな体型。貧乳なのを気にしている。
真面目。風紀委員やってそう。
春乃美咲 元魔法少女 25歳
3年前に現役を引退した。指導官として協会に残る道もあったが、夢である喫茶店の店長の方を取った。現役時代、葵に戦闘指南をしたことがある。
伊井子愛香 コードネーム:? 17歳
葵の同期。葵とは犬猿の仲。普段は三人一組で活動している。
彼女のいる魔法少女グループは、一般人にかなり人気。
ギャルみたいな見た目と話し方だが、小学5年生みたいな感性をしている。
修学旅行では、お土産に龍の意匠の施された剣のキーホルダーとか木刀とかを買ってくるタイプ。