The Amazing Spider-Man 3: Shadow of the Kingpin 作:八二一
数日後。昼のマンハッタン。
ガラス張りのフィスクタワーには、いつもと変わらず多くの社員が出入りしていた。スーツ姿のビジネスマンや配送業者、受付で来客に対応する社員たち。外から見れば、ごく普通の大企業のオフィスビルにしか見えない。
その正面に、数台の覆面パトカーが静かに停車した。
ドアが開き、ジョージ・ヒル警部が車を降りる。その後ろから刑事たちも次々と姿を現した。全員がスーツ姿だが、その下には防弾ベストを着込み、拳銃もすぐに抜ける状態で携行している。
ヒルは一枚の書類を取り出し、部下に確認させる。
「令状、問題ありません。」
ヒルは短く頷いた。
「よし。行くぞ。」
刑事たちはそのままフィスクタワーの正面入口へ向かって歩き出した。
ロビーでは、警察の姿に気づいた社員たちがざわつき始める。
「警察?」
「何があったんだ?」
受付係も慌てて立ち上がった。
「失礼ですが、お約束は――」
ヒルはその言葉を遮るように、捜索令状を受付へ置いた。
「ニューヨーク市警だ。捜索令状に基づき、社内を捜索する。」
受付係の表情が固まった。
その様子を、向かいのビルの屋上からスパイダーマンが見つめていた。
「始まったか。」
双眼鏡を下ろす。
眼下では、警察が正面から堂々とフィスクタワーへ入っていき、ロビーにいた社員たちが騒然としている。
「さすがヒル警部。仕事が早い。」
しかし、スパイダーマンが注目しているのは正面入口ではなかった。視線はビルの上層階から、以前見つけた不自然な搬入口へと移っていく。
「でも、本命はそこじゃない。」
マスクを被り直す。
「正面は任せた。僕は裏を探す。」
ウェブを撃ち込み、スパイダーマンは向かいのビルからフィスクタワーの側面へ飛び移った。
鏡のようなガラス張りの外壁を、赤と青の影が音もなく駆け上がっていく。必要に応じてウェブを撃ち込み、勢いを調整しながら上層階を目指す。
眼下では、警察がすでにロビーへ展開していた。社員たちは慌ただしく避難し、館内には緊張した声が飛び交っている。
「警察だ!」
「何があった?」
その直後、館内放送が流れ始めた。
『お客様へお知らせします。ただいま館内設備の点検を行っております――』
スパイダーマンは思わず苦笑する。
「設備点検ね。ずいぶんと物騒だけど。」
警察によって注意が正面へ集まっている隙を利用し、スパイダーマンは最上階近くの窓へ張り付いた。中を覗くと、高級そうな会議室が見える。
人はいない。
「ここなら。」
窓枠へウェブを撃ち込み、吸盤のような器具を取り付ける。慎重にガラスを外し、音を立てないよう室内へ滑り込むと、すぐに窓を元通りにはめ直した。
「侵入成功。」
会議室から廊下へ出る。
この一帯は、フィスクタワーの最上部に設けられたエグゼクティブフロアだった。昼間だというのに一般社員の姿はほとんどなく、下の階とは明らかに雰囲気が違う。
「社長室フロアだからか。」
スパイダーマンは天井へウェブを撃ち、そのまま逆さに張り付いた。
しばらくすると、秘書らしい女性が廊下を通り過ぎる。スパイダーマンは天井で息を潜め、その姿が角を曲がるまで待ってから移動を再開した。
やがて、重厚な木製の扉の前へ差しかかる。
金色のネームプレートには、
WILSON FISK
と刻まれていた。
スパイダーマンは一瞬だけ動きを止める。
「……。」
この扉の向こうにキングピンがいる。
中の様子を探ろうとした、その瞬間だった。
首筋に微かな違和感が走る。
スパイダーセンス。
「?」
だが、感覚の向いている先は社長室ではない。
もっと奥だ。
スパイダーマンはゆっくり振り返る。
廊下の突き当たりに、小さな専用エレベーターがあった。一般社員が使うものとは明らかに異なる造りで、目立たない場所に設置されている。外側には通常の階数表示もなく、呼び出しボタンも一つしかない。
その前には二人の警備員が立っていた。
社員証ではなく、専用のカードキーを使って認証している。
「隠し区画か。」
ちょうど警備員の一人がカードを通し、エレベーターの扉が開いた。
二人が乗り込む。
スパイダーマンは天井を這ったまま、その真上まで移動する。
「乗せてもらうよ。」
扉が閉まる寸前にウェブを撃ち、音もなくエレベーターの屋根へ飛び移った。
扉が閉じる。
エレベーターは静かに下降を始めた。
「地下?」
表示は通常の地下階を通過していく。
P1。
P2。
そのさらに下へ進むと、やがて階数表示そのものが消えた。
スパイダーマンは目を細める。
「……そんな階、案内になかったぞ。」
長い下降の末、エレベーターが停止した。
重い扉が開き、警備員たちが降りていく。
スパイダーマンは屋根へ張り付いたまま様子を窺い、二人の足音が遠ざかったことを確認してから床へ降り立った。
目の前には、分厚い防爆扉がある。
扉の脇にはカードリーダーだけでなく、複数の認証装置が設置されていた。無理に開ければ警報が鳴ることは容易に想像できる。
その向こうからは、金属を削る音や溶接の音が微かに聞こえていた。
「……この向こうか。」
スパイダーマンは防爆扉へ手を伸ばしかける。
しかし、途中で止めた。
「いや。こんなの開けたら絶対バレるな。」
周囲を見回す。
そこで、壁の上部に設けられた大きな排気口が目に入った。内部からは低い換気音が響き、わずかに温かい空気が流れ出している。
スパイダーマンは防爆扉と排気口を交互に見る。
「……こっちだな。」
壁を這い上がり、排気口のグリルへ張り付く。固定具を静かに外して内部へ滑り込むと、侵入したことが分からないようグリルを元へ戻した。
狭い排気ダクトの中を進むにつれて、機械音は少しずつ大きくなっていく。金属を削る音、工具を動かす音、低く唸る大型機械の駆動音。それらがダクトを通じて混ざり合い、次第にはっきりと聞こえてくる。
やがて足元の格子越しに明かりが見えた。
スパイダーマンは身を伏せ、その隙間から下を覗き込む。
そこには、広大な地下ラボが広がっていた。
「……見つけた。」
周囲に人がいないタイミングを見計らい、格子を静かに外す。ダクトから天井の梁へ音もなく降り立つと、スパイダーマンはそこからラボ全体を見渡した。
無数の工作機械が並び、研究員たちが慌ただしく作業を続けている。
作業台や試験装置の間には、見覚えのあるガントレットが何組も並んでいた。その隣には、これまで見たことのない兵器の試作品まで置かれている。
「……すごいな。」
思わず小さく呟く。
「兵器工場じゃないか。」
下から研究員たちの声が聞こえてくる。
「冷却が追いつかない!」
「試作七号、出力が安定しません!」
「主任を呼べ!」
「主任は?」
「まだ奥だ!」
その言葉に、スパイダーマンの表情が変わる。
「主任……?」
天井の梁を伝いながら、ラボのさらに奥へ進んでいく。
やがて、周囲の喧騒から少し離れた場所へたどり着いた。
そこには、研究員たちもほとんど近づかない、独立した作業スペースが設けられている。工具は整然と並び、壁一面には設計図が貼られていた。
一人の研究者が作業台へ向かい、白衣姿でガントレットの内部を調整している。
工具を動かす手に迷いはなく、周囲の騒音など耳に入っていないかのように作業へ没頭していた。
スパイダーマンは梁から静かに降り、足音を殺して近づく。
研究者はまだ気づかない。
その時、スパイダーマンの視線が白衣の胸元へ向いた。
ネームプレートには、
OTTO OCTAVIUS
と書かれている。
スパイダーマンの目が大きく見開かれた。
「……OTTO?」
研究者の手が止まる。
ゆっくりと振り返った。
穏やかな表情。
ネット上で何度もやり取りを交わしてきたハンドルネームの向こう側にいた人物。画面越しにしか知らなかった相手が、今、目の前にいる。
オットーはスパイダーマンの姿を確認すると、すぐにウェブシューターへ目を向けた。
そこに装填されている新しいウェブカートリッジを見つけ、小さく微笑む。
「そのウェブ……。完成していたのか。」
スパイダーマンは思わずマスクへ手を掛ける。
ゆっくりと外した。
「……やっぱり……あなただったんですね。」
オットーは少し驚いたように目を細めた。
ピーターは目の前の人物を見つめ、思わず笑ってしまう。
「信じられない。ずっと画面越しだったのに。」
オットーも小さく笑った。
「私も同じだ。まさか、相談相手がスパイダーマンだったとは。」
二人は一瞬だけ顔を見合わせる。
敵地のど真ん中だというのに、その場には不思議と穏やかな空気が流れていた。
しかし、その時間は長く続かなかった。
オットーはすぐに表情を引き締める。
「そうか。スパイダーマンが来たということは……。」
ピーターは頷いた。
「はい。ここにも、もうすぐ警察が来ます。」
オットーは静かに目を閉じる。
「……そうか。」
少し考えたあと、小さく息を吐いた。
「いいか。よく聞くんだ、WebHead。」
ピーターは顔を上げる。
オットーは真っ直ぐ彼を見つめたまま続ける。
「ウィル……いや、キングピンは強い。腕力だけじゃない。権力も、財力も。この街そのものが、あの男の影響下にある。」
ピーターは答える。
「密売の記録があります。証拠もある。」
だが、オットーはゆっくり首を横に振った。
「足りない。それだけでは、あの男は逃げ切る。」
ピーターは悔しそうに拳を握る。
「じゃあ、どうすれば……。」
少し沈黙が流れる。
やがて、オットーは決心したように頷いた。
「私が証人になろう。」
ピーターが顔を上げる。
「私は、このラボの主任研究員だ。私が証言すれば、キングピンは言い逃れできない。」
ピーターは驚く。
「でも、それじゃあなたも……。」
オットーは穏やかに笑った。
「構わない。私は兵器を作った。責任は取らなければならない。」
少し間を置く。
「減刑してもらえるかどうかは、その後の話だ。」
そして、肩をすくめた。
「……まあ。こう見えて、運だけはある。」
ピーターは思わず笑う。
「その運、ちょっと羨ましいな。」
オットーも小さく笑い返した。
「君はいつも酷い目にあっているからな。」
その時だった。
ラボ中のスピーカーから、低い男の声が響いた。
「――素晴らしい心構えだ。」
二人の表情が変わる。
ピーターはすぐにマスクを被り直した。
「オットー。私を捕まえるために、自らを犠牲にするか。」
オットーは天井を見上げ、小さくため息をつく。
「……聞いていたのか、ウィル。」
キングピンの低い笑い声が響く。
「当然だ。この街で、私に隠し事はできない。」
スパイダーマンは部屋の隅にある監視カメラを見つけた。
「くそ、趣味が悪いな。」
すぐにウェブを撃つ。
バシュッ!
カメラはウェブに覆われ、そのまま壁から引きちぎられた。
スパイダーマンは肩をすくめる。
「覗き見なんて、もっと他にいい趣味ないの?」
一拍置いて、キングピンが答える。
「残念だったな。カメラなら、まだまだある。」
スパイダーマンが周囲を見回す。
天井や壁、柱の各所で、小さな赤いランプが一つ、また一つと点灯していく。
「……うわ。本当にいっぱいある。」
キングピンの声は変わらず静かだった。
「スパイダーマン。お前は賢い。だから私まで辿り着いた。」
少し間を置く。
「だが、愚かだな。」
声の温度がさらに下がる。
「一歩、踏み込みすぎたようだ。」
その瞬間、ラボの各所で防爆シャッターが一斉に閉まり始めた。
ガンッ!
ガンッ!
通路が次々と封鎖され、逃げ道が塞がれていく。
オットーが顔をしかめる。
「まずい。」
キングピンは淡々と言う。
「スパイダーマン。お前にはここで消えてもらう。」
そして、オットーへ向けるように続ける。
「お前には、最後まで働いてもらう。」
ラボの奥の扉が開いた。
そこから、完全武装した警備員たちが一斉に雪崩れ込んでくる。自動小銃を構え、防弾装備で身を固め、全員が統率の取れた動きで展開していく。
スパイダーマンはオットーを守るように前へ立った。
「話し合いは終わりみたいだ。」
オットーは苦笑する。
「最初から、そのつもりだったんだろう。」
「違いない。」
スパイダーマンはウェブシューターを構える。
「じゃあ。OTTO。」
オットーも静かに頷いた。
「頼んだぞ、WebHead。」
「任せて。」
次の瞬間、武装集団が一斉に突撃してきた。
武装した男たちは、左右から一気にラボへなだれ込んでくる。
「確保しろ!」
「オットーを逃がすな!」
「スパイダーマンは殺しても構わん!」
「物騒だな!」
スパイダーマンは最前列の男へウェブを撃ち、そのライフルごと腕を天井へ吊り上げる。すぐにウェブを支点として身体を振り、振り子の勢いを利用して二人目へ飛び蹴りを叩き込んだ。
しかし、敵はひるまない。
ダダダダッ!
別方向から銃弾が雨のように飛んでくる。
スパイダーマンはオットーの腕を掴んだ。
「こっち!」
二人は作業台の陰へ飛び込む。
直後、銃弾が周囲の機材へ次々と撃ち込まれ、調整中だった装置が粉々に砕けていく。
オットーは思わず眉をしかめた。
「あぁ、せっかく調整した装置が……。」
スパイダーマンは思わず笑う。
「そこ気にする!?」
「当然だろう!?」
二人が顔を見合わせた、その隙を狙うように手榴弾が床を転がってくる。
スパイダーセンスが反応した。
「伏せて!」
スパイダーマンは即座にウェブを撃ち、手榴弾を天井へ貼り付ける。
ドンッ!!
頭上で爆発が起こり、天井から火花と破片が降り注いだ。
それでも武装集団は動きを止めず、別方向からさらに押し寄せてくる。
オットーは周囲を確認しながら叫んだ。
「スパイダーマン。試験スペースまで行け。ここより戦いやすいはずだ。」
「了解!」
スパイダーマンはオットーを背中へかばうようにして走り出す。追ってくる男たちへウェブを撃ち、通路の壁や床へ貼り付けることで足止めしながら先へ進んだ。
「追え!」
「逃がすな!」
二人はそのまま試験スペースへ飛び込む。
そこには、ルーズベルト駅のホーム以上に天井が高く、広く開けた空間が広がっていた。
スパイダーマンは周囲を見回す。
「よし。ここなら。」
直後、武装集団が次々と姿を現した。
十人、十五人と数は増え続ける。
オットーが小さく呟く。
「……こんなにいたのか。」
スパイダーマンは腰へ手を伸ばし、小さな球体を一つ取り出した。
オットーがそれを見る。
「それは?」
スパイダーマンは少し得意げに笑う。
「新作。まだ調整不足だけど、今がそれってことで。」
球体を軽く放り、片手で受け止める。
オットーが眉をひそめた。
「失敗したら?」
「えーっと、それはその時で。」
オットーは思わず苦笑する。
「君、本当に科学者なのか?」
そのやり取りの間にも、武装集団は銃を構えていく。
「撃て!」
スパイダーマンは球体を男たちの中央へ投げ込んだ。
「じゃあ、テスト開始!」
球体が床へ落ちる。
一瞬の静寂。
次の瞬間。
パシュンッ!!
ウェブボムが炸裂し、圧縮されていた白いウェブが一気に四方へ広がった。前列にいた男たちは腕や足ごと床や壁へ貼り付けられ、後ろにいた者たちも巻き込まれて動きを封じられる。
ラボ中に悲鳴が響く。
「今です!」
スパイダーマンはオットーを先へ促した。
二人はその隙に試験スペースを飛び出し、通路を駆け抜ける。
すると、その先から別の怒号が聞こえてきた。
「市警だ!」
「武器を捨てろ!」
ヒル率いる突入班だった。
警察は地上から通常の捜索を進める中で秘密区画へ繋がる経路を発見し、地下ラボまで到達していた。
ヒルは赤と青の姿と、その隣を走るオットーを見つけると、すぐに状況を察して銃口を下げる。
「そいつは?」
スパイダーマンはオットーの肩へ手を置いた。
「この人が主任研究員です。キングピンの兵器開発に関わっていました。」
続けて説明する。
「でも、この人は証言してくれます。キングピンを逮捕するための、決定的な証人です。」
ヒルはオットーを見る。
「本当か。」
オットーは静かに頷いた。
「ええ。私が全て話します。資金の流れから兵器開発まで、全部。」
ヒルはすぐに部下へ振り向く。
「最優先で保護しろ。絶対に一人にするな!」
「了解!」
二人の刑事がオットーの左右へつく。
オットーはそのまま歩き出しかけたが、不意に立ち止まり、スパイダーマンへ向き直った。
「スパイダーマン。」
スパイダーマンは頷く。
「行ってください。ここから先は僕が。」
オットーは小さく笑う。
「幸運を。」
スパイダーマンも笑った。
「僕もこう見えて、運だけはある。」
オットーは少し疑うような顔をする。
「本当か?」
「だって、まだ死んでないから。」
オットーはその答えに穏やかに笑い、刑事たちと共に去っていく。
ヒルはその背中を見送ったあと、スパイダーマンの隣へ立った。
「お前はどうする。」
スパイダーマンは一度ラボの奥へ目を向け、それから頭上を見上げた。
「まだ終わってない。キングピンが残ってる。」
ヒルもその意味を理解する。
キングピンがいるのは、この地下ラボではない。
遥か頭上。フィスクタワー最上階の社長室だ。
「……分かった。」
ヒルは短く頷いた。
「こっちは証人を守る。お前はフィスクを追え。」
スパイダーマンは親指を立てる。
「任せた。」
先ほど地下まで降りてきた専用エレベーターへ向かう。だが、呼び出して悠長に最上階まで戻るつもりはない。
スパイダーマンはエレベーターの扉へウェブを撃ち込み、左右へ引き開けた。
その向こうには、暗いエレベーターシャフトが遥か上まで伸びている。
見上げれば、ずっと先に小さな光が見えた。
「……遠いな。」
一瞬だけそう呟く。
「まあ、地下まで来たんだから当たり前か。」
両腕からウェブを撃ち込む。
「じゃあ、上に戻らないとね。」
身体を一気に引き上げ、シャフトの壁へ着地する。そのまま壁を蹴り、ウェブを撃ち、再び壁へ飛び移る動作を繰り返しながら、猛烈な速度で上昇していく。
地下深くに造られた秘密ラボが、見る間に遠ざかっていく。
ヒルはシャフトを駆け上がっていく赤と青の姿を見送り、小さく呟いた。
「……絶対、無茶するなよ。」
もちろん、その声はもうスパイダーマンには届いていなかった。
遥か頭上。
フィスクタワー最上階。
その先にある社長室へ向かって、スパイダーマンは一気に駆け上がっていった。