タイトルモチーフ「第1話 ガッチャ!ホッパー1!」
ヒーローに憧れた。
その中でも仮面ライダー、もっと言うとダークライダーに憧れた。
どれも厨二心くすぐるような見た目と設定。そして悪辣さと実力。どこを取っても、魅力的なものだった。
(なりたいなぁ。ダークライダーに)
そんな高三の夏。トラックに轢かれた。夏映画を見に行く途中に。
(クソッタレ!せめて帰る時にしやがれよ!まだ見てねえんだぞこちとら!)
血がドバドバと流れていき、意識が朦朧としていく。助からないことが、見て取れた。
そんな中、願った。
『かっこよさと実力を持ったダークライダーになれますように』
◇
(ん?なんか……温かい。俺、死んだと思うけど。……もしかして、天国?)
開眼する。
「おお、マッマ。目を開けたぞ!」
「本当!?まあ、綺麗な銀眼ね!」
(イケメンと美人が、俺を持ち上げてる?
これでも、60キロあるんだけど……)
「でも、全然泣かないわね」
「まさか病気!はたまた悪魔憑きか!」
(泣くって、俺高三なんだ……け、ど?)
隣の鏡に目を向ける。
(はっ!?俺、赤ちゃん!?赤ちゃんなの!?
もちほっぺで、天使な、あの赤ちゃんなの!?)
「ま、まずいわ。すぐ医者に連絡を!」
(大事にされるのはやだな。とりあえず泣かないと!)
「オギャーーー!オギャーー!」
「泣いたぞ!マッマ」
「ふぅ、安心した。泣いてくれて」
俺を置き、二人が抱き合う。
(まさかのベタなトラ転で転生かよ。まだ状況があれだけど、とりあえず、魔法とかあるといいな)
◇
時は過ぎ、8歳になった。
今世の名前はデュール・ホロブアーク。男爵貴族の生まれだ。
母はマッマ・ホロブアーク。
父はパッパ・ホロブアーク。
二人と従者達から、たくさんの愛と鍛錬でここまで育った。
「はっ、とう、やあ!」
訓練場。鉄の音が響きあう。
「む、どんどん強くなってるなデュール」
「もちろんです。お父様」
(全力じゃないけど、お父様強くね?剣撃全部捌かれる)
「だが、まだ本気じゃないだろう。全力で来なさい」
「押忍」
全身に魔力を走らせる。
やはり異世界。魔力はあった。魔力は。
魔法は無いらしい。
(魔法あったら、どれだけ良かったことか)
結局お父様には負け、訓練を終えた。
◇
図書室で本を読み漁る。
本は好きで、前世でも結構読んでいた。特撮やスマホがない今、数少ない娯楽の一つである。
「読み尽くしたな。まだ読んでないのあったけ?」
その時、ふと目に映った。
『教典』だ。三人の英雄が、ディアボロスと言う魔人を倒す御伽話。
(『教典』かぁ。お母様に読み聞かせしてもらったな。
数少ないヒーロー物だったし)
久しぶりにと思い、読んでみると……。
「ん?んん?んんんん?」
(こんな内容だったか?もっと子供騙しな内容だったはずだけど……)
読めば読むほど、記憶からかけ離れていく。
英雄が性別逆転してること。
その子孫についてのこと。
悪魔憑きについての知らないこと。
『ディアボロス教団』とか言う組織のことなど。
(なんだよ、これ。俺の知ってる『教典』じゃない。これは、一体?)
恐怖と困惑から、無意識に魔力が籠る。次の瞬間……。
ガシャン!ガシャガシャガシャン!
「は?」
すぐそばの本棚が変形し、下に続く階段が出来る。
「……マジで何これ?」
周りを見回す。
「……誰もいないな」
(よし、入ろう)
恐怖よりも、好奇心が勝る。今の俺は、まさにフィリップだ。
そのまま数分歩き続けて……。
「あっ」
足を滑らせ、転げ落ちた。
「うわあああああああああああ!!!」
◇
「ぐびぃ!」
転がり終え、頭からぶつける。
明るい場所に出た。
(魔力で緩和したけど、それでもクソ痛い)
「つーか、ここどこや?
んー?」
狭いし、白くてチカチカする。
そんな中、異質な物が目に入る。
「ちょちょちょ、待てよ。待て。これって」
美術品のように置いてあるそれに触る。
「『ドレッドライバー』!」
仮面ライダーガッチャードに出てくるアイテム『ドレッドライバー』(と『レプリケミートレカ』)。
ガッチャードに出てくる仮面ライダードレッドの変身アイテム。
かっこよさや鬱仮面割れで、話題に上がるライダーでもある。
(どゆこと?何でこれがあるの?マジでなんで?でも……クソかっけー)
おもちゃじゃ無いマジの質感。
不快感すら覚える悪の匂い。
(俺の勘が告げている。これは本物だと。変身できると、本能が訴えてくる!)
ドライバーを腰に当てる。
『ドレッドライバー』
「おお!」
ベルト帯ーーーー『ドゥアトレンジ』が自動装着される。
(自動装着、ファンとしてロマンじゃないか!音声も鳴ったし、本当に本物だ!)
10枚あるトレカから、機関車のカードを取る。
(あった!『スチームライナー』。これで、これで変身できる)
カードを『ヴェヴェルセッター』にスラッシュする。
『STEAMLINER』
「っ!〜〜〜〜〜〜」
音声に興奮し、ドーパミンが溢れ出す。
(出来る、出来るぞ。俺が一番大好きな、ドレッドに!変身、出来る!)
続いて、装填部分ーーーー『アトゥムサーキュラー』にカードを入れる。
すると、踏み切りのようなおどろおどろしい音楽が流れる。
(さあ、なんて言えばいいんだっけ?)
自問自答し、笑みが溢れる。
「ーーーーーーーー変身」
『ネクベトヴォーグ』を起こす。
「ぐぅ、うう」
全身から黒い霧と炎、レプリスチームライナーが現れる。
そして、黒い肋骨が後ろから突き刺さり、変身完了をする。
『ドレッド 零式』
◆〜side???〜
ホロブアーク家の従者二人が、廊下を駆ける。
「本当に何しているんだ!」
「すまない。『教典』と『鍵』を間違えるとは……」
「言い訳は後だ。早く『鍵』を回収しなければ」
図書室に到着し、『鍵』を探す。
「くそっ!ない。一体どこにやったんだ!」
「まさか誰かに取られたか!」
「であれば、あれもか!?」
一人がもう一つの『鍵』ーーーー『教典』に扮した『資料』を取り出し、道を開く。
◇
「んなっ!ない。無いぞ」
何も無い白い空間。あるはずの物がない事に、驚愕する。
「ほ、報告だ。すぐに探すように、人手を手配してもらうぞ。